129.法皇庁異端審問局 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「そして妾は」彼は言う。「そのどちらでもない。戦場で一時的に容認されている汚染物質に過ぎん」
エリザヴェータの口角がわずかに動いた。
笑いじゃない。
「己が誰よりも高みに立っておると、本気で思うておるのか、神父よ?」
「いや」バローロは言う。「ただ、正しい側に立っているだけだ」
「その言葉は、歴史上のあらゆる屠殺者が口にしてきたものじゃ」
マレクの目がわずかに動いた。
カミラは止めない。
マリアでさえ半秒黙った。この台詞の鋭さを純粋に味わっているかのように。
バローロ神父はすぐには返さなかった。
あの灰白色の両目が、二つの冷たい石のようにエリザヴェータの顔に据えられている。
「今すぐ妾を両断しないのは」彼は言う。「妾の言い分に理があるからではない。妾がまだ後続の作戦において有用だからだ」
「ならば、妾の利用価値が十分長く続くよう祈るがよい」エリザヴェータは言った。
「それは私が祈ることではない」バローロは言う。「妾が祈ることだ」
マリアがついに再び笑い声を上げた。
「ああ、その台詞は好きよ」
その笑い声は細く、ひび割れていて、ガラスが燃えているみたいだった。
俺は横に一歩ずれ、神父とエリザヴェータの間の線を少し遮った。
誰かを庇うためじゃない。
このまま二人を続けさせたら、この部屋での話し合いが本当に終わる。
「もういい」俺は言った。「今日は聖書の引用合戦と歯ぎしりを聞きに来たわけじゃねえ」
バローロが俺を見る。
「結果を話し合うなら、結果に戻れ」彼は言う。「彼女は私と行く」
「ダメだ」
「理由を」
「今、彼女が目にしているのは俺たちの側の人間だ。目を覚ましたときに見たのもここの人間だ。地下から引きずり出したのも俺たちだ。そこにあんたが入ってきて、全身黒ずくめで、自分が連れて行くと言う」俺は彼を睨んだ。「彼女は自分が救い出されたと思うか、それとも再び引き渡されたと思うか?」
この一言が、部屋の中のあらゆる雑音を押し潰した。
マリアは笑わない。
カミラが一度俺を見た。
エリザヴェータでさえ、何も言わない。
これは事実だから。
バローロは否定しなかった。
それはよかった。
立場がないと分かっている場所で、無理に言い張るような人間じゃない。
「では、どうするつもりだ?」彼は聞く。
俺は彼を見た。
「まず俺が連れて行く」
マリアがすかさず鼻で笑った。
「最悪の案ね」
「誰もお前に聞いてない」
「分かってるわ」彼女は言う。「ただ、どうしても反対したくて」
「なら順番待ちしてろ」
彼女の目が輝いた。また俺に遊ばれたみたいに嬉しそうだ。この女は本当におかしい。
バローロは直接続ける。
「どこまで連れて行く?」
「イタリアまで」
「その後は?」
「その後はその時考える」
「ダメだ」今度は神父が直接切った。「明確な区切りが必要だ」
彼が何を警戒しているか分かる。
俺が人を飲み込もうとしているのを防ぐんじゃない。
「その時考える」でじわじわと既成事実を作られるのを防ごうとしている。
少し考えて、俺は口を開く。
「イタリアを離れるまで」
カミラがここで初めて口を開いた。
「それなら受け入れられる」弾薬の搬送書類にサインするような、冷えた口調だった。「ポーランド側としては、ここに人を残したくない。あなたたちのどちらが連れて行っても構わない。ただ、ここに置き続けるのはやめて」
この一言で、立場が明確になった。
ポーランド側は本当に厄介を抱えたくない。
カミラは惜しんでいるわけじゃない。
この爆弾を一刻も早く自分の基地から出したい。自分の頭の上で爆発しさえしなければ、それでいい。
バローロは数秒沈黙した。
計算している。
手続きを。リスクを。十九歳の生きた証人を俺に預けることが、どれだけ不潔で、面倒で、規則に反するかを。
マリアは横で猫みたいに俺を見ていた。
「この取り決めは気に入らないわ」彼女は言う。
「結構」俺は言う。「俺は気に入ってる」
「あまり早く喜ばないことね」彼女は手を伸ばして、腰の刀鞘をそっと撫でた。古い友人をなだめるみたいに。「ずっと見ていられるから。私は辛抱強いのよ」
「お前が頭おかしいのは知ってる」
「根に持つのも得意よ」
「誰よりも分かってる」
彼女は微笑んだ。
「ならよかった」
バローロがようやく再び口を開いた。
「いいだろう」彼は言う。
俺は彼を見た。
彼は続ける。言葉の一つ一つが、釘を打ち込むようだった。
「彼女は一時的に君が連れて行き、部隊と共にイタリアへ入る」彼は言う。「だがイタリアを離れる前に、行き先を決めるのは君でも私でもない。彼女自身が口を開いて決める」
俺はすぐに答えなかった。
表面上は譲歩しているように見えて、実際には後ろに一本の刃を残している。
その時が来れば、選ぶのは彼女だけじゃない。
俺が本当に彼女に自分の意思で選ばせられる人間かどうか、彼が見ている。
バローロは俺を見て、最後の一言を付け加えた。
「それと、周士達」
「言え」
「手癖は綺麗にしておけ」
部屋が一瞬静まった。
マリアが先に笑った。
細く、軽く、実に不愉快なほど楽しそうに。
俺は神父を見た。
「俺を何だと思ってる?」
「今のところ、まだ容認できる男だと思っている」彼は言う。「品行に改善の余地があり、私生活の境界線が不十分な人間でもあるが」
「ついでに懺悔でも聞いてくれるか?」
「必要なら、聞こう」
「なら順番待ちしてろ」
エリザヴェータが横から冷たく一言添えた。
「こ奴が本当にそこまで汚れておるなら、そなたが回収するまでもないじゃろう」
マリアが今度こそ声に出して笑った。
「ああ、さっきの台詞より断然いいわ」
バローロは彼女を無視した。
俺を見る目は、釘みたいに冷たかった。
「冗談じゃないぞ、周士達。彼女は戦利品じゃない。君が救い出したからといって、自動的に君のものになる人間でもない。彼女は被害者であり、証人であり、まだ生きている人間だ。一歩でも踏み外したら、私が直接お前を地面に釘付けにする」
「本当にやらかしてから来い」
「見ている」
「勝手にしろ」
そのとき、扉の外からごく小さな音がした。
ノックじゃない。
誰かが扉の外で立ち止まり、指先が扉の縁に触れたような音だった。
全員の視線がそちらへ向く。
扉はきっちり閉まっていなかった。さっきの警備員が、会議がここまで長引くとは思わず、細い隙間を残していたのだろう。その隙間からまず少し光が差し込み、次に細い手が一本、扉の縁を掴んだ。
次の瞬間、扉がゆっくりと押し開けられた。
レイチェルが立っていた。
後棟で着替えさせてもらった濃いグレーのタートルネックのセーターを着て、外には大きすぎるコートを羽織っていた。袖が一段長く、指先の半分を隠している。体はまだ細く、顔色は壁から掘り出したばかりみたいに白く、灰黒色の髪が頬に貼りついていた。でも目は覚めていた。はっきりと。それは体調がいいからじゃなく、あまりにも多くのことが彼女を眠らせてくれないからだ。
後半しか聞いていなかっただろう。
でも、それで十分だった。
この部屋の人間が自分のことを話していると分かるには。
誰が連れて行くかを。
どちらが適任かを。
自分が危険な書類のように、どの手に渡されるべきかを話し合っていると。
エリザヴェータが最初に動いた。
反射的に扉のほうへ一歩踏み出し、そのまま強引に止まった。
動きが速すぎて怖がらせてしまうのを、ぎりぎりで堪えたのだろう。
バローロ神父は前に出なかった。
それはよかった。
ただ彼女を見ていた。石碑のようなあの顔が、初めて本当に少しだけ力を抜いた。
マリアはこの光景にあまり興味がないらしく、むしろ少し不満そうだった。俺と神父がもう二、三ラウンド言い合うのを期待していたのだろう。
俺は扉の方へ二歩進み、彼女とまだ距離を保ったところで止まった。
「どうして下りてきた?」
レイチェルはまず俺を見て、次にバローロを見て、マリアを見て、最後にエリザヴェータの上を視線が掠めた。
唇が少し乾いていた。口を開く前に、一度息を吸う。
声は小さかった。
でも、はっきりしていた。
「私のことを、勝手に決めないで」
会議室全体が、息の音まで聞こえそうなほど静まり返った。
コートの端を握りしめた指先が白くなっている。背中はまだ少し後ろに引けていた。でも目は逃げていない。
俺を見て、バローロ神父を見て。
彼女の声は小さかった。
それでも部屋全体が一瞬で静まり返った。
礼儀としての静けさじゃない。テーブルを囲んでいた全員が突然悟ったのだ。さっきまで交わされていたあの言葉も、手続きも、自分たちが正しいと信じ込んでいた取り決めも、結局は扉口に立つこの折れそうに細い少女を避けて通ることはできないのだと。
レイチェルは大きすぎるコートを握りしめ、指を袖の中に引っ込めて、骨ばった関節だけをわずかに覗かせていた。まだ立ち方も安定しておらず、重心が少し後ろに傾いて、いつでも扉の外へ退けるような構えだった。それでも退かない。目も逸らさない。まず俺を見て、次にバローロ神父を見て、最後にマリア修道女とエリザヴェータを短く流し見た。
俺はそのとき初めて気づいた。この女の子は虚弱なのは虚弱でも、骨の芯に妙に硬いものを持っている。
だが考えてみれば当然か。ワイスマンの実験室でさえ彼女を灰にできなかったのなら、この部屋ごときで折れるはずがない。
誰も口を開かない。
俺はもう一歩前に出て、彼女とテーブルの間に立った。彼女を遮ったわけじゃない。ただ、異端審問局から来たあの二人の狂人との間に、少し距離を作っただけだ。
「先に部屋に戻れ」俺は言った。
彼女は首を振る。
ゆっくりと。
でもはっきりと。
「聞こえてた」彼女は言う。
声はまだ小さいが、言葉の一つ一つが確かに落ちてくる。回復した人間の滑らかさはない。流暢じゃなくて、時折喉の奥で一度転がしてから押し出してくるような話し方だ。それでも意味には一点の曖昧さもない。
「あなたたちが……誰が私を連れて行くか、話してた」
カミラはテーブルの端に手をついたまま、口を挟まない。ここで誰かが余計な一言を足せば、場全体が傾きかねないと分かっているから。林雨瞳も動かない。ただレイチェルを見ている。この女の子が今どこまで耐えられるかを、静かに測り直しているようだった。マレクは扉の脇に立ち、半身を横に向けて退路を開けながら、射線も確保している。どんな部屋でもまず撤退ルートを確認する——それが彼の習慣だ。
エリザヴェータが一番強張っていた。
バローロが怖いからでも、レイチェルが突然現れたからでもない。さっきまで言葉にしなかったものが、今まとめて光の下に引きずり出されたからだ。この数日間、ずっと傍で守ってきた人が、今自分の足で歩いてきて、自分のために口を開こうとしている。
バローロ神父はレイチェルを見ていた。
石碑みたいなあの顔に、初めて本当の「間」が生まれる。軟化したんじゃない。調整だ。プログラム通りに前進していた重機械が、目標が自分で口を開くと気づいて、力の入れ方を計算し直しているような。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




