126.人類悪 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
前衛が後衛に回る。
回収袋を中段に渡す。
負傷者に簡易吊帯を装着する。
爆破組が最後の導火線を繋ぎ始める。
マレクの部下が最も狭い箇所に二層目の扉封止ピンを打ち込む。
俺は少女を立ち上がらせた。
立つことはできた。だが長くは持たない。二歩歩いたところで右膝がまた折れかけた。俺はそれ以上試させず、彼女の片腕を自分の肩に乗せ、もう一方の手を背中から回して支えた。腹が立つほど軽かった。汚れたスカートと俺の上着越しに、骨の輪郭が腕に直接当たるほど硬く感じられた。
「怖がらんでええ」エリザヴェータが横で一言言った。
声はいつもより遥かに低かった。
少女は彼女を一瞥した。答えなかった。
ニウ・シャオチンが最後尾に下がった。ナイフは黒い血だらけだ。
「来よったで」
俺は振り返った。
廊下の奥で影が揺れ始めていた。
一つじゃない。
連なっている。
腐ったものもいる。速く動くものもいる。さっきより明らかに大きい失敗作が二体、暗闇の中からこちらへ押し出されてくる。
「下がりながら撃て」俺は言った。「深追いするな。口に何か咥えているのを見たら先に脚を砕け」
「了解!」
火力が即座に後方へ向いた。
最初の短点射で前列の二体のゾンビを薙ぎ倒した。後ろから続く失敗作がその死体を踏み越えて突進してくる。一体は胸に金属箱が縫い込まれていて、走るたびに音を立てる。ニウ・シャオチンが即座に反転し、ナイフをそいつの膝裏に入れ、腱を完全に断ち切った。そいつが膝をついた瞬間、マー・サンニャンの長槍が側面から貫き、壁に縫い止めた。
「行くで!」
俺たちは撤退を始めた。
外扉を先に閉める。
第一の爆薬に安全装置をかける。
さらに外へ出て第一牢区の分岐口。
第二の爆薬が定位置につく。
一区画退くたびに、一本ピンを打ち、一本導火線を残す。
これは慌てた逃走じゃない。
手順通りの封鎖撤退だ。
だが地下というのは、どれだけ綺麗な手順を踏んでも、最後は血と臭いの中に引きずり込まれる。
最初の角を曲がったところで、右側の鍵のかかっていたはずの牢扉が突然弾け飛んだ。
中から出てきたのはゾンビじゃなかった。
白衣を着た何かだ。
身長は二メートル近い。背中が反り返るように弓なりになっている。顔の皮膚は半分しかない。下半身は鉄の支柱で再固定されていて、走り方はリズムの狂った機械のようだ。
最初に狙ったのは少女だった。
一番近い人間じゃない。
まっすぐ彼女だけを狙った。
俺は反射的に少女をエリザヴェータの方へ押しやり、自分は横へ踏み込んでそいつに向かった。銃口をほとんど胸に当てるほど近づいてから撃った。二発。三発。止まらない。爪がまだ前へ伸びてくる。ニウ・シャオチンが俺の側後ろから飛び込み、ナイフをそいつの脇の古い縫い目に沿って上まで一気に切り裂いた。黒い内臓と縫い糸が一緒にこぼれ落ちた。それでもまだ動いている。マー・サンニャンが眼窩に一突きし、穂先が後頭部から突き出た。そいつはようやく前のめりに倒れた。
少女は声を上げなかった。
ただ全身が硬直した。
倒れたものを見つめる目は、初めて見るものを見る目じゃなかった。
その反応は泣くより見ていられない。
慣れているということだからだ。
カミラはその光景を見て、目つきがさらに沈んだ。
だが一言も聞かなかった。
ただ振り返り、廊下の奥に向けて三発続けて撃ち、口に手榴弾を咥えたゾンビを膝つかせてから怒鳴った。
「撤退!」
B3の階段前まで退いた時、マレクが自ら第一組の遠隔起爆装置を押した。
轟音。
計画的な封鎖だ。
外扉に二組。
分岐路の角に一組。
左側の大牢区通路に一組。
階段口に予備一組。
B2下行扉の裏にさらに一組。
最後がB1上行と入口建築の主要耐荷重点だ。
どの組も全面崩落を求めていない。
封じるためだ。断つためだ。後から追ってくるものを途中で砕くためだ。
俺はプラスチック爆薬を受け取り、自分の手で守衛室の扉枠内側に押し込んだ。
「導火線を長めに取れ」俺は言った。「ここは今潰せない。俺たちがB2を抜けてからだ」
爆破手が頷いた。
「了解」
カミラが最後の書類束を袋に詰め込み、顔を上げて俺を見た。
「彼女は」
俺は振り返った。
少女は片付けられたばかりの鉄椅子に座っていた。上着が体の大半を覆っている。周囲をきょろきょろ見回すことはない。ただ扉の外の廊下を見つめている。琥珀色の目に涙はない。緩んだ表情もない。ただ深い疲労と、それよりさらに深い警戒だけがある。
エリザヴェータがその横に立っていた。
まだ白い。
だがさっきよりは安定していた。
俺にはわかる。彼女はまだB2とB3で見たものから完全には抜け出せていない。ただ今は、もっとはっきりしたやるべきことができた。守るべきものができた人間は、そう簡単には崩れない。
俺は歩み寄り、しゃがんで少女と目線を合わせた。
「俺の言葉がわかるか」
彼女は頷いた。
動きはごく小さかった。
「これから速く動く」俺は言った。「歩けるなら自分で歩け。歩けなければ誰かが運ぶ。声を出すな。止まるな。わかったか」
彼女は二秒、俺を見つめた。
それからもう一度頷いた。
ようやく声が出た。
酷く掠れていた。長い間まともに話していなかったような声だ。
「……下に、まだいる」
俺は「彼ら」が誰かは聞かなかった。
ここでは関係ない。
重要なのは、彼女が下にまだ何かがいることを知っているということだ。
「だから今すぐ出る」俺は言った。
彼女の唇がわずかに動いた。まだ何か言いたげだった。最後には何も言わなかった。
いい。
今は聞く時じゃない。
遠くから最初の本格的な扉を叩く音が響いてきた。
鈍い。
重い。
全身で鉄扉に叩きつけているような音だ。
一回。二回。三回。
続いて、さらに多くなる。
B3全体が目覚め始めているようだった。
カミラが回収袋を背負い上げた。
「撤退」
その一言で、全員が即座に動き始めた。
前衛が後衛に回る。
回収袋を中段に渡す。
負傷者に簡易吊帯を装着する。
爆破組が最後の導火線を繋ぎ始める。
マレクの部下が最も狭い箇所に二層目の扉封止ピンを打ち込む。
俺は少女を立ち上がらせた。
立つことはできた。だが長くは持たない。二歩歩いたところで右膝がまた折れかけた。俺はそれ以上試させず、彼女の片腕を自分の肩に乗せ、もう一方の手を背中から回して支えた。腹が立つほど軽かった。汚れたスカートと俺の上着越しに、骨の輪郭が腕に直接当たるほど硬く感じられた。
「怖がらんでええ」エリザヴェータが横で一言言った。
声はいつもより遥かに低かった。
少女は彼女を一瞥した。答えなかった。
ニウ・シャオチンが最後尾に下がった。ナイフは黒い血だらけだ。
「来よったで」
俺は振り返った。
廊下の奥で影が揺れ始めていた。
一つじゃない。
連なっている。
腐ったものもいる。速く動くものもいる。さっきより明らかに大きい失敗作が二体、暗闇の中からこちらへ押し出されてくる。
「下がりながら撃て」俺は言った。「深追いするな。口に何か咥えているのを見たら先に脚を砕け」
「了解!」
火力が即座に後方へ向いた。
最初の短点射で前列の二体のゾンビを薙ぎ倒した。後ろから続く失敗作がその死体を踏み越えて突進してくる。一体は胸に金属箱が縫い込まれていて、走るたびに音を立てる。ニウ・シャオチンが即座に反転し、ナイフをそいつの膝裏に入れ、腱を完全に断ち切った。そいつが膝をついた瞬間、マー・サンニャンの長槍が側面から貫き、壁に縫い止めた。
「行くで!」
俺たちは撤退を始めた。
外扉を先に閉める。
第一の爆薬に安全装置をかける。
さらに外へ出て第一牢区の分岐口。
第二の爆薬が定位置につく。
一区画退くたびに、一本ピンを打ち、一本導火線を残す。
これは慌てた逃走じゃない。
手順通りの封鎖撤退だ。
だが地下というのは、どれだけ綺麗な手順を踏んでも、最後は血と臭いの中に引きずり込まれる。
最初の角を曲がったところで、右側の鍵のかかっていたはずの牢扉が突然弾け飛んだ。
中から出てきたのはゾンビじゃなかった。
白衣を着た何かだ。
身長は二メートル近い。背中が反り返るように弓なりになっている。顔の皮膚は半分しかない。下半身は鉄の支柱で再固定されていて、走り方はリズムの狂った機械のようだ。
最初に狙ったのは少女だった。
一番近い人間じゃない。
まっすぐ彼女だけを狙った。
俺は反射的に少女をエリザヴェータの方へ押しやり、自分は横へ踏み込んでそいつに向かった。銃口をほとんど胸に当てるほど近づいてから撃った。二発。三発。止まらない。爪がまだ前へ伸びてくる。ニウ・シャオチンが俺の側後ろから飛び込み、ナイフをそいつの脇の古い縫い目に沿って上まで一気に切り裂いた。黒い内臓と縫い糸が一緒にこぼれ落ちた。それでもまだ動いている。マー・サンニャンが眼窩に一突きし、穂先が後頭部から突き出た。そいつはようやく前のめりに倒れた。
少女は声を上げなかった。
ただ全身が硬直した。
倒れたものを見つめる目は、初めて見るものを見る目じゃなかった。
その反応は泣くより見ていられない。
慣れているということだからだ。
カミラはその光景を見て、目つきがさらに沈んだ。
だが一言も聞かなかった。
ただ振り返り、廊下の奥に向けて三発続けて撃ち、口に手榴弾を咥えたゾンビを膝つかせてから怒鳴った。
「撤退!」
B3の階段前まで退いた時、マレクが自ら第一組の遠隔起爆装置を押した。
轟音。
後方の特別区域全体の扉と分岐口が一緒に崩れ落ち、火と煙が瞬時に後方を飲み込んだ。大爆発じゃない。精確な封鎖だ。前列の何体かを埋めるのにちょうど十分で、後続の速度を断ち切るのにもちょうど十分だった。
「あと二組残ってる」マレクが言った。
「B2まで取っておけ」カミラが返した。
俺たちは上へ向かい始めた。
少女は俺とエリザヴェータに両側から支えられていた。静かだった。地牢から引きずり出されたばかりの人間とは思えないほど静かだった。ただ階段の踊り場を通過した時、彼女の体がごくわずかに震えた。
倒れるのかと思った。
違った。
下から伝わってくる音を聞いたのだ。
単純なゾンビが扉を叩く音じゃない。
暗闇の中で多くのものが一斉に動き始めるような音だ。
俺は振り返らなかった。
今振り返っても意味がない。
俺たちは一気にB2の扉口まで上がった。マレクの部下二人が下行扉の裏に残り、第三組の爆薬を繋いだ。導火線は壁沿いに走り、B1まで一本で続く。
B2の匂いはまだ残っていた。
ホルマリン。血。腐肉。
だが今は誰もあの部屋を見る余裕はない。
全員が急いでいる。
下のものが再び押し上がってくる前に、人を連れ出し、証拠を持ち出し、この穴を塞ぐ。
万字旗の並ぶ前を通った時、少女が顔をさらに深く俺の上着に埋めた。
いい。
見なくていい。
もう見るべきじゃない。
イヤホンの中で、リン・ユートンの声がようやく少し鮮明になった。
「B2まで戻った?」
「ああ」
「地上外周はまだ安定してる。ただ動きがある。人の波じゃない。散発的な接近」彼女が少し間を置いた。「ヴィクトリアはもうシュトゥルムシュライターの中で待機してる。カミラ、急いで」
カミラがイヤホンを押さえて返した。
「わかった」
それから俺を見た。
「B1を抜けたらもう一度ラインを締める。台帳と人、どちらも落とすな」
「落とさない」
彼女が頷いた。
「なら上へ」
俺はB3の扉を振り返った。
分厚い扉だ。
だが底から黒い液体が滲み出し始めていた。
しかも動いている。
いい。
下のものはまだ諦めていないということだ。
俺たちの爆薬の配置が正しかったということでもある。
B1へ向かった。
足が速い。
余計なことを言う者はいない。
B1にはまだ昇降プラットフォーム、エレベーター、死体、未起爆の後半の導火線、そして終わっていない撤退戦が待っている。
俺は少女の細すぎる手首を掴み、意識があることを確認した。
彼女が目を上げて俺を一瞥した。
目つきはまだ警戒している。
まだひどく疲れている。
だが少なくとも生きている。
それで十分だ。
「上まで持ちこたえろ」俺は言った。
彼女の唇の端がわずかに動いた。答えようとしたようだった。最後にごく小さく、んっ、と声が出た。
俺たちは上へ進み続けた。
後ろで、B3から階段室へ最初の新しい扉を叩く音が届いた。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




