125.悪意 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
扉は閉まっている。中に人はいない。だがテーブルの上にはとっくに冷めたコーヒーが半杯と、最近の当直表が残っている。壁には古いドイツ語のスローガンに加え、後から付け足された当直磁気ボードといくつかのコードネームがある。俺は二、三目を通し、一番下の引き出しを引き開けた。
中に台帳があった。
一冊じゃない。
一束だ。
薄いもの、厚いもの、古いもの、新しいもの、全部ある。
鍵付きの鉄箱もいくつかある。
俺はその一つをこじ開けた。中は弾薬でも薬品でもなかった。書類と領収書の束だ。防湿紙で丁寧に包まれている。開けると、一番上はタイプ打ちの書状だ。ドイツ語の本文。下にラテン語の注釈が挟まれている。さらに下には振込証明、輸送保険証書、寄付名目、修繕費の分割明細書が続く。
名称は全部綺麗だ。
慈善、修復、保存、ケア——そういう言葉で綺麗に包まれている。
だが数字は綺麗じゃない。
流れ先も綺麗じゃない。
最後の数ページには、封蝋と機関印まで押されている。交差した鍵。教会公文書の書式。故意に省略されたと思しき肩書きの略称コード。
二秒見ただけで、偶然じゃないとわかった。
カミラが歩み寄り、一番上の二枚を俺の手から抜き取った。
冒頭の三行を見ただけで、顔色が黒ずむほど沈んだ。
マレクも横から一瞥して、低い声で悪態をついた。
「くそっ」
十分だ。
全部読む必要はない。
その一瞥だけで、もっと深い汚れた脈絡が引きずり出された。
八十年。
ずっと誰かが養い続けていた。
しかも養っていた者の中に、本当に法衣を纏った者がいた。
リン・ユートンがイヤホンの中で聞いた。「何か見つかった?」
俺は書類の束を見ながら、声を低く抑えた。
「金だ」
「どんな金」
「この場所を今日まで生かし続けた金だ」
イヤホンの向こうで半秒の沈黙があった。
それからリン・ユートンが言った。「持ち出して。原本優先。燃やすな」
「わかった」
カミラはそれらを全部回収袋に突っ込んだ。動きは速く、そして容赦がなかった。
その場で評価はしない。
こういう時に評価しても意味がない。
まず手に入れる。持ち出す。誰が死ぬべきかはその後で話す。
守衛室の隣にさらに小さな部屋があった。
資料室のようだ。
中にはさらに多くの資料が積まれている。囚人番号。移送記録。身体状態。実験グループ分け。後から追加されたと思しき延命記録まである。多すぎる。全部は持ち出せない。重要なものだけを先に選ぶしかない。
俺は二人に台帳、移送名簿、印章のついたものを全て回収させた。
それ以外はまず手をつけない。
こういう場所で欲をかけば、紙の山の中で死ぬことになる。
さらに奥へ進むと、廊下が分岐し始めた。
左側のプレートにはドイツ語の牢区番号が書かれている。右側はもっと簡素で、後から貼り付けられた黒い文字だけがある。
Sonderbereich
特別区。
こんな言葉がこういう場所に出てきて、いいことがあった試しはない。
そちらへ近づいた瞬間、左の分岐路でまた動きがあった。
今度は引きずる音じゃない。
低い唸り声だ。
数が多い。
金属がぶつかる音と鎖が引きちぎられる音も混じっている。
次の瞬間、左側の鉄柵が一斉に叩かれ始めた。
一体二体じゃない。
群れだ。
ナチスゾンビ、囚人服のゾンビ、そして明らかに改造されたものが、二区画分の牢房から一斉に押し出されてくる。口に手榴弾を咥えているものがいる。胸に鉄箱のようなものを縫い込まれているものがいる。顎を針金で完全に固定され、頭突きでしか起爆できないものまでいる。
ここは地牢じゃない。
兵器工場だ。
死体を兵器に仕立て上げ、外に放つ場所だ。
「左側完全封鎖!」俺は怒鳴った。
マレクの部下が分岐口の後ろに交差射撃線を即座に展開した。カミラの組が右へ引いて、第二ラインからの反撃に備える。俺と第一隊が中央を支える。
こういうものを相手にする時、速さは精度より大事だ。ただし乱れた速さは自分たちを爆死させる。
俺は即座に戦法を変えた。
「まず脚を砕け!後列は手榴弾持ちを優先しろ!ニウ・シャオチン、近接処理!マー・サンニャン、ライン死守!」
廊下全体が瞬時に屠殺ラインと化した。
弾丸が前列の脚を一体ずつ砕き、床に転がらせる。後列がそれを引き継ぎ、口、胸、顎に異物を持つものを先に選んで処理する。ニウ・シャオチンは短刀のように死体の波の前縁を横に走り抜ける。近づきすぎたものには先に顔を削ぎ、それから首を断つ。マー・サンニャンは最も狭い喉元の位置を守り、長槍を横に一払い、突き込み、飛びかかろうとするものを全て押し戻す。
エリザヴェータは今回、それまでより遥かに鋭かった。
何かを完全に閉じたようだった。
目の前にいるのは人間じゃない。死体じゃない。歴史でもない。ただの標的だ。銃口を低く抑え、毎回必ず膝、股関節、手榴弾の位置を狙う。無駄がない。浪費がない。弾倉交換でさえ、訓練場のように乾いている。
囚人服のゾンビが半分引きずり出した腸を引きながら、弾道の下を這って俺の足首に噛みつこうとした。俺が銃口を下げようとした瞬間、エリザヴェータが一足でそいつの頭を床に踏み込み、後頸に一発補射した。動きは本能のように速かった。
彼女は目を上げて俺を見た。
何も言わなかった。
今の彼女は自分を硬くすることで耐えているとわかる。だがまだ耐えられている。それで十分だ。
本当に厄介なのは、後ろにいるいくつかの失敗作だった。
ゾンビより速い。ゾンビより回避もする。
一体は四肢が異様に長く、壁と配管を使って直接天井まで這い上がり、頭上から俺たちに飛びかかろうとした。ニウ・シャオチンが風切り音で先に気づかなければ、一列全員が叩き乱されていた。彼女は前へ滑り込み、ナイフを逆手に上へ払い、そいつの喉から胸まで一気に切り開いた。黒い粘液がアスファルトのように降り注いだ。そいつはまだ死なず、半開きの口の中にもやはり何かが詰まっていた。
「下がれ!」ニウ・シャオチンは死体を前に蹴り飛ばした。
轟音。
また自爆だ。
今度はずっと近かった。
前列の二人が直接吹き飛ばされた。マー・サンニャンが一歩前に出て、槍尾を煙の中から飛び出そうとしたゾンビの頬骨に叩き込み、顔全体を陥没させた。カミラの部下が煙が晴れる前に、分岐路の中へ短遅延のスタングレネードを二発投げ込んだ。
ドン。ドン。
殺すためじゃない。死体の波のリズムを一瞬断ち切るためだ。
十分だった。
俺たちはその半秒の隙間を掴み、ライン全体を前へ押し戻した。
五分後、左の分岐路が静かになった。
床には砕けた死体、千切れた四肢、不発の手榴弾、破裂した胸腔、黒い血で塗りつぶされた鉄柵が散乱している。空気の匂いはほとんど実体を持ち始めていた。一息吸うたびに、腐肉と火薬を一緒に肺に飲み込むようだ。
俺は面罩を少し上げて、また押し戻した。
意味がない。
この層の臭いは直接脳に染み込んでくる。
カミラが周囲を見渡し、まず人数を確認した。
死者はいない。
負傷者が五人増えた。
そのうち二人はまだ歩ける。二人は人に支えられる必要がある。一人は下腿を引き裂かれ、上段の封鎖位置に先に送り返す。こういう場所で死者数をゼロに抑えられたなら、運が十分に硬かったということだ。
彼女は俺を見た。
「まだ押せるか」
「いける」
「なら急げ」
その通りだ。
長引かせれば、下のものに俺たちへの備えをする時間を与えるだけだ。
俺たちはSonderbereichのラインに沿って内側へ進んだ。
この区画は前とは違った。
もっと清潔だ。
照明が安定している。
壁面は塗り直されてさえいる。
両側はもう普通の牢房じゃない。隔離区画か特殊拘禁室に近い。厚い扉。小さな覗き窓。番号の規則も変わっている。戦時の囚人番号じゃなく、後から再編された序列だ。
ここが本当に鳥肌の立つ場所だ。
前の屠殺も、解剖も、ゾンビも、失敗作も、まだ「過去の清掃漏れ」だと自分に言い訳できた。
ここでは、もうできない。
ここは誰かが今も使っている場所だ。
遺跡じゃない。
システムだ。
各扉の横には近年の修繕ラベルが残っている。扉の下に新しく拭いた清掃痕があるものもある。いくつかの扉の底からは細い光が漏れている。さらに奥からは、かすかで規則的な機械の低音が伝わってくる。
呼吸器のようだ。
安定化ポンプのようだ。
あるいは、稼働し続けるべきではない何かの生命維持装置のようだ。
ニウ・シャオチンが不意に足を止めた。
「前に生きてるのがおる」
俺は彼女を見た。
「人間か」
すぐには答えなかった。
眉をわずかに寄せた。
「似てる。でも匂いが穢れとる」
マー・サンニャンも止まった。
その目が廊下の最奥へと向かい、声がそれまでより低くなった。
「怨嗟が、あそこに集まっとる」
カミラが俺の横に来て、同じ方向を見た。
廊下の突き当たりに、もう一つ扉がある。
これまで見てきたどの扉よりも厚い。横にさらに二本の短い分岐がある。左側は補助室のようだ。右側は監視室か生命維持室のようだ。
さらに重要なのは、この区画にはゾンビが守っていないことだ。
失敗作も守っていない。
前にいたものは全て、外周の牙に過ぎなかった。
本当に重要なものが、中に隠れている。
俺は手を上げ、全隊を先に止めた。
呼吸を落ち着かせる。
銃口を安定させる。
イヤホンの中には、地上から遠く届く風の音、リン・ユートンの低く抑えた確認呼び出し、そして自分の血液が耳元を叩く音だけが残っている。
俺たちはもう十分に深い場所にいる。
これ以上進めば、文書だけじゃない。
地牢だけでもない。
まだ灯りのついている廊下の最奥を見つめながら、腹の中でははっきりとわかっていた。
あと数歩進めば、見るべきものが姿を現す。
俺はカミラを横目で見た。
彼女も俺を見ていた。
誰もその名前を口にしなかった。
まだその必要はない。
俺は銃を握り直し、手を上げて最後の前進手信号を出した。
「進むぞ」
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




