118.試運転 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「第二段階。」彼女は言う。
シュトゥルムシュライターが頭を上げた。
ゆっくりと。確実に。光学センサーが暗から明へ転じる。朝の光の中で冷たい両眼がゆっくり開いていくみたいだ。両腕の四連装MG-42は持ち上がらない。姿勢調整に合わせてわずかに定位置へ戻っただけ。両肩のロケットポッドは安全角度を維持している。クレーン車の上で立ち上がった機体は、昨夜よりさらに大きく見えた。高さの問題じゃない。昨夜は地下の戦闘中、敵の群れの間、爆発と炎の中で、こいつの「存在感」を計算する余裕なんて頭になかったからだ。今は違う。今こいつは空っぽの採石場の中央で、全員の目の前で一段ずつ自分を再起動している。はっきりわかる。これは装甲車じゃない。工業機械でもない。自分でどこに足を置くかを選ぶ、本物の鋼鉄兵器だ。
「降ろして。」カミラが横で言う。
短い命令だ。猟犬を放つみたいな言い方だ。
ヴィクトリアは返事をしない。
シュトゥルムシュライターが、まず左足を前に出した。
いきなり跨ぎ降りるんじゃない。最初に支持角を探る。足裏がスロープに触れた瞬間、鋼板全体が不快な呻き声を上げた。次は右足。それから機体全体の重量が、クレーン車のメインプレートからスロープへと移っていく。
俺は膝と腰の部分を凝視していた。
一番問題が出やすい場所だ。
昨日ヴィクトリアがはっきり言っていた。Betzare-Ritusは重量を不合理なほど「軽く」できるが、慣性と旋回まで消すことはできない。だから下車のこの一歩は、見た目は単純でも、こいつの癖を一番よく見せてくれる。
シュトゥルムシュライターが着地したとき、足下の砕石が横に弾け飛んだ。
一歩目。安定している。
二歩目。これも安定だ。
三歩目から、問題が出た。
暴走しかけたわけじゃない。転びかけたわけでもない。もっと厄介な小さな問題だ——腰の補正が脚の反応より半テンポ遅れている。その結果、重心を右から左に移そうとしたとき、上半身が先に着いて、骨盤と脚の角度が後から追いついてくる形になった。外から見れば、ほんのわずかな揺れだ。でも俺にはわかる。これを実戦の高速状態に持ち込んだら、何倍にも増幅される。
「見えてる。」ヴィクトリアが先に言った。
声はまだ安定している。押さえ込めているということだ。
シュトゥルムシュライターは主エリアの中央で停止し、第一ラウンドの原地姿勢確認を行った。
左腕を上げる。
止める。
右腕を上げる。
止める。
肩をわずかに回す。
また止める。
一回ずつの停止は長くない。最小限の動作量で、この機体の各部位が今、完全に目覚めているか、それとも半覚醒状態かを確かめているみたいだ。
林雨瞳の声がイヤホンに入ってくる。
「外周クリア。動きなし。北高地、視界良好。」
「了解。」カミラが返す。
双眼鏡を下ろさない。
「第一項目、直線歩行。」彼女は言う。
ヴィクトリアには届いている。
シュトゥルムシュライターが前へ歩き出した。
まずは低速だ。一歩。一歩。一歩。踏むたびに地面を読んで、データを返して、また補正する。地面は砕石と硬い土と浅い窪みが混ざり合っていて、踏む音は重いが、鈍くはない。これが肝心だ。ただ重いだけなら、鉄の棺桶と変わらない。でも違う。重いのに、「中に人間がいるように歩こうとしている」のだ。それがこいつを、純粋な重装よりずっと厄介な存在にしている。
八歩目に入ると、速度が上がり始めた。
全力疾走じゃない。戦術歩行速度だ。
シュトゥルムシュライターの背部給弾モジュールが、歩行リズムに合わせて規則的に微振動する。肩のロケットポッドはロック状態を保っている。両腕の火器は低角度の待機姿勢のまま。機体が主エリアを押し渡っていくとき、感じるのは「機械が動いている」じゃなく、「撃てる壁が前進している」だ。
「歩行データ、正常範囲。」ヴィクトリアは言う。
言い終わって二秒も経たないうちに、シュトゥルムシュライターの前方左足が、小さな砕石の緩み帯を踏んだ。
罠じゃない。採石場に当然あるような、ただの緩い地面だ。
問題は、左足が沈んだ瞬間、腰の補正が逆方向に先行してしまったことだ。結果、機体の上半身が瞬間的に横にぶれた。
俺が内心でヒヤリとした瞬間、ヴィクトリアはもう強引に押し戻していた。
きれいな修正じゃない。
右脚を外側に半歩余計に踏み出して、広い足幅で強引にバランスを奪い返した。
砕石が弾け飛ぶ。
シュトゥルムシュライターが止まる。
「問題記録。」彼女は言う。「斜め方向の緩地進入時、腰部補正が過剰先行。下方修正が必要。」
俺は息を吐いた。
こういうのが一番タチが悪い。大破じゃない。「もう少し速ければ事故る」タイプの問題だ。その場で爆発はしない。こっちが一番調子に乗って、あと二歩踏み込もうとした瞬間に、機体ごと地面に沈める。
カミラは何も言わない。記録板にペンで一本線を引いただけだ。
第二項目は旋回だ。
シュトゥルムシュライターがまず原地での小角度旋回を試みる。左十度。右十度。また左十五度。これらはだいたい問題ない。大角度八十度の横旋回に入ったとき、また問題が出た。
詰まったわけじゃない。「滑った」のだ。
足裏のグリップパターンが、この砕石斜面ではグリップ力が足りない。加えてBetzare-Ritusが有効重量を落としているせいで、旋回の瞬間に重装らしくなく、むしろ大きすぎて力がありすぎて軽すぎる何かが、地面の上を擦り抜けていく感じになった。
「グリップ補強が要る。」ヴィクトリアが言う。
「機体側の問題か、足裏の問題か。」俺は訊く。
即答が返ってくる。
「両方。足裏のパターンを変える。駆動出力カーブも変える。」
「つまり今は泥地には持っていけない。」
「今泥地に持っていったら、運がよければ転ぶ。運が悪ければ、もっと大勢に見せながら転ぶ。」
隣にいた工兵二人の顔色がわずかに変わった。
それでいい。こういう言葉は、こいつを最初から完成品の神兵として扱いたがる連中全員に聞かせるべきだ。
第三項目は急停止だ。
今度は俺も集中した。
シュトゥルムシュライターがエリアの端まで下がり、十分な直線距離を取る。それから、さっきより一段上の速度で前方に向かって踏み込んだ。全速じゃないが、この機体が本当に「突撃」のリズムに入ったときの姿を見せるには十分だ。
認めざるを得ない。かなり凶悪だ。
歩行と出力リズムが噛み合った瞬間、全体の気勢が変わる。さっきまでは歩く壁だったのが、今は地面を滑ってくる攻城槌だ。砕石、土埃、圧縮された空気が、左右に巻き上げられる。あの速度が全高三メートルの重装機体に乗っていると、本能的に「ありえない」と感じる。
そして、ヴィクトリアが停止指令を出した。
一拍目、膝と足裏が反力を受け始める。
二拍目、腰の補正が介入する。
三拍目——問題が来た。
止まった。
でも、きれいには止まらなかった。
上半身が半身分だけ前に出てから、強引に引き戻された。
近くで見ていたら、シュトゥルムシュライターが腰から折れかけたように見えたはずだ。
「これよ。」ヴィクトリアの声がスピーカーから出てきた。冷たい声だった。「慣性補正、全然追いついてない。」
口では言いながら、手は乱れない。
シュトゥルムシュライターが安定を取り戻した後、さらに半歩後退する修正を加えて、重心を中心線に引き戻した。
カミラがようやく口を開いた。
「その止まり方で、戦場に出られる?」
「出られる。」ヴィクトリアは言う。「毎回止まるたびに、パイロットの背骨に一発もらってもいいなら。」
「つまり、出られない。」
「つまり、直す。」
これがテストの意味だ。
こいつがどれだけ強いかを証明するためじゃない。どこがまだ俺たちの手の中の「もの」になりきれていないかを探し出すためだ。
続いて武装の単項テストに入った。
最初は両腕のMG-42だ。
シュトゥルムシュライターが所定の射撃ラインの後方に立つ。前方には、工兵が臨時で並べた古い鋼板、コンクリートブロック、廃棄設備の残骸が並んでいる。距離はまちまちで、五十メートルから百五十メートルまでの間に散らばっている。
「左腕二連装、短射二組。」カミラが言う。
シュトゥルムシュライターが左腕を上げた。
二組のMG-42の遊底が同時に噛み合う。
次の瞬間、採石場全体にあの聞き慣れた——そして歯が浮くような高周波の切断音が響き渡った。
銃声じゃない。
鋸だ。
四列の高速鋼歯が同時に空気と鋼板と、前に立つあらゆるものに食い込んでいく音だ。鋼板は一撃目で貫通した。コンクリートの縁が大きく削り取られる。廃棄設備の残骸は紙切れみたいなものだ。後方に砕石と土煙が一面に舞い上がる。
シュトゥルムシュライターの射撃は安定していた。
だが俺はすぐに気づいた——弾の消費が、笑えないレベルで早い。
短射二組だけでも、中央給弾モジュールが高速でチェーンを引き抜くリズムを聞けば十分わかる。こいつが持続制圧状態に入ったとき、弾薬は「底をつくかどうか」じゃなく「何分で底をつくか」の問題になる。
「火力に問題はない。」カミラが言う。
「見ればわかるでしょ。」ヴィクトリアが返す。「問題は、ずっとトリガーを引きっぱなしにしたくなるってこと。」
これは冗談じゃない。
凶悪な武器ほど、人間に節制を忘れさせる。特に四連装MG-42なんて代物は、撃ち始めると「火力を維持していれば問題を解決している」と錯覚しやすい。だが現実は大抵、最初に解決されるのは自分の補給だ。
二ラウンド目は右腕に切り替えた。
威力は同じく凶悪だ。
ただ、右腕が二回目の短点射に入ったとき、機械腕全体の反動が左側より明らかに大きかった。制御不能になるほどじゃない。ただ、右腕の作動回路と補正リンクが昨夜より激しい負荷を受けたことが見て取れる。
ヴィクトリアは即座に記録する。
「右腕の反動、規定超過。後で分解。」
カミラが一言だけ訊く。
「作戦に支障は。」
「ある。」ヴィクトリアは言う。「でも今日じゃない。」
次は肩部ロケットポッドだ。
ここは全員がより慎重になった。
昨夜、B1とエレベーターのプラットフォームで発射したときは環境が狭すぎて、精密制御なんて話にならなかった。今は違う。これが本当に武器なのか、それとも爆発癖のある粗暴な飾りなのかを確かめる必要がある。
「右肩、単発。」カミラが言う。
シュトゥルムシュライターがわずかに半身になり、角度を調整する。肩のロケットポッドの発射口の一つに準備灯が点る。続いて、一発のロケットが短い尾炎を引いて飛び出し、百八十メートル先の廃棄岩塊とコンクリート障壁に真っ直ぐ突き刺さった。
爆発はきれいだった。
昨夜の工場みたいに、一発で廊下半分を吹き飛ばすような乱雑さはない。
つまり一つのことがはっきりした。ロケット自体に問題があったわけじゃない。昨夜は単に、狭すぎて近すぎる環境で使っただけだ。
「もう一発、左肩。」ヴィクトリアが自ら指示を出す。
今度は角度をさらに絞り、右寄りに半埋まりした古いバケットを狙った。
ロケットが命中する。バケットが丸ごとひっくり返る。後ろに土煙が半身分の高さまで噴き上がった。
「悪くない。」彼女は言う。「でも分列制御は絶対作り直し。オリジナルの斉射ロジック、バカすぎる。」
俺はうなずいた。
その通りだ。
シュトゥルムシュライターに積まれたロケットの本当の価値は数じゃない。「撃ちたい場所だけを撃つ」制御ができるかどうかだ。
左腕の火炎モジュールは外部噴射なしだ。
圧力テストだけ。
それでも、予備作動に入ったときの低い燃料供給音と、先端ノズル内部に灯る暗赤色だけで、本能的に半歩後退させるには十分だった。ヴィクトリアは実噴射させなかった。俺も賛成だ。ここは空っぽだが、風向きが変われば、火炎モジュールが吐き出したものがテストエリア端のボロ布や油染み、枯れ草に引火して、別の厄介事になりかねない。
Panzerfaustも空作動のみ。
スライドアウト。ロック。回収。
問題なし。
本当の問題は、この後だった。
武装テストが終わっても、カミラはすぐには停止をかけなかった。
高台からシュトゥルムシュライターを数秒見つめ、それから口を開く。
「最後の項目。障害物越え。」
その一言で、彼女が何を見たいかわかった。
不整地でこの機体が、本当に「歩行突撃機」を名乗る資格があるかどうかを確かめたいのだ。平地、直線、定点射撃なら、多くの機械がそれらしく振る舞える。本当に事故が起きるのは、斜面を登らせ、溝を跨がせ、障害物を踏み砕きながら、それでも撃てて、止まれて、曲がれるかを見るときだ。
エリア西側に自然に切り出された斜面があり、その下には旧採掘機が残した排水溝が二本走っている。深くもなく浅くもない。テストにちょうどいい。
「断ってもいい。」俺は通信で言う。
「わかってる。」ヴィクトリアが返す。「でも今見なかったら、戦場で見ることになる。」
その通りだ。
シュトゥルムシュライターが旋回し、斜面へ向かって歩き出した。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




