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117.準備作業 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「外周は。」


「警戒を三層。」カミラは言う。「第一層はうちの封鎖チーム。第二層は観測哨と狙撃手。第三層は林雨瞳が通信網を張って、遠方の動きを監視する。テスト中にリヴァイアサン装甲擲弾兵が林の中から出てくるのは見たくない。」


「誰が同行する。」


「あなた。ヴィクトリア。マレク。工兵二人。整備士一人。護衛小隊八名。」彼女は言う。「エリザヴェータと葉綺安は同行可。ただしテスト核心エリアには入れない。シキは今回なし。今日の身体検査の結果が出た。重装ユニットの地形行動についていける状態にまだ戻っていない。」


これは俺より早く動いていた。


いい。


そのとき、ヴィクトリアが車尾から降りてきた。手に黒い油がついている。


「使える。」彼女は言う。「ただし、先に四つやることがある。」


「言って。」


彼女は赤ペンで底盤の写真の上を直接指した。


「第一、後部フラップを取り外して溶接し直す。二段折り畳みスロープに改造する。今の角度が急すぎて、シュトゥルムシュライターが乗り込むとき膝の外装と下部フレームに先に負荷がかかる。二回やったら固定ノードが削れる。」


次に車台の中央を指す。


「第二、ここにメインロックポイントを追加。脚部に二組。骨盤に一組。胸部前面にバッファ付き拘束が一組。背部の弾薬供給モジュールは独立サポートが要る。そうしないと、走行中の振動で中の中央弾薬チェーンが先に緩む。」


三番目は、クレームアームの基部の横に印をつける。


「第三、外部冷却とスタンバイ電源のインターフェースはここから引く。後部から長く引っ張ると、旋回時にケーブルが切れやすい。」


最後に、整備士を見上げた。


「第四、今のこの車についてる工事機材用の油圧降下システム、全部外す。緊急解放システムに換える。つまり、車列が攻撃を受けたとき、機体が最短時間で自力下車できるようにする。安全ピンを一本一本抜いて回るのを待ってる暇はない。」


整備士が二秒黙った。


「……今日中に終わらせるつもりですか。」


「今日は第一版だけ。夜に圧力テスト。通れば明日採石場に持っていける。」


彼はそれ以上訊かなかった。すぐに振り返って人を呼びに行った。


これがプロの良いところだ。説明が十分に明確なら、相手は今が体裁を気にする場面じゃなく、生き残れるかどうかを考える場面だとわかる。


カミラはずっと口を挟まなかった。ヴィクトリアが話し終えるのを待ってから、ようやく口を開く。


「さっき言っていた冷却とスタンバイ電源って、今後は車上で半起動状態を維持できるということ?」


ヴィクトリアがうなずく。


「フル起動じゃない。一部のシステムをウォームアップ状態に保って、現地到着後の起動時間を短縮するだけ。実際の戦闘前には、結局アタシが中に入ってメイン起動をかけ直す必要がある。」


「それで、被発見リスクは上がる?」


「上がる。」彼女は言う。「でも、毎回現地に着いてから冷え切った機体をゼロから叩き起こすくらいなら、そのリスクは飲む。毎回初動の一分間、深刻な病人を起こしたばかりみたいな状態で動かしたいなら話は別だけど。」


カミラは無表情のまま、車台を見ていた。


理解していないわけじゃない。計算しているのだ。


リスク。リターン。時間。露出。後勤。


この女とヴィクトリアの最大の共通点は、どちらも抽象的な話が嫌いなことだ。具体的なコストさえ提示してやれば、後は勝手に天秤にかける。


「まずは、あなたの案で進めなさい。」彼女は言う。「明日のテストランには、第一版の固定架だけを載せる。本格的に南へ運ぶ前に、第二段階の補強を入れたい。」


「そのつもりだった。」ヴィクトリアが言う。


「いいわ。」


カミラはそう言ってから、今度は俺の方を見た。


「今夜、彼女をあまり無茶させないこと。」


ヴィクトリアが即座に冷笑する。


「本当にそれを気にしてるなら、これ以上アタシの机に仕事の山を投げ込まないことね。」


「あなたの心配なんかしてない。」カミラは言う。「アタシが気にしてるのは、あなたの手が震えて、あの機体とこの車に、アタシの払うつもりのないコストが乗っかること。」


「慰め方、最悪ね。」


「慰めてない。」


二人はそこまで言って、それぞれ視線を外した。


いい。これでいい。実に彼女たちらしい。


そこから先、四番庫全体が一斉に動き出した。


クレームアームが降ろされて点検が始まる。溶接トーチに火が入る。油圧ストラットの梱包が解かれる。工兵たちが切断機と鋼板を担いで行ったり来たりする。あの整備士が、古いスロープと旧来の牽引用固定座の解体を指示し始める。誰かがシャーシの下にもぐり、誰かが車台の上で線を引き、誰かが重機用のロックピンとチェーンを詰めた箱を運んでくる。


俺とマレクは少し離れた場所に退いて、邪魔にならないようにしていた。


彼がタバコに火をつける。一本差し出され、俺も受け取る。


二口ほど吸ってから、彼が口を開いた。


「昨夜おまえたちが持ち帰った代物のせいで、眠れてないやつが相当いる。」


「だろうな。」


「大きいから、って理由だけじゃない。」


「よく撃てるから、って理由だけでもない。」


マレクが俺を一瞥した。


「思ってたより、わかってるじゃないか。」


「最初からわかってる。ただ、先に言うとは限らないだけだ。」


彼はうなずいた。


「この基地には、よそ者が嫌いな連中がいる。」彼は言う。「特に、自分の命を理解できないものに預けるのを嫌う。牛の頭。馬の顔。吸血鬼。あの歩く鉄の棺桶。普通の兵士にとっちゃ、情報量が多すぎる。」


「それで。」


「だから、連中は見る。推測する。不安になる。」マレクは言う。「ただ、カミラが上にいる限り、命令には従う。問題は服従じゃない。信頼だ。」


俺は四番庫の中を走り回る人間たちを眺めた。


火花が飛ぶ。鋼板が鳴る。老朽クレーン車は、死にたくない連中に無理やり新しい仕事を覚えさせられている老いぼれの骨格みたいだ。


「信頼は、口先から生えるもんじゃない。」俺は言う。


「承知してる。」マレクは灰を床に落とした。「だからこそ、明日のテストランが重要なんだ。あれは、おまえたちが好き勝手暴れて気持ちよくなるためのもんじゃない。基地の連中に『これは武器であって、災厄そのものじゃない』と見せるためのものだ。」


「指揮官殿も、そう考えてる口か。」


「昨夜のうちからそう考えてた。」彼は言う。「ただ、あいつは話を『士気高揚』みたいな形にするのが嫌いなだけだ。」


それは驚かない。


カミラは最初からわかっている。戦利品と戦力の間に横たわる距離の名前は、「可制御性」だ。シュトゥルムシュライターが制御可能だと証明されない限り、多くの人間にとっては、新しいリスクの一種でしかない。テストランは、その差を一歩詰める行為だ。


正午になる頃には、四番庫での第一段階の改造は、ひとまず形になっていた。


車尾の古いスロープは切り落とされ、二段構造の骨組みに換えられている。車台中央には新しい固定座が溶接され、胸部前面の拘束フレームは未完成だが、輪郭は見えてきた。背面サポートの寸法は、ヴィクトリアが三回も修正した。そのたびにメジャーと底盤図を掴み、三番格納庫へ走ってシュトゥルムシュライターの外形を取り直す。行ったり来たり。測り直し。悪態。


俺も、二往復ほど一緒に走った。


三往復目に入る前、ヴィクトリアが白い油性マーカーを一本、俺に突き出した。


「記録して。」


「何を。」


「外付け武装の取り外し順。それから、このへんの緊急手動操作ポイント。」


彼女は俺をシュトゥルムシュライターの足元へ連れていき、左脚の外装装甲をコンコンと叩いた。


「よく聞きなさい。」彼女は言う。「この先、あなたにこいつを触らせるときは、まず三つ頭に叩き込んでおくこと。ひとつ、見た目で『触りやすそう』だからといって、勝手にレバーを引いたりしない。ふたつ目、赤いからといって、全部触っていいとは限らない。みっつ目、黄黒ストライプの入ったパネルは、アタシがそばにいないときに開けるな。」


「爆発するからか。」


「爆発するかもしれないし、単にその手を二度と使い物にならなくするだけかもしれない。」


そう言うと、彼女は腰を落として、外してある点検パネルの脇に矢印マークを描いた。


「ここ、外部からの手動燃料遮断。緊急時は、最初にこのレバーを引いてから、二番目の系統に触る。」


「二番目はどこだ。」


彼女は立ち上がり、右腰のあたりへ移動した。


「ここ。」彼女はカバーを細く開けて、中の安全ピン付きメカニカルカットオフを見せる。「通常時は触らない。本当にまずいときだけ使う。順番を間違えると、システム側が『途中で動力リンクをぶった切られた』と判断する。その結果は、気に入らないはず。」


「おまえが中で反応を失ったら?」


一秒だけ黙ってから、彼女はメインハッチ外側の溝を指さした。


「まず、この溝に沿って一段目の拘束を解く。そのあと、背面から補助電源を手動で切る。それから最後にコクピットをこじ開ける。逆はなし。順番を間違えるな。こいつは戦車じゃない。トラックでもない。操縦席は、あなたが今はまだ触るべきじゃないものに囲まれて固定されてる。」


俺はうなずき、位置関係を頭に叩き込んだ。


これは、機甲の操縦を学んでいるわけじゃない。


ヴィクトリアが中で死んだか、意識を失ったか、いずれにしても反応しなくなったときに、俺が彼女とこの機体を、そこから少しでもマシな状況に引き戻すための手段を学んでいる。


極めて実用的で、極めて現実的だ。


「それから、もう一つ。」


「まだあるのか。」


彼女は俺を見た。


「明日、テストランで何かあっても、ヒーロー症候群は起こさないこと。」


「まず定義から頼む。」


「定義はこう。」彼女は言う。「アタシが中でコントロールを失ったからといって、装甲板を叩きに突っ込んだり、大声を上げて呼びかけたり、素手でこじ開けようとしたりしないこと。そういうのは、死ぬ回数を一回増やすだけ。」


「じゃあ、何をすればいい。」


「手順通りにやる。」彼女は言う。「手順っていうのは、人間が一番バカになりやすいときに、もう一段バカにならないようにするためにある。」


うなずく。


今度は、本当に骨身にしみた。


午後も後ろの方になると、林雨瞳(リン・ユートン)も格納庫に顔を出した。


見物に来たわけじゃない。手には、採石場周辺の監視ルートと通信ノード配置の図面がある。入ってくるなり、作業台の空いている一角に地図を広げた。


「外周は三層にした。」彼女は言う。「内側はあんたたちとテスト組だけ。中間圏に観測哨を四組。最外周は機動警戒車両二台。採石場の西側斜面に、廃坑への旧サービス道が一本ある。昔、違法投棄にでも使われてたのかもしれない。まだ通れるが、重車両には向かない。封鎖が必要。」


カミラもやってきた。


図面に目を通し、細かいことは聞かずに、すぐ指示を出す。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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