113.シュトゥルムシュライター 4
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
俺はその、今しがた目を覚ました機体を見上げながら、一秒だけ頭が空白になった。
震撼したからじゃない。
今夜見てきた化け物が多すぎて、ここに至っては「ヴィクトリアがドイツ風の実験用機甲に乗り込んで起動させた」という事態すら、処理可能な範囲として脳が分類し始めているからだ。
「くそ。」一言吐いて、踵を返し、彼女が言った方向へ走った。
プラットフォームの下には、確かに施錠された資料棚が一列並んでいた。鍵を探す時間はない。倒れているリヴァイアサン装甲擲弾兵の死体を蹴り飛ばし、そいつから副武器を引き抜き、棚の錠前に三発叩き込んだ。鉄板が裂け、扉を引きむしると、中には図面の筒、ハードカバーのバインダー、油封のマニュアル、人を殴り殺せそうなほど分厚い整備記録が詰まっていた。
ヴィクトリアは適当に怒鳴ったわけじゃない。
これを工場と一緒に爆破させたら、動く兵器だけ手に入れて、それをどう動かし続けるかを知らないまま終わることになる。
持てるものを全部バックパックと横にあった工具箱に押し込み、入りきらないものは後ろの二人のポーランド兵に放り投げた。
「持てるだけ持て!」俺は怒鳴った。
「フィルムカートリッジと較正プレートもあります!」一人が返してくる。
「全部持て!」
言い終わる前に、コア動力室の外側、閉まっていた圧力扉のいくつかから同時に衝撃音が来た。
一か所じゃない。
複数の方向から、一斉に。
施設に残っている敵が、本当にここへ向かって収束してきている。
「接敵!」マレクが怒鳴った。
振り返ると、最初の扉がすでに外側からの衝撃で変形していて、隙間から銃身が差し込まれ、続いて掃射が来た。弾が鋼板と機器の外殻を叩いて火花の筋を作る。別の通路の観察窓の向こうにも赤いランプが灯り、量産ゴーレムが二体、自分の関節を捻じ切りそうな体勢で隙間に身体を押し込もうとしていた。
だが、最初に動いたのは俺たちじゃない。
シュトゥルムシュライターだ。
ヴィクトリアは俺の命令を待たなかった。右手で操縦レバーを押し込み、左手で武器を同期モードに切り替える。次の瞬間、機体の左足が一歩踏み出し、床全体が揺れた。四挺の同期化MG-42が、ほぼ同時に咆哮した。
重機関銃の発射音なら、俺はこれまでにも何度も聞いてきた。
だが四挺の同期化MG-42が密閉されたコア動力室で一斉に鳴り響く音は、銃声じゃない。鋸だ。高速の鋼製鋸刃を四枚同時に人間と金属に叩き込む、あの音だ。ベルトリンクが背部の中央給弾システムから高速で引き出され、曳光の線が変形した圧力扉と、その向こうから突入してきた敵兵を直接切り刻んだ。最初の突入波の傭兵たちは、陣形を展開する間もなく、一列まとめて打ち砕かれた。倒れたんじゃない。砕かれたんだ。
扉の向こうから鉄の棺が一体、頭を覗かせた。
正面装甲は人間よりずっと硬い。だが四連装の火力が同一線上に集中すれば、外層の観測鏡と関節部が爆発的に弾け飛ぶ。そいつが武器を上げかけた瞬間、ヴィクトリアは右肩のロケット巣をわずかに傾けた。
無誘導多連装ロケットが二発、短い炎の尾を引いて飛び出した。
爆発がその鉄の棺と、その背後の通路の半分をまとめて吹き飛ばし、破片と血と機械部品が壁面に叩きつけられた。
「資料を回収して外線へ撤退!」俺は怒鳴った。
急かす必要はなかった。
カミラの側の人間も、今この場の開路装甲が誰かを理解していた。彼女は弾を入れ替えながら機体を一瞥し、余分な感情を一切乗せずに一言だけ言った。
「東方人とドイツの狂人が組んで作ったもの、本当にとんでもないわね。」
「でたらめ言うな!」最後の図面の筒二本をバックパックに押し込みながら返した。
「今はそういうことになってる。」彼女は冷たく言った。
シュトゥルムシュライターは半歩後退してから向きを変え、肩部装甲でひっくり返った実験台を押しのけ、撤退通路を開けた。重い機械が鈍く位置を変えるんじゃなく、重心があって、リズムがある動き方だ。ベツァレル・リトゥスとやらは単に機体を軽くするだけじゃなく、理不尽な重量のまま、歩兵に近い素早い方向転換を可能にしているらしい。
俺たちは撤退を開始した。
ただし、無様な敗走じゃない。移動式の要塞の後ろについて、撃ちながら戻る。
コア外周の最初の撤退通路に、敵がもう溢れ出していた。傭兵、リヴァイアサン装甲擲弾兵、量産型ゴーレム、さらに他の区画から駆けつけてきた鉄の棺が二体。全員が、俺たちがコアから撤退する前に扉を再封鎖しようとしている。
ヴィクトリアはシュトゥルムシュライターを最前列に立たせた。
まず四挺の同期化MG-42で正面の歩兵線を薙ぎ払い、次に左腕下部の火炎放射モジュールで右側の掩蔽物の裏でまだ踏ん張っていた傭兵たちを丸ごと焼き抜いた。映画の中みたいな綺麗な炎じゃない。アスファルトとガソリンの混合燃料が噴き出して、粘りつき、転がり、燃え広がり、掩蔽物も衣服も皮膚も弾薬も一緒に火に変えていく。何人かが火をまとって逃げようとしたが、数歩も行かずに倒れ、その後ろからまだ突っ込もうとしていた連中も崩した。
エリザヴェータが機体の側面から高速で飛び出した。汚れた血の影みたいに、死角に忍び込もうとする敵を専門に処理していく。三娘と牛小琴は漏れてきた硬い目標を一つずつ潰す役だ。カミラとマレクの人間は射撃規律がいい。無駄撃ちせず、全員が機体の両翼に貼りついて前後の射界を補い、側扉から顔を出した奴は即座に一列分の弾を食らう。
俺たちはB2のメイン通路まで打ちながら戻っていった。
あの通路は元から狭い。今はさらに絞肉機に近い。敵が両端から中央へ向けて圧してくる中、俺たちは元来た道を力ずくで押し返すしかない。こういう環境ではシュトゥルムシュライターがむしろ一層危険な存在になる。三メートルの高さは巨大とは言えないが、実験用通路に置いたら通路全体を塞ぐには十分だ。ヴィクトリアはすぐにその機体の「癖」を掴んだようだった――どこで踏み込めるか、どこは肩で押すべきか、どこで撃つか、どこはいっそ踏み潰すか。
左側の作業室から飛び出してきた量産ゴーレムの一体は、完全に立ち上がる間もなく、一踏みで床に埋められた。
蹴り飛ばしたんじゃない。
踏んだんだ。
金属の胸腔がコアごと爆ぜた。稼働中の工作機械を踏み潰したような音がした。
「前方二十メートル、右高所!」林雨瞳の声がイヤホンに短く繋がった。信号が途切れ途切れだ。「擲弾兵がいる!」
「見えてる。」
返事をするより先に、シュトゥルムシュライターの右腕下部に懸架されたパンツァーファウスト発射器が火を噴いた。
この距離で対装甲弾を使う理屈なんてない。身を乗り出したばかりのリヴァイアサン装甲擲弾兵は、後ろの壁ごと消えた。爆風がその後ろにいた二人もまとめて吹き飛ばし、通路内の粉塵と血霧と破片が、鉄のシャベルで掬って撒き散らしたみたいに舞い上がった。
「適応が速すぎる。」俺は低く言った。
「今日初めて、あの子が化け物だと気づいたの?」エリザヴェータが俺の横をすり抜けながら、世間話でもするような口調で言った。
俺は返さなかった。
彼女の言う通りだからだ。
---
B2からB1への昇降プラットフォームのところは、敵がさらに多かった。
俺たちが必ずここを通ると向こうもわかっているのだろう。プラットフォーム区域の外周には三層の火力が積まれていた。上段の手すりの後ろに傭兵、プラットフォーム正面に鉄の棺が二体で交差射角を押さえ、下の整備溝にはゴーレムが潜んでいる。シュトゥルムシュライターがなければ、上がれたとしても人命で埋めるしかなかった。
ヴィクトリアは止まらなかった。
機体をプラットフォームの前縁まで歩かせ、両腕の四挺機関銃を全開にして、正面の手すりの後ろの守備兵を頭も上げられない状態に叩き込む。続いて肩部ロケット巣を二連斉射し、左の鉄の棺を吹き飛ばしてから、機体の重量そのものを使って一気にプラットフォームへ乗り上げた。
その瞬間、なぜこれが「嵐の践踏者」と呼ばれるのか、ようやくわかった。
突撃してるんじゃない。
地面全体を、踏み砕けるものとして扱っているんだ。
プラットフォームが機体の足の下で、悲鳴に近い重い金属音を立てた。最初の鉄の棺に接触した時、撃ち合いに入らず、肩部装甲でそのままレールから押し出し、右腕の近距離パンツァーファウストを一発叩き込む。二体目が側面から火力を入れようとすると、ヴィクトリアは機体を半回転させ、左腕の火炎で視界ごと潰した。あいつが炎の中で掃射を続けている間に、三娘と牛小琴が左右から切り込み、下半身と背側の露出した機構を力ずくで解体した。
「プラットフォームへ上がれ!」俺は怒鳴った。
全員が駆け上がった。
昇降機が上昇を始めた時、B1の方向からまだ敵が溢れ出していた。B1のあの悪臭漂う工場は、今や階層全体が目を覚ましている。生産ラインの残骸の陰、満杯の棺と空棺の間、吊り架と搬送ベルトの上、至る所に動くものがいる。傭兵、ゴーレム、欠損した実験体、全身に配線を繋がれた半完成の兵器まで、コアエリアの陥落に追い立てられて飛び出してきた。地下の養殖場が一斉に水門を開けたみたいだ。
ヴィクトリアはプラットフォームの最前列にシュトゥルムシュライターを立たせた。
四挺MG-42の弾幕がB1の正面を肉と鉄の泥に変えていく。敵が密集しているところにはロケットを補い、掩蔽物に隠れているところには火炎を使う。あれほど見ているだけで苛立たしかった空棺と満杯の棺が、今度は敵の障害物になっていた。棺棚を盾にしようとした傭兵が火炎を舐められ、中の魂の電池ごと燃え上がる。青白い光が炎の中で乱れ瞬き、目を閉じようとしない亡霊の群れみたいだ。
俺たちは機体の掩護を受けながら、1Fの昇降プラットフォームまで撤退した。
あとは地上だ。
だが地上も静かじゃない。外周の銃声はとっくに一面に繋がっていた。カミラの外線の人間が増援の守備兵と本格的にやり合っているのがわかる。プラットフォームの扉が開いた瞬間、冷気と火薬の匂いが一緒に流れ込んできた。遠くで探照灯が横に薙ぎ、工場の外壁と高架配管のあちこちで交火の光点が瞬いている。
シュトゥルムシュライターは止まらず、そのままプラットフォームを跨ぎ出た。
地上に出ると、その圧迫感がさらに際立つ。三メートル級の高さは大げさな数字じゃないが、分厚い装甲と背部の給弾モジュールと肩部ロケット巣、そして今や全身に刻まれた弾痕と炎の反射と血の汚れが加わると、この機体全体が別の戦争から歩いてきたみたいに見える。
外周でまだ抵抗していた傭兵たちは、最初の一瞬だけ固まった。
それから、撃ち抜かれた。
MG-42の咆哮は地上の開けた空間ではさらに凄まじい。曳光の線が横切り、哨戒塔、砂袋、窓枠、人間が一緒に断たれる。ヴィクトリアは機体を斜面に踏み上げ、一踏みで即席の掩蔽物を砕き、火力を上げて二階プラットフォームの銃手を一掃した。カミラの人間はその隙に全線後退し、事前に設置していた爆薬の回路を一区画ずつ繋いでいく。
俺が彼女の横を走り抜けた時、カミラは俺を一度だけ見た。
「資料は?」
背中の工具箱と書類袋を彼女の前に持ち上げた。
「全部ある。」
彼女は頷いた。
「なら行くわよ。」
全員が撤退車列の方向へ収縮を始めた。シュトゥルムシュライターは最後尾で殿を務める。退きながら撃ち続け、F.A.B.R.I.K.の外周全体を追撃不能の火の海に変えていく。最後の一人がトラックに乗り込んでから、ヴィクトリアはようやく機体を爆破安全圏の外まで後退させた。
次の瞬間、カミラが起爆器を押した。
一点じゃない。
階層ごとに、下から上へ順番にめくれ上がっていく。地下からまず重い地鳴りが来て、続いて地面が隆起し始め、建物の中段が内側から脊椎を折られたみたいに崩れ落ちる。その後、割れた窓、排気シャフト、エレベーターの縦穴、亀裂の全部から同時に炎が噴き出し、工場全体が内側から外側へ向けて炸裂した。鉄骨、コンクリート、機械の残骸、そして持ち出せなかった全てのものが、炎に飲み込まれていく。
俺はトラックの荷台の縁に腰を下ろし、振り返ってその炎を見ていた。
風が熱波と灰を運んできて、顔を平手打ちするみたいに叩く。
シュトゥルムシュライターはもう少し前方に立っていた。爆発に背を向け、屠殺場から出てきたばかりなのにまだ休むつもりのない鋼鉄の獣みたいに。胸部と肩部にはまだ余熱があり、光学鏡が夜の中で冷たく光っている。コックピットの中のヴィクトリアは、何も言わなかった。
俺には、彼女が何を見ているかわかる。
この工場がどう死んでいくかを見ているんじゃない。
自分が今夜、その腹の中から何を引きずり出したのかを、見ているんだ。
そして俺にもわかっている。この代物は、これから先、さらに多くの厄介ごとを連れてくる。
だが今夜、俺たちは生きて出てきた。
おまけに、あいつらの心臓と牙を一緒に持ち帰った。
それで十分だ。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




