113.シュトゥルムシュライター 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
二体の重装ユニットの残骸を踏み越えた先から、別の銃声が聞こえてきた。
工場の守備兵でも、カミラの人間でもない。
短く、急いでいて、不規則で、弾薬が明らかに少ない。
「まだ中に人がいる。」ヴィクトリアが言った。
声は左前方の半開きの整備通路の奥から来ていた。俺が二人を連れて切り込むと、ひっくり返った金属箱の陰に三人が縮こまっていた。この工場の人間じゃない。少なくとも、今のこの一団じゃない。ここに閉じ込められていたか、ずっと抵抗の機会を探していた残存兵に近い。男二人に女一人。装備はてんでばらばらで、一人は旧式の短機関銃を持っていて、ボルトが磨り減りかけている。もう一人は腹に銃創を受けて壁に寄りかかり、顔が紙みたいに白い。
俺たちを見た時、最初の反応は銃を上げることで、次の反応はカミラの肩の腕章と、俺たちの後ろに続く血と炎とゴーレムの残骸を見て、ゆっくりと下ろすことだった。
立っている方の男が、ドイツ語の名詞を混ぜたポーランド語で何かを言った。マレクが訳してくれた。
「前方に動力室と下層コアへの入口がある。右の通路に自動砲座、正面に最後のリヴァイアサン装甲擲弾兵の防衛線がある。コアはこの階じゃないが、『心臓』はここで養われている、とのことだ。」
「わかった。」俺は言った。「あなたたちは後退してくれ。」
男は首を振り、自分の胸を指してから、前方を指した。
行くつもりだ。
説得する時間はない。
「マガジン二本と止血帯をやれ。」マレクに言った。「ついてこられるなら来い、来られないなら後方を守って、B1の残存がこちらに回り込まないようにしてくれ。」
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さらに先が、コア外周だ。
一帯が突然、空になっていた。
安全な空白じゃない。機械も人員も障害物も意図的に取り除いて、交差射撃と機械移動に適した殺傷地帯を作り出した空白だ。床が濃い鋼板に変わり、中央に二本の大型レールが前方まで延びている。レールの突き当たりに厚い円形の圧力扉があり、扉面には溶接で補修された跡と古いドイツ語のコードが並んでいる。周囲の壁体には給電管と放熱格子が埋め込まれ、赤いランプが明滅していた。
「ここが最後の表玄関よ。」ヴィクトリアが低く言った。
彼女はもう、入ってきた時の単なる警戒じゃない。ここまで来て、職人にしか宿らない何かが目の中に出てきた。興奮じゃない。重要な構造を目の前にして、相手の骨格にようやく手が届いたとわかった時の、冷静さだ。
圧力扉の前に、最後の守備兵が残っていた。
リヴァイアサン装甲擲弾兵が四体、両側に固定機関銃が一挺ずつ、まだ完全起動していない鉄の棺が一体、レールの脇に停まっていて胸部のランプが一節ずつ灯り始めている。さらに天井下に量産ゴーレムが八体、死体袋みたいにぶら下がっていて、全部落ちてきたら陣形を崩すには十分だ。
「今回は迂回しない。」俺は言った。
「当たり前でしょ。」カミラが返す。
マガジンを叩き込んで、素早く指示を出す。「葉綺安は正面で左と中央を引きつけろ。牛小琴と希は右を切れ。エリザヴェータ、上の八体を先に断て。マレク、お前の人間は左の機関銃を抑えろ。カミラ、あの鉄の棺の胸燈が全部灯ったら撃て。ヴィクトリアは俺と中央から扉に入る。」
誰も余計なことは言わない。
第一波は手榴弾だ。
七、八発を一気に投げ込み、爆発が鋼板の床全体を火花と破片で埋め尽くす。固定機関銃が二回転させた時点で抑え込まれ、天井のゴーレムのうち三体が吊り架から直接吹き飛んで、落ちてもまだ動いていた。エリザヴェータは次の瞬間には飛び上がっていた。這い上がるんじゃない。壁と管線を伝って瞬時に天井に張り付く、赤い残像みたいな動き方だ。手、足、霧、牙が一体になる。俺には彼女がどの姿勢で戦っているのかすら判別できない。ただ、ゴーレムの首と胸腔が次々に引き裂かれ、残骸が下へ落ちていくのだけが見えた。
正面のリヴァイアサン装甲擲弾兵が榴弾を投射し始めた。
一発が俺たちの前方三メートルに着弾し、別の一発が左の壁で跳ね返って炸裂し、ポーランド兵の一人を銃ごと吹き飛ばした。葉綺安は爆風を正面から受けながら前へ踏み込み、長槍を一閃させて最前列の擲弾兵の発射器を弾き飛ばす。相手が補射しようとする前に、彼女はそのまま体ごとぶつかり、槍の石突きで胸を押さえ、膝を上げて壁に叩きつけた。
右側は希と牛小琴が担当した。
希は今、危険だが制御の範囲内という、ギリギリの状態で動いている。一撃一撃が重く、一撃も無駄にしない。擲弾兵の膝甲を砕いた後、頭は追わずにすぐ半歩退いて、牛小琴の祖霊の山刀を肩の上から通す。一閃で首と兜の半分が飛んだ。二人の連携は即席とは思えない。誰かの悪夢の中で、何度も演練してきたみたいだ。
中央の鉄の棺が、ついに胸燈を全部灯し終えた。
最後の一節が赤く染まるのを俺が確認した瞬間、カミラはもう撃っていた。
三発目のRPGは胸に向けず、足元のレール基座に直撃させた。爆発が鋼板の半片を丸ごとめくり上げ、起動途中の鉄の棺が前のめりに倒れる。まだ立ち直れないうちに、マレクの人間と俺が観測スリットに集中射撃を叩き込み、ヴィクトリアが側後方に露出したケーブル束に向けて一発だけ撃った。
その一発が、正確だった。
殺傷じゃない。狙い撃ちだ。
鉄の棺全体が一瞬だけ痙攣したみたいに明滅した。次の瞬間、希がレールの縁を蹴って跳び上がり、両手の武器を上から裂け目に叩き込む。牛小琴が横から二撃目を補い、二つの力がその機体をこじ開ける。内部から熱気、液体、歪んだ人型の骨格が噴き出した。何年も蓋をしていた井戸を開けたみたいな臭気だ。
圧力扉の前が、空になった。
敵を全滅させたんじゃない。立って俺たちを塞げるものが、全部倒れただけだ。
コア外周一帯に残るのは、荒い息、ボルトの音、炎、管線の唸りだけだ。後方のB1の爆発の余震が断続的に伝わってきて、あちらのカウントダウンがまだ走っていることを思い出させる。
「ヴィクトリア。」俺は言った。
彼女はすでに扉の前に走っていた。
慌ててるんじゃない、速いんだ。両手が旧式の制御盤と後付けのインターフェースの上を行き来し、目が刃みたいに溶接の継ぎ目と番号を一つずつ削っていく。数秒後、腰から取り出した改造ケーブルを整備用のスロットに差し込み、もう一方の手でいつの間にか手に入れていた金属工具を使って、遮蔽板を力ずくで剥がした。
「標準の閉鎖システムじゃない。」冷たい声で言った。「後から誰かが改造してる。外側の鍵は偽物で、本当の制御は内側にある。」
「開けられるか?」
「開けられる。三十秒。四十秒かもしれない。」
「三十秒でやれ。」
俺は振り返り、残った人員を再展開した。カミラは少し離れたところで弾を入れ替えていて、RPGの筒はすでに空で、隣の隊員に放ってAKに持ち替えていた。エリザヴェータが高所から降りてくる。口元の血はすでに舐め取っていて、表情は何事もなかったかのような冷淡さに戻っている。さっき人の首を食いちぎったのが彼女だとは、顔からはわからない。葉綺安が槍先の黒赤い液体を床に振り払い、牛小琴が肩を回し、希は頭を下げて呼吸を整えている。目の奥の凶光はまだある。だが、制御は保っていた。
扉の錠前機構の内部から、重いカムが動く音が幾つか響いた。
それから、円形の圧力扉がゆっくりと両側に退いた。
扉の向こうは、次の通路じゃなかった。
コア動力室だ。
最初に目に入ったのは、機械じゃない。光だ。
空間は外より天井が一層分高く、中央に垂直式の円柱艙体がある。外壁は透明と金属の複合構造が何層にも重なり、内部に強制圧縮されながらも生き物みたいにゆっくりと脈動する銀白色の物質が宙に浮いている。気体でも液体でも固体でもない。雷嵐から音と空を剥ぎ取って、容器に無理やり詰め込んだみたいなものだ。一度閃くたびに、周囲の全ての導管とコイルが一緒に光り、部屋全体が呼吸しているみたいに見える。
圧縮エーテル(Compressed Aether)だ。
説明されなくても、それだとわかる。
これはバッグに入れて持ち帰れる部品でも、外せば運べるエネルギーブロックでもない。大型の安定化装置、冷却系、変換系の中央に固定されていて、この工場の本当の心臓だ。上の量産ゴーレム、魂の電池、鉄の棺が全部、この心臓が吐き出した残滓であり、製品だ。
そして円柱艙体の右後方に、もう一つ別のものがあった。
独立したプラットフォームの上に、まだ解体途中の整備架に半ば囲まれながら、静かに立っている。量産ラインのものよりも大きく、静かだ。量産ゴーレムの醜い代物でも、鉄の棺の粗暴な重装でもない。骨格のラインがより流線型で、胸腔のコア艙は明らかに再設計されている。背部に大型のエネルギー導流脊と展開式の構造を持ち、脚部の関節は厚実で、全体の姿勢は防御兵器じゃなく、高速突進と高負荷の踏み込みのために作られた戦術機体に近い。
まだ起動していない。
それでも、ただそこに立っているだけで、周囲の全てのガラクタとは別の次元に属しているとわかる。
ヴィクトリアはそれを一目見て、足が止まった。
呼吸が、初めて乱れた。
怖いんじゃない。
見覚えがあるんだ。
「……やっぱりここに置いてたのね。」彼女は低く言った。
俺は振り向いた。
彼女は俺を見ていない。その機体と中央の圧縮エーテル(Compressed Aether)を見据えたまま、職人の目に宿る冷硬な光が、この瞬間だけ本当に灯った。
俺には、わかった。
俺たちは、探していたものを見つけた。
そして今夜、最も厄介な部分が、今ここから始まる。
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コア動力室の警報は、突然鳴り出したんじゃなかった。
壁の中に最初から潜んでいた何かが、まず低く震え始め、それから一層ずつ音を重ねていき、最終的に空間全体が鳴き響く。赤いランプが回転し始め、壁面の管弁が順番に閉じていき、遠くで重い鉄扉が幾つか同時に落ちる。単純な侵入検知じゃない。施設全体がコアエリアへの突破を判断して、残存する全戦力をここへ集めにかかっている。
ヴィクトリアは中央の圧縮エーテル(Compressed Aether)を一度見て、右後方の沈黙している機体を見て、目が定まった。
自分に選択肢が一つしかないことを、わかっている。
「使える機械を見つけた」んじゃない。
「あと一手で目を覚ます戦争兵器を見つけた」んだ。
プラットフォームに踏み上がる時、足元の金属メッシュはまだ震えていた。周囲の銃声、爆発音、怒鳴り声は全部消えたわけじゃない。ただ彼女が、一時的に視野の外に押し出しているだけだ。手のひらが機体の外装甲の継ぎ目を撫でる。職人が古い作品にまだ息があるかどうか確かめるみたいに。その装甲は量産ゴーレムの粗雑な寄せ集めでも、鉄の棺の防護だけを追い求めた野蛮な溶接でもない。角度の一つ一つ、露出した構造の一組一組、導流脊の走り方の一本一本が、全部一つのことを語っている――これを設計した人間は、速度、重心、火力、そして操縦者の反応を、全部考慮に入れていた。
棺じゃない。
歩行突撃機だ。
彼女は胸腔前方の半開きのコックピットに踏み込んだ。艙内にはまだ古い皮革、オゾン、金属油、乾いた防腐剤の匂いが残っていた。座席は狭く、むしろ窮屈なほどだ。四方に密集した機械レバー、圧力計、二重ペダル、半弧形のメイン制御盤が並んでいる。シートバックには脊椎と胸部を固定する拘束フレームが接続されていて、高機動時に操縦者が弾き飛ばされないようにするためだとわかる。
ヴィクトリアが座席に滑り込み、身体を後ろに預けた。背中が支持板に触れた瞬間、拘束フレームが自動的に降りてくる。
カチ。
カチ。
カチ。
獣が牙を閉じるような音だ。
彼女は一切の躊躇を見せず、右側に封印シールが残った機械式セーフティを一気に引き剥がし、下の手動起動レバーを露出させた。中央制御盤に刻まれた、すでに掠れたドイツ語の表記を一瞥して、低く吐き捨てる。
「古くさいにも程があるわ。」
そのままレバーを一気に押し込んだ。
機体全体が、一秒だけ沈黙した。
それから、コア艙の深部で何か重いものが回転し始める音がした。
普通のエンジン始動音じゃない。強引に押し込まれた心臓が、まず激しく痙攣してから、しぶしぶ拍動を取り戻したような音だ。円柱型エネルギー艙の圧縮エーテル(Compressed Aether)が同期して一度閃き、数本の給電導管内部を銀白色の光が走る。壁面、床面、プラットフォームの底部を伝って機体の背中へと流れ込んでいく。コックピット内の、それまで真っ暗だった計器類が一つずつ点灯し、古い指針が激しく振れてから、ゆっくりと正位置に戻っていく。
続いて、メイン制御盤の中央に冷白色の表示窓が灯った。
時代錯誤なほど古風で、妙に誇り高い起動画面。場違いな儀式感を伴って、一行ずつ上へスクロールしていく。
Copy■ シュトゥルムシュライター ■
ANTRIEB: Äther-Kern
FORMEL: Betzare-Ritus
OPTIK: C. ZEISS OBERKOCHEN
PANZERUNG: RHEINMETALL AG
ヴィクトリアはその数行を見つめた。目に驚きはない。もっと冷たいものだけがある。
なるほど。
寄せ集めじゃない。間に合わせの実験機でもない。
この機体は設計から組み立てまで、最初から本物の戦場突破のために作られていた。ただ、その年代も、命名の仕方も、工業と軍事と神秘学を無理やり一本に縛り合わせた口調も、全部、時代遅れだが死に切っていない狂気を漂わせている。
メイン制御盤の下にさらにシステム情報が展開し始め、コックピット内に低く沈んだ機械音声が響いた。鉄のように冷たいドイツ語の発音だ。
„Systemprüfung abgeschlossen." „Äther-Kern stabil." „Betzare-Ritus synchronisiert." „Waffensysteme freigegeben."
次の瞬間、シュトゥルムシュライターが初めて、本当の意味で頭を上げた。
外部の双眼観測鏡が灯る。
単純な赤でも白でもない。多層レンズ群で校正された、冷たい青い光だ。機体の両腕がわずかに開き、背部中央のベルトリンク収納バックと肩部ロケット巣が同時にロック解除される。四挺同期化MG-42の銃機構が順番に作動し、潔いほど無骨な金属音を立てた。油圧系が重量を再配分し、機体全体が静止状態から待機姿勢へと移行する。眠りから覚めたばかりなのに、自分がどこへ噛みつくべきかを即座に理解した鋼鉄の獣みたいだ。
ヴィクトリアは一度息を吐き、両手を操縦レバーに乗せ、口の端をわずかに引いた。
笑いじゃない。
自分の居場所を見つけた人間が、次に何をすべきかを、ようやく知った顔だ。
外部スピーカーのスイッチを入れる。
コア動力室全体に、彼女の声が響き渡った。
「周士達、そこで彫像になってないで。右側のプラットフォーム下に資料棚がある。設計図、整備マニュアル、操作説明書、校正記録、技術資料っぽいものは全部持っていきなさい。」
機体外部のスピーカーが声を金属の共鳴に乗せて増幅し、部屋全体に届かせる。
「一枚でも少なかったら、出た後で先にあんたを殴るから。」
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




