112.生体改造工場 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
貨物リフトが底に着く前に、俺は先にその匂いを嗅いだ。
血の匂いじゃない。血の匂いなら俺は嫌というほど知っている。熱いの、冷えたの、噴き出したばかりのの、服に乾いて固まったの、全部区別がつく。下から上がってくるのはもっと悪質だ。熱した機械油、焦げた絶縁体、消毒液、それに薄くて古いくせに、本能的に奥歯を噛み締めたくなる何かが混じっている。
病院と焼却炉と機械工場を同じ胃袋に押し込んで、何年も蓋をしていた。今、その蓋がほんの少しだけ開いた。そんな匂いだ。
リフトの最後の区間は、ひどく遅かった。
チェーンが一コマずつ送り出され、金属の摩擦音が縦穴の壁で反響を繰り返す。鈍い刃で骨を何度も擦るような音だ。金網の向こうの闇が、少しずつ灯りに切り開かれていく。下の階の輪郭が、一片ずつ浮かび上がる。まずプラットフォームの縁の黄黒警戒ライン。次に、人が歩くためとは思えないほど太い搬送レール。そしてその奥に、立ち並ぶ鉄骨フレームとガラス槽。
二度見て、眉が寄った。
普通の地下工場じゃない。
整然としすぎている。
人間が働く場所じゃなく、何かを大量生産するプロセスのために設計された場所だ。
リフトが止まった。鉄のシャッターがまだ完全に上がりきる前に、外から銃声が来た。
俺たちのじゃない。
高所の火点が先に撃ってきた。弾がシャッターに当たってガンガン響き、火花が目の前で散る。こうなったら合図なんていらない。マレクの班がその場で銃口を下げ、AKの火線が金網の隙間から直接外へ吐き出された。俺も同時にしゃがみ込み、銃床を肩に当て、左上で閃光を放ったばかりの窓口に向けて短く掃射する。
ガラスが砕け、黒い影が後ろへ倒れた。
「出ろ!」俺は怒鳴った。
シャッターが腰の高さまで上がったところで、俺たちは下から潜り抜けた。哨戒を消す手間も、立ち止まって確認する余裕もない。息をするのも走りながらだ。一階とはわけが違う。一階にはまだ人間の傭兵特有の、緩んだリズムがあった。B1は最初から、交差射撃が組まれていた。両側の高台、前方の搬送ライン終端、右側のガラス区画、全部に人間がいる。
普通の人間。銃持ち。死ぬ。
だが、その後ろにあるものの方が、人間よりずっと厄介だった。
リフトから出た最初の一歩で、俺は搬送レール脇の低い機械ピットに滑り込み、銃口を右のガラス区画に向けて三発撃った。中で灰色の作業服を着た傭兵が銃を構えかけたところで、弾を食らってガラスに叩きつけられる。ガラスが蜘蛛の巣状に割れたが、すぐには倒れない。まだ這おうとしている。四発目を撃って、ようやく動かなくなった。
左側の高台では、マレクの人間がすでに一つの火点を抑えていて、手榴弾を放り込む。轟音一つで、手すりの向こうの二人がまとめて吹き飛んだ。葉綺安は貨物リフトの出口から真正面に突き出した。長槍を一振りすると、矛先が前方のショットガンを持った傭兵の胸を貫き、後ろの工具棚ごと壁に縫い付ける。弾が当たって身体から火花が散っても、半歩も退かない。
もはや人間の動き方じゃない。
馬三娘が上がってきてからの彼女は、突撃しているんじゃなく、圧しているんだ。地面に突き刺さったまま抜かれる気のない赤い旗竿みたいに、前に立つものは全部、裂けるしかない。
希はもっと直接的だ。
牛小琴が上がってきてからの彼女の動きは、一階より重くなっている。祖霊の山刀は彼女の手の中でもはや刃物じゃない。先祖の怒りを込めた鉄の板だ。貨物リフトの左翼から飛び出した時、前方の傭兵が胸に向けて何発も連射した。弾は明らかに軌道がおかしくなって、肩の脇をかすめて逸れていく。次の瞬間、横薙ぎの一閃で、その傭兵の上半身が重型車のドアに叩かれたみたいに吹き飛び、後ろのガラス槽に叩き込まれた。
槽の中に浸かっていた液体と残骸が一緒に弾け飛び、空間の匂いが一段と悪くなった。
「前へ押せ! 扇面クリア!」マレクが後方から怒鳴る。
あの十人はやはりプロだ。馬三娘と牛小琴が上がっているのを見た時の衝撃は確かにある。だが衝撃は目の中にとどまって、手の中には来ない。左翼の二人が橋口を押さえ、右翼の三人がポジションを変えて前進し、中央がAKの短点射で窓口と鉄骨の死角を抑える。さらに誰かが迷わず二発目の手榴弾を投げ込み、右側のガラス区画を白い霧と破片に変えた。
「あれは何だ」と聞く奴は、一人もいない。
ここまで生き残ってきた部隊というのは、答えを知っているからじゃない。何を聞くべきじゃない場面か、知っているからだ。
その火力の空白に乗じて、俺はようやくB1の全体像を視野に収めた。
工場じゃない。
少なくとも、普通の人間が「工場」と呼ぶ場所じゃない。
B1全体が、生産ラインに改造された解剖劇場だった。中央には平行する搬送レールが何本も走り、その上に半組み立て、完全組み立て、あるいは外殻だけになった量産型のゴーレムが並んでいる。ほとんどは人型だが、その人型は比率だけが人間で、細部は全部冒涜だ。金属の脊柱、鋲打ちの関節、不自然に長い前腕、外皮がまだ取り付けられていない顔面フレーム。眼窩には暗赤色のガラス玉が詰め込まれているか、あるいはただの空洞だ。七、八割方完成しているものは胸部装甲が閉じられ、四肢の外殻も取り付けられていて、最後の起動工程だけが残っている。半分解体されたものは胸が開いたままで、中に交差する配線と、機械の内部にあるはずのない淡白色の繊維束が露出している。
その繊維が、神経に見えすぎた。
一瞥しただけで、胃の底が冷えた。
さらに奥には、「棺」が整然と並んでいた。
比喩じゃない。
棺だ。
縦置き、横置き、半開き、完全密封。全部、鉄骨の棚の間に番号順に陳列されている。大きさは人間の身長に近いが、普通の棺より細く、厚い。表面には金属の拘束帯と観測窓が埋め込まれている。空のものは、内壁が不自然なほど清潔で、肢体を固定するバックルと、頸部と胸骨の位置に差し込み口があるだけだ。次の素材が来るのを待っているみたいに。
満杯のものが、本当に気分が悪い。
窓の向こうが暗いものは、ぼんやりした人の顔の輪郭しか見えない。かすかな青白い光が灯っているものは、中の顔がはっきり見える。目を見開いて、口を開けて、叫んでいるみたいだ。だが音は一切出ない。ガラスの向こうで白い霧が微かに震えているだけだ。
さらに悪いものもあった。
完全な人体ではなく、円筒形の容器に封じ込まれた「魂の電池」だ。大きさはまちまちで、空のものは透明な棺みたいに見える。満杯のものは内壁に灰色がかった光が浮かんでいる。近づくと気づく。あの光は光じゃない。ガラスに押しつけられた人の顔だ。顔の向こう側から誰かに力いっぱい押されたみたいに、五官が歪んでいる。口が開きすぎていて、目が変形している。容器の中は全部、無声の絶叫だ。だが銃声が半拍止まった瞬間、俺は聞いた。耳鳴りじゃない。あいつらが鳴いている。
高く、細く、途切れ途切れの叫び声。
誰かの救助信号を細切れにして、電流に混ぜて流しているみたいだ。
「……くそ。」俺は低く吐いた。
工場じゃない。
ここは屠殺ラインだ。
肉を屠るんじゃなく、人の命の中で最も量産してはならないものを、量産している場所だ。
満杯の棺の列から視線を引き剥がした瞬間、前方の搬送架の向こうで何かが動いた。
人じゃない。
さっきまで未完成品に見えた量産型のゴーレムの一体が、胸部で一瞬光り、上半身を勢いよく起こした。眼窩の二点の暗赤色が、点火されたみたいに灯る。完全には立っていない。何かに無理やり引き起こされたみたいに、四肢にはまだ固定クランプがついたまま、それでも最も近くにいたポーランド人に向かって飛びかかった。
「左前! ゴーレムが起動した!」俺は怒鳴った。
A.K.-DUCHの男は反応が早かった。身を躱しながら、AKをあの鉄の頭部に向けてフルオートで叩き込む。顔面の半分が吹き飛んだが、止まらない。そこへエリザヴェータが横から割り込んだ。搬送レールを一踏みして、まるで重力が薄いみたいに軽く身を乗り出す。短刀は首を狙わず、開いた胸腔に直接差し込み、下へ抉った。
パキン、という音。
中の何か、核のようなものが砕けて、赤い光が即座に消えた。ゴーレムは全身を硬直させ、それから横に倒れた。
「胸腔を狙え!」エリザヴェータがイヤホンで言った。「頭は外殻に過ぎぬ!」
言い終わる前に、右側の第二列搬送架の向こうで二体が起き上がった。一体は糸で引かれた壊れた人形みたいに、四肢の動きがひどく不協調だ。もう一体は顔の半面の外皮がまだ取り付けられておらず、金属の頬骨と回転する歯車が剥き出しになっている。マレクの人間は即座に狙点を変え、火力を全部胸腔に集中させた。頭を狙うよりずっと効果がある。何連射か打ち込んで、二体とも後ろへ仰け反る。だが仰け反るだけで、すぐには止まらない。
葉綺安が補いに入った。
紅い槍を一薙ぎ。半完成品の胸から腹まで一息で切り開き、内部の繊維と部品が床に散らばる。腸みたいなものが外に飛び出してぶら下がっていた。一瞥して、すぐわかった。腸じゃない。何らかの加工を施された生体導線だ。
気持ち悪いことは気持ち悪い。
だが戦う分には、今のところ難しくない。
本当に厄介なのは、この場所にこういうものが至る所にあることだ。どれがただの半完成品で、どれがすでに起動待ちなのか、近づくまでわからない。
「架台の間で止まるな!」俺は後方に怒鳴った。「メインラインに沿って押せ! 動くものは先に胸を撃て!」
牛小琴は何も言わず、右前方に向かって切り込んでいく。今の彼女はもはや力だけで斬っているんじゃない。牛小琴の空間を捻る力が、足運びと一緒に前へ押し出されているのがわかる。固定台から這い降りてきたばかりの量産ゴーレムが、動きは速かったのに、彼女の三歩以内に入った瞬間に明らかに傾いた。誰かに重心を床へ向けて思い切り引っ張られたみたいに。祖霊の山刀がすかさず上から落ちて、肩口から骨盤まで一息で割り裂く。木箱を解体するみたいに、あっさりと。
「右側、一時的にクリアや!」声が胸骨の奥から絞り出されるみたいに低い。
マレクが即座に返す。「二人ついていけ、隙間を守れ!」
これが使える部隊というものだ。互いに好きである必要はない。理解し合う必要もない。どこに人を置けるか、どこに弾を補えるか、それだけ読めればいい。
B1の中段まで力ずくで押し込んでいく間、銃声、砕けたガラス、金属部品、床に散らばった導線が、踏むたびにギシギシと鳴った。前方の第二プラットフォームから、重いものが落ちてきた。生き物じゃない。上部の吊り架から外れた完成品の棺と電池箱だ。敵はこれを障害物として使い、俺たちの動線を塞ぎながら、満杯の棺と魂の電池を動線上で叩き割るつもりらしい。
最初に割れた魂の電池は、俺の左前方二メートルも離れていないところだった。
透明な殻が砕けた瞬間、中で歪んで押しつけられていた人の顔が、一気に解放されたみたいに見えた。丸ごと飛び出すんじゃない。灰白色の、悲鳴を帯びた霧になって、最も近くにあった傭兵の死体に向かって直進した。胸を撃ち抜かれてすでに死んでいたはずのその死体が、霧が触れた瞬間に激しく痙攣し、上半身がありえない角度で跳ね上がり、顎がおかしな位置まで開いた。
「死体も動く!」俺は怒鳴った。
エリザヴェータは俺より早かった。まるでこの展開を最初から待っていたみたいに、二歩で距離を詰め、刃を下から上に向けてその死体の顎に突き刺し、後ろへ引き抜く。頭蓋と頸椎ごと折り砕く。死体はその場で再び崩れ落ち、灰白色の霧が何かに引き絞られたみたいに一瞬収縮し、歯の根が浮くほど甲高い叫び声を上げてから、散った。
着地した時、彼女の呼吸は乱れていない。ただ振り向いて、俺を一瞥した。
「だから申したであろう。下は、もはや人だけでは済まぬと。」
返す言葉はなかった。前に新しい厄介ごとが来ていたからだ。
B1の最深部、棺の棚の列の向こうから、重い金属の引き擦り音が来た。量産ゴーレムの音じゃない。人間が走る音でもない。重すぎる。遅すぎる。だが完全に緩慢なわけでもない。何かが横たわっていて、今通電され、停眠状態から一寸ずつ自分を引き剥がしているような音だ。
頭の中で最初に浮かんだのは「あれは何だ」じゃなかった。
「来やがったか」だった。
前方の視界は三列の満杯の棺に遮られていて、鉄骨の向こうで黒い影がゆっくりと立ち上がるのだけが見える。人型じゃない。縦に立った棺に近い。幅広で、分厚く、完全密封。外側は暗黒色の鋼装に包まれ、胸部に二本の細長いスリットがあり、その奥から薄い赤い光が漏れている。両側から機械腕が展開し、その先端は手ではなく、理不尽なほど分厚い破壊器と盾状の護板だ。一歩踏み出すと、棚の列全体が揺れた。
鉄の棺。
現物を見るのは初めてだが、一目で理解できた。話の通じる代物じゃない。
「前方、重装接触!」マレクがイヤホンで怒鳴った。「通常のゴーレムじゃない!」
「見えてる!」俺は返した。
あいつは探りを入れる気が一切なかった。胸部のスリットの赤い光が強まり、右腕の護板が展開して、内側に並んだ短口径の発射孔が露わになる。次の瞬間、金属弾丸の一連射がこちらへ向かって叩きつけられた。
「伏せろ!」
扇面全体が即座に地に伏した。弾が棺の棚と鉄柱に当たる音は、普通の着弾音じゃない。硬いものに力ずくで穴を穿つ、鈍い鑿打ちの音だ。横の空棺が一つ、貫通して内壁の接合部と固定バックルが弾け飛ぶ。反対側ではポーランド人の一人が半拍遅れ、肩から肉の塊が抉り取られ、搬送溝の中へ転げ落ちた。
「くそっ!」マレクの副射手がすぐに引きずり下ろす。「止血しろ!」
俺は銃を上げて、まずあの鉄の棺の胸に短いバーストを叩き込んだ。弾はほとんど外装甲に弾かれ、表面で火花がぱらぱら散るだけだった。馬三娘はもう動いていた。迂回なんてしない。真正面から一直線に突っ込んでいく。長槍を前に倒し、この化け物を真っ二つに貫くつもりで。
「馬三娘、まだ行くな――」
言い終わる前に、鉄の棺が左腕を振り上げ、重い破砕器を彼女に向けて叩きつけてきた。
馬三娘は退かない。紅い槍を突き上げて正面から受け止める。衝撃音は二本の鋼梁が正面衝突したみたいな凄まじさで、B1全体が揺れた。足元の鋼板が一気に半寸は凹んだのに、彼女の体勢は崩れない。全身がさらに沈み込み、馬三娘の、血の色に近い殺気が、その瞬間だけは目に見えるんじゃないかと思うほど濃くなった。
「こいつ、ほんまに重たいな。」歯を食いしばりながら吐き捨てる。
牛小琴が右側から圧し寄せてくる。人間離れした冷えた目つきで、目の前の鉄棺を、邪魔な巨岩でも見るみたいに見ている。怯えはない。ただ、斬り割るかどうかだけを考えている顔だ。前へ一歩踏み出しかけたところで、俺はその肩に手を置いた。
押さえつけたわけじゃない。ただ、軽く触れただけだ。
それでも、すぐに伝わった。彼女は横目で俺を見てくる。目の奥の凶光が、冗談じゃなく人を殺せる濃さだ。
「焦るな。」俺は言った。「ここは、まだお前一人で突っ込ませる場面じゃない。」
半秒ほど睨まれ、荒い息が鼻から吐き出される。それから、無理やり足を止めた。ただ、祖霊の山刀はもう振り上げられている。次の一言で俺が「行け」と言えば、そのまま叩き込む準備ができている構えだ。
その間に、鉄の棺は馬三娘を半歩押し返し、胸の赤い光をさらに強めていた。機体全体が明らかに戦闘フルパワー状態に入る。背後の棺棚を押し倒しながら前に出てきて、いくつもの満杯の棺を落として割る。中に封じられていた顔の光塊と悲鳴が一緒に噴き出して、一帯は完全に地獄絵図だ。
だが、本当に厄介なのはこいつじゃない。
その後ろから、同じ音を引きずりながら、さらに二体近づいてきていることだ。
棺棚の裏でゆっくりと灯り始めた第二の赤いスリットを見て、頭の中には一つの確信しか残らなかった――
B1はコアじゃない。
ここはただのショールームだ。
それでも、ショールームの時点で、もう鉄の棺をこっちに投げつけてきている。
俺はイヤホンに向かって低く怒鳴った。
「カミラ、B1には量産のゴーレムだけじゃない。鉄の棺が出てきた。しかも一体じゃ済まない。」
通信の向こうが一瞬だけ静まる。
次いで、氷が割れるみたいな冷たさのカミラの声が入ってきた。
「了解。なら、第二プランで行きなさい。」彼女は言う。「止まるな。押し切って、下へ降りるエレベーターを見つける。本当に爆破すべきものは、その階じゃない。」
そのことは、最初から薄々わかっていた。
今、それが決定打になっただけだ。
俺はもう一度銃床を肩の窪みに押し付け、火を噴いている鉄棺と、その背後から近づいてくる同型機とを睨みつけ、口の中の血と煤が混ざった鉄錆の味を吐き捨てた。
「聞いたな。」俺は言う。
そして全隊に向かって怒鳴った。
「最後まで殴り抜けるぞ! この階をぶち抜いてから、その下にある心臓をぶっ潰しに行く!」
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




