109.カミラ 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
カミラは彼女を見た。今度は初めて、チェコ国境から拾ってきた厄介者としてではなく、ある計画に直接差し込める人間として、本当の意味で見ていた。
「いいだろう」彼女は言う。
地図を引き戻し、今度は隠さず、大半を広げて見せる。
俺はようやく、その上で一番目を引く文字列を読み取った。
F.A.B.R.I.K.
(Funktionaler Apparat für Biotechnische Revitalisierung und Industrielle Kriegführung)
(生体技術蘇生および工業戦術用機能型機関)
赤いペンで丸く囲まれ、横にはまた別の筆跡でドイツ語の略語がいくつか書き足されている。調べながら、悪態をつきながら、それでも全部書き留めなければならなかった誰かの痕跡だ。
カミラはフルネームを読み上げなかった。
ただ淡々と言う。
「近いうちに、ここへ手を入れる」
その一言が落ちると、マレクがわずかに首を傾けた。次のステップとして、その言葉を正式に処理したような動きだ。扉脇の衛兵たちも動かないが、聞いていることはわかる。これは即興の雑談じゃない。彼女がすでに決めていて、俺たちに一部だけ開示することにした、ということだ。
俺はその地図を見る。
彼女の口から出た「近いうちに」という言葉は、大抵の人間が言う「すぐ」より重い。
「今、俺たちにそれを話す気になったのか?」俺は訊く。
「全部話しているわけじゃない」カミラは言う。「確認したいことが二つあるだけだ」
彼女は二本の指を立てる。
「一つ目。お前たちのワイスマンへの敵意が本物かどうか」
もう一本の指が下りる。
「二つ目。ヴィクトリアをこの件に入れる価値があるかどうか」
ヴィクトリアの目が冷えた。
「まるで商品の品定めみたいな言い方ね」
「品定めしている」カミラは言う。「あんただけじゃない。全員をだ」
耳が痛い言葉だ。
だが、クリーンだ。
俺は半歩前に出て、指で机の縁を軽く叩く。
「じゃあ俺も直接訊く。俺たちに何をさせたい?」
カミラは俺を見て、すぐには答えない。その言葉の裏にある重みを量っているみたいだ。それからゆっくりと口を開く。
「もともとの計画はシンプルだった」彼女は言う。「位置を特定して、侵入して、爆薬を仕掛けて、吹き飛ばす。工匠も技術者も警備隊も炉も、全部まとめて地下に送る」
まるで献立を読み上げるような平坦な口調だ。
「だが、ヴィクトリアが本当にお前の言う通りの能力を持っているなら、話は変わる」
「どう変わる?」
「工場を爆破しに行くんじゃない」カミラは言う。「どの骨を先に外すべきか、どの心臓を先に止めるべきか、どの機体を持ち出す価値があるか、どの配線を残して後から自分たちのものにするか——それを判断しながら中に入っていく」
その一言が出た瞬間、部屋の全員が黙った。
理解できなかったからじゃない。
理解したからだ。
彼女が求めているのは一度の爆破じゃない。
切除だ。
精密で、残忍で、技術的難易度が高く、彼女が「生き残らせる価値がある」と判断した部分だけを残す、外科的な切除。
俺はヴィクトリアの方を見る。
その目が、灯りの下でほとんど熱を帯びて光っている。興奮じゃない。職人が自分の領域を冒涜するものに出会ったとき生まれる、殺意と渇望が混ざり合った光だ。彼女はもう「行くかどうか」を考えていない。中に何があるか、どこが一番汚染されているか、何を奪い返せるかを考えている。
俺はカミラに視線を戻す。
「最初から、こういう人間を探していたんだな」
「この場所に『見える目』が必要だとはわかっていた」カミラは言う。「その人間がチェコから自分で転がり込んでくるとは思っていなかったが」
「運命みたいだな」
「情報工作みたいだな」彼女は言う。
俺は短く笑った。
それも正しい。
「F.A.B.R.I.K.の中身について、どれくらい把握している?」俺は訊く。
「人を殺せるくらいには」彼女は言う。
「当たり前だ」
「お前たちを全滅させるくらいにも」
「それも当たり前だ」
カミラがようやく、ごく軽く目を細めた。
「だったらわかるだろう。今すべてを見せないのは、隠したいからじゃない。今のお前の状態では、見ても記憶を間違える」
俺が言い返そうとすると、彼女の次の一言の方が早かった。
「風呂を浴びたばかりで、鎮痛剤がまだ血に乗り切っていない。肩の立ち方が右に偏っている。右脚の重心が不安定だ。白目に血が滲んでいる。唇が割れている。二時間以内に横にならなければ、明日の会議でコーヒーを脳みその代わりに使うことになる」
部屋が二秒、静まり返った。
俺は視線を落として、自分の体を確認した。
「……いつもこうやって人に挨拶するのか?」
「自分がどれだけ限界かわかっていない人間にだけ」
俺は机の縁に体を預け、妙に馴染みのある苛立ちを感じた。急所を突かれた苛立ちじゃない。相手が正しいとわかっているから、怒ることすら無駄に思えてくる、あの苛立ちだ。
林雨瞳がそこで初めて口を開いた。入室してからずっと割り込まなかった彼女の声が出た瞬間、場の空気が刃の背で軽く叩かれたみたいに変わった。
「つまり、傭兵を探しているわけじゃない」彼女は言う。
カミラが彼女を見る。
「そうだ」
「工場に入った後、状況を読める人間が必要なんだろう」
「そうだ」
「なら、私たちもあんたに収まるつもりはない」
カミラはうなずく。
「わかっている」
二人の女が視線を交わした。火花もなく、探るような笑みもない。ただ、互いに「相手は馬鹿じゃない」とわかっている者同士の静けさだけがあった。
俺はその二人を見ながら、今日ここまでの中で、これが一番居心地のいい一秒だと思った。テーブルの上で誰も演技をしていない。
俺は地図を指で叩く。
「じゃあはっきり言う」俺は言う。「あんたは俺たちを評価している。俺たちもあんたを評価している。ワイスマンが共通の方向なら協力する。俺たちを斥候に使うだけなら、あんたが失望する前にこっちからひっくり返す」
マレクが横で短く鼻を鳴らした。ようやくまともな言葉を聞いた、とでも思ったのだろう。
カミラは怒らなかった。
ただ俺を見て、ごく軽くうなずく。
「それが聞きたかった」
彼女は地図を回収し、ファイルに戻す。
「今夜は決定しない」彼女は言う。「今夜は休め。明日の十時、ブリーフィングルームだ。私が出せる情報を並べる。お前たちが対価になるものを出せるか見る」
「出せないものは?」
「お前たちが十分長く生き延びたら、考える」
耳が痛い。
でも、彼女らしい。
彼女は資料を次のページへめくる。この会話はここで結果が出た、とでも言うように。
「マレク、連れて行って休ませろ。牛小琴は先に縫合を受けさせる。ヴィクトリアは明日、時間通りに来い」
一拍置き、最後に俺たちを見上げる。
「それまでの間、内線電話に触るな。道順を覚えようとするな。ここを完全に気が緩められる場所だと思うな」
「じゃあ何だと思えばいい?」俺は訊く。
「今のところ、お前たちを殺すつもりのない地下シェルターだと思え」彼女は言う。
いい。
潔い。
俺は扉の方へ向き直り、ドアノブに手をかけたとき、彼女がもう一度俺を呼んだ。
「周士達」
俺は振り返る。
カミラは姿勢を正さなかった。地図と書類が積まれた机の向こうに立ったまま、灯りが彼女の顔を鋭く切り取っている。
「ポーランドでは」彼女は言う。「『因縁がある』という言葉を、軽く使うな」
俺は彼女を見る。
「心配するな」
「ここまで来る間、一度も軽く使っていない」
彼女はそれ以上何も言わなかった。
マレクが扉を引き、俺たちは一人ずつ出ていく。地下通路の消毒薬とコンクリートと熱管の匂いが、また俺たちを包む。牛小琴は医療スタッフに連れられて別の方向へ向かいながら、縫合の前に温かいスープを一杯もらえないか交渉し続けていた。林雨瞳は俺の左後ろを静かについてくる。葉綺安は何も言わない。エリザヴェータは自分の地下ワインセラーを点検しに来たみたいな歩き方だ。
ヴィクトリアはずっと黙ったままだった。
俺の横を歩く彼女の顔色はまだ白いが、補給区にいたときより足取りが安定している。休んで回復したからじゃない。頭の中に、別の何かが火をつけたのだ。
その状態は俺にはわかる。
一度スイッチが入ったら、なかなか止まらない。
マレクが俺たちをあの個室の並ぶ通路まで送り届け、「ドアに鍵をかけろ、うろつくな、ノックされたら先に誰か確認しろ」といった当たり前のことを告げて立ち去った後、俺はようやく本当に肩をドア枠に預け、カミラに会ってからずっと堪えていた息を一つ吐き出した。
林雨瞳が俺を一瞥する。
「今日は口がまあまあ利けていたな」
「ありがとう、元カノ殿。そのお言葉、胸に刻んでおく」
「気持ち悪い」
それだけ言って、彼女は部屋に戻った。ドアが迷いなく閉まる。
葉綺安は「あまり早く死ぬな」とだけ言い残して去った。エリザヴェータは俺の横を通り過ぎる際に半歩だけ止まり、ごく淡く言った。
「あの女は、手を出すべき相手ではないぞ」
「わかってる」
「さっき、わざわざ手を出しかけていたな」
「いつも『かけて』いるだろう」
「今回は、本当にそうだった」
それだけ言って、彼女は行った。淡い冷たい香りと背中だけが残る。鞘に収まっているが、誰もが抜けば血を見ると知っている細刃のように。
廊下が静かになってから、俺は自分の部屋のドアを開けた。
デスクライトがまだついていて、光は暖かみのある黄色で、通路や会議室よりも少しだけ人間らしかった。ドアを閉め、扉板に背中を預けて数秒立ったまま、全身の筋肉が一斉に下へ向かって落ちていくのを感じた。眠いんじゃない。「まだ終わっていないのに、体がもう座れと言っている」種類の疲労だ。
机のそばまで歩き、ペンを手に取ってからまた置き、結局ベッドの端に腰を下ろして、両手を膝についたまま、ぼんやりと下を向いた。
F.A.B.R.I.K.
ワイスマン。
共産党とナチス。
カミラが話すときの、死者の名簿でも読み上げているみたいな口調。
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