107.情熱的なポーランド人 4
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
店内の暖房は効きすぎていて、むせ返るほど暑い。
揚げ油の臭い、コーヒーの臭い、プラスチックの椅子と消毒液の臭いが混ざり合い、俺たちの体に染みついた血と煙と軽油の臭いと一緒になって、奇妙な混合物を作り出している。店内は眩しいほど明るく、カウンター上のメニューボードがまだ光っていて、世界がここまで壊れていないみたいだ。
でも俺にははっきりわかる。
窓際、キッズエリア、トイレへ続く通路の入口——少なくともそれぞれ一人ずつ、人が配置されている。
銃口は全部上がっているわけじゃない。でも全員、一秒で態度を変えられる位置にいる。
俺たちは、真ん中の列の席に「案内」された。
そう、「案内」だ。
実に丁寧だった。
そして、断れる雰囲気は一切なかった。
外で最初に話しかけてきた男は、ライフルを胸の前に斜め掛けに戻し、自分は座らず、テーブルの向こう側に立ったまま俺たちを見ている。テーブルの上には、まだ湯気の立っているブラックコーヒーが数杯と、紙袋がいくつか置いてある。紙袋の上の黄色いMマークが、今は人を小馬鹿にしているみたいに見える。
男がドイツ語で一言言う。
エリザヴェータが淡々と訳す。
「まず食え、と言っておる。腹を空かせた人間は、嘘をつきやすいそうじゃ」
俺はそのコーヒーを二秒見つめ、手を伸ばして取る。
熱い。
思わず悪態をつきかけるほど熱い。
「瀕死の人間にしては、なかなか気が利くじゃないか」俺は言う。
エリザヴェータが言葉を渡す。
男の目の色は変わらない。一言だけ返ってくる。
「まだ生きている者には、まず温かいものを飲む権利がある、と」
俺はコーヒーを一口飲む。死ぬほど苦い。
……くそ、うまい。
男がようやく、本当の意味で俺に視線を向けてくる。
今度はドイツ語をゆっくり、はっきりと噛んで話す。まるでエリザヴェータに向けて言っているみたいに。
エリザヴェータが訳す。
「名前」
「周士達だ」
「本名か?」
俺は相手を見る。
「停車場でもう『Herr Zhou』って呼んでたくせに、今さら本名を訊くのか?ちょっと遅くないか?」
エリザヴェータが訳し終えると、男の目にほんのわずかな笑みが浮かんだ。
「お前がどう答えるかを確認する方が、名前そのものより重要だそうじゃ」
「それはいい」俺はコーヒーをテーブルに置く。「じゃあ今度はこっちの番だ。あんたらは何者だ?」
今度は男はすぐに答えない。
まず俺を見て、それから俺の隣に座っている林雨瞳、牛小琴、ヴィクトリア(ヴィクトリア・ローヴォヴァ・ベン・ベザレル)を順番に見て、最後にエリザヴェータと葉綺安のそれぞれに半秒ずつ視線を止める。
綺麗な女を値踏みするような目じゃない。
武器を数える目だ。
男が口を開く。
エリザヴェータが訳す。
「まず俺の質問に答えろ。どこから来た?」
「チェコだ」
「どこのチェコだ?」
「国境付近だ」
「国境付近は広い」
俺は口の端を少し上げる。
「人が何度でも死ねるくらいにはな」
男はそれには乗らず、続ける。
「車は盗んだのか?」
「まあ、そんなところだ」
「そんなところ?」
「元の持ち主が貸してくれなかったんで、もう少し直接的な合意形成の方法を取った」
エリザヴェータに訳させるまでもなく、周りにいるA.K.-DUCHの連中の目が、ほんの少し動いたのがわかった。
緩んだんじゃない。「こいつの話し方のパターンは大体つかんだ」という反応だ。
男がまた何句か続ける。
エリザヴェータが一文ずつ渡してくる。
「チェコの軍警が追ってきた理由は?」
「リヴァイアサン装甲擲弾兵まで追ってきた理由は?」
「車に積んでいた重火器の出所は?」
「後ろにまだ仲間がいるか?」
「お前たちはワイスマンの人間か?」
最後の一言が出た瞬間、店内の嘘くさい温もりが、一気に冷えた。
俺はすぐには答えない。
まず相手を見る。
相手も俺を見る。
周りの銃口はまだ上がっていないが、この一言の重さが、前の質問とは全然違うことはわかる。
俺は両手を少し開いて、今すぐテーブルをひっくり返すつもりはないと示しながら、声を低く押さえる。
「もし俺がワイスマンの人間なら、今ここであんたらのブラックコーヒーを飲んでいない」
一拍置く。
「この店ごと、爆破している」
エリザヴェータが訳し終えると、店内が約二秒、静まり返った。
それから、男が静かにうなずく。
「その答えは半分信じると言っておる」
「ちょうどいい」俺は言う。「こっちもあんたらを半分しか信じていない」
今度は男が本当に笑った。
短く。
錯覚かと思うほど短く。
男はようやく向かいの椅子を引いて、腰を下ろす。
ただし、いつでも立ち上がって撃てる座り方だ。
男が長めの一文を言う。
今度はエリザヴェータが訳すのが、さっきより少し遅い。
「ワイスマンの人間ではないと言っておる。もしそうなら、お前たちは停車場でとっくに死んでいた」
「ポーランド政府でも、救助隊でも、慈善団体でもないとも言っておる」
「まだ死に切れていないポーランド人の一種だと思えばいい、と」
悪くない言い方だ。
俺はうなずく。
「なかなか励みになる言葉だ」
男は俺を見て、もう二言添える。
エリザヴェータが訳す。
「励みは金にならない。生き残ることが金になる、と」
「それから、お前たちが今ここに座っていられるのは、俺たちがお前たちを信頼しているからじゃない。今すぐ殺すのが最善の選択肢ではないと、今のところ判断しているからだ、と」
林雨瞳がそこで初めて口を開いた。
座り方も変えない。熱いコーヒーを両手で包んだまま、目線も上げない。
「じゃあ、あんたらの最善の選択肢は何?」
エリザヴェータが訳す。
男が初めて、本当の意味で彼女に視線を向ける。
その一瞥は短いが、真剣だった。俺以外にも、言葉を骨まで切り込める人間がこのチームにいると、ようやく気づいたみたいな目だ。
男が答える。
エリザヴェータが訳す。
「お前たちを、決定を下せる人間のところへ連れていくことだ」
俺は片眉を上げる。
「つまり、あんたには決定権がないのか?」
男が静かに一言返す。
「今夜お前たちが死ぬかどうかは、俺が決められる」
「お前たちが明日生きるに値するかどうかは、別の人間が決める、と」
その一言が落ちた瞬間、この会話全体の重心が変わった。
敵じゃない。
でも、味方でも絶対にない。
向こうは俺たちに熱いコーヒーを出し、椅子を用意し、紙袋の中のまだ温かいバーガーまで出してくれた。でもそれは善意じゃない。評価だ。管理だ。俺たちがどういう連中なのかを確認する作業だ——使える資産か、それともその場で処分すべき厄介者か。
俺は紙袋を破り開く。熱い油とパンの匂いが鼻に届いた瞬間、胃がナイフで刺されたみたいに収縮した。
一口噛みながら、俺は相手を見続ける。
「その決定を下せる人間の名前は?」
男は今回、すぐにエリザヴェータに訳させない。
まず俺を見る。俺がようやく本当に訊くべきことを訊いたかどうか、確かめるみたいに。
それからゆっくりと、一つの名前を口から出す。
エリザヴェータがそれを聞いて、目を上げて俺を見る。
「カミラ」
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