106.境界線 1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
東側廃工業帯の熱源図は、暗視スクリーンの上で壊死しかけた内臓みたいに見えた。
チェコ内務省特別戦術支援組の臨時指揮車は、廃倉庫二棟の間に停まっていた。外側には抑熱ネットが被せられ、車頂のアンテナは地面に這いつくばる昆虫みたいに低く抑えられている。車内で大声を出す人間は一人もいない。ヘッドセットから聞こえるのは呼吸音、電流ノイズ、そして時折届く暗号圧縮された短い報告だけだ。
スクリーンの中央で、断続的で微弱な、今にも消えそうだった工業熱点が、突然一塊になって上へ膨れ上がった。
火災じゃない。
蒸気管の破裂でもない。
普通の車両の起動でもない。
当直分析員は熱像の分層カラーが跳ね上がっていくのを見つめた。黄、橙、赤と一層ずつ翻って、最後に中心が目を刺すような白を押し出した。彼は顎を締めて、素早くデータサイドパネルを引き出した。金属外殻の温度上昇が異常。周辺の冷却霧化帯が不規則に拡散。地面の荷重点に二次沈降が発生。熱核の位置は、先に盗難リストに挙がっていた重型コア部品の推定値に近い。
「接触点三号、目標の稼働開始を確認」彼は低く言った。
後ろに座っていた指揮官はすぐには応じなかった。四十代で、顔色がスクリーンの緑光の中で水に浸かった紙みたいだった。軍人出身じゃない。だがこの街が秩序を失った後、軍警と内務省は無理やり一つに押し固められた。画面を二秒見てから、彼は言った。
「内圈を圧縮。北側のサービス線を完全封鎖。熱源監視は切らすな。照明弾禁止、暗視を維持」
通信員が聞いた。「リヴァイアサンの方は?」
車内が半拍静まった。
指揮官は視線をスクリーンから外して、別のサブネットデータを映す小さな画面に落とした。そこには標識も部隊番号もなく、ただ無機質なほど簡潔な数行のルートパラメータと、点滅し続ける承認灯があるだけだ。
「噛みつかせておけばいい」彼は言った。「俺たちは道を封じるだけだ」
誰も応じなかった。
その言葉の意味を、全員が分かっていたからだ。
軍警は障害物を立て、道路を封鎖し、探照灯と火力で人間を指定の方向へ追い込む。装甲と人体を本当に引き裂きに行くのは、自分たちじゃない。
スクリーンの上で、白い熱点が突然前へ傾いた。
次の瞬間、東側の工場壁全体が、内側の巨大で鈍重で、しかし極めて暴力的な何かに肩で押されたみたいに揺れ、熱像の輪郭全体が粉塵の中でひしゃげて震えてから、弾けた。
指揮官のまぶたが制御できずに一度跳ねた。
「来た」彼は言った。
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最初に聞こえたのは金属の呻き声だった。
爆発でも、銃声でも、壁が断裂する時の乾いた崩壊音でもない。老いた工場が骨格ごと一緒にねじられるような音だ。その音は足の裏から膝へ、膝から歯の根へと伝わってきた。鉄道のレール一本を神経の上でゆっくり削られているみたいだった。
ヴィクトリアの手はまだ沈み込み式の起動パネルに差し込まれていた。魔偶の胸腔前部の開放された維修槽の脇に半跪きで、肩と背中のジャケットは汗で完全に浸透していた。メイン動力心はもう嵌め込まれていた。固定カートリッジは締まり、外層のオイルシールリングが加圧に耐えていて、白い熱霧が隙間から一筋ずつ吐き出されている。中で何かが息をしているみたいだ。
生き物じゃない。
だが今、生き物みたいになり始めていた。
「左側の圧差がまだ走ってる」ヴィクトリアの声は手術刀みたいに冷たかった。「あと二十秒、触るな」
「外はその二十秒をくれない」俺は言った。
その言葉を言いながら、外壁はもう扉を叩いているんじゃなかった。工業用クランプと爆破膨張楔で構造梁ごと解体しようとしている。あの軍警もようやく頭を使い始めた。扉口から流し込む代わりに、壁ごと吹き飛ばして、目覚めたばかりのこの老いた怪物ごと俺たちを掘り出そうとしている。
エリザヴェータは斜面口にしゃがんで、サーモスコープで上を一瞥してから振り返らずに言った。
「北側のサービス井口が封鎖された。装甲輪式車が二台、歩兵が六組以上。南壁の外にも熱源が動いておる。人の動き方ではない」
俺は彼女から視線を外して、胸腔の中で段階的に灯っていくコアを見た。
黄。
橙。
それから胸腔の奥深くの暗い赤が、心臓が初めて収縮するみたいに、ぱっと一度光った。
魔偶の背筋がわずかに震えた。
最初に見た時よりもっと醜い。記憶の中よりもっと本当に人を殺すために作られた工業品に見える。外層装甲は滑らかな曲面じゃなく、一枚一枚貼り合わせた厚板で、表面には溶接の粗い跡と年代の違う補修パッチが残っている。左腕外側には旧式の大口径機関砲が掛かっていて、工業用の破障砲を丸ごと溶接したみたいだ。右側の肩座には火箭巣があるが、外カバーが半分割れていて、中の配線が剥き出しになっている。英雄感はない。威風もない。ただ最後まで追い詰められてから地底から引きずり出された、絶望の匂いだけがある。
俺はこういうものが好きだ。
一緒に死んでくれそうに見えるから。
「終わった」ヴィクトリアが突然手を引き抜いて、勢いよく後ろへ退いた。
次の瞬間、魔偶の胸腔ロックプレートが自動で閉合し、背後の三本の放熱縫が一斉に開いて、地下維修間全体が蒸気と鉄の生臭さで満たされた。あいつは頭を下げていた。墓から立ち上がったばかりみたいに、存在しない息を重く一度吸い込んだ。
それから目を開けた。
人の目じゃない。
フェイスガードの下に二条の冷たい白色の観測スリット。感情のかけらもない。
その瞬間に外壁が爆破された。
砕けたレンガと鋼梁の残骸が暴雨みたいに降り込んできた。探照灯の光柱が煙塵を突き破り、十数条の火線がほぼ同時に地下空間の入口へ向けて掃われた。俺は本能で頭を下げた。一連の弾丸が頭上の旧配管に当たり、錆と凝縮水が一緒に降ってきた。
「接敵!」エリザヴェータが前で怒鳴った。「周士達、左側!」
俺は直接魔偶の左脚の脇に飛び込んで、工具箱の横に置いてあった機関銃を掴み、破口の外へ向けて最初の長点射を叩き込んだ。銃口炎が地下井全体を明滅させ、外で一番速く突っ込んできた二つの黒い影が重槌で打たれたみたいに後ろへ転がって煙の中へ消えた。
「葉綺安!」俺は怒鳴った。
「ここ!」
「車は?」
「外の車棚に、Tatraが一台と短軸補給車が一台。動くかどうかは運次第!」
「今日は運も全部前借りした!行って動かせ!」
葉綺安は返事をせず、右側の維修坡道を駆け上がった。シキが二歩ついて走ったところで、エリザヴェータに腕を掴まれて引き戻された。
「そなたは妾と後ろを見ろ!」
「彼女を手伝えます——」
「今じゃない。今は荷台に乗ってこそ価値がある」
シキは奥歯を噛んで、無理やり止まった。
次の瞬間、魔偶が動いた。
猛然と飛び出したんじゃない。
まず頭を上げた。あの細長い冷白の観測スリットで、一つ一つの熱源の位置を確認しているみたいに。それから左脚を一歩前に踏み出した。その一踏みで地下維修間全体が揺れ、地面の工具皿、レンチ、空き缶が一斉に跳ね上がった。機体全体が元の半沈眠状態の収縮した姿勢からゆっくりと展開し、胸板が持ち上がり、背脊が白い蒸気の塊を噴き出し、それから左腕の機関砲座が回り始めた。
その瞬間、外の連中が一斉に固まったのをほぼ感じ取れた。
壁を爆破して中を見たら、隅で死を待っている難民じゃなく、本当に動く老いた戦争の遺物がいるとは思っていなかっただろう。
魔偶の最初の一発は人を狙わなかった。
破口の右側の、まだ完全に崩れていない耐力壁に直接ぶち込んだ。
耳をつんざく爆発音。
壁全体が鉄拳で砕かれたみたいに、後ろの半廊下ごと崩れ落ちた。砕片とコンクリート粉塵が一面外へ噴き出した。破口が瞬時に機体の肩幅が通れる出口に広がり、外でちょうど角度を固めていた三組の歩兵隊形が瓦礫と衝撃波でかき乱された。
「行け!」俺は怒鳴った。
分かったみたいに、あいつは頭を下げて突っ込んでいった。
機敏でもない。綺麗でもない。映画の巨大メカみたいな滑らかな転身も跳躍も一切ない。一歩一歩が死ぬほど重く、転向のたびにクレーン全体が無理やり向きを変えるみたいで、関節が歯の浮く摩擦音を立て、右膝の液圧桿には半拍の遅延まである。だがこいつは十分重く、十分硬く、十分古く、十分理不尽だ。破口の外に出た最初の一秒で、砲口を向けてきたばかりの装甲盾車に肩ごとぶつかって弾き飛ばし、左腕機関砲を車体の側面に押しつけて三発連続で叩き込み、薄い鋼板を人員ごと設備ごと内側に潰した。
外の工場区全体が明るくなった。
警報灯、車頭灯、サーモ照明、燃えている廃油ドラム缶、爆発後の火の粉——元々真っ暗だった工業の夜景を、光と影が錯乱する屠殺場に変えた。鋼架の車棚が空き地に一列並んでいて、下には徴発された補給トラック、工兵牽引車、輪式装甲車二台、それと撤収が間に合わなかったフォークリフト数台が停まっている。一番遠くの高架輸送管の下では、完全武装した特警部隊が三脚架の重機関銃を設置しようとしていた。
魔偶は見向きもせず、右手で背後からあの短柄の重鎚みたいな破障杭を引き抜いて、前へ一振りした。
三脚架、人間、手すり、まとめて平らになった。
「こいつ、本当に戦える」シキが俺の左後ろで息を呑んだ。
「戦えるやつほど廃車寸前だ」ヴィクトリアが後ろから追いついてきた。走りながら給弾帯を俺の肩に投げかける。「あと十分生き延びたら、神様に感謝する」
「さっき神様信じないって言ってなかったか?」
「今も信じてない。ただ、責任を押しつける相手が欲しいだけ」
俺は一度笑った。声には出なかった。
こういう場所で笑い声を出すのは、浪費みたいな気がした。
低い壁に沿って立ち上がり、機関銃に弾を再装填しながら、魔偶が車棚の方向へ圧していくのを見た。あいつの左腕機関砲の銃口炎がぱっぱっと閃くたびに、厚い鋼板に煙を噴く大穴が開いていく。軍警はすぐに反応して、もう前へ人を送るのをやめ、距離を取り、散開して、火力で転向を牽制し始めた。輪式装甲車二台が後方で交差移動して、あいつを車棚の間の狭い通路に嵌め込もうとしている。
正しい判断だ。
こういう旧式の重装に対して一番有効なのは、正面から当たることじゃない。自分でハマらせることだ。
だが遅かった。
魔偶は路中央に放棄されたフォークリフトを一踏みで踏み砕いた。脚全体が変形した運転席と鋼フォークの間を踏み越え、部品の山を引きずったまま前進した。転向した時に肩甲が棚柱を擦り、鋼柱が耳障りな歪み音を立てて、そのまま強引に引き倒された。左側のTatraトラックは三列目の棚架の下にいた。車頭を外に向けて、幌の骨組みを半分被せていて、後斗はオープン式で、後半の幌布はとっくに削り取られていて、錆だらけの弧形フレームだけが残っていた。皮を剥がれた胸腔みたいだ。
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