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102. 包囲、追跡、封鎖、遮断 3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

地下室の保守隙道は狭くて低く、走ることなど論外で、腰を曲げたまま前へ進むしかなかった。前方は真っ黒で、空気は古い埃と冷えた金属と、長年日の当たらない場所特有の乾いた硬い匂いで満ちていた。頭上から時々灰が落ちてくる。上でまだ何かが動いている証拠だ。人が踏んでいるのか、壁が震えているのか、それともスタニェクの方がまだ完全に静まっていないのかは、わからなかった。


俺はヴィクトリアの後ろについて、片手でバッグを押さえ、もう片手で壁を伝いながら、できるだけ音を立てないようにした。こういう隙道で最も怖いのは二つだ。焦ることと、振り返ることだ。焦れば壁に激突する。振り返れば止まる。ここで止まるということは、自分の命を鉄管の中に詰め込むことと同じだ。


「前で分岐してる」ヴィクトリアの声が前から届いた。


この細い管道に磨り減らされたみたいに薄くなっていた。俺が近づくと、左右にそれぞれもう一段細い分岐路があり、正面には内側から掛け金がかかった小さな点検扉があった。


「どっちだ?」俺は訊いた。


彼女はすぐには答えず、手のひらを壁に当てて一秒探り、それから耳を壁に寄せた。何か極めて細かい反響を聞いているみたいだった。これは演出じゃない。彼女は本当にこういう古い構造を理解している。ヨゼフは死んだが、彼が残した手法はまだ彼女の指先に生きていた。


「右は行き止まりの点検槽」彼女は言った。「左は井戸に戻る。正面の先が廃線路の下に出る」


「じゃあ正面だ」


彼女が内側の掛け金を引き抜こうとしたその時、俺たちの頭上の少し左寄りから、二度、くぐもった振動が来た。誰かが覆い板の上を踏んで、また退いた音だ。俺たちは同時に止まった。


外には一層だけじゃない、複数の人間が探している。


これはスタニェクが言った「次の場所を訊けるということは、ここがまだ完全に見られていないということだ」という言葉が、誇張でも何でもなかったことを意味していた。中継点はすでに噛まれている。ただ、相手がまだ内部構造を完全に把握していないだけだ。


俺は彼女に待つよう合図し、自分の体を低くして、耳を扉板に当てた。外には風がある、弱い。遠くで銃声が断続的に聞こえる。それより近く、砕けた石を誰かが踏んだような細かい音がする。


扉の正面で待ち構えてはいない。


それで十分だった。


俺は手を上げ、三、二、一と指で数えた。ヴィクトリアが勢いよく掛け金を抜き、俺が肩で扉を叩きつけた。二人同時に飛び出した。


外は地面じゃなかった。廃線路の下にある、腰の高さほどの保守空洞(ほじゅくうどう)だった。さらに半メートル這い進んで、ようやく本当に外に出られた。


先に出た俺が最初に目にしたのは、エリザヴェータが残した目印だった——白い絶縁テープを引きちぎって二本にしたもの、左前方の傾いた信号柱の根元に引っかかっていた。主撤退線は変更済み、左へ、元の排水帯は通るな、という意味だ。


俺はヴィクトリアを引っ張り出した。二人が立ち上がった瞬間、北側で新しい点射の一連が響いた。今度は俺たちを狙っているんじゃない。外縁の別の火線と打ち合っている音だ。距離は近い。五十メートルとないだろう。中継点周辺はもはや「俺たちが伏撃された」という単純な状況じゃなく、複数の集団が灰区の縁で互いに位置を噛み合っている状況になっていた。


エリザヴェータが横倒しの貨車二両の隙間から顔を出し、手で招いた。余計な言葉は一切なかった。


俺たちはすぐに切り込んだ。


「スタニェクは?」彼女が訊いた。


俺は一言だけ返した。「連れ出せなかった」


彼女はそれ以上聞かなかった。それで十分だった。


「どれだけ取れた?」


ヴィクトリアの声は霜が降りたみたいだった。「満タンの鎖液瓶一本、起動節輪一枚、ばね鋼三段、封装匣一つ。主動力心はここにはなかった」


エリザヴェータは即座に判断を下した。「ならこの地点に戻る価値はあるか?」


「ない」俺は言った。


核心部品が足りないからだけじゃない。今や中継点周辺全体が袋になっている。戻って奪い返そうとするのは勇気じゃない、愚かさだ。


「撤収じゃ」エリザヴェータが言った。「葉綺安、前。シキ、中。ヴィクトリアは妾の後ろ。周士達(ジョウ・シーダー)は尾を押さえろ」


反対する者もなく、行き先を問う者もなかった。


これが撤退の本当の始まりだ。一度「この地点は守れない、持ち出せるものは持ち出した」と判断した瞬間、全ての考えは「もう少し取り返せないか」から「手に入れたものを生きたまま運び出すにはどうするか」に切り替わる。


俺たちは廃線路に沿って南西へ折れ、そこから東へ折り返した。直線は走らない。こういうルートは遠回りに見えて、実際には交差火線に一度に全員を呑み込まれる可能性が最も低い。葉綺安が前方に二次的な遮断がないか確認し、シキが中間の地形と通過可否を読み、エリザヴェータはヴィクトリアを連れながら何度も後ろを振り返り、俺がまだ尾にいるかを確認した。


尾を押さえるのが一番きつい。前方に希望が見えるんじゃなく、後ろ一面に合わさっていく地形が見えるからだ。どこの音が近づいたか、どこの足音が変わったか、どの火点が乱射じゃなく俺たちを封じようとしているか——走りながら即座に判断し続けなければならない。


裂けた転轍機を跨いだ瞬間、左後方の高い位置から火力が来た。体の中心を狙ったんじゃない。俺たちが次に踏み込む可能性のある空き地を意図的に押さえている。弾が枕木の端と砕けた石の間に当たり、泥と灰が連続して飛んだ。


「左高位!」俺は怒鳴った。


エリザヴェータの反応は俺より速く、全員が即座に右側の横倒し貨車二両が接する陰に切り込んだ。彼女は応射を命じなかった。直接こう命じた。 「撃ち返すな、動き続けろ。向こうは俺たちを止めようとしてる」


この一言は千金に値した。


灰区で最も死にやすいのは、最初の一撃で当たることじゃない。全ての火点に応答しなければならないと思い込んで、撃ち返すたびに止まり、最終的に隊形全体が粘着して動けなくなることだ。


さらに三十メートル前進すると、前方に第二の遮断が現れた。古いフラットベッドトレーラー二台が意図的に横向きに押し出されて、元々最も歩きやすかった保守斜路を完全に塞いでいた。中央に一本の細い隙間だけが残されている。通れそうに見えるが、通過中は必ず一列縦隊に引き伸ばされる。


「交差封鎖ね」エリザヴェータは一目で見抜いた。


俺にも見えた。この障害物は無造作に押し出したんじゃない。ここが自然な撤退線だとわかっている者が、意図的に「通れそうな」隙間を一本だけ残し、一列になったところを呑み込もうとしている。


「隙間は通れない」俺は言った。


葉綺安はすでに左側に半身を出して、トレーラーの下に這いつくばるしかない排泥槽(はいでいそう)を見つけていた。「ここを潜れる。でも先にバッグを捨てないと無理」


「外層は捨てる、核心は捨てない」俺は言った。


その言葉が落ちた瞬間、全員が一秒も躊躇しなかった。外層のバッグ、空になった水筒、もはや命に見合わない荷物が即座に脱ぎ捨てられ、最も核心的な数点と最低限の弾薬だけが残った。こういう行動は普通の撤退では辛い。一緒に運んできた荷物を捨てることへの本能的な抵抗があるからだ。だが袋の口が閉じかかっている時、物の価値を測る基準は一つだけだ。それが自分の脚より価値があるかという問いだ。


答えはたいていノーだ。


シキが先に潜り、葉綺安が二番目、ヴィクトリアが三番目、エリザヴェータが四番目、俺が最後だった。排泥槽に潜り込んだ瞬間、積年の油泥と鉄錆が発酵した匂いが喉を塞ぎそうになった。頭上では近い足音と、低く抑えた二声の号令が同時に響いた。大声じゃない、嗄れた声で互いに位置を報告し合っている。向こうとの距離はもう二十メートルもない。


最後尾にいた俺には、その言葉が最もはっきり聞こえた。


「右側に引き摺り跡がある、槽口から出させるな」


この言葉が出た時点で、向こうが偶然ぶつかったんじゃないことが証明された。撤退線を計算した上で、意図的に呑み込もうとしている。


俺は全身を排泥槽の縁に沿って前へ押し進めた。肘と膝が錆びた泥の中で磨り減る。前の人間が一人ずつ這い出ていき、俺が槽口から出ようとした瞬間、頭上のフラットベッドトレーラーの底に向かって一連射が叩き込まれた。弾は厚い鋼板を貫通しなかったが、錆の破片と泥と鉄屑が一面に震い落とされ、もう少しで俺を槽口に埋めるところだった。


エリザヴェータが外から俺の肩と背中を掴み、力ずくで引き摺り出した。


トレーラーの外側にある草溝に転がり込んだ瞬間、俺はようやくこのクロス封鎖の全貌を把握した。前方は破断バリアで強制停止、左の高所からは制圧射撃、後方の保守路か中継点の方角からも押し上げてきている。本当に生きて抜けられる道は、廃線レールの右側、溝沿いに排水路へつながる、あのクソみたいなルート一本だけだ。偶然じゃねえ。明らかに誰かがここ一帯の自然な撤退線を先読みして、俺たちを一番狭い首元へ追い込んできてやがる。


「あと百メートル先に涵洞があります」シキが息を切らしながら言った。


「なら、そこを獲る」俺は即答した。


もう体力温存なんてしてる場合じゃない。全力で切り抜ける。こういう時にフォームがどうとか関係ない——重要なのは一つだけだ。隊形をバラさないこと。振り返って様子を見ようなんて考えで、誰も列からこぼれちゃいけない。


後方の火力は連続して俺たちを追ってこない。それがまた証明している——向こうは適当に掃射してるんじゃなく、ちゃんとリズムを管理してる。俺たちをあの涵洞に追い込めば、次の包囲がどれだけ楽になるか、あいつらは分かってる。


その頃、第601東側検査線の小隊長は、ほぼ同時に二つの全く異なる、しかし同じ区域を指す報告を受け取っていた。


「East-3よりSector Four。グレーゾーンD-12西南側で未識別の短時間交戦を確認。また複数名のグループが廃線沿いに外方向へ撤退中。敵味方判別不能」


「Sector Four了解。そちらの口位置から南の排水帯へカットイン可能か?」


小隊長は地図と、目の前で民間車両・群衆・工業維持車両に半分塞がれた道路を見比べ、奥歯を噛んだ。「無理だ。カットインしたら、メディカル・ラインと民間の流れ、両方まとめて詰まる」


通信の向こうが一拍止まり、すぐに早口で返ってきた。


「口位置は維持、そのまま動くな。外溢を抑えるだけでいい」


小隊長には分かった。これは上が捕まえたくないんじゃない。捕まえる余裕がないんだ。目の前の検査線はもう半飽和状態。片側には外へ逃げ出そうとする市民、もう片側には最低限の稼働だけでも回さなきゃいけない工業車両。そのあいだを、真偽の怪しい臨時指示が何本も横切っていく。ここでさらに兵力を引き抜いて、グレーゾーンの正体不明の移動目標を追えなんてことになれば、先に吹っ飛ぶのはこの口一帯だ。


彼は送話キーを押し、「了解」とだけ返し、隣の下士官に向き直った。


「南向きの単車線、完全一方通行に切り替えろ。ここで群衆を滞留させるな。グレーゾーンの方は——今日の俺たちで呑み込める量じゃない」


現実が一番冷酷なところは、こういう所だ。誰かが走ってるのを知らないわけじゃない。誰かが追われてるのを知らないわけじゃない。ただ、今この瞬間に、目の前で先に人が死ぬ可能性のある事柄が多すぎて、その中から一番先に爆発させないほうを選ぶしかない。


俺たちが最後に抜け出したのは、ほとんど廃棄寸前のコンクリート涵洞だった。


そこは低く、湿っていて、狭い。水は深くないが、黒い泥と化学薬品が残した硬い筋だらけで、踏み込んだ足裏が、まるで呼吸している鉄の胃袋の中を歩いているような感覚だった。だが涵洞には決定的な利点が一つある——ブサイクだ。あまりにも使いたくない道すぎて、誰も真っ先に通るルートとしては選ばない。


俺たちが涵洞の向こう側から這い出た時、空はもう夕暮れの色に沈みかけていた。外はさらに開けた、もっと荒れた工業空地で、遠くに見えるのは低い配管ラック、廃液槽、そして車影のほとんどないサービス路が一本だけ。背後の銃声はまだ聞こえていたが、だいぶ遠くなっていた。クロス封鎖の包囲は、完全には噛み合ってきていない証拠だ。


俺は誰にもすぐには止まるなと合図せず、さらに二百メートル近く前に出てから、半崩壊したコンクリート製ポンプ室の残骸の陰に入り、そこでようやく手を振って全員に伏せさせた。


止まった瞬間、全員の呼吸音が一度にあふれ出す。誰かが限界だったわけじゃない。さっきの撤退のあいだ、全員が肺を意図的に絞り込んでいた。今になってようやく、解放していいと思えただけだ。


エリザヴェータはまず俺を見てから、ヴィクトリアの手と身につけているものを見た。


「点検せよ」


俺はバッグを開けて、中継点で受け取ったものを一つずつポンプ室の残った台の上に並べていく。満圧のチェーン液瓶、起動節輪、三分割の骨格バネ鋼、そしてあの封装匣。中継点まで突っ込んだ意味はあったし、待ち伏せも俺たちの手を完全には空にできなかった。


だが、スタニェクは出てこなかった。


ヴィクトリアは並んだそれらを、しばらく黙って見ていた。最後に口を開いたのは、一言だけだった。


「次のポイント、まだ生かせる?」


俺は答えなかった。それは俺なんかに判断できる話じゃない。


エリザヴェータも口を挟まず、まっすぐ俺を見る。その意味ははっきりしている——まず進む方角を決めよ。その後で、(わらわ)が技術を決めてやる。


俺は息を一度整えてから言った。


「今日のこの中継点は、もう燃えた。向こうが最初からこのラインを張ってたか、俺たちとそう変わらない速度でノード情報を取れる手を持ってるか、そのどっちかだ。これからは元のテンポで歩くわけにはいかねえ」


そこでようやく、ヴィクトリアが顔を上げて俺を見る。


彼女の目の奥にあるものは、もう単なる喪失と抑え込みだけじゃない。冷たい、技術者特有の怒りだ。泣きたいでも、叫びたいでもない。死んだやつが、自分の死んだあとの布石まで、誰かに前もって噛み砕かれていたと知った時、人間の心がバラバラになる代わりに、逆に固く締まっていく、あの感じ。


彼女は封装匣を裏返し、側面に刻まれた、目を凝らさなきゃ見えないほど細い刻印コードを指さした。


「これ、終点用じゃないわ」


俺はそのコードを睨む。「どういう意味だ?」


「転接部品よ」彼女は言う。「メイン動力心は、まだ第二ポイントに残ってるはず。でも第二ポイントはもう、座って話ができる場所じゃなくなってるわね」


俺には、彼女が何を言おうとしているか分かった。


この先、俺たちが歩くのは、もはや昔馴染みの顔や、慣れたノードや、古いルールが通用する撤退線じゃない。一つひとつの中継点が、俺たちの到着の半歩前に噛み砕かれているかもしれない、そんな残骸の線だ。


俺は銃を横に置き、泥と汗でべたついた顔を手のひらで荒っぽくこすり落とし、最後にそれだけ言った。


「だったら、もう中継点だなんて思うな。第二ポイントは、戦術接触点として踏む」


エリザヴェータはうなずいた。慰めなんて一切ない。ただ隊形を組み直し、さっき投げ捨てた外側の輜重を、そのまま計画から削除してしまい、こう告げるだけだ。


「三分だけ休め。水を飲め。三分後、さらに東へ移る」


誰も反対しない。


ここまで来れば、全員分かっているからだ——


最初の中継点は、俺たちに息をつかせるための場所じゃなかった。


このライン自体が狩られているのだと、見せつけるための場所だ。


そして俺たちが持ち出せるものは、整った退路なんかじゃない。まだ完全には封じ切られていない、次の一歩分の方角だけだ。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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