99.秩序の書き換え 99-2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
URNAがブラボー集結点に到着したとき、ミラン中尉はまず三つの途切れた現場映像を確認した。
一つ目は横転した車だけ。二つ目は重撃で引き裂かれた壁だけ。三つ目は短すぎて、煙塵を抜けてくる重装の輪郭が減速していないことだけが判別できた。
「通常の対テロ目標とは違う」副射手が言った。
ミランはタブレットを返し、コメントに時間を使わなかった。「似てるかどうかは関係ない。今は俺たちが先に立つしかない」
このURNAの小隊は新人じゃない。穴埋めに送り込まれる消耗兵でもない。一般の警察では持ちこたえられないことも、前にいるのが銃を持った犯罪者じゃないことも、自分たちが相手にしようとしている目標が、都市の対テロ基準を遥かに超えた防護と破障能力を持っていることも、全員が分かっていた。 だからこそ、訓練が重要だ。本当のプロフェッショナルは恐怖がないんじゃない。恐怖があっても手続きを完遂できることだ。
「よく聞け」ミランは全員を半円に引いて、声を落とした。「一組は煙幕で視線を切り、催涙を即座に続ける。二組は観測孔、フェイスシールドの下縁、首の接合部、膝の側面と肘の側面の可動部を狙う。三組は専任で人員の引き出しと補位、追撃しない、掩蔽物を出ない。重装の前進を見たら、正面から撃ち合うな。角と斜め方向の火力で削れ」
突撃手の一人が聞いた。「貫通しなかったら?」
ミランは彼を見た。「時間を削り出せ」
誰も何も聞かなかった。
全員が進入前の最終確認を始めた。防毒マスクの位置、フィルター缶の締め、閃光手榴弾の固定帯、照明モジュール、短い突撃梯、予備弾倉、止血帯、肩マイクのチャンネル。動作は速くて正確で、士気を鼓舞する言葉は誰も一言も言わなかった。こういう時に熱血を語るのは脳の容量の無駄だ。
「URNAリードよりコントロール、ブラボー就位、接敵準備完了。後送ラインを確認」
「コントロール返答、後送一号は失効、二号に変更。航空支援は待機中、ただし空域状況は不明」
ミランの眉が微かに動いたが、それ以上は聞かなかった。「空域状況不明」は情報が足りないことじゃなく、上が今は言いたくないことを言わないでいるのが普通だと分かっていたから。
「URNAリード了解」
進入後、一組が煙幕を先に展開した。長い通りが即座に、視界の極めて悪い灰白色の帯に分断された。催涙ガスが煙幕の後方から続いた。目的は相手を追い詰めることじゃない。輪郭とリズムを炙り出すことだ。 二組の射撃位置の選択は精確で、全部、人間が前進の中継に選ぶ壁の角と縁に設定されていた。
最初の一斉射撃の後、効果は実際に少し出た。
一体の重装の前進速度が半拍遅れ、もう一体が煙を抜けるときにわずかに足の位置がずれた。二組が即座に首の側面と膝の側面に火力を集中した。装甲面から火花が散り、白い痕さえ見えた。
「反応あり!」射手の一人が低く叫んだ。
「続けろ、頭を出すな!」ミランが即座に押さえた。
その瞬間、URNAは本当に成熟した対テロ部隊として機能していた。煙幕、催涙、交差射界、角からの制圧、補位、人員の引き出し、全部が基準通りだった。問題もまさにそこにある——全部正しくやって、得られたのは半拍だけだった。
煙の中の重装の輪郭がいくつか、揃って一瞬止まった。次の瞬間、防毒フィルターが装着された。動作が揃っていて、焦りがまったくない。催涙ガスは、あらかじめ書かれた手順の第二段階に過ぎなかったみたいに。 それから一体がより大口径の火器を持ち上げ、もう一体が背後から長柄の破障用戦斧に似た器械を引き抜いた。戦闘を演出するための武器じゃない。目的が明確な工業用途の道具だ——盾を割り、柱を砕き、扉を破り、その後ろにいる人間ごと叩く。
「半ライン後退!」ミランが怒鳴った。
大口径火力が最初に狙ったのは、URNAの最も効率的な掩蔽物の転換点だった。コンクリートの護壁と、その後ろで転位しようとしていた突撃手二名が一緒に打ち抜かれた。再編成する間もなく、長柄の破障器が柱の角と扉の枠を連続して叩き割った。人を狙って切るんじゃない。人が必ず寄りかかる硬い構造物を先に壊して、掩蔽物の価値ごと消す。
「URNAリードよりコントロール!目標は完全な防毒と重破障能力を保有、繰り返す、完全な防毒と重破障能力!通常催涙は無効、対装甲またはより高レベルの引き継ぎを要請!」
無線の返答は速く、そして冷たかった。
「コントロール了解。第601が外圏に入った。貴隊の任務を時間稼ぎと負傷者撤収に修正。繰り返す、時間稼ぎと負傷者撤収」
ミランは怒鳴らなかった。長く沈黙もしなかった。
「URNAリード了解」
これがプロフェッショナルだ。 自分たちが解決策にはなれないと分かっていても、今この場で削り出せる一秒一秒を、最後まで削り出し続ける。
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俺は三枚重ねたトレーシングペーパーを押さえ、歪んだプラハの地図を見つめた。
赤い封鎖点は通りに沿って線形に広がっているんじゃない。種類別に飛んでいる。 古い時計職人、機巧職人、ボイラー技師、地下錬金室の保有者、K.A.F.K.A.の旧保守ネットワークに接触したことのある人間。ほぼ同時に事が起きている。一本ずつ街を掃いているんじゃない。名簿に従って削っている。
「捜索じゃない」俺は言った。「粛清だ」
エリザヴェータがうなずいた。「しかも分類粛清じゃ」
葉綺安が別の街区の情報を追加した。「幹線道路は封鎖されてるけど、市民を止めるためじゃない。特定の人間と特定のブロックを切り離すためだ。普通の人間には事故で迂回してるだけに見える。でも私たちみたいな人間が一本道を間違えたら、そのまま相手の収口線に直接入る」
ヴィクトリアはずっと地図上のいくつかの古い拠点名を見ていた。観光地図には載っていない。公式資料の表の記述にも出てこない。普通のプラハ市民が覚えることもない。でも彼女には分かる。俺にも分かる。その名前が彼女にとって技術的な拠点であるだけじゃなく、彼女の家族が地下に残してきた骨格の一部だということが。
彼女はついに手を伸ばし、三か所の位置を指した。
「この三本の線は、自分たちで封じなきゃいけない」
俺は彼女を見た。「理由は」
「鐘井の逆圧線、北側の二重配重道、旧蒸気保守井の連通区間」彼女は速く、安定した声で言った。「ヨゼフが残していたのは、旧市街の骨格で調圧や人の流れの調整、短距離移動の切り替えが必要になったとき、この三本が一番早く反応するからだった。今残しておいたら、向こうの地図の残りを補完してやることになる」
シキがまだ近づける可能性のある人間の名前を二つ、小声で報告した。
俺は聞き終えて、一秒だけ止まり、決断した。
「撤退の通知は出す。ただし接応はしない。信号は一回だけ。返答がなければ切る。関連名簿は分散させて、まとまった状態で存在させない。主要な逃走路に見えるデータは全部、偽バージョンを一部作る。葉綺安、今から外線はここに近づけるな」
言い終えると、部屋がしばらく静かになった。
誰も疑問を呈しなかった。全員が何を意味するか分かっていたから。俺は正式に「回収できるものは全部回収する」というやり方を捨てた。冷血だからじゃない。こういう局面で、すでに露出した線に触れるのは、もう一人救うことじゃなく、次の一群を送り込むことだからだ。
エリザヴェータが即座に引き継いだ。「撤収手順を組む。偽の残留、痕跡の消去、分散、タイミングのずらし」
ヴィクトリアが続けた言葉はさらに容赦がなかった。「旧名簿はまとまった状態で残せない。手書きの照合索引は三ページだけ残す。双方向圧差表は燃やす。それから、これ」
彼女は目立たない真鍮の校正片を手に取った。小さくて、縁が磨り減っていて、古い機構から外したみたいな見た目だ。
「これは残せない。残したら、向こうにどの拠点がまだ完全に封じられていないか分かる」
俺はすぐに受け取り、テーブルの灰皿に押し込んで、火をつけた。火が一角の薄紙から食いつき、それから安定して這い上がっていった。真鍮が熱の中でゆっくり色を変えていく。ヴィクトリアはそれを見ていた。目が一瞬揺れたが、逸らさなかった。
今の彼女は泣こうとしているんじゃない。泣くより難しいことをしている——祖先が残してきた道を、自分の手で埋め始めている。
そのとき、シキが突然顔を上げた。
「外がおかしい」
「何がおかしい」俺は問う。
「普通すぎる」彼女は言った。「この時間帯に、フロアサービスがまだこんなに完全に動いているのはおかしい」
俺は彼女が示す方向に沿って、ドアの外を見た。廊下からルームサービスのワゴンが転がる音が聞こえてくる。規則的で、安定していて、高級ホテルの夜間シフトならどこにでもある音だ。だがその安定さが、かえっておかしい。
リン・ユートンが別の監視カメラの切り抜きを俺に向けた。三十七階の廊下の映像の一部に局所的なノイズが入っている。全体が途切れているんじゃない。誰かがいくつかの重要な角度だけを選んで遮断したみたいに。
ヴィクトリア(ヴィクトリア)が冷ややかに言い捨てた。 「見つかったのは、私たちじゃないわ」
俺、周士達はその意味を継ぐ。 「この一帯そのものが、収口区として処理され始めてるってことだ」
ヴィクトリアがちらりと俺を見る。その一瞬で、俺たち二人が完全に同じ結論に辿り着いているのがわかった。
「撤収だ」
その一言が出た瞬間、部屋にいる全員のリズムが一斉に切り替わる。
避難じゃない。手術だ。
本物のデータ、ダミーのデータ、捨てるデータを三つに分ける。灯りは完全には落とさない——まだ人が普通に出入りしているように見える光源を二か所だけ残す。一間の空室を、誰かが「さっきまでいた」ように見える状態に素早く組み替える。外への回線も一本だけ、あえて追跡を誤らせるリズムで残す。本当に持ち出すものは細かくバラして人に分散させ、どのバッグも、どの一人も、どの出口も、「ここが潰れたら全部終わり」にならないようにする。
エリザヴェータ(エリザヴェータ)がドア際でグループを振り分けていく。 「第一陣、二人ずつ。給仕用の昇降機じゃ、客の足取りと同じ速度で行け。第二陣は三人、荷物用昇降機から駐車層へ。第三陣は妾と来い。誰一人、引き返して二度目を取りに戻ることは許さぬ」
シキ(シキ)が訊く。 「フロントに止められたら?」
「平然と答えよ」エリザヴェータが言う。「逃げる者の顔をするほど、死は早うなる」
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