97.正々堂々 97-3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
葉綺安がドアを押し開けた瞬間、テーブル脇に座るヨゼフの姿を目にして、足がはっきりと止まった。視線がヴィクトリアと、テーブルに並んだ古い道具のあいだを一巡してから、すぐに口を閉じる。普段どれだけ冗談好きでも、こういう場面で自分が茶化していい空気じゃないくらいは分かる。静かにドアを閉め、シキのそばまで歩いて、小声で「この人が?」とだけ聞いた。シキがうなずくと、それ以上は何も言わなかった。
ヨゼフが視線を彼女に向ける。半日外を駆け回ってきたことまで、その目には読めているみたいだった。
「外はどうだ」
葉綺安はまず俺を見た。俺がうなずくと、ようやく口を開く。
「最悪よ」彼女はきっぱり言った。「昼過ぎから、警察署二か所の前に行列ができてる。並んでるのは被害届で、落とし物とか酔っ払いとか、そういう普通のやつじゃない。妙なのは、入るのが早くて、出てくるのはもっと早いってこと。出てきた連中の顔が全員同じで、受理されなかったって感じじゃなくて、『これ以上詮索するな』って釘を刺されたような顔してる」
「それから、旧市街の南側の工房三軒が、今日同時に休業の札を出した。カーテンが下りる前に中を見たら、荷物を動かしてた。逃げてる感じじゃない。名簿を見ながら箱を整理してるみたいな手際だった」
ヨゼフは聞き終えて、眉間をさらに深く沈ませた。
「三軒目は、ボイラーの裏地を作ってるところか」
葉綺安が一瞬、虚を突かれた顔をした。
「なんで分かるの」
「あそこは昨日の時点で止まってるはずだったからだ」ヨゼフは言った。
この一言で、部屋にいる全員の背筋が一斉に冷えた。
何を意味するかは、いやでも分かる。今のプラハがどの層まで「削られて」いるかを、こいつは俺たち以上に把握している。この数日、ただ隠れて息を潜めていたんじゃない。ずっと見ていた。自分にまだ埋められる穴がどこにあって、もう手遅れになった場所がどこかまで、誰より正確に計算している。
「それと」葉綺安が続ける。「新市街の方もおかしくなってきた。午後に高級ホテルが二軒、同じ灰章の通達を受け取った。朝より内容が細かくて、外国人の長期滞在者、金属製の荷物、夜間の外出は推奨しないって書いてあった。街の人間はまだニュースみたいに眺めてるけど、本当にまずいのは、フロントとドアマンが妙に自然に従い始めてること。誰も最初に『なんで従わなきゃいけないんだ』って言いたくないみたい」
「皆、誰かが先に逆らうのを待っておるからじゃ」
いつの間にか、エリザヴェータが連絡扉の向こうから入ってきていた。
今日の彼女は、これまでより全体的に静かで、鞘に収められた刃物みたいな気配がある。以前は外回りと統括という二つの役割が分かれていたような印象があったが、今は完全にエリザヴェータ一人に収束している。古い貴族のように冷静に全体を見渡しながら、誰よりも泥の中への踏み込み方を知っている——その二重の質感が、かえってくっきりと際立っていた。彼女はテーブルの端まで歩いて、ヨゼフをちらりと見た。挨拶はない。ただ一言、問う。
「まだ隠しておることが、どれほどある」
ヨゼフが、かすかに笑った。
「その口の利き方、あの子とそっくりだ」
「無駄話をしたいのか、それとも答えたくないのか」エリザヴェータは言う。
「答える」ヨゼフは笑いを引っ込めた。「あと三つある。二つはもう潰れた。一つは、これ以上誰にも触れさせるわけにいかない。そこまで測られたら、北線は一本じゃなく、三本になる」
俺は問う。「どこだ」
ヨゼフはすぐには答えない。代わりに、視線をヴィクトリアに戻した。
「旧校鐘工房の裏の井戸、覚えてるか」
この一言で、ヴィクトリアの顔色が完全に変わった。
悪いどころじゃない。骨の芯まで冷水を浴びせられたみたいな白さだ。
「あそこ、まだ残してたの」
ヨゼフは静かに言う。「残したんじゃない。捨てる選択肢がなかっただけだ」
「正気?」ヴィクトリアが言う。
「正気じゃなかったら、ここには来ていない」
「あそこはとっくに切っておくべきだった!」
「分かってる」ヨゼフは言った。「だから、明晩までに自分の手で切る」
部屋全体が、呼吸さえ余分に思えるほど静まり返った。
ヴィクトリアのあの反応だけで分かる。あそこは、ただの古い拠点じゃない。本当に核心に近い場所だ。一度繋がれたら、芋づる式にあらゆるものを引きずり込んでしまう場所。ヨゼフがずっと口にしなかったのは、隠したかっただけじゃない。あそこの名前を出すことが、祖父と孫の間でずっと触れないでいた最後の古い線が、まだ生きていると認めることになるからだ。
エリザヴェータがヨゼフを見据え、声は変わらず平らだ。
「今夜ここに来たのは、知らせを届けるためだけではあるまい」
「違う」ヨゼフは言う。
「誰かを連れて降りるために来たのじゃろう」
「そうだ」
「もともと、誰を連れていくつもりじゃった」
ヨゼフはすぐには答えない。しばらくして、ようやく言った。「最初は、一人で行くつもりだった」
ヴィクトリアが、ついに爆ぜた。
大声で怒鳴るタイプの爆発じゃない。体全体がぐっと前に圧し出されて、声が歯の隙間から絞り出されるみたいに低くなる。その分、かえって怖い。
「一人で行くって」彼女はヨゼフを真っ直ぐ見据えた。「まだ何を隠し持ったまま死ぬつもり? 一人で井戸に降りて、あそこを閉めて、プラハ中があなたがどうやって死んだか推測するだけで終わらせるつもり? 今でもまだ、自分が残した欠片を拾い集めさえすれば、他の人間は十分だって思ってるの?」
「ヴィカ——」
「その呼び方はやめて」初めて、彼女が遮った。「あなたがそう呼ぶときは、いつも後ろにもう決めてしまったことが続くから」
ヨゼフは彼女を見て、すぐには返さない。
この沈黙が一番堪える。否定じゃないから。黙って肯定している沈黙だから。
シキは、この祖父と孫の間に何年も積み重なってきたものの重さに圧されたみたいに、思わずリン・ユートンの隣に少し身を縮めた。葉綺安はドアの脇に立ち、腕を組んで、もう口を挟まない。いつも少し皮肉めいた目が、今は静かにただ見ている。彼女には分かってる。こういう場面は、言葉を入れたくないんじゃなくて、どんな言葉を入れても汚れるだけだと。
俺は話を引き取った。このぶつかり合いが、本題に入る前に場を壊さないうちに。
「一人は無理だ」俺は言った。「来たってことは、人手が要ると分かってるからだろ。今は、あんたがまだ何かを抱え込んでいられるかどうかの話じゃない。どうやってこれをやり遂げて、終わった後に誰かが生きて結果を持ち帰れるかの話だ」
ヨゼフは聞き終えて、初めて俺をまともに数秒見た。
それから、うなずいた。
「だから来た」
この四文字が落ちた重さは、どんな説明よりもずっしりしていた。
今回は自分一人の仕事じゃないと、ついに認めたということだ。一人ではやり切れない、あるいはやり切れたとしても次の一手を繋げられないと、もう計算済みだということだ。ここまで来て、老職人が何より手放したくなかった「制御」が、ようやく緩み始めた。
ヴィクトリアが一度だけ目を閉じ、また開けたとき、さっきの崩壊寸前の縁から、かろうじて一歩だけ引き戻ってきていた。
「全部の順序を、ちゃんと話して」彼女は言う。
ヨゼフは手を伸ばし、古い紙片を彼女の方へ押した。
「これは井底の閉鎖シークエンスだ。完全な経路は書いていない」
「また隠してる」
「隠してるんじゃない」ヨゼフは言う。「書いても意味がない。あそこは最後の一区間を、耳で判断しなきゃいけない。紙だけ頼りにしたら、行かない方がまだましなくらい早く死ぬ」
ヴィクトリアはその紙を二秒ほど見つめた。破り捨てたいような、丸ごと飲み込みたいような目で。結局、ただ紙を手に取り、きちんと広げて、一行ずつ読み始めた。
読むのは速いが、飛ばさない。隣にいる俺にも分かる——彼女はこれに触れるのが初めてじゃない。外から見れば暗号にしか見えない拍と補正記号が、彼女の目に入った瞬間に、骨がどう動いて、錘がどう落ちて、どの区間を逆打ちしなければ完全に閉まらないか、具体的なものに変換されていく。この瞬間、俺にはようやく分かった。ヨゼフが何も言わなくても、最終的に彼女を探しに来た理由が。これは単純な血の話じゃない。本当に聞き取れるのが、彼女しかいないからだ。
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