93.追撃 93-1
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
鐘の音が落ちた直後、入ってきたときはまだ静かだった背後のアーチ門から、上方へ向かって鉄柵が降りてきた。一気に叩き落とされるのではない。一節ずつ噛み合わさるように、短く、硬く——もっと高いところにいる誰かが、順番に留め具を緩めているかのように。右側の半開きの鉄扉も同じ瞬間に内側へ引き込まれ、蝶番が乾いた冷たい磨れ音を立て、人が肩を傾けても通れないほどの隙間だけを残して止まった。
網を絞るのは、声で告げるものじゃない。
逃げ道が一枚ずつ消えていく音を、先に聴かせるものだ。
カレル(Karel)が鋭く振り返った。顔色は、面と向かって平手打ちを食らったように沈んでいる。今度ばかりは余計な言葉を一言も挟まず、低く怒鳴った。
「台の前から離れろ、左後ろへ——」
言葉が終わらないうちに、左の柱の影からまた短い破風音が走った。
人を狙ったのではない。
その黒釘は作業台の縁をかすめ、一体目の残骸の底架の脇にある、まだ青みの残った導橋に正確に刺さった。金属が触れた瞬間、台の底から細かい火花が連続して散った。ヴィクトリアが無理やりずらしたばかりの拍を、誰かが意図的に元へ押し戻そうとするように。
俺は胸が縮まり、ほぼ反射的に一歩前へ出て、三体目の胸腔に貼りついたままの遮信板を引き剥がそうとした。
「触るな!」ヴィクトリアが誰より早く怒鳴った。
彼女は俺の手首を掴み、半歩後ろへ引き戻した。指が熱を持っていたが、力は恐ろしいほど安定していた。次の瞬間、彼女自身は逆に作業台へ押し戻り、スパナを横に構えて、さっき自分が捻り歪めた三体目の胸腔外縁の固定具へ思い切り嵌め込んだ。
「今は爆発しようとしてるんじゃない」彼女は歯を食いしばりながら言う。「網を絞める混乱に乗じて、拍をもう一度揃えようとしてる!」
その言葉で、俺は即座に理解した。
さっきの一撃は口封じでも強奪でもない。混乱の中で三体の残骸を同じ拍へ押し戻し、続きを走らせようとしているのだ。
エリザヴェータ(エリザヴェータ)は作業台に近づかなかった。
左の承重柱の後ろへ一歩退き、傘の柄を床に一度当て、鐘楼の底部全体の光と影を極めて素早く見渡した。誰がどこに隠れているかではない。どのリズムが動いていて、どのリズムが静かすぎるかを見ていた。
「カレルが今指した出口は使うな」妾は言う。
俺はすぐに彼女を見た。「なぜだ?」
「綺麗すぎる」冷たい声だった。「柵が落ちてから、左後ろの線は一発も撃ってきていない。撃ち漏らしたんじゃない。妾らが自分から飛び込んでくるのを待っておるのじゃ」
その言葉が落ちた瞬間、カレルの顔色も一段沈んだ。彼自身も、妾の言葉が届いた瞬間に気づいたのだ。自分が反射的に口にした撤退路が、すでに相手が用意しておいた一本だったことに。
右側でまた何かが動いた。
今度は黒釘でも撞針でもない。
右の二本目の柱の下方の極めて低い位置から、薄い灰白色の煙が少しずつ滲み出してきた。石床を這うように広がり、急がず、しかし確実に作業台と俺たちの足元へ向かってくる。匂いはない。地下の湿気が灯りに炙られてできた霧かと見紛うほど薄い。だが俺がそれを見た瞬間には、エリザヴェータはすでに口を開いていた。
「吸うでない」
手首を返し、傘面を半開きにしたまま斜めに地面すれすれを掃った。風は大きくない。だが角度が正確で、集まりかけていた灰白の霧を右の柱の基部へ向かって押し流した。次の瞬間、右の柱の影の中で誰かがくぐもった呻き声を漏らした。他人に食わせるつもりだったものを、自分が先に吸い込んだような声だった。
カレルは迷わず手を上げた。
パン。
音は短く、くぐもっていた。右の柱の後ろで人が激しく後退し、暗がりに隠されていた小さな鉄架を巻き込んで倒した。架の倒れる音は小さかったが、それで十分だった——架にぶら下がっていたのは武器ではなく、細長い銅針が並んでいて、針の尾には極薄の黒い糸が結ばれていた。壁に、扉枠に、木材に差し込んで振動の反響を拾うための道具だ。人を殺すためのものではない。
俺の頭の中で、一本の線がはっきりした。
「連中は俺たちを聴いてる」俺は言った。
カレルが振り返って俺を一瞥した。目は冷たかったが、否定はしなかった。
「聴くだけじゃない」彼は言う。「測ってる」
その言葉で、背中が一気に冷えた。
何を測っている?
歩幅か、拍か、時計がこの場所で何に反応するかか。それともヴィクトリアが機構に触れたとき、どの線が先に自分から語り出すかか。
エリザヴェータも当然そこまで考えが届いていた。その考えを宙に浮かせたままにせず、すぐに使えるものへ変換した。
「向こうが測りたいなら、今すぐ人を殺す気はない」妾は言う。「退くが、一直線にはなるな。二歩進んで一度止まれ。鐘の音には合わせるな」
言いながら、妾はすでに動いていた。
どこかの扉へ向かって突進するのではない。承重柱の内側の縁に沿って斜めに切り込み、俺たちを作業台の正面から、観測と拍の測定が最もやりやすい直線上から引き剥がした。止まるタイミングと動き出すタイミング、どちらも極めて短く正確で、火を避けているのではなく、暗がりの人間に俺たちのリズムを再計算させ続けているかのようだった。
後を追いながら、俺はようやく気づいた。彼女は適当に迂回しているのではない。
柱、棚、半端な高さの工具棚を次々に使い、相手が一目で俺たちの歩幅と立ち位置を測れる空間を、一区画ずつ切り刻んでいた。
右からまた黒釘が飛んできた。
今度は前のように反射的にかわすのではなく、俺は半寸だけ沈んで肩の上をかすらせ、反手で隣の低い鉄架の縁を掴んで右へ思い切り掃い倒した。
架が倒れ、銅針と黒い糸が床に散らばった。音は大きくないが、乱雑だった。いい意味で乱雑だった。拍と距離で俺たちの位置を測ろうとしていた右側の二人が、動作を明らかに一拍止めたのが見えた。
連中が恐れているのは、俺たちが逃げることではない。
俺たちが乱れることだ。
エリザヴェータが目の端で俺を一瞬見た。褒めも問いもせず、ただ一言だけ言った。
「続けよ」
その声は平坦だった。だが、どんな叫び声よりも安定していた。妾がまだこうして話せる限り、この局面はまだ終わっていない——そう言っているようだった。
ヴィクトリアは俺たちと一緒に大きく後退しなかった。
作業台の縁に沿って動き続けている。離れてしまえば、三体の残骸が最後の一息を誰かに借りていかれると分かっているかのように。退きながら見ているのは人ではなく、台の底の、焼き切られながらもかろうじて残っている導橋の青い線だ。
「おかしい……」彼女が低くつぶやいた。
俺が二本目の柱を迂回したとき、その声が聞こえた。低かったが、その中に無理やり保っている冷静さがあって、さっき俺を怒鳴り返したときよりも、かえって気になった。
「何がおかしい?」俺は問う。
彼女はすぐには答えず、ふいに身を屈めて、さっき倒れた鉄架の下から黒い糸のついた銅針を一本拾い上げた。針先も見ずに、その糸をまっすぐ引き伸ばし、指の腹で一度なぞった。顔色がさらに険しくなった。
「これは聴診針じゃない」彼女は言う。
「じゃあ何だ?」
彼女は顔を上げ、俺を一瞥してから、俺のポケットの位置に目を落とした。短い視線だった。だがその一瞬で、それまでまだ繋がっていなかったいくつかの事柄が、一気に噛み合ったような目だった。
「導拍線よ」彼女は言った。
俺の胸が沈んだ。
名前からして、ろくなものじゃない。
ヴィクトリアは俺が問い返す前に自分で続けた。言葉が速い。だがこれまでのどの瞬間よりも明確だった。事が繋がった瞬間、残るのは間に合わないかもしれないという焦りだけになるように。
「聴診針は反響を拾って反応を測る。導拍線は違う。ある場所の拍を取り込んで、別の場所へ送り届けて、二つを強制的に合わせる」彼女は黒い糸を指で挟んだまま、関節が白くなるほど力を込めていた。「だから最初から、三体の品を運び出すつもりも、その場で手帳を奪うつもりもなかった」
エリザヴェータが俺たちを内側へ掩いながら、低く引き継いだ。
「欲しいのは『対拍』じゃな」
ヴィクトリアが鋭く一度頷いた。それまで技術的な判断の裏に押し込めていた苛立ちが、ここで完全に表へ出てきた。
「そう」彼女は言う。「あんたの時計と、この鐘楼の底の残橋と、この品の中でまだ死に切っていない反応を、一本の線として強引に繋げる。一瞬でも噛み合えば、次の本当の扉がどこにあるかが分かる」
その言葉が落ちた瞬間、全身の毛が逆立った。
品ではない。
手帳でさえない。
連中が本当に奪おうとしていたのは、「道」そのものだ。
物を持ち去りたいのではなく、俺たち三人が同時にこの場にいることを利用して、プラハの地底と旧い職人の線の中にだけ眠っている道を、強引に声に出させようとしていた。品は餌で、鐘楼は増幅器で、俺のポケットの時計とヴィクトリアの技術こそが、その道を本当に語らせられる鍵だった。
その瞬間、左側のより深い暗がりで、誰かが先に動いた。
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