91.時計匠は時間を売らない 91-2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
「ゴーレムの肋骨フレームがどうやって荷重を支えるか、圧縮エーテル(Compressed Aether)をどう安定させるか、命令刻印線をどうやって噛み込ませながら機体全体を焼き切らずに済ませるか……そういうのは、彼に教わったんじゃない」彼女は言う。「廃棄品、燃え尽きた外殻、リヴァイアサン装甲擲弾兵にぶち壊されて投げ返されてきた残骸から、自分で組み上げたのよ。一度分解して、失敗する。また分解して、また失敗する。何度か、このまま指が作業台に置き去りになるんじゃないかと思うくらい失敗して、ようやくその半分を手繰り寄せた」
それを語る声は、ひどく平坦だった。自慢する気配は欠片もない。
だがその平坦さがかえって、この技術がどこかの名匠に手取り足取り仕込まれたものじゃないことを、はっきりと物語っていた。壊れたもの、焦げた核心、もう少しで自分ごと道連れにされかけた失敗の中から、爪で引っかくようにして取り戻したものだと。
俺は彼女の手を見た。
指の関節、掌の付け根、手首の側面に刻まれた古い胼胝と新しい傷跡が、いまになって、それぞれの由来を持って見えてきた。
「だから、あんたはヨゼフを信用してないんだな」俺は言う。「彼に実力がないからじゃなくて、彼がいつも意図的に半分だけ教えなかったから」
彼女はすぐには否定しなかった。
しばらく経ってから、低く短く笑った。ほんのわずかな自嘲が混じっていた。
「あんたは、わざとキツい言い方を選ぶのね」
「でも、間違ってない」
彼女がこちらを向いた。
琥珀色の瞳は、夜よりも昼のほうがずっとはっきりと見える。影に遮られることなく、むしろ金属の底に火を閉じ込めたみたいに——明るくはないが、熱い。
「信用してないのは本当よ」彼女はようやく言う。「彼が私を傷つけようとしてたからじゃない。彼はいつも『まだその時じゃない』を理由にして、一番大事な半分を飲み込んで黙ってた。生きてる間もそうだったし、死んだ後でも暗号を残して、古いルールを残して、他の誰かに自分の代わりに盤面を歩かせようとしてる」
最後の言葉は、声が低くなっていた。
俺に向かって言っているというより、もう聞こえない誰かに向かって、ずっと溜めていた勘定を突きつけているような声だった。
「死人ってのは、都合がいいわ」彼女は言う。「説明しなくていい。怒鳴られることもない」
俺はすぐには返せなかった。
これが単なる愚痴じゃないと、分かっていたから。彼女は本気で、「お前のためだから先には教えない」というやり方を信用していない。たとえ相手が祖父であっても、自分の技術の半分の出処であっても、今もこの線上に立ち続けている理由の一つであっても、彼女は同じように信用しない。
だからこそ、旧い節点の残骸の中で、どの機構が嘘をついていてどれが死んだふりをしているかを、あれほど素早く見抜けるのかもしれない。
子供の頃からずっと、「半分の言葉」と付き合ってきたから。
窓際からまた一陣の風が吹き込んで、彼女の外套の前合わせを軽く揺らした。薄い手帳はその中に隠されていて、彼女の脇腹に貼りついている。彼女が手で押さえようとしたとき、指先が俺のポケットの外縁をかすった。ほんの一瞬、ごく軽く——だがそれだけで、言葉にされないまま張り詰めていた何かが、また一寸前へ押し出された気がした。
彼女が先に手を引いた。だが、視線は外さなかった。
「あんたは?」彼女が問う。
「俺が、何?」
「さっき、ずいぶん早く判断してたでしょ」彼女は言う。「カレルを本当に信じたから?それとも、他に選択肢がなかっただけ?」
俺は彼女を見て、正直に答えた。
「両方だ」
彼女は俺がそう答えることを見越していたように、唇の端をほんのわずかに動かした。
「少なくとも、取り繕わないのね」
「取り繕って何になる」俺は言う。「プラハじゃ今、鐘の音まで聴く相手を選んでる」
彼女はじっと俺を二秒ほど見てから、ふいに手を伸ばしてきた。
今度は俺のポケットを触ろうとしたわけでも、時計を奪おうとしたわけでもない。
俺の外套の内ポケットに入っていた遮信板の位置を、少し上へ押し直しただけだ。動作は素早く、ほとんど反射的だった。だが距離が近すぎて、彼女の身体から漂う機械油と皮革の匂い、それにかすかに混じる圧縮エーテルの苦みが、鼻先に届いた。
「ずれさせないで」彼女は低く言う。「本当にやばいときに、半寸ずれてるだけで間に合わなくなる」
俺は彼女の手に目を落としたまま、動かなかった。
「今のは、俺への注意か?それとも、俺を信用し始めたってことか?」
彼女の手が半拍止まり、それから引いた。
「どっちでもない」彼女は言った。速い答えだった。最初から用意してあったみたいに。「ただ、あんたに昨夜と今朝の手間を全部無駄にされたくないだけよ」
相変わらず、素直じゃない言い方だ。
だが初めて会ったときの、純粋な拒絶とは違う。彼女自身もあまり認めたくないような、ある種の歩み寄りが、その言葉の裏に滲んでいた。
俺は彼女を見て、ふと口から出た。
「だったら、連れてきたことを後悔しないでくれよ」
彼女は一瞬きょとんとして、すぐに目を細めた。
その表情は一瞬、言い返そうとするように見えた。だが結局、低く短く鼻を鳴らしただけだった。
「あんたも、私より先に死なないでよ」彼女は言う。
そのとき、扉の外から足音が聞こえてきた。
エリザヴェータ(エリザヴェータ)が戻ってきた。
彼女は扉を押し開けて入ってくると、まず俺たちを一瞥した。何も問わず、ただ手袋を直し直した。まるで先ほどのこの部屋の、短い静けさと近さが、最初から彼女の想定の範囲内だったかのように。
「下の処理は終わった」妾は言う。「元の部屋には最低限のものだけ残してある。今夜の後で戻れなくなったとしても、少なくとも、この線全体をここに置き去りにはせずに済む」
妾の視線が卓上の細長い紙に落ちた。声は相変わらず穏やかだ。
「では、決めるとしよう」
俺とヴィクトリアは顔を見合わせた。
今度は、誰も引き延ばさなかった。
俺が先に口を開く。「行く」
ヴィクトリアは外套の裾をぐっと押さえ、冷たく、そして迷いのない声で言った。「赴く。ただし手帳は渡さない。時計も開けない」
エリザヴェータは静かに頷いた。
「望むところじゃ」妾は言う。
窓の外、遠くの鐘楼がまた一度鳴った。
速くもなく、遅くもなく。
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