79.社交スキル実演 79-5
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
男の顔色が変わり、最後にようやく一言絞り出した。「そういう意味ではありません」
「ならばよい」エリザヴェータは言った。
反対側で、イレーナが小さく笑った。俺は見ず、自分のグラスの酒だけを見つめている。
その瞬間、俺はテーブルの上で二つの力が互いに照準を合わせているのをはっきりと感じた。
昨夜のイレーナは火で、今日のエリザヴェータは氷だ。火が俺を押し込み、氷が俺をここに固定する。どちらも一歩も引かず、互いの足を引っ張ることもしない。これこそが本当に恐ろしいところだ——二人は相手が何をしているかを知っており、それが永遠領にとって有利に働くことすら分かっている。だからこそ、安い足の引っ張り合いに労力を浪費したりしない。
晩餐会の後半、局面は完全にひっくり返った。
「保存」を建前にしようとしていた数人が、手を引き始めた。永遠領が一時的に保管し、後日多方面で協議してはどうかと言い出す者。返還には触れず、資料に特定の家族の過去の協力関係が含まれているかだけを優先して知りたいと願う者。正式発表や対外的な言葉選びにおいて「自制」を保ってほしいと、手続き上の猶予を求める者まで出てきた。
エリザヴェータはそのすべてを拒絶せず、かつ一つも承諾しなかった。
彼女が最も得意とする場面だ。全員にまだ交渉の余地があると思わせながら、実際にはその余地をすべて細い隙間に切り刻んでしまう。
「永遠領は歴史を清算しに来たのではない」彼女は言った。
この一言で、テーブルの数人が明らかに安堵した。
だが彼女はすぐに次の言葉を継いだ。
「しかし永遠領は、誰の代筆をして忘却を記すつもりもない」
吐き出したばかりの安堵の息が、再び喉の奥に詰まる。
ここが彼女の凄さだ。決して声を荒らげて威圧したりはしない。たった二言で、他人に注釈を書かせることに慣れきった連中を、自分自身の名前の下へと追い詰める。
晩餐会も終盤に差し掛かった頃、ずっと口を開かなかった老弁護士がついに声を発した。
彼は最初から最後まで静かだった。テーブルの端に置かれた、本当に刃がついているのか誰も確認できないナイフのように。この時になって初めて、目の前の小さなカードを一寸だけ前に押し出し、言った。
「永遠領が窓口と具名にこだわるのであれば、明日の午前、より正式な非公開協議の場を設けることに同意いただけますかな?参加者は少数に限り、議題も限定し、公式記録には残さない。互いの誤解を避けるためだけであれば、皆様にとっても有益なはずです」
エリザヴェータはすぐには答えなかった。
俺はそのカードを見ながら、今朝の玄関ホールにいた男を思い出し、テーブルの上の匿名脅迫状を思い出し、イレーナのカードにあった一文を思い出した。
——今日誰かがその扉を閉じるよう勧め始めたなら、正しい道を歩いている証拠。
この連中は今夜、説得に来たわけじゃない。採寸しに来たのだ。永遠領の胃袋がどれだけ大きいか、エリザヴェータがどれだけ硬いか、そして俺がただきれいな言葉を並べるだけの男か、それとも本当に手続きを刃として使える男かを測りに。
エリザヴェータは老弁護士を見て、波一つない平らな声で言った。
「非公開でも構わん」彼女は言った。「議題を限定するのもよい。だが三つ条件がある」
テーブル全員が目を上げた。
「第一、出席者名簿は今夜中に具名で妾の手に渡すこと。第二、永遠領は書面での記録権を保留する。第三——」
彼女は一拍置き、視線をゆっくりとテーブル全体に走らせた。
「何人であれ、永遠領に対し、接収済み資料の形式的あるいは実質的な封存の約束を求める者は、同一の文書上に自身の法的身分と責任の所在を明記すること」
テーブルの端で、誰かが小さく息を呑んだ。
この第三条があまりにもえぐいからだ。情状酌量を求めに来るだけなら、いい。ただ話をしに来るだけでも、いい。だがもし本気で封存を口にするなら、名前を書けというのだ。書いてしまえば、それはもう「ウィーンが共同で歴史を守る」という美しい物語ではなく、「何某が特定のものを隠し続けるよう要求した」という正式な責任になる。
老弁護士は数秒沈黙し、ようやく言った。「殿下のやり方は、この土地で昔、文書の重みを本当に理解していた者たちを思い出させますな」
「褒め言葉として受け取ろう」エリザヴェータは言った。「妾は皆に、文書にはまだ重みがあると思い出させに来たのだ」
この晩餐会はここで、実はもう勝負がついていた。
俺たちが勝ったわけでも、奴らが負けたわけでもない。局面が書き換えられたのだ。昨夜まで、永遠領はただ引き入れられただけの新しい実体だった。だが今夜以降、永遠領は他人に具名を要求し、責任を負わせ、酒杯の陰に言葉を隠すことを許さない窓口となった。この差はあまりにも大きい。
散会時、多くの者が挨拶に来た。
本気の挨拶もあれば、ついでにもう一言探りを入れる者もいる。最後の半分の時間で、自分がさっきまで座っていた位置の意味を再定義しようとする者もいた。イレーナは急いで帰ろうとはしなかった。大半の人間が散った後、ようやく彼女は俺たちのところへ歩み寄ってきた。
彼女はまずエリザヴェータを見て、グラスを上げた。
「今夜は見事でした」
エリザヴェータもグラスを上げ、軽く合わせた。
「悪くない」
「あなたの『手』、今日は昨夜よりずっと役に立ってたわね」イレーナは言った。
エリザヴェータは俺を一瞥し、淡々と言った。「今日は正式な場だからな」
イレーナは小さく笑い、ようやく俺の顔に視線を落とした。
昨夜のような近すぎる熱はない。ただ、彼女が上手にしまい込んだ、それでもまだ嗅ぎ取れる微かな余熱だけがあった。
「周士達」彼女は言った。「今夜、あなたは私の顔を潰さなかった」
「昨夜だって、潰す気はなかった」
「分かってる」彼女は半歩前に出た。距離はまだ礼節の範囲内だ。「だから私は、分をわきまえた人と本音で話すのが好きなの」
俺は彼女を見た。
「今夜もまだ、俺にくれる本音があるのか?」
「あるわ」彼女は言った。「でも、ここじゃない」
そう言うと、彼女は給仕から非常に薄い封筒を受け取り、そのままエリザヴェータに手渡した。
「あなたに。今夜の私からの二つ目の贈り物よ」
エリザヴェータは受け取ったが、すぐには開けなかった。
「今度は何だ?」
「明日の非公開協議で、誰が他人の代わりに責任を被る可能性が一番高くて、誰が最後の瞬間にペンを置く可能性が一番高いか」イレーナは言った。「目の前で勇敢なふりをされるのは嫌いなの」
エリザヴェータは彼女を二秒見て、頷いた。
「受け取った」
イレーナはそこでようやく、最後の一抹の視線を軽く俺に戻した。ほんの一瞬。ごく短い。昨夜俺の肌に残した最後の一点の熱を、ついでにもう一度軽く思い出させたみたいに。
「おやすみ、周士達」
「おやすみ」
彼女は去った。
深紅の背中が照明と談笑の声をすり抜けていく。一滴の酒がグラスの中に閉じ込められたみたいだった。まだそこにあると分かっているのに、もう手を伸ばして触れることはできない。
帰りの車内では、誰もすぐには口を開かなかった。
疲れたからじゃない。消化しているのだ。
葉綺安が先に耐えきれず、吹き出した。
「今夜の連中の顔、本当に見ものだったわ。特にあんたたちが『具名』と『責任』の二本のナイフを代わる代わる突き立てた時」
シキはタブレットを抱え、画面を見ながら言った。
「晩餐会が終わった途端、こっちにメッセージが三件追加された。二件は明日の非公開名簿に自分が入ってるかの確認。もう一件は、永遠領が今夜のうちにこっそり事前交渉してくれないかって打診」
「妾は応じぬ」エリザヴェータが言った。
「分かっとるよ」シキが頷く。「向こうの代わりに聞いてみただけや」
林雨瞳が彼女の手にある薄い封筒に視線を向けた。
「開封を?」
エリザヴェータは封筒を裏返して一瞥してから、封を切った。
中には二つ折りの紙が一枚だけ。文字は少ない。読み終えると、俺に手渡した。
受け取る。
そこには短い名簿があった。長くない、五人だけ。それぞれの名前の横に二、三語ずつ。責任を負う、退く、借刀、筆を執らず、手を洗いたがる。
最後の行は、イレーナが手書きで書き足した一文だった。
——本当に扉を閉ざしたい者は、明日必ずしも卓に座るとは限らない。だが必ず、紙の向こう側に座っている。
読み終えて、紙を折り戻した。
「あの女、今夜は本当に見物に来たわけじゃなかった」
「あの者は一度もそうではない」エリザヴェータは言った。
彼女は紙をしまい、椅子の背にもたれた。目はまだ醒めている。車窓の外、ウィーンの灯りが一つずつ後ろへ流れていく。まるで街全体が今夜、自分は平穏だと装っているようだった。だが俺たちには分かっている。それは見せかけだ。今夜が明ければ、本当に厄介なのはどの晩餐会で誰が勝ったかじゃない。この連中がついに選択を迫られることだ——自分の名前を書くかどうか。
拠点の前に車が着いた時、俺が最後に降りた。
夜風が吹いて、首筋のあの場所——昨夜つけられ、今夜エリザヴェータの指の腹が掠めた場所——がまた少し熱を持った。その熱は欲望じゃない。警告だ。昨夜のあの肉体の交わりが、本筋から外れた一章なんかじゃなかったという警告。今日の政治的局面によって証明された。あれは正真正銘、メインストーリーに嵌め込まれていた。
イレーナは彼女のやり方で、俺に扉を開いて見せた。エリザヴェータは彼女のやり方で、俺を卓の上に据えた。
一人は俺に何を聞くべきかを刻み込み、一人は全員に何を恐れるべきかを刻み込んだ。
ドアに入る前に、シキのスマートフォンがまた光った。
彼女は一瞥して顔を上げる。
「新着メッセージや」
「誰からだ?」俺は聞いた。
シキが眉をひそめた。この名前は彼女でさえ少し早すぎると感じているらしい。
「個人やない。財団でもないし、今夜の晩餐会の連中でもない」
「じゃあ誰だ?」
シキが画面をこちらに向けた。
画面には、非常に正式な送信元の表記が一行だけあった。
リヴァイアサン・バイオテック欧州大陸法務事務局
その一行を見て、俺は何も言わなかった。
下のメッセージ概要も短い。清潔で、相手が意図的に眠れなくなるだけの分量を置いたような短さだった。
——若干の歴史的資料の保管および誤読リスクに関し、永遠領対外窓口との正式な連絡経路確立を希望する。
車のライトが門の外を一周して、ゆっくりと遠ざかった。拠点の中で誰もすぐには口を開かない。
エリザヴェータはドアの傍に立ち、まだ手で框を押さえたまま、冷たく真っ直ぐな視線を向けていた。
彼女はその一行を見つめ、二秒置いてから、淡々と言った。
「重畳」
俺は振り返って彼女を見た。
「いいのか?」
「少なくとも今は」彼女は言った。「ようやく一つ、自ら名乗り出て書状を送ってくる名が現れた」
言い終えると、ドアを押して中へ入った。
俺が敷居をまたいだ時、頭の中にはただ一つ、はっきりとした考えだけがあった——
ウィーンは今夜ようやく、古い姓同士が互いを庇い合うだけのゲームではなくなった。
本当に扉を閉ざしたい者が、自分から手を伸ばし始めている。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




