79.社交スキル実演 79-2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
その後の一時間、俺たちは灰色の箱に触れなかった。
大テーブルに広げられたのは紙、名刺、タブレット、書き起こされた通信の要約、そして笑えるほど素早く届いた「善意」の数々だった。それらと灰色の箱が並んでいると、二つの世界みたいに見える。古いものと新しいもの。だが目を凝らせば、同じ一枚のものの表と裏だと分かる。箱の中は過去で、テーブルの上は現在。両方が必死に証明しようとしているのは同じことだ。何を見せてよくて、何を永遠に地の底に沈めておくべきかを、誰が決める権利を持っているか。
左手側には、来るのが早すぎる「心配」が積み上がっていた。
より適切な保存環境を提供できると言う者、共同封存手続きの構築を支援したいと言う者、一部の資料は元の機関の文脈から切り離されると歴史的誤読を招く恐れがあると言う者。どの文面も美しく書かれていた。銀のカトラリーでスープを口元まで運んでくれるみたいに。だがそのスープの味は一種類しかない。返せ、もう掘り返すな。
真ん中の束は切り捨てだった。
当時は受動的に名前を貸しただけだと声明を出し始めた家もある。死者を盾に押し出してきた者もいる。姓が何代も引き継がれれば、紙の上の手はもう自分の手じゃないとでも言いたいのか。あの建物の管理権はとっくに譲渡済みで、関連する旧物に直接の責任はないと先手を打ってくる者まで出てきた。
右側の束が一番薄かったが、一番面白かった。
求和だ。
協力でも投降でもない。あまり強く引き裂かないでくれという、余地の要求だ。別の名簿を差し出すと言う者、ある扉の鍵を補填すると言う者、特定の年代の出入り記録を提出すると言う者。求めているのはただ一つ、永遠領が特定の一ページ、特定の一姓、特定の一種の記号を公の場に持ち出すのを、当面は待ってくれということだ。
一通ずつ読み終えて、俺は椅子の背にもたれ、短く笑った。
シキが顔を上げた。
「何がおかしいの?」
「昨夜は俺たちを新参の客として見てた」俺は言った。「今日は、誰が火を持ってるのかを見てる顔だ」
「火を持ってても怖くない」林雨瞳が言う。「怖いのは、どこに点けるつもりなのか、まだ分からないこと」
葉綺安が名刺を一枚、テーブルに叩きつけた。
「これが一番面白い。昨夜は棺桶の中みたいな顔で座ってたくせに、今朝一番にメールが来て、オーストリアの保存業界の旧知を紹介したいって。翻訳すると、私たちが何を見たか、先に知りたいってこと」
「無視していい」エリザヴェータは言った。「先に連中同士で探り合わせておく」
シキが署名のない短い書状を彼女の前に差し出した。
「これが一番好きなタイプ。短くて、丁寧で、脅しじゃないふりをしたいのが透けて見える」
エリザヴェータはそれを受け取り、一瞥して俺に向けて押し出した。
紙には一行だけあった。
——貴方がたが重編バッチの閲覧を続行するのであれば、どの窓口がその結果を引き受けるか、先にお決めください。
俺は紙をテーブルに戻した。
「丁寧だな」
「礼儀は一番金がかかる」林雨瞳は言った。「礼儀に金をかける人間は、大抵刃も研いである」
エリザヴェータは淡々と言った。
「こういうのが一番いい。脅しを一度書き留めた瞬間、番号がつく、時刻がつく、返信窓口がつく。一番価値がないのは怒鳴ること。一番価値があるのは、焦りを公文書に自分で書かせること」
葉綺安が窓にもたれ、横顔にウィーンの日差しが薄く当たっていた。笑うとやっぱり、天も地も怖くないという顔になる。
「で、私たちは今どうするの?晒し続ける?それとも噛みつく?」
「どっちも急がない」エリザヴェータは言った。「本当に焦ってるのは私たちじゃない」
言い終えて、彼女は俺を見た。
その一瞥は重くない。だが明確だった。この一テーブル分の紙、通信、示唆、脅しの中から、今すぐ片付けるべきものを一つ選んだ、という目だった。
「周士達」
「ん」
「ついてきて」
立ち上がって、彼女の後ろについて奥の小さな応接室へ向かった。
ドアが閉まると、外の紙の音、話し声、タブレットの通知音が一斉に遠くなった。部屋は狭く、カーテンが半分引かれ、テーブルも小さい。茶が二杯、あるいは刃が一本置けるくらいの。エリザヴェータは座らず、窓際に歩み寄り、手袋を一本ずつゆっくりと外して、テーブルの端に置いた。
その動作が、制御できないまま昨夜のことを引き戻した。
イレーナも同じだった。ゆっくり、落ち着いて、何も言わず、まるで手袋を外しているんじゃなく、社交の場の最後の一枚の規矩を指先から少しずつ剥いでいくみたいに。あのとき灯りは暖かく、酒の気配も暖かく、彼女の指先が俺の襟元に触れたときの力は冗談みたいに軽かった。でも口から出た言葉は酒より硬かった。
エリザヴェータは何かを察したのか、振り向かないまま言った。
「順序を忘れさせられたか?」
俺は短く笑った。
「そっちの方が嫉妬より答えにくい」
「嫉妬してる暇はない」彼女は振り向き、俺を見た。「昨夜、あなたをあそこに残したのは正解だったか、聞いている」
部屋が二秒、静かになった。
俺は彼女を見ながら、この一言が感情のどんな言葉よりずっと重いと思った。女が女を計るんじゃない。組んだ相手が曖昧な問いを投げてくるんでもない。領主が自分の最も信頼する手に問いかけているんだ。昨夜お前を他人の火の中に置いた。今日お前が持ち帰ったのは灰か、刃か、と。
「正解だった」俺は言った。
彼女は動かなかった。
「理由を」
「昨夜彼女が俺に触れたのは、彼女の手段だ」俺は彼女を見て言った。「俺が今日、彼女が耳元に残した言葉を一言も落とさず持ち帰ったのは、俺の仕事だ」
エリザヴェータは俺を見つめ、感情を見せず、それでもこれで通すつもりはないという顔をしていた。
「言葉だけか?」
この問いは的確だった。
床のことでも、欲のことでもない。傾きのことを聞いている。あれだけ近く、あれだけ熱く、刃を持ち込んだまま肌を寄せ合った夜が、情報以外の何かを俺の中に残さなかったか。
俺は二歩前に出て、彼女の少し手前で止まった。
「もう一つある」俺は言った。
「申せ」
「昨夜の彼女は、人を引き込もうとしてたんじゃない。賭けを打ってたんだ」俺は言った。「そして今日、彼女は手を引かない。もう自分をこの件に縛りつけてしまった」
エリザヴェータの目が、わずかに動いた。
驚きじゃない。確認だ。
「昨夜、なぜそなたを残したか分かるか?」
「半分は」
「残りの半分は?」
彼女は一歩近づき、手を上げて俺のコートの襟を整えた。指の腹が首筋のあの薄い痕——どうやっても消えきらない奴——を掠めて、俺の喉仏が動いた。その動作には温もりの欠片もなく、嫉妬の気配もない。それでいて、どんな温もりや嫉妬よりもずっと宣言めいていた。昨夜放ち出して、今日また完全に回収した兵器を、点検しているような。
「妾はそなたを彼女に貸したのではない」彼女は言った。「永遠領に触れたければ、まず誰を通すべかを、分からせたのだ」
俺は彼女を見ながら、笑いをもう抑えきれなかった。
「その言い方、所有権みたいに聞こえるぞ」
「違う」彼女は瞬きもせず言った。「窓口だ」
この女の一番恐ろしいところは、宣言でさえ制度みたいに語れることだ。彼女が俺を守っているのか、使っているのか、それとも自分の傍の一番高い席に置いているのか、判断がつかない。しかもその三つは、少しも矛盾しない。
俺は手を上げ、彼女の手首を掴んで襟元の位置で止めた。
「じゃあ俺からも一つ答えとく」俺は言った。
「申せ」
「昨夜、俺は自分を安売りしなかった」俺は彼女を見て言った。「今日もしない」
彼女はしばらく静止してから、ごく小さく「ん」と言った。
褒めでも、なだめでもない。確認だ。彼女の中でずっと張り詰めていた何かの糸が、ようやく切れずに済んだという音だった。
彼女は手を引いて、ドアの方へ向き直った。だがドアノブに触れる直前で、また止まった。
「それと」
「ん?」
振り返らない。
「彼女がまたそなたに触れるなら、値をもう少し吊り上げておけ」
俺は本当に声に出して笑った。
彼女がようやく顔だけ傾け、平らな目で俺を一瞥した。
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