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71.家に帰ろう 71-1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

午前一時十三分。


チャイムが鳴った瞬間、俺は確信した――あいつらもようやく、膝をついた姿勢を公文書に書き込む技術を習得したらしい。


(シキ)が真っ先に監視映像を壁面に叩き出す。


階下に四人。スーツは昼間のままだが、今のほうがよっぽど正直な皺を刻んでいる。司法協調室主任は公文箱を抱え込み、財政次官の顔色は会計士に人生を宣告されたばかりの男そのもの。内政副局長は微動だにせず直立――まるで動かなければ、この屈辱が自分の勘定に入らないとでも思い込んでいるかのように。一番悲惨なのは文化部次官で、もう一部の副本を、最後の浮き輪でもつかむように握りしめている。


俺はドアを開けた。隙間は最小限だ。


「深夜の配達ご苦労。驚異的な効率じゃねえか。朝日が昇る前に、大家が気を変えることがよっぽど怖かったと見える」


誰も返さない。


当然だ。今日、ガラクタみたいな嫌味を吐く権利を持っているのは俺であって、こいつらじゃない。


ヴァヴラが後ろから進み出て、挨拶すら省いて公文箱を受け取り、そのままテーブルに置いて開けた。留め金が弾ける音と共に、部屋中の空気がその紙束に向かって沈んでいく。


正式版だ。


文書番号、署名機関、添付書類、添付図面、発効時点、窓口名簿――すべて揃っている。


見事なもんだ。


国家という巨大な機械が、ようやく「自分たちが何をやらかしているか自覚している」という事実を紙に書く気になったらしい。


エリザヴェータは席を立ちもせず、ただわずかに視線を上げる。


「題を読み上げよ」


司法協調室主任の喉仏が動いた。その数文字が喉を切り裂くとでも思っているかのように。


ヴァヴラが代わりに読み上げる。


「『ドラキュリヤ=バートリ大公永遠領特別自治および公共サービス租回管理安排正式確認書』」


俺は堪えきれずに笑い声を漏らした。


「上出来だ。今回はちゃんと『署名』をサブタイトルの陰に隠さなかった」


財政次官の顔がさらに一段階黒ずむ。


ヴァヴラがページをめくる。


第一条――エリザヴェータをドラキュリヤ=バートリ大公永遠領の権利主体として承認し、ポニツェ城、付属地、およびポニツェ=ノヴァーキ=プレヴィザ歴史権利重複核心区における優先権利主張と暫定保全地位を認める。


第二条――送達の時点より、ポニツェ城の売票停止、新規商業活動停止、権利の再処分を停止する。


第三条――政府は正式分割および確認完了前、年額一ユーロの対価で公共サービス管理権を租回する。刑事、一般秩序、警消、公共行政は継続。場域収益、物権執行、対外賃貸および領内代理権は我が方に帰属。


第四条――二十一日以内に初期地籍分割標示と旧鉱業権重複初核を完了する。


第五条――マレク・ヴァヴラを領内全権代理人として具名記載する。


第六条――明日午前八時三十分、ポニツェ城正門の売票清場。九時ちょうどに開門し、政府窓口が現場で立会い見証を行う。


最後の条文を聞いた瞬間、全身に力が入った。


「ようやくだ」俺はあいつらを見回した。「『開門』の二文字を書き込む勇気がついに出たらしいな」


誰も口を開かない。


これは手続きじゃない。姿勢だ。


先に扉を開けた側が、自分がずっと「門の内側」に立っていたことを認める。ただ、それを口に出さなかっただけで。


エリザヴェータは聞き終えると、静かに手を差し出した。


ヴァヴラが最後のページを渡す。


彼女は読むのが速い。速すぎて、文字を読んでいるのではなく、相手がどこまで退いたかを測っているだけなのではないかと疑うほどだ。租回管理のページで一瞬止まる。立会い条項で、口の端がごくわずかに動いた。


笑いではない。


この愚かなる人の子らが、ようやくわらわの屈辱に値する文書を書き上げたか――そんな表情だ。


彼女はペンを取り、末尾に直接署名した。


ペン先が紙に触れる音は、驚くほど軽い。


だが俺には分かっている。この一筆から、物語のすべてが変わると。


一枚の紙で世界が決まるわけじゃない。


だが、この紙はついに認めたのだ――ある種のものには、もともと主がいた。ただ、その名を声に出す勇気が、誰にもなかっただけだと。


彼女はペンを置き、政府代表どもを見下ろした。


「明朝九時。時刻厳守じゃ」


司法協調室主任が低い声で言う。「遅れはいたしません」


彼女の眼光が鋭く射抜く。


「『遅れない』ではない。『汝らが従わねばならぬ』のじゃ」


相手の唇が引き結ばれ、言い返す言葉は出てこなかった。


俺は横に立ち、テーブルの正式確認書を見下ろしながら、気分が良すぎて酒でも開けたくなった。だが残念ながら、この部屋で今夜一番似合うのは酒じゃない。国家の恥を液体にしたような何かだ。


林雨瞳(リン・ユートン)が歩み寄り、もう一部の副本を引き抜いて(シキ)に放る。


「スキャン、バックアップ、三重同期」


(シキ)は頷き、すでにキーボードを叩いている。


葉綺安(イェ・キアン)はソファの肘掛けに腰掛け、足を揺らしながら男たちを眺めた。


「おめでとう。今日であんたたち全員、歴史文書の付属証人に昇格よ」


文化部次官がついに顔を上げる。


「その言い方はいくらなんでも――」


俺は彼を見た。


「耳障りか?」


彼は黙り込む。


俺は笑い飛ばした。


「安心しろ。明日の現場はもっと耳に刺さる」


あいつらが最後どうやって帰ったか、よく覚えていない。重要じゃないからじゃない。書類が敷居をまたいだ瞬間から、あいつらは登場人物から小道具に成り下がったからだ。


本当に始まるのは、明日だ。


---


俺の睡眠時間は三時間にも満たなかった。


眠れないんじゃない。この家の誰一人として、まとめて眠る気分じゃなかっただけだ。


四時過ぎ、(シキ)はまだ配信予告と海外メディアのスケジュールを睨んでいる。五時、ヴァヴラはすでにスーツに着替え、ダイニングテーブルで条文を読み返している。五時半、林雨瞳(リン・ユートン)は窓際にもたれて三杯目のブラックコーヒーを流し込んでいる。顔色は夜気より冷たい。六時、エリザヴェータが部屋から出てきた。黒いドレスから、よりシンプルで洗練されたラインの一着に変わっている。手袋はそのまま、首筋は真っ直ぐで、その眼差しは今日向かう先が物件の引き渡しではなく、首実検であるかのように澄み切っていた。


俺は彼女を見て、思わず口を開いた。


「今日のあんた、自分の戴冠式に出席しながら、ついでに政府を踏み台にしに行く人みたいだ」


彼女は俺を一瞥する。


「減らず口を叩くでない。後で馬車を降りるとき、もう少し人の子らしく見えるであろう」


「今の俺は人に見えないか?」


「証人には見えるのう」


「それなら上等だ。証拠品扱いよりはマシだろ」


後ろで葉綺安(イェ・キアン)が吹き出した。


七時二十分、出発。

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