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69.数字は嘘をつかない 69-3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

俺はゆっくりと笑みを広げる。


「ほう。昔から『これはおかしい』と思っていた人間がいたわけだ」


「そんなことは言っていない」


「だが今の顔がそう言っていた」


ワヴラが書類を前に押し出す。


「関連する議事録、異議の附記、または補足意見欄の有無を確認してほしい」


男は答えない。


俺は男が今しがた書いた基金名称を一瞥してから、顔を上げる。


「もう少し答えやすい言い方を考えてやろう。『内部告発者がいた』とは言わなくていい。ただ、『一部の議事録に異議または補足意見が附記されている可能性がある』と言えばいい。中立的で、官僚的で、あんたにぴったりだ」


カウンターの女性職員が、危うくむせそうになった。


男は俺を睨み、目にようやく火が宿った。


「あなたは物事を醜くすることが得意だな」


「違う」俺は口を裂く。「物事は最初から醜い。俺はただ、フィルターを外しているだけだ」


ワヴラが静かに重ねる。


「文書で確認を」


男はすぐにはペンを取らなかった。


俺はその様子を見ながら、一つのことを理解した。


前の窓口が恐れていたのは、資料の流れを吐かされることだった。


ここが恐れているのは、それだけじゃない。


異議の記録があると認めた瞬間、この収益の鎖を誰も見ていなかったわけじゃない、全員が眠ったふりをしていただけじゃない——ということになる。


誰かはとっくに目を覚ましていた。そして、布団を引きはがすことを選ばなかった。


男は最終的に書いた。


「一部の過去の議事録に、補足意見または留保意見が附記されている可能性がある」


俺は口笛を吹きそうになった。


補足意見。留保意見。


財務の言葉というのは、これで首を絞めたくなるくらい、柔らかい。


ワヴラは止まらない。


「具名責任者を。基金事務局。改制移転プロジェクト事務所。財務監理組。それぞれ現在の担当者は誰か」


男は一気に冷えた。


「それは内部人員の情報に——」


「違う」ワヴラは言う。「行政上の連絡先と責任主体の問題だ。とりわけ、関連収益チェーンが争点の対象と重複する可能性をすでに認識している以上、なおさらだ」


俺も前に出る。


「あんたらは制度、プロセス、プラットフォーム、メカニズムという言葉が大好きだ。今日はその言葉の後ろに、何人の顔が隠れているか確かめに来た」


男は数秒、俺を見た。


「これは魔女狩りだ」


俺は笑った。


「大げさに言うな。魔女狩りは存在しないものを追いかけることだ。俺たちが今日追いかけているのは、名前があって、印鑑があって、給料をもらっている人間だ」


カウンター前が、一瞬静まり返った。


外に記者が待っているのは、俺も知っている。


男も知っている。


こういうとき一番怖いのは、俺たちの口が悪いことじゃない。


今の一言が録られたら、かなり需要があると、男自身がわかっていることだ。


男は最終的に別の内部用紙を取り出し、素早くいくつかの名前と職名を書いた。


基金事務局長。


改制移転プロジェクト主任。


財務監理組副組長。


そして——退職済みだが、ある年度に資産分類再整備を担当した前任の総会計士。


俺はその名前を見て、本当に笑いそうになった。


現役三人、退職一人。


これは資料じゃない。


これは表札だ。


ワヴラがその紙を引き取り、冬の刃みたいに冷えた目で見る。


「この方々は、関連する収益分類と資産承継の決議について、署名、承認、または列席したことがあるか」


男は眉をひそめる。


「個別の署名内容は原本の書類を調べなければ——」


「結構」俺は言う。「じゃあもう一行書いてくれ。原本書類は照合可能、と」


男は歯を食いしばった。


「照合できる可能性がある」


俺は穏やかに笑う。


「今日は本当に『可能性がある』が大人気だな。いっそ国章を疑問符に変えたらどうだ」


後ろで誰かが噴き出した。


男は後方のオフィスを振り返り、顔がさらに険しくなった。


ワヴラがペンを男の前に置く。


「書け」


男は書いた。


一画一画、まるで自分の人生に継ぎ当てをしているみたいに。


書き終わる寸前、ワヴラが鉱業権窓口の副本を引き出し、新しい書類の横に並べた。


「もう一度確認する。あんたらの側は、地方エネルギー運営プラットフォームと後続基金が収益を承継したことを認識している。鉱業権旧案件窓口は、地方収益配分とオーバーレイ比較があったことを認識している。文化財窓口は重複現場検証があったことを認識している。地籍局は歴史的地籍索引があることを認識している。——この状況において、過去にこれらの資料を横断的に審査した正式な跨部局会議が存在したか?」


男が顔を上げた。


今度の目に宿っているのは怒りじゃない——タイムマシンを借りて、当時の担当者を消しに行きたいという、骨の髄まで染み込んだ疲労だ。


「前置統合会議があった可能性がある」


俺は笑いすぎて腰が曲がりそうになった。


「またそれだ。『可能性がある』——でも全員がどこにあるか知っている。これは行政システムじゃない。大規模な鬼ごっこだ」


ワヴラは笑わない。ただ追いかける。


「何という名義で?」


男はかなり長い間止まってから、ようやく名称を告げた。


歴史資産・エネルギー利用・地方管理インターフェース統合前置会議。


俺は聞き終わって、拍手したくなった。


この名前の長さには一つだけ目的がある——読んでいる途中に眠らせることだ。


残念ながら、今日ここに立っているのは俺たちだ。


「主催部局は?」ワヴラが問う。


男は答えない。


俺は男を見据える。


「今言わなくても、次に基金のところへ行けば向こうが言う。そのとき、あんたは最後まで正直になれなかった人間になる」


これは効いた。


誰でも、最後の一人になるのは嫌だからだ。


男はついに吐き出した。


「当初は経済転換委員会の下で統合指示が出され、後続は基金事務局と地方行政調整事務所が引き継いだ」


俺の顔に浮かんだ笑みは、もう収まらなかった。


経済転換委員会。


地方行政調整事務所。


また扉が二枚増えた。


また手形が二列増えた。


ワヴラが副本を整理して、冷えた声で言う。


「結構。では収件備考の末尾にもう一行追加してもらおう。『当組として、関連収益チェーンおよび改制承継が複数機関の既存会議および責任分担に関与している可能性を認識しており、法に基づき既知の流れと連絡窓口を提供する』と」


男は目を閉じた。自分のキャリアに線香を上げているみたいに。


それから書いた。


印鑑が押された瞬間、俺はこの一枚の紙に、少し感動した。


財務システムが一番隠したかったことが、ついに書かれたからだ——金は空から降ってきたんじゃない。誰かが、どう集めて、どう分けて、どう名前を変えて、どう公益に洗い替えるかを決めた、ということが。


---


財務監理組を出た瞬間、記者たちが直接突っ込んできた。


囲むんじゃない——衝突だ。


「改制基金の具名責任者を把握しましたか?」


「過去の議事録に留保意見が存在することが確認されましたか?」


「政府は収益チェーンに問題があると知りながら、運営を継続していたのですか?」


俺は手の副本を掲げ、マイクがほとんど脇の下に押し込まれそうになった。


「今は一言だけ言う」


現場が一瞬静まった。


「ここまでのところ、地上の地図、地下の鉱山、入口の入場券、帳簿の金——どれ一つとして、誰も管理していなかったものはない。問題は『誰が知っていたか』じゃない。問題は、『知っていた人間が、一度に全部話さないと決めていた』ということだ」


前列の記者の目が一斉に輝いた。


ワヴラが横に並んで、さらに鋭く刺す。


「加えて、収益の承継、改制の分類、跨部局の前置会議、具名承辦責任——これらが書面上の流れとして確認されており、単一の窓口が責任を切り離すことはできない。政府がこの案件を引き続き単純な文化的管理の枠組みとして説明するなら、重大な説明責任が生じる」


この一言が出た瞬間、現場が爆発した。


「政府内部ではすでに全体像を把握していたということですか?」


「歴史的収益が、権原整理の未完了な対象の上に積み上げられていたということですか?」


「収益の返還を求めるつもりですか?」


俺は口を裂く。


「それは大家の気分次第だな」


一瞬、全員が固まった。次の瞬間、現場全体がメモを走らせ始めた。


この一言はまた飛ぶな、と思った瞬間、スマホが震えた。


シキだ。


俺が出ると、向こうの背景音は火事場みたいだった。


「名前を吐かせたか?」


「四人。それと統合会議の主催チェーンも一本」


「最高」シキが一息つく。「今ネット上では『黒い箱じゃない、名前のある箱だ』ってフレーズが広まってる」


俺は笑った。


「いい一言だな。誰が書いた?」


林雨瞳(リン・ユートン)


「今日の彼女、八十五点は出てるな」


電話の向こうで、林雨瞳(リン・ユートン)の冷えた声が割り込んできた。


「勝手に採点しないで。エリザヴェータが直接基金会へ行けと言ってる」


俺は眉を上げる。


「そっちはどんな状況だ?」


シキの声が少し低くなる。


「もう賃貸契約の草案を読んでる」


俺は一秒固まってから、笑い出した。


「政府の正式案がまだ出てもいないのに、先に賃貸契約を?」


電話が林雨瞳(リン・ユートン)に代わった。


「政府がもう少しで膝をつくと思ってる。ただ、多少の行政的な体裁を保って跪きたいだけ、だって」


俺はさらに大きく笑った。


「それは筋が通ってる」


ワヴラが手を差し出した。俺はスマホを渡す。


「基金会の準備はできてるか?」


シキがすぐに答える。


「どうとも言えない。中で電話してる人間がいて、何かを消してる人間もいる」


ワヴラの目が冷えた。


「何を消してる?」


「わからない」シキは言う。「でも今、外部に流出したスクリーンショットを追ったら、基金会事務局の誰かが『旧版の収益分類附記はどの共有フォルダに残ってるか』って聞いてた」


俺は横で思わず一言漏らした。


「うわお、公開焼身自殺かよ」


林雨瞳(リン・ユートン)が冷たく続ける。


「だから早く行って。ハードディスクを川に投げる前に」


電話が切れた。


俺とワヴラは目を合わせ、無駄口なしで車に乗った。


---


基金会のオフィスは、政府庁舎の中にはなかった。


この事実だけで、もう十分に味わいがある。


歴史的資産を承継し、収益の分類を処理し、改制と地方運営に手を突っ込んできた基金会が——その事務所を構えているのは、改装し過ぎて外観だけコンサルティング会社に見える、中身は全部古い帳簿でできた、商業ビルの一フロアだった。


車を降りた瞬間、俺は笑った。


「いいね。黒い箱、外観まで頑張ってる」


ワヴラは公文書袋を脇に挟む。


「中に入ったら、話を『専門技術』の方向に持っていかせるな」

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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