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69.数字は嘘をつかない 69-2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「書け」


上席はついに書き始めた。


一画一画が、さっきより重い。まるで一筆ごとに、見知らぬ前朝の役人の葬式を、代わりに出してやっているみたいだ。


最後の段落まで書き進んだとき、男の手が一瞬止まった。


「なお、一部の歴史的鉱区範囲については、エネルギー施設整理および地方開発前置評価の過程において、地籍資料および文化施設資料との技術的オーバーレイ比較が実施されたことがある」


俺は思わず声を出して笑った。


「おいおい」


ワヴラも顔を上げた。


これは、今日これまでに掘り出したどれよりも、ずっと太い。


なぜなら、これはもう「昔、鉱山があった」「土地があった」「城があった」「境界線があった」という話じゃない。


後になってから、誰かがそれら全部を同じ一枚の地図に重ねて、確認していたということだ。


つまり——政府は知らなかったんじゃない。


全部、完璧に把握した上で、バラバラに語ることを選んでいた。


俺は上席を見る。


「どの前置評価だ?」


「地方開発とエネルギー施設統合プロジェクト」


「何年だ?」


男が年を告げる。


俺の口の端が引っ張られる。


「誰が仕切った?」


「それは——」


「誰が仕切った」


二秒の沈黙。それでも、男は書いた。


名前が紙に落ちた瞬間、俺は危うく拍手しそうになった。


その名前が大物だからじゃない。


その人間が今も、体制の中にいるからだ。


生きている。


息をしている。


怖いと感じる。


ワヴラがそのコピーを抜き取る。声は、研ぎたての刃の峰を首筋に当てたみたいに冷たい。


「いい。では最後にもう一つ。地方エネルギー運営プラットフォームと後続基金の収益は、どの権利根拠に基づいて配分されていた?国有資産、代管資産、歴史的接収資産——それとも、その他か?」


上席は俺たちを見た。今度は本気で引き延ばそうとしている。


「それは財務・法制上の認定事項であり、当処が単独で回答できる性質ではない」


俺はすぐに引き取る。


「構わない。答えなくていい。『この件は某某部局にも関係する』と書いてくれれば、俺たちが自分でドアを叩きに行く」


「それは行政効率の観点から——」


「違う」俺は笑う。「これは行政の地図だ」


男はしばらく俺を睨みつけた。それでも、最後にはペンを取った。


財務監理組。エネルギー改制基金。地方運営結算窓口。


名前が一つずつ吐き出されるたびに、俺は「今日ここまで来た甲斐があった」と思った。


俺たちは今日、答えを取りに来たわけじゃない。


「答えは最初から、別々の棚に分けて仕舞われていた。そして全員が、隣の棚に何が入っているか知っていた。ただ、知らないふりをしていただけだ」——それを認めさせに来た。


文書にようやく受理印が押されたとき、俺は時間を確認した。


十一時二十三分。


思ったより早い。


副本を手に取った瞬間、外が騒がしくなった。


記者が来た。


しかも、前の二か所より多い。


「地下の権利」という四文字は、やはり引力が強い。地上で城を争い、地下で鉱山の金が出てくる——こんなネタをメディアに放り込んだら、生肉を池に投げるより早く食いつく。


一人の記者がドア口まで飛び込んでくる。


「政府が過去に鉱業権収益から利益を得ていたことが確認されましたか?」


俺がまだ答える前に、別の記者が追いすがる。


「国有化の旧案件は、現在の自治領論議の範囲に影響しますか?」


三人目は、もっと鋭い。


「地下資産も争点に含まれるなら、政府がこれまで言ってきた『文化的管理の枠組み』は、意図的に争点を矮小化したものではないですか?」


俺はドア口に立ち、手の副本を掲げた。


「今は三つだけ言える。第一に、鉱業権旧案件、国有化接収、地方収益配分——これらは都市伝説じゃない。第二に、関係部局は本日、これらの資料に保存チェーンが存在することを文書で認めた。第三に——」


俺はその紙をひらりと振る。


「あんたらの政府は、観客より先に知っていた。城の下にあるのは、土だけじゃないと」


現場が一瞬で爆発した。


スマホが一斉に突き出され、マイクが俺の口元まで迫ってくる。


ワヴラが俺の横に並んで、静かに刃を差し込む。


「歴史的鉱区範囲、地籍の分割、文化施設保護範囲が技術的にオーバーレイ比較されていたとすれば、政府がこれまで主張してきた『客体範囲は未確定』という立場は、全て再検討が必要になる」


記者たちの熱がさらに上がる。


「公式に境界が切れると知っていたということですか?」


「収益が、未整理の権原の上に積み上げられていたということですか?」


「既存の収益の返還を求めるつもりですか?」


俺はカメラを見て、ゆっくりと笑う。


「やっと、まともな質問になってきたな」


後ろで誰かが息を呑む。前では誰かが猛烈にメモを取っている。


シキのところが今頃どれだけ興奮しているか、想像するだけで笑える。


これは一本のニュースじゃない。これは導火線の束だ。


地下の権利、国有化の旧帳、収益配分、オーバーレイ比較、生きている担当者、今も動いている基金——


一語一語が、単純な手続き上の不備より、ずっと洗い流しにくい。


手続きなら「ミスだった」で済む。地下の金は、「自分で口座に入ってきました」とは言えない。


そのとき、スマホが鳴った。


エリザヴェータからだ。


俺は電話に出て、耳に当てる。


向こうは静かだった。もうニュースを全部見終わったかのような静けさだ。


周士達(ジョウ・シーダー)


「ここにいる」


「収益の線を吐かせたか」


俺は手の副本を見ながら、口の端を上げる。


「吐いた。基金と結算窓口、オーバーレイ比較の記録、それから生きてる担当者の名前まで、おまけで付いてきた」


電話の向こうが、一秒止まった。


それから、彼女はごく静かに言った。


「重畳。ならば、もはや城の奪い合いではないな」


俺の口の端がゆっくりと引っ張られる。


「ああ」


エリザヴェータの声は、刃の峰を頸動脈に当てたように冷たかった。


「年貢の取り立てじゃ」


電話が切れた。


俺はスマホを下ろして、まだ矢継ぎ早に質問を浴びせている記者たちを眺める。ふいに、今日の空気が清々しく感じられた。


陽光のせいじゃない。


この国がついに、一つの不格好な問いに答えなければならない場所まで、俺たちに追い込まれたからだ——


お前たちは、他人の土地の上に立っているだけじゃない。


他人の地面の下で、何年も金を稼いでいた。


俺とワヴラがこれからやるのは、その帳簿を何ページまで開けて、誰が署名して、誰が山分けしたか——全部、一ページずつ剥がしていくことだ。


俺は振り返った。


「次は?」


ワヴラは副本を公文書袋に収めながら、無表情のまま言う。


「財務監理組。それから、例の改制基金だ」


俺は笑った。


「いいね。地下の金が最後に、どのきれいな人たちの懐に流れ込んだか、見に行こう」


言い終わるか終わらないかのうちに、スマホがまた震えた。


シキから、新しい見出しが届く。


ポニツァ論争が拡大 地下鉱業権と収益チェーンが浮上 政府旧案件窓口、国有化接収と配分資料の保存チェーン存在を認める 「城の奪い合いではない、年貢の取り立てだ」——生中継の一言が全土で拡散中


俺は最後の一行を見つめ、思わず顔を上げて、灰色に冷えたビルを仰いだ。


いいじゃねえか。


地上のドアは、もう蹴破った。


次は、地下のあの層が血を見る番だ。


---


財務監理組は、鉱業権資料保存センターよりも、人を発狂寸前まで追い込む場所だった。


鉱権のほうには少なくとも「地下」という存在感があった。ここにはない。あるのはガラスのドアと、感応カードと、誰かが帳簿をごまかして以来ずっと息を潜めているような廊下の静けさ——それから、「責任を薄切りにして他人に食わせることが得意そうだ」と一目でわかる蛍光灯だけだ。


俺とワヴラが入っていくと、カウンターの女性職員は最初に俺を見て、次にワヴラを見て、三度目に後ろから追いかけてきたカメラを見た瞬間、顔色が「お役所ブルー」から一瞬で「病欠ホワイト」に変わった。


「ご予約はございますか?」


「ある」俺は今しがた受け取った副本をカウンターに置く。「一つ前の窓口が取ってくれた。親切にも、あんたらの名前まで一緒に吐いてくれてな」


女性が目を落とした瞬間、喉が詰まった。


鉱業権旧案件窓口。地方エネルギー運営プラットフォーム前身。改制承継基金。財務監理組。


一本の線が地下からここまで真っ直ぐ伸びている。


絞首縄みたいに——


きれいだ。


ワヴラが新しい書類を取り出す。


「ポニツァ・ノヴァキ・プレヴィザ関連の歴史的資産収益結算チェーン、改制前後の承継決議、基金の用途分類、対外会計上の名目、および関係担当者の決裁記録の閲覧申請だ」


女性職員の目が、瞬時に主任を探し始めた。


俺は気を利かせてやる。


「そんなに時間かけなくていい。今日は全員に順番が回ってくる」


口の端がひくりと引きつった。


「この部分は内部財務資料に——」


「結構」俺は笑顔で見る。「今日は、どの金が『内部』と呼ばれて長すぎたか、確認しに来たんだ」


ワヴラがペンを置く。


「受理を」


「上席の確認が——」


「呼べ」


女性が受話器を取る速度は、前の窓口より明らかに速かった。


俺はその手を眺めながら、妙な感慨を覚えた。


今日この国で一番効率のいい行政手続きは、たぶん「俺たちの顔を見た瞬間に主任を呼ぶ電話」だ。


数分後、濃紺のスーツを着た四十代の男が出てきた。髪は几帳面に撫で付けられている。几帳面すぎて、一本一本が守秘義務の誓約書にサインしているみたいだ。


男は自己紹介もせず、まず書類を見て、それからワヴラを見る。


「お二人のご要望は、既存の基金運営と歴史的財務の取り決めに関わる部分を含んでおり、現在の権利争議と直接対応するとは限りません」


俺はうなずく。


「財務の人の話し方って、本当に上手いな。翻訳すると——金がある、取り決めがある、歴史がある、でもこの三つを繋げるな——ってことだろ」


男が俺を一瞥する。


「本日はプロフェッショナルに進めたいのですが」


俺は笑った。


「じゃあ後で、名前・役職・担当範囲を、プロフェッショナルにちゃんと書いてくれ」


ワヴラが直接、核心を切る。


「第一の質問。地方エネルギー運営プラットフォームの前身およびその後続改制基金は、ポニツァ周辺地帯の関連収益の結算を承継したことがあるか」


男は少し止まった。


知らないからじゃない。この一言に答えたら、もう会計の話じゃなくなる——山分けの話になる——とわかっているからだ。


「承継の範囲については、まず定義が必要です」


「いいだろう」俺は指でカウンターを叩く。「じゃあまず、収益を承継したことがあるかどうかだけ答えろ」


男は答えない。


ワヴラが一歩前に出る。


「ある、かない、か」


男が唇を一度結んだ。


「歴史的に、一定の地域的収益統合が存在したことは確かです」


俺は思わず笑い声を上げた。


「『一定の地域的収益統合』。これ墓石に彫ったら、死人が自分で起き上がって平仮名で書き直せって言いに来るぞ」


男は俺を無視して、ワヴラだけを見た。


「だが、それは具体的な対象が今日の主張と同一であることを意味しない」


「結構」ワヴラは言う。「では文書で明記してもらおう。『貴組として、歴史上一定の地域的収益統合が存在したことを認識しており、承継媒体を列記する』と」


男の顔色が沈んだ。


「それはさらなる確認が必要で——」


「では『認識しており、確認する』と書け」俺は言う。「今日ここに来た全員がこの構文を愛用してるな。国家統一テンプレートでもあるのか?」


男は答えない。


これ以上引き延ばせば、外の記者たちが勝手に台詞を補完してくれるとわかっているからだ。


男はペンを受け取り、一行目を書き始めた。


俺は横で眺めながら、心底気分が良かった。


財務の人間が一番嫌がることは何か?


不正を責められることじゃない。


箱の大きさ、色、番号、そして誰が鍵を持っているか——それを全部、自分の手で書かされることだ。


二行目に差し掛かったとき、ワヴラがまた一言落とす。


「改制基金の正式名称を」


男が顔を上げる。


「それは——」


「正式名称を」ワヴラが繰り返す。


男が長い名前を読み上げた。


俺は三文字目で飽きた。


「略称で」


男は答えない。


俺は男を見る。


「略称が怖いのか?名前が短くなると、急に全部わかりやすくなるからな」


男は冷たく略称を言った。


いいじゃねえか。


略称が出た瞬間、頭の中の線がくっきりした。


曖昧な歴史的承継でも、公共利益とかいう雲の上の話でもない。


今も動いている。今も収支がある。今も会議をしている。今も誰かが給料をもらっている基金だ。


生きている。


帳簿が追える。


人間が捕まえられる。


ワヴラがペン先を書類に当てる。


「当該基金が承継した収益の種別に、地方エネルギー施設の運営、土地利用関連収入、文化観光の協力分配、またはその他の混合的歴史資産収益は含まれるか」


男は今度、さらに長く黙った。


カウンターの女性職員はもう顔を上げられない。


奥のオフィスで、誰かがキーボードを打つ手を止めたのが聞こえた。


いいね。フロア全体が、今日の訪問者が普通じゃないと気づき始めている。


男はようやく口を開く。


「基金の初期分類方式は現行の会計科目と異なるため、現代の語彙で直接対応させると誤解を招く恐れがある」


俺はほとんど拍手しそうになった。


「すごいな。『昔、どうやって金を取っていたか』まで哲学の問題にできるのか」


ワヴラはそのまま流さない。


「では初期分類の対応表と保存部局を列記してもらおう」


男はワヴラを見る。


「その部分は当組にはない可能性がある」


「結構」俺は言う。「また新しい友達ができたな。名前を出せ」


男の口元がついに引きつった。


「歴史的収益分類の対応については、一部が基金事務局および改制移転プロジェクト事務所に保存されている可能性がある」


俺は笑った。


「書け」


男は書いた。


書いている途中、ふいに男の薬指の結婚指輪が光った。


なぜか、俺はこの男の家族のことを思った。


今日あと何句か本当のことを言ったら、今夜帰って飯を食うとき、頭の中はずっと自分のサインでいっぱいになるだろう。


ワヴラの次の一刀は、さらに深かった。


「基金の取締役会または監査委員会において、ポニツァおよび周辺資産の収益帰属について、留保意見を提出した者がいるか」


男が瞬時に顔を上げた。


今度は不満じゃない——防衛だ。


当たった。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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