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68.いわく付きの所有権 68-3

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「人間の言葉に訳すと——部屋の分け方を話し合うと言いながら、建物の平面図が存在しないふりをするなってことだ」


周りで順番待ちをしていた人たちが、こちらをこっそり見始めていた。


カウンターの担当者は、キーボードの中に自分を押し込もうとするみたいに頭を下げている。


男は釘でも飲み込んだような顔で息を吸った。


「受理後、七営業日以内に……」


ヴァーヴラが書類の上に指を置く。


「違う。今日、既知の流向を提示する。七営業日は正式な確認結果のための期限だ。これは審査の前倒しではない——自分たちの保管チェーンに関する基本的な確認義務だ」


「これは通常の手続きではありません」


「今日のこの件で、通常通りだった段階がどこにある?」俺は聞いた。


彼は答えなかった。


外にカメラが一列に並び、何万人かがスマホで生配信を見ている状況で、今日「資料がどこにあるかわかりません」などと言えば、明日その一言がミームになるとわかっているからだ。


男は最終的に印鑑を押した。


その押し方は激しかった。俺たちごと印鑑の下に押しつぶしたいとでも言うように。


副本を受け取り、時刻を確認した。


十時四十一分。


上出来だ。


一つ目の突破口、開いた。


---


次に文化財窓口へ向かった。


あちらの雰囲気は地政よりさらに頼りない。地政の職員は少なくとも土地を扱っているふりをしていたが、文化財の方は入口のポスターから受付まで、「私たちは歴史を担当しているが、歴史で責任を問われたくない」という空気が漂っていた。


カウンターに座っていたのは若い職員で、笑顔が整いすぎている——研修を終えたばかりの人間の笑顔だった。


「いらっしゃいませ、どのようなご用件でしょうか?」


ヴァーヴラが二枚目の書類を置いた。


「ボイニツェ城本体および附属区域の登録範囲図、保護境界変更記録、管理権と所有権の分離に関する説明、過去の修繕およびチケット収益管理の根拠資料について、閲覧申請を行う」


相手はまだ笑っていたが、目が先に固まった。


「この部分は内部資料に関わる可能性があり、すべてが……」


俺は彼を見た。


「チケットを売る時、観光客に『申し訳ありませんが、私どもが管理しているものは、法的には私どものものではない可能性があります』と告知したことはあるか?」


彼の笑顔が崩れかけた。


「お客様、城は現在、法的に管理されている公開文化施設——」


ヴァーヴラがすかさず入る。


「結構。どの法律に基づいて? 何号の文書に基づいて? どの権限委任チェーンに基づいて?」


「それは上席の判断が……」


「呼べ」


二度目だ。


俺はこの言葉が好きになってきた。


上席は地政より早く来た。こちらにはすでに連絡が入っていたようだ。来たのはショートヘアの女性で、濃いグレーのスーツを着ていた。その表情を俺はよく知っている——問題を知らないのではなく、知りすぎていて、自分が最後に爆発する人間にならないための計算をしている顔だ。


彼女は書類を確認し、前置きなしに直接聞いた。


「お二人は今、文化管理の正当性に異議を唱えているのか、それとも所有権の優先を主張しているのか?」


ヴァーヴラがより直接的に返す。


「両者は矛盾しない。文化保護は管理の問題であり、所有権は権原の問題だ。管理を盾に権原の未確定を隠すことも、一般公開を合法的占有に見せかけることも、認められない」


俺が横で頷く。


「簡単に言うと——床を拭く担当だからといって、モップを長く持ったら建物が自分のものになるわけじゃない」


彼女は俺を一瞥し、無視してヴァーヴラを向いた。


「それでも、文化財保護の範囲は地籍分割図ではない。多くの境界は保護の必要性に基づいて設定されており、必ずしも権利帰属に対応するわけではない」


「素晴らしい」俺が笑う。「その一言も書面でもらう」


彼女がようやく俺をまともに見た。


「あなたは書面が好きなのね」


「好きじゃない。ただ、対外的にはすべて明確なふりをして、内部ではすべて口頭でやり過ごそうとするのが嫌いなだけだ」


彼女は少し沈黙し、書類の三ページ目をめくった。


「チケット収益の管理根拠を調閲して、何をするつもりですか?」


「誰が外部に向けて金を取っているかを確認する」ヴァーヴラが言う。「そして、その金を取る根拠が、権原の清算が完了していない対象物の上に成立しているかどうかを」


彼女の眉が一瞬動いた。


当たった。


俺が即座に追撃する。


「権原がまだ争議中なら、長年にわたるチケット販売、認定ガイドツアー、商業活動、施設使用料——それらはどんな名目で徴収していた? 管理として? 代管として? 公有財産として? それともとりあえず売ってから考えるとして?」


カウンターの若い職員はもう顔を上げられなくなっていた。


ショートヘアの女性が俺たちを見据え、数秒後に口を開いた。


「チケットと商業部分は、当部署ではない」


俺とヴァーヴラが同時に彼女を見た。


彼女もすぐに気づいた——言いすぎた。


ヴァーヴラが即座にペンを差し出す。


「結構。どの部署ですか?」


彼女はペンを受け取らない。


「本件の核心ではない」


「違う」ヴァーヴラが言う。「これは本件の核心の一つだ。文化保護の名目で場所を管理しているなら、収益の流れは管理チェーンの一部だ。担当部署と権限委任根拠の保管部署を書面で示せ」


彼女がペンを取らないので、俺が半歩前に出た。


「書かなくてもいい。その場合は外に出て、文化財部署がチケット収益の窓口が別にあると認めたが、それがどこかを教えることを拒否した、と言う」


彼女の目が冷たくなった。


「それは公務員への圧力行為だ」


「違う」俺は言った。「あなたが一人で全部背負わずに済む道を選ぶ手助けをしているんだ。今の選択肢は二つ——流れを書いて、みんなで一緒に頭を抱えるか。書かなければ、今日の午後には全ネットでその責任があなた一人に乗っかる」


彼女は三秒俺を見て、ペンを受け取った。


俺は文房具がどんどん好きになっていく。


続くこの上席の対応は、地政の男よりよほど面白かった。


否定も強情な抵抗もせず、代わりに一歩一歩丁寧に責任をよそへ分散させていった。


「ボイニツェ城の対外開放に関わる運営協力の一部は、地方観光・文化運営プラットフォームが担当している」


「正式名称を」ヴァーヴラが言う。


彼女が書く。


「チケット、ガイドツアー、イベント収益の精算は、地方運営プラットフォームと文化推進基金が関与している」


「正式名称を」俺が言う。


彼女がまた書く。


「保護範囲の図層と管理境界の重複については、前回の修繕前に地政部署と技術的な現地確認を行ったことがある」


ヴァーヴラの目が一瞬鋭くなった。


「何年ですか?」


彼女が年を答えた。


俺は心の中で口笛を吹いた。


これは一本の糸じゃない。一枚の扉だ。


現地確認があれば、出席記録、図層の照合、現場メモ、担当者のメールアドレスまで残っているはずだ。


つまり、政府が後で「範囲を確定するのに十分なデータがなかった」と言い出したら、彼ら自身が開いた会議の記録を突きつけてやれる。


ヴァーヴラの声がさらに冷たくなった。


「現地確認の記録はどこに保存されていますか?」


「修繕プロジェクトの案件ファイルにあるかもしれません」


「どのシステムですか?」


彼女が一瞬止まった。


その止まり方が見事だった。見事すぎて、俺は思わず彼女に同情しそうになった。


一度口にしたら、俺たちの次の目的地に名前がつくとわかっているからだ。


「文化施設維持管理プロジェクトデータベース」


「担当部署は?」


彼女が目を閉じた。


「史跡保存・再活用班」


ヴァーヴラが頷く。


「書け」


彼女が書いた。


書き終えてペンを置き、顔を上げて俺たちを見た。


「お二人はよくご存知のはずです。今あなた方が求めているのは一つの説明書ではない——行政チェーン全体に、過去すべての部署がこの場所の権原が汚れていると知っていたことを、自ら認めさせようとしている」


俺は彼女を見た。


「違う。俺たちが行政チェーン全体に認めさせようとしているのは、あいつらはずっと前から権原に問題があるとわかっていて、それでもチケットを売り、実績を上げ、自治を語り、安定を語り、そして今日初めて聞いたふりをしているってことだ」


彼女はもう何も言わなかった。


この言葉には返しようがないからだ。


時に、ある組織が一番恐れるのは不正を暴かれることではない——その不正を犯した時の、各層の自己欺瞞の論理を、最も率直な言葉で読み上げられることだ。


二枚目の収件副本を手に外に出た時、入口には記者がすでに待ち構えていた。


さっきより多い。


マイク、スマホ、配信用スティック、花壇の縁に乗って撮影している者まで。


「文化財部署は過去に重複した現地確認データがあると認めましたか?」


「チケット収益のチェーンは外部委託プラットフォームが別にあると?」


「政府はボイニツェ城の権原に争議があることを、ずっと前から知っていたのでは?」


俺は歩きながら、副本を軽く持ち上げた。


「言えるのはこれだけだ。今日、二つの部署が正式書面で認めた——第一、自分たちはデータがどこにあるか知っている。第二、自分たちだけがこの件に関わっていたわけではない、と」


「それは政府が長期にわたって隠蔽していたことを意味しますか?」


ヴァーヴラは相手に息をつく暇を与えない。


「それが意味するのは、政府が長年、部署間の分断と口頭の曖昧さに依存することで、誰も完全なチェーンに責任を持たなくて済む状態を維持してきたということだ」


周りで一斉にペンが走り始める。


俺がトドメを刺す。


「ぶっちゃけて言えば——全員が触ったのに、誰も指紋を残したくなかった」


現場で笑い声が上がった。


この一文が出た瞬間、スマホがまた震える。


見なくてもわかる。(シキ)はもう「触ったのに指紋を残したくなかった」を大きな字カードにしているはずだ。


車のドアが閉まりきる前に(シキ)から電話が来た。


出た瞬間、向こうの背景音は株式市場の暴落みたいに騒がしかった。


「今のやつ爆発した」


「どれだ?今日は全部悪くなかったと思うが」


「うるさい。今ネットで『城に触ったのに指紋を残さなかった奴は誰だ』って洗われてる。二枚の収件副本はもらった。地政と文化財の名前、もうメイン画面に上がってる」


ヴァーヴラが俺のスマホをひったくった。


「政府は反応したか?」


「してる。第三波がもう持ちこたえられない状態。今内部で言い方を分裂させてる。一派は『これは歴史資料の確認に過ぎず、権利主張の成立を意味しない』と言いたい。もう一派はあなたたちが次に鉱業権の旧案件を掘り起こしに行くのを恐れて、エネルギー省側を先に押さえようとしてる」


俺はワヴラと目を合わせた。

いいじゃねえか。

次は鉱業権だ。


俺はスマホを取り返す。


「エネルギーのライン、目を離すな。今から書面を一番嫌がる奴らを探しに行く」


「了解」とシキが言う。「それと、エリザヴェータがさっき一言だけ呟いてた」


「なんて?」


「『重畳。国家というものも、己がかつて何に署名したか、ようやく思い出しおったか』って」


通話が切れた。


俺は椅子の背もたれにもたれて、口の端を上げる。


ワヴラは手元のコピーをめくりながら、次の肉を探している肉屋みたいな目をしていた。


「次の目的地は、鉱業権資料保存センターだ」


「直球すぎねえか?」


「直球でいいんだ」

ワヴラは一枚、紙を抜き出して俺の前に突き出す。

「地籍当局は旧制移行チームに資料が残っている可能性を認めた。文化財当局は前回の修繕で境界の重複現場検証があったことを認めた。これは少なくとも、技術担当が境界線と地下利用の問題に手をかけている、という意味だ。ここにもう一つ、『鉱業権の旧案件と当該地番に交差の可能性あり』と認める部署が加われば——政府はもう『自治領』を、単なる文化的な枠組みとは言えなくなる」


俺は口を裂くように笑う。


「地面の下まで計算に入れた瞬間、それは城の入場券じゃなくなる。まるごと一帯の話になる」


「ああ」ワヴラが言う。

「城は看板だ。本体は鉱業権だ。看板を取り返すだけなら、せいぜい面子を叩くだけ。骨に触れて初めて、肉をそぎ落としたと言える」


俺は窓の外を流れていく街並みを眺める。

急に、気分が良くなってきた。


勝ちが見えてきたからじゃない。


やっと、このクソッタレな茶番の一番面白い部分が見えてきたからだ。


政府はここまで、ずっとこの件を象徴だの、歴史だの、感情だの、文化だの、外交だの、安定だの——そういうラベルで包もうとしてきた。


だがエリザヴェータは、最初から全部を一番見たくないくせに、一番致命的なところへ押し返してきた——


地番。境界。権原。収益。代理。責任。


この言葉に戻った瞬間、スピーチが上手いだけの連中は、一気に価値がなくなる。


紙は紙だ。図面は図面だ。印は印だ。

いくら受け取ったかは、感情で洗い流せるものじゃない。


車が角を曲がったとき、ワヴラがふいに口を開いた。


「今日一日で、いちばん面白いのはどこだかわかるか」


「お前の口から『面白い』なんて単語が出る日が来るとはな」


「お前に毒された」

ワヴラは相変わらず無表情のまま言う。

「一番滑稽なのはな。各部署が、誰もが『自分の身を守っているだけ』だと信じていることだ。だが、責任を外へ押し出すたびに——結果として、俺たちのパズルのピースを一つずつ埋めていることに気づいていない」


俺は少し考えてから、うなずく。


「そうだな。みんなで責任の鍋を押し付け合ってるつもりが——気づいたら、鍋のフタで地図を組み上げてる」


ワヴラが横目で俺を見る。


「今の比喩も悪くない」


「今日は調子がいいんだよ」


「その調子で、このあと鉱業権の窓口に入ってくれ」


俺は上着の前を引き直し、手元のコピーに目を落とす。


二つの機関。二つの印。数本の資金の流れ。いくつかの人名。


どれも、それ単体なら大したことはない。


だが今、これらは十分に揃っている。一つの政府に、こう問い直させるだけの材料にはなっている——本当にあんなに軽々しく、「自治領」なんて言葉を口にしてよかったのか、と。


あいつらがその三文字を吐き出した瞬間から、俺たちはもう、言葉遊びに付き合っているわけじゃない。


俺たちがやっているのは——エリザヴェータのために物差しを探すことだ。


土地を測り、収益を測り、主権の境を測るための物差し。最後には、「あいつらに、まだどれだけ捨てる顔が残っているか」まで測れる物差しを。


車が停まる少し前、スマホがもう一度震えた。


シキから最新の画面が送られてくる。


速報の赤いテロップが、画面の下をびっしり流れていく——


地籍当局、歴史的地籍索引に資料の可能性があると認める

文化財当局、過去に境界の重複現場検証があったと証言

ポニツァ論争、城の管理権にとどまらず 地下鉱業権の旧案件が新たな火種に


俺は最後の一行を見つめて、声を出して笑った。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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