68.いわく付きの所有権 68-2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
希が突然声を上げた。
「爆発した」
全員が振り返る。
彼女が一台の画面をニュース生中継に切り替えた。
テロップが流れる。
——政府、ボイニツェ係争対象に建設的方案を送達
——公式主張資格を認めたことを意味するか?
——添付書簡の署名が流出——「窓口はないと言っていたのでは?」とネット民が追及
チャット欄が即座に炎上した。
「昨日は窓口ないって言ってたのに今日は自分で署名してんの?」
「連席作業プラットフォームって何、レイドボスでも倒しに行くの?」
「つまり政府ずっと話し合ってたのに、ずっとしてないふりしてたってこと?」
「吸血鬼の方が行政手続き詳しいとか、この国終わってる」
「さっさと文書番号出せよクソ政府!」
俺は画面を指さした。
「見ろよ、国民は手続きに対してちゃんと感度があるんだ。普段使う機会がないだけで」
林雨瞳が鼻で笑った。
「自分を買いかぶるな」林雨瞳が言う。「今あいつらが喜んでるのは、政府が自分たちの決めたプロセスで逆に殺されてるのを見てるからだ」
その時、エリザヴェータが立ち上がった。
誰ももう冗談を言わなくなった。
彼女は投影壁の前まで歩き、地図に直接指を置く。
ボイニツェ。ノヴァーキ。プレヴィーザ。
指先がゆっくりと滑っていく。刃の背を喉に当てながら引いていくみたいに。
「今日あやつらが顔を保ちたいなら、自分たちで境界線を引くしかない。引きたくないなら——妾が代わりに引いてやる。そして全欧州に見せてやろう。誰が、受け取った書類に、押した印鑑に、売ったチケットに、受け取った金に——それが元々どの土地の上に立っていたかを認めたくないのかを」
喉が少し乾いた。
怖いんじゃない。
一人の人間が国家機構を部品に分解して、ついでに価格表まで並べていくのを目の前で見た時、体が勝手に出す反応だ。
彼女が振り返り、俺を見た。
「周士達」
「ここにいる」
「汝とヴァーヴラは出ろ」
俺は眉を上げた。
「また窓口回りか?」
「そうだ。地政へ。文化財登録へ。鉱業権データベースの担当部署へ。今日中に、古い図面、古い台帳、古い案件が手元にあると最初に認める人間が誰か、確認したい」
俺は口角を引いた。
「わかった。書類の受け取り確認を、地盤掘り起こし作戦に昇格させるってことだな」
「もう一つある」彼女は言う。
「言え」
紅い瞳が俺を見た。声がさっきより低い。
「もし誰かに、これは自治領の交渉かと聞かれたら——」
俺が引き継いだ。
「こう答える。違う、これは家主が家賃を払いきれていない今の借り主に、これからも貸し続けるかどうかの話だ、と」
葉綺安が笑い転げた。
希がその言葉を即座にメモ欄に書き込む。
ヴァーヴラが返答書を印刷した。紙がまだ温かいうちに、一部を俺に渡す。
俺は一行目を見た。
敬語じゃない、協議でもない、要請でもない。
——《貴方送達文書に対する補正および正式手続開始要求》
上出来だ。
今日、不快な思いをする人間が出てくる。
林雨瞳が歩いてきて、新しいスマホを俺のポケットに押し込んだ。
「メディアのラインは繋いであった。外に出たら絶対に誰かが待ち構えてる。余計なことは言うな——でも少なすぎても駄目」
俺は彼女を見た。
「その要求、高速道路で編み物をしろって言ってるのと同じだぞ」
「あんたはもともと口で道を切り開くタイプでしょ」
「それ、褒め言葉にも聞こえるし、労災認定にも聞こえる」
エリザヴェータはすでに着席していた。玉座が一度も空いたことがないみたいに。
俺たちを見て、最後に一言だけ投げた。
「行け。この国の地図を血が滲み出すまで追い詰めてこい」
俺とヴァーヴラは目を合わせた。
彼が公文書袋を手に取り、俺が上着を羽織る。
ドアを引いた瞬間、通りに並ぶ中継車のレンズが全部こちらを向いた。
上出来だ。
今日は仕事に行くんじゃない。
土地は彼らのものじゃない、言葉も彼らが好き勝手に使えるものじゃないと、認めさせに行くんだ。
返答書を手でパシッと叩き、階段を下りる。
「行きましょう、代理人閣下」
ヴァーヴラが冷ましたまま後に続く。
「その調子を最後まで保てよ」
「任せろ」
俺は笑った。
「今日から俺たちは、お願いしに行くんじゃない」
「どの境界線が引かれた瞬間に、家賃を受け取る名前が変わるかを、思い知らせに行くんだ」
---
俺とヴァーヴラが一階に降りた瞬間、入口に並ぶレンズが全部、血の匂いを嗅ぎつけたみたいに一斉にこちらを向いた。
まだ立ち位置を定める前に、最初のマイクが胸元に突き刺さった。
「今からどこへ行かれますか?」
「仕事だ」俺はそのマイクを少し横にずらす。「国家機構に、以前飲み込んだ書類を吐き出させに行く」
別の記者がすかさず追いかけてくる。
「政府はすでに書面方案を送付しています。それでもまだ手続きを追及するのですか?」
ヴァーヴラは立ち止まりもしない。
「あれは方案ではない。空虚な言葉を製本しただけだ」
俺が補足する。
「今日俺たちが調べに行くのは、その冊子が意図的に書き落とした部分だ」
「例えば?」
俺は口角を引いた。
「土地。境界線。鉱業権。そして誰が最初に、これらがとっくに汚れていると知っていたか」
希の方では同時進行で情報が流れていたようだ。車に乗り込んだ瞬間、スマホが連続して震え始める。ニュースの見出しが次々と飛び込んできて、車のスピードより速く走っていた。
——係争側、地政および文化財部署へ向かう
——弁護士団が主張:先に土地を切り出し、それから自治を語れ
——「境界のない自治はただの引き延ばし」ネットで拡散
スマホをポケットに戻し、ヴァーヴラを見た。
「今日はどこから崩す?」
「地政から」彼が袖口を整える。「文化財は引き延ばせるが、地籍は書き換えられない。口頭でも古い図面、古い台帳、古い境界記録の存在を認めさせれば、後ろに連なる全員が動かざるを得なくなる」
「鉱業権は?」
「もっと面白い」彼は俺を見もしない。「古い鉱業権のデータと歴史的封邑の範囲に重複があれば、財政・経済・エネルギー・地方行政が一斉に死んだふりを始める」
俺は短く笑った。
「今日の行程はシンプルだな」
「ん?」
「軒並み回って、一番うまく死んだふりをしていない奴を探す」
---
車が停まった瞬間、今日は退屈しないとわかった。
地政事務局の建物の外に警備員が二組。中の冷房は遺体安置室みたいに効いている。カウンター越しの女性担当者が顔を上げた瞬間、顔色がわずかに白くなった。俺を見たからじゃない——ヴァーヴラを見たからだ。
弁護士を見ると緊張する人間がいて、会計士を見ると緊張する人間がいる。この担当者は明らかに両方が苦手なタイプだった。
ヴァーヴラが書類をカウンターに置いた。
「ボイニツェ、ノヴァーキ、プレヴィーザに関する歴史的地籍分割図、旧土地台帳、過去の境界変更記録、国有化前後の引き継ぎ資料、および文化施設と鉱業の重複区間の標示について、閲覧申請を行う」
担当者の手が震えた。
「これは……まず申請書を記入していただいて、それから文書管理担当の……」
ヴァーヴラがもう一枚の紙を滑らせた。
「申請書はここにある。二部。添付資料の索引は後ろに。受理してください」
彼女が下を向いて確認し、喉が詰まったのがわかった。
「ですが、この範囲はかなり広く、一部の資料はここには……」
俺がカウンターに身を乗り出し、丁寧な笑顔を作った。
「それは好都合だ。今日俺たちが確認したいのは、どれがここにないか、どれがどこにあるかをあなた方が知っているか、そしてどれをあなた方が触ったくせに見てないふりをしているかだ」
彼女が顔を上げ、俺を見た。強盗にでも来たのかと疑うような目だった。
「お客様、そのような言い方はご遠慮ください」
「なら、あんたがもっと俺を喜ばせる言い方に変えてくれてもいいぜ」俺は受領印の欄をトントンと叩く。「例えば『直ちに登録し、該当部署への転送を手配いたします』とかな」
ヴァーヴラは時間を無駄にしなかった。
「規定によれば、該当機関が関連文書の保管部署を認知している場合、それを明示する義務がある。『当部署には保管されていない』を理由にプロセスを終了させることはできない。受理し、本日中に既知の流向を提示せよ」
「それは、上席の判断が……」
「呼べ」
彼女は二秒沈黙し、受話器を取った。
上出来だ。
一枚目の扉、突破。
五分後、奥から中年の男が出てきた。シャツの第一ボタンをきつく締めすぎて、自分の癇癪まで一緒に首元で絞め殺しているような男だった。
彼は書類を手に取り、三ページめくって、眉間の皺をどんどん深くしていった。
「お二人が求めているのは通常の閲覧ではない。時代をまたぐ地籍の遡及であり、国有化前の旧制度まで絡んでいる。この部分は、現行の宗地番号と直接照合できるとは限らない」
ヴァーヴラが頷く。
「結構。その一言を『受理備考』として記載し、現時点で判明している照合可能な経路をリストアップしろ」
男が彼を睨む。
「あなた方は当部署に、法制解釈を行えと要求しているのか」
「違う」俺は言った。「俺たちが要求しているのは、自分が何を保管していたか知らないふりをするなってことだ」
彼の視線が俺に移り、少し温度が下がった。
「お客様、行政手続きはそのように機能するものではありません」
俺は笑った。
「そうだな。俺たちは、それがそういう風に機能しないと知っているからこそ、ここに立っているんだ」
ヴァーヴラがペンを彼に差し出す。
「最初の質問だ。簡単だろう。この部署に、ボイニツェ城本体および周辺区画の、旧制度時代における地籍図のインデックスは、あるか?」
男が沈黙する。
この種類の沈黙、俺はよく知っている。
「ない」んじゃない。「最初に認めた人間」になりたくないのだ。
ヴァーヴラが一歩踏み出す。
「あるのか、ないのか?」
「……インデックスは、あるかもしれない」
「結構。書け」
男の顔色が沈む。
「確認もせずに書くわけには——」
「あなたは今『あるかもしれない』と言った」ヴァーヴラは声を荒げないが、一語ごとに硬さを増していく。「ならばこう書け——『当部署は関連インデックスを保存している可能性を認知しており、受理後、検証の上で回答する』と」
俺が横からトドメを刺す。
「書かなくてもいいぜ。そしたら外にはこう言う——地政機関は歴史的地籍の問題に直面した際、自分たちがインデックスを持っているかどうかすら書面で確認しようとしなかった、と」
男は俺を二秒見つめ、手を伸ばしてペンを取った。
一刀目、入った。
続く十分間、俺は初めて見た。質問の一つ一つに追い詰められて汗をかく人間というものを。
「旧土地台帳は?」
「一部は地域文書館に移管されています」
「どの文書館?」
「プレヴィーザ地区文書保存センター」
「書け」
「国有化前後の引き継ぎ資料は?」
「一部は中央地籍デジタル化前置案件の附属資料に含まれている可能性が」
「どの部署?」
「国土測量総署旧制度移行班」
「書け」
「境界変更の記録は?」
「文化施設保護区に関わる場合は……」
「誰が持っている?」
「文化財登録部署が重複図層を保有しているはずです」
「書け」
男は一行書くたびに、顔が一段暗くなっていった。
俺たちが怖いからじゃない。自分自身がよくわかっているからだ——これらの情報は今日文字にしなければ、あと三週間は口頭でたらい回しにできた。一度文字になった瞬間、すべての責任が手続きの流れに乗って跳ね返ってくる。
その収件備考を眺めながら、俺は心の底から愉快だった。
官僚機構が一番恐れるものは何か?
騒ぎでも、正義でも、ニュースに出ることでもない。
口頭でいつまでも蹴り回せたものを、名前と日時と印鑑が入った紙一枚に釘付けにされることだ。
男が書き終わる前に、ついに顔を上げた。
「お二人もご承知の通り、仮に旧図面が見つかったとしても、現在の権利帰属が自動的に——」
ヴァーヴラが即座に切る。
「自動的に変わるとは誰も言っていない。私どもが阻止したいのは、政府が一方では『自治』を語りながら、分割・確認の対象となる客体が存在しないふりをし続けることだ」
俺が補足する。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




