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64.まとめサイト 64-2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「よし、よく刻んどけ」目の前で鬱陶しく揺れるマイクの束を片手で制し、言葉を直接叩きつける。「第一、案件はもう空気じゃねえ。第二、プロセスに乗ってないわけじゃない。第三、今は行政調整と民事の事前審査の間でスタックしてる。第四——」


一拍置き、カメラの包囲網をぐるりと見渡す。


「政府がこの期に及んでまだ『依法研議』なんて寝言をほざく気なら、まずは『依法のどの段階まで進んでるか』をハッキリさせろってんだ」


現場が半テンポ遅れて静まり返る。


次の瞬間、集団感電でもしたかのように、一列に並んだスマホが一斉に高く掲げられた。


「もう一度お願いします!」


「確認ですが、案件は現在、行政調整と民事事前審査の間で停止している、ということですか?」


「それは、政府が正式な振り分け前に、すでに対外的な方向性を決めていたということを示唆しますか?」


「具体的な窓口は把握されていますか?」


口を開きかけた瞬間、スマホが震えた。


(シキ)からだ。


一言だけ。


投下した。右上見て。


顔を上げると、隣の記者のライブ配信画面がすでに変わっていた。さっきまで俺たちを映していた画面の右上に、出来立てのまとめ図解が追加されている。網膜を意図的に破壊しにきてるような凶悪な配色。理不尽なほどデカい見出し:


【一言でわかる】受理してないんじゃない、詰んでるだけ


その下に四つの箇条書き。レンチで頭を直接殴るくらいシンプルだった。


1 . 昨日、書類提出済み

2 . 今日、政府が「依法研議」とテンプレ回答

3 .裁判所のプロセスには入ったが、行政調整と事前審査の間でスタック中

4 .つまり今の問題は「案件の有無」ではなく「誰がプロセスを隠したがってるか」


俺はその場で吹き出した。


「クソったれ、仕事が早えな」


ヴァーヴラが首を傾けて画面を一瞥し、口角をわずかに動かした。


「このバージョンは素晴らしい」


「あんたのその『素晴らしい』って言い方、どんどんエリザヴェータに似てきてるぞ。聞くたびに誰かが血祭りに上げられる予感がする」


「実際、誰かは血祭りに上げられる」


最前列の、カフェイン粉末を直接キメたのかってくらい反応の早い女性記者が、すでにまとめ図解をほぼ読み上げていた。


「お聞きします。政府は案件がすでに内部プロセスで停止していることを把握しながら、意図的に曖昧な表現で対外説明を回避している、と主張されるわけですね?」


俺は頷いた。


「ビンゴだ。あんたのその言葉、すごく人間の言葉っぽくていいぜ。悪いが、この後の配信でもそのまま使ってくれ」


隣の男性記者がすかさず追撃する。「つまり、裁判所側ではプロセスの存在が確認されているが、政府側が誠実に説明していないだけだと?」


ヴァーヴラが、平坦かつ正確無比に引き継ぐ。


「私どもが現在確認できるのは、案件がすでに内部のプロセスチェーンに乗っており、現在の進行ノードが『存在しない』わけではないということです。政府が十分な説明を果たしているかどうかについては、彼らの第二波声明がいかなる質問に答えているかを、皆様ご自身でご確認いただければ」


この爆弾投下の瞬間、現場のシャッター音が再び炸裂した。


俺のスマホも連鎖的に震え始める。


一回や二回じゃねえ。次の瞬間には発火するんじゃないかと疑うレベルの振動だ。


(シキ)から二枚目が飛んできた。


今度はまとめ図解じゃなく、フォーラムのトップページのスクリーンショットだ。並んだスレッドタイトルが、制御不能になった狂犬の群れみたいに暴れ回っている:


【爆】案件ゼロじゃなかった!行政調整でスタック中!


【速報】裁判所前の当事者代表:依法のどの段階?まずノードを吐け


【まとめ】政府第二波声明=無駄話の濃縮還元?


【ミーム】プロセスに答えられないから、現実の定義を始めた


読み終わる前に、林雨瞳(リン・ユートン)からもメッセージが飛んできた。


三局が切り替え。現在、全社がプロセス進行ノード追跡に移行。余計なこと言うな。


俺は返信する。


俺は普段から余計なこと言ってるわけじゃねえ。戦略的に相手を不快にさせてるだけだ。


秒で返ってきた。


黙れ。


まあ、そうだな。


スマホをしまい、さらに一歩前ににじり寄ってきた記者どもを見据える。


「さあ、もう『血霧ちむ』のことは聞くな」一本の指を突き立てる。「プロセスに答えられなくなった時、人間は現実の名付け親になりたがるってことを、さっき政府が身をもって証明してくれたからな。悲しいくらい官僚的だ。だが、俺たちは今、あいつらのお遊戯に付き合ってる暇はねえんだよ」


後ろから即座に声が飛ぶ。「では、今後はプロセスの透明性のみを追求していくと?」


「現時点では」とヴァーヴラ。


俺がすかさず補足する。「まずは一番低レベルで、一番みっともない穴をぶち抜く。他の話はそれからだ。そもそも『どこで詰まってるか』すら言えない政府が、後からどんな高尚な理論を並べ立てたところで、そんなもんただのハリボテだろ」


ライブ配信のコメント欄は、もはや荒らしなんてレベルじゃねえ。暴動だった。


適当にいくつか拾い読みしてみたが、どれも現代精神の傑作揃いだった。


「クソワロタ、まとめ図解の方が政府声明よりわかりやすい件」

「つまり案件がないんじゃなくて、あるのに認めたくないだけか」

「第二波声明、マジで何も答えてなくて草」

「異常映像事件とかどうでもいいから、早くプロセス吐けよ」

「うちのばあちゃんでも聞くわ:で、結局どこまで進んでんの?」


今日のこの国で一番頭が切れるのは、官僚でも法学教授でもない。チャット欄でクエスチョンマークを連打してるその辺の一般人だ——俺は本気でそう確信した。


国際局の記者がまた質問をねじ込んできた。寿命が縮みそうな早口英語だ。最後まで聞いて、俺は直接中国語で返した。


「世間が今一番関心を持つべきことは何か、だと?簡単だ。彼女が怪物かどうかでも、貴族かどうかでも、あの血霧がCGで説明できるかどうかでもねえ」俺は裁判所の正門を指差した。「この扉の向こうでは確実にプロセスが進んでいるのに、扉の外にいる人間には、ペラペラな誤魔化しの言葉しか聞こえてこない。それが問題なんだよ」


ヴァーヴラが半歩前に出て、場の空気をさらに重く、決定的なものにする。


「私どもからは後ほど、現在確認されているプロセス進行ノードを整理した正式文書をリリースします。仮に政府の三度目の発言が依然として回答を避けるものであった場合、世間はこう解釈するでしょう——彼らは『情報を持っていない』のではなく、『情報を口にするのが怖い』のだと」


隣のローカル局キャスターが、「三度目の発言」という言葉を聞いてパッと顔を輝かせた。


「つまり、政府から第三波のリアクションがあると予想されているのですね?」


俺は軽く笑った。


「第二波のあのザマを見て、素直に引き下がるタイプに見えるか?」


スマホがまた震える。


(シキ)が今度は直接グループ通話を立ち上げてきた。出た瞬間、向こうでキーボードを叩く音が機関銃みたいに響いてくる。


「大爆発中」開口一番、判決を下すような口調だった。


「爆発してるのは知ってる。今度はどこが燃えた?」


「全部」(シキ)が断言する。「フォーラムのホットスレ上位二十のうち、十一本がプロセス関連。三本が『異常映像事件』をネタにした嘲笑スレ。二本があんたの使い魔ミーム。残り四本はボニツェ城のチケット払い戻しで大荒れ」


「なんで俺のミームがまだ生きてんだ?」


「あんたの顔が素材として使い勝手いいから」(シキ)は当然のように言い放つ。「重要なのはあんたじゃない。第一波のまとめ図解をニュース局が拾って使い始めたこと。おかげで本来オカルト特番をやる気満々だった連中まで、無理やりプロセス進行ノードの解説をさせられてる」


顔を上げると、まさにその通りだった。


通り向かいのカフェの窓際にあるテレビで、あるトーク番組が速報に切り替わっている。司会者の顔には「今日は吸血鬼の話で盛り上がるはずだったのに」という未練がくっきりと浮かんでいるが、下に流れるテロップはすでに超常現象から離れていた。


【最新】当事者代表:案件は行政調整と民事事前審査の間で停止中と主張


上出来だ。


これで政府が話を「神秘現象」「特殊事件」「映像トラブル」に引き戻そうとするなら、まず全国民の脳みそを物理的に破壊するところから始めなければならない。


そう眺めていると、グループ通話に林雨瞳(リン・ユートン)の声が割り込んできた。


「第三波、執筆中」


眉をひそめる。


「なんでわかる?」


「内部草稿が学者筋にリーク。学者側に口の軽い者がいて、外部流出」彼女は一拍置く。「現在二案で揉めている。一つは徹底的な黙殺継続。もう一つはプロセス存在を認めた上で、案件特殊性を理由とした慎重調整の必要性を主張」


「クソワロタ」俺は言う。「大回りして、ようやく最初の一言だけ人間の言葉に近づく気になったか」


林雨瞳(リン・ユートン)が氷のように返す。「近づいてもいない。近づくかどうかを検討中」


(シキ)がすぐさま引き継ぐ。「しかもネットは検討時間なんて与える気ゼロ。第二波声明、すでにミーム詰め合わせパックに分解済み」


「どれが一番バズってる?」


「ちょっと待って」向こうで画面をスクロールする音がして、声に笑いが混じる。「あった」


次の瞬間、新しい画像がスマホに飛び込んできた。


左側:政府第二波声明のクソ長くて中身のない文字列

右側:小学生のドリル形式の四択穴埋め問題


穴埋め問題:


1受理したか否か:___

2どこで詰まっているか:___

3担当部署はどこか:___

4 異常映像事件と言わずに答えよ:___


下に添えられた一文:


「小学校の算数より簡単です。政府は解答してください」


読み終わった瞬間、裁判所の前で危うくむせるほど吹き出しそうになった。


最前列の記者たちが一斉に顔を上げる。


「どうしました?何かありましたか?」誰かが聞く。


俺はスマホを軽く振って見せた。


「いや」笑いながら答える。「ただ、市民教育ってのは学校に丸投げしちゃいけないんだなって、しみじみ実感しただけだ」


何人かの記者は明らかに同じ画像を受信していた。表情が一変し、うつむいて即座に転送作業に入っている。


ヴァーヴラが横目で俺を見る。


「少し抑えろ」


「抑えてるさ。これでも相当控えめだ」深呼吸を二回して笑いを押し殺し、改めてレンズの群れを見据える。「よし、本題に戻ろう。あんたたちにはこう理解してもらいたい。俺たちは今日、芝居を打ちに来たわけでも、オカルトを売りに来たわけでもない。裁判所側のノードはすでに存在し、プロセスは空っぽじゃない。今一番答えるべきは、なぜ政府が『すべて掌握済み』みたいな顔をしておきながら、いざどのノードか、どの窓口か、どの部署かと問われた途端、霧の中の詩学みたいな修辞を始めるのかってことだ」


「では次の一手は?」すかさず質問が飛ぶ。


ヴァーヴラの声は揺るがない。


「正式文書のリリース、プロセス確認書の送付、関係部署への説明要求。政府の第三波が依然としてプロセスそのものから逃げ続けるのであれば、問題はもはや単なる引き延ばしではなく——誤導です」


俺はレンズの列を見据え、最後の釘を打ち込む。


「そして『誤導』ってやつは、全国の視聴者にその正体がバレた瞬間、とんでもなく恥ずかしいものになる」


わずか二秒後、現場が再び沸騰した。


何人かの記者の目に、「よし、この一文を見出しに使おう」という露骨な輝きが宿るのが見えた。


その時、スマホがもう一度震えた。


(シキ)でも林雨瞳(リン・ユートン)でもない。


エリザヴェータからだった。


一行だけ。


もっと派手に蹴破るがよい


その一行を半秒見つめ、口角が勝手に吊り上がる。


上等だ。


女大公殿下は拠点でライブ配信を鑑賞中らしい。ご機嫌も悪くないようで何よりだ。いや、より正確に言うなら——誰も近づけないような特等席に優雅に腰を据え、この国全体が少しずつ人間の言葉で答える術を学んでいく様を、高みの見物と洒落込んでいるのだろう。


(シキ)がグループでまた口を開く。


「注意。第三波、早いかも。現在内部で『異常映像事件』の段落を丸ごと削除して、『プロセス外事項についてはコメントを控える』に差し替える案が浮上」


俺は眉を上げる。


「ほう、ようやく自分たちの前の発言がバカ丸出しだったことに気づいたか」


「それだけじゃない」(シキ)の早口が加速する。「あいつらが今一番ビビってるのは、第三波を出した瞬間、コメント欄が全部『依法どこまで』の四文字で埋まること」


目の前のカメラの海を見渡しながら、俺はある事実をはっきりと認識した。


これはもう、単なる世論の沸騰じゃない。


形を成したんだ。


一つの言葉、一枚の画像、四つのノード、二つの声明。それに政府自身のあの見苦しい火消し工作。これらすべてが融合し、誰もが使って質問でき、嘲笑でき、官僚を追い詰められるフックに進化した。


一度このフックが食い込めば、引き抜く時は皮ごと持っていかれる。


俺は顔を上げ、記者たちの包囲網を見回す。


「よし」俺は言った。「みんなが第三波をお待ちかねなら、俺たちも先に言葉を置いておく」


現場が即座に静まり返る。


いい。みんなが急に俺の話を聞きたがるこの瞬間がたまらなく好きだ。もっとも、俺がこれから言うことで誰かが今夜眠れなくなるからだが。


スマホをポケットにしまい、声のトーンを落とす。


「第三波が、それでもノードに答えず、部署に答えず、プロセスに答えないなら——それは説明じゃない」俺は言い放つ。「それは延命措置だ」


誰も口を挟まない。


続ける。


「そして、もし政府が自分たちの正式声明で、すでに延命モードに入っているのだとしたら——」


口角を少し上げる。


「それは連中もようやく理解したってことだ。喧嘩を売る相手を間違えたってな」


裁判所の階段を風が吹き抜け、マイクの海がわずかに揺れた。


ライブ配信はまだ燃え続けている。

チャット欄はまだ滝のように流れている。

フォーラムでは職人たちがせっせと新しい画像を量産している。

そして政府の連中は今頃、どこかの会議室に縮こまりながら、文字による公開処刑を受けたように見えないための言葉選びに必死になっていることだろう。


その場に立ち尽くしながら、俺は妙に気分がいいことに気づいた。


今回は、俺たちが扉を追いかけているんじゃない。


扉の向こうの連中が、ようやく——外で誰かがノックしている音を、心から恐れ始めたのだ。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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