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46.真実 46-2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

エリザヴェータが面倒くさそうに彼を見た。


「妾は周士達(ジョウ・シーダー)についていく」と彼女は言う。


「結構だ」俺は言う。「俺の意見が今日も関係ないのはよく分かった」


「今日になってようやく自覚できたのか」と彼女は返す。


こうして、決まった。


綺麗じゃないが、速い。


俺たちは処置室を飛び出し、西側サービス通路を追って駆け上がった。来るときの保守通路よりもさらに場当たりで継ぎ足した腸みたいな場所で、壁には古城の旧石積み、後から打ったコンクリート、冷戦時代の鉄扉、C.U.I.B.が近年釘打ちした配線ダクトと監視カメラが混在していた。通路のあちこちに慌ただしい撤退の痕跡——ひっくり返った書類箱、空の薬瓶、半分解体されたポンプ部品、引きずった跡の黒い染み。


前方からは、金属ケースが床を叩く音がまだ聞こえていた。


すぐそこにいる。


角を二つ曲がったところで、最初の銃撃が来た。


C.U.I.B.の武装要員が台車の陰にしゃがんで廊下に掃射してきた。こちらが完全に視野に入る前に、イリーナが一発で台車の側板を撃ち抜き、人間ごと吹き飛ばした。右側の物置から別の一人が顔を出した瞬間、エリザヴェータは止まりもせず黒い影みたいに通り過ぎ——次の瞬間、短くて乾いた首の折れる音だけが聞こえた。


走りながら思った。この女がある日俺たちを家具みたいに解体すると決めたら、そんなに時間はかからないだろう、と。


サービス通路を上へ向かうにつれ、揺れが大きくなっていく。地震じゃない。城全体の骨格が、下の井戸に反応し始めている。壁の漆喰が落ち、封鎖された展示室の向こうでシャンデリアがかすかに揺れ、どこかの木梁が古くて不満そうな軋み音を立てる。


無線の外周も、どんどん騒がしくなっていく。


(シキ):「西側上層から人が飛び出してきた!白衣のやつ、あんたたちの大事な先生じゃないの?」


葉綺安(イェ・キアン):「飛び出したんじゃない、箱を引き渡そうとしてる。それと周士達(ジョウ・シーダー)、またあんたの借りが増えた」


俺:「それは今何の役にも立たない!」


林雨瞳(リン・ユートン):「喧嘩してる場合じゃない!後ろにまだ何かいる——人じゃない、壁の隙間から這い出てきてる!」


ミルチャが無線に怒鳴る。「白衣を止めろ!箱を外に出すな!」


「止めてる!」(シキ)が不満そうに返す。「問題はあんたたちが下で作ったあの黒い汚泥が、排水管を伝って上に流れ込んでることだ!」


——いい。状況がはっきりしてきた。


俺たちは単純に撤退する一団を追っているんじゃない。


城全体に広がろうとしている労災級の大事故と、速さで競っている。


主ファイルとサンプルが外に出たら、今夜の爆破は無駄になる。下の井戸の逆流が上層に広がったら、無駄になるだけじゃなく、国際的な笑い話と大量の死者まで付いてくる。


肺が少し痛くなってきたころ、ようやく前方に白衣の男が見えた。


通路の突き当たりの昇降プラットフォーム脇に、護衛が二人だけ残っていた。後ろには小型のレール台車があり、大型ケースが二つと黒い細長いケースが一つ固定されていた。一番内側の黒いケースは楽器ケースに似た形だったが、こんな場所でチェロを運ぶ人間がいるはずもない。


白衣の男も俺に気づいた。


今度は笑わなかった。ただ冷たく言う。


「一番皮肉なことが何か、分かりますか、周さん」


「この歳になると、だいたいの答えはもう怖くない」


「あなたたちが今日爆破しようとしているのは、怪物工場じゃない」と彼は言う。「人類が初めて、死を管理可能な資源に変えられる可能性を手にした場所だ」


俺は二十メートルほどの距離で立ち止まり、散弾銃をしっかり構えた。


「違う」俺は言う。「俺が爆破するのは、死体をキャッシュカードにして、おまけに漏れっぱなしのポンコツ工場だ」


男の表情にようやく亀裂が入った。


「あなたたちは永遠に恐れることしかできない」


「そうだ」俺はうなずく。「怖がるのは普通のことだ。あんたたちみたいに怖がらない連中は、最終的に全員爆破されて当然の末路を辿る」


男が手を上げた。二人の護衛が同時に発砲した。


廊下が銃声で満ちた。イリーナとミルチャが左右に分かれて応戦し、俺は台車の前輪めがけて散弾を一発叩き込んだ。金属フレームが歪んで台車が傾き、上の大型ケースが一つ床に落ちて角が割れた。中から出てきたのは書類じゃなかった。冷蔵サンプル容器が整然と並んでいた。


白衣の男の顔色が変わった。飛びついて支えようとする。


よく見えた。


あの中身は、男にとって命より価値がある。


なら、そこを狙う。


二発目を撃とうとした瞬間、頭上で轟音がした。銃でも爆薬でもない——上層のどこかの木梁が、内側から何かに押し破られた音だ。灰、砕けた木片、黒い液体が一気に降り注いで、通路を真っ二つに分断した。


白衣の男が一歩後退し、護衛二人も本能的に上を向いた。


その一瞬だった。


エリザヴェータが俺の横から消えた。


次に現れたとき、彼女は台車の横に立っていて、あの黒い細長いケースを片手に持っていた。護衛二人が銃を向け直す前に、彼女は片足で一人の膝を蹴り砕き、もう一人の喉を逆手で壁に叩き込んだ。


「優雅」と「人を釘みたいに壁に打ち込む」が同時に成立できると、初めて知った。


白衣の男が後ずさりし、彼女の手のあの黒いケースを凝視した。


その反応が全てを語っていた。


あれが本当の主ファイルだ。少なくとも、核心部分だ。


エリザヴェータはケースを片手に提げたまま、冷たく言う。


「こんなものまで持ち出そうとするとは」


白衣の男の顔が、さっきまで俺たちに文明を語っていた人間とは別人になった。


「返せ」


「その資格があるか?」


「お前にはその中身が——」


「分かっておる」エリザヴェータは言う。「だからこそ、汝には持ち出させられん」


その一言に、俺は一瞬止まった。


ケースの中身を知っているからじゃない。


彼女がこんなにも直接的に、どちらの側に立つか示したからだ。


追い打ちでも、傍観でもない。


これは持ち出させない、と正面から言った。


白衣の男はとうとう最後の取り繕いを捨てた。外套の中から細長い注射器を引き抜き、躊躇なく自分の首筋に刺した。


俺はクソったれと言う間もなかった。


次の瞬間、男の体が通電したみたいに弓なりに反り、首と手の甲の血管が瞬時に黒く変色し、白目の大半が濁った灰色に変わった。背が伸びたわけでも、体が大きくなったわけでもない。ただ全体が、冷凍保存から稼働モードに切り替わったばかりの死体みたいになった。動きが速くなり、痛覚が落ち、表情が壊れた。


「やっぱり最後は自分に薬を打つんだな」俺は言う。


男は答えず、エリザヴェータに向かって飛びかかった。


速い。本当に速い。


普通の人間の範疇を完全に超えている。


ただし、相手を間違えた。


エリザヴェータはケースを片手に持ったまま、体を半歩ずらしてその突進を外し、もう片方の手で前腕を掴んだ。骨の折れる音が廊下に響いて、俺の歯まで浮いた。男は声も出さず、逆にねじって彼女の肩口に噛みつこうとした——


戦い方まで怪物の真似をしている。


エリザヴェータはただ冷たく男を見た。安物の偽物を本物と言い張る露店商を見るような目で。


「みっともない」


片手を男の顔に当てた。


そのまま壁に叩きつけた。


ドン。


石壁にひびが入った。


男はまだ抵抗していた。黒く変色した血管が虫みたいに顔を這い上がっていく。俺が銃を上げた瞬間、イリーナの方が早かった。一発が耳の後ろから入って、反対側から黒い灰の塊を吹き飛ばした。


今度は動かなくなった。


イリーナは銃口を下げ、一切の抑揚なく言った。


「グレゴルの分は、これで清算じゃない。ただ一筆つけた」


その通りだ。


今はまだ、全部の借りを返す時間じゃない。


通路がまた揺れた。


今度は局所じゃない。西側サービス層全体がひとつ、一緒に揺れた。遠くで葉綺安(イェ・キアン)が何かを斬り払う金属音が響き、(シキ)が無線で長い悪態をつき、林雨瞳(リン・ユートン)が直接叫んだ。


「ぐずぐずしてる場合じゃない!下のやつが二階の天井を押し上げてる!」


エリザヴェータが手の中のあの黒いケースを一瞥して、俺に投げてきた。


受け取った瞬間、後ろによろめいた。


「重っ!」


「中身が紙じゃないからな」と彼女は言う。


「じゃあ何だ」


「生きて出てから訊け」


その言葉が終わるのと同時に、真鍋の声が無線に割り込んできた。背景には銃声と金属を叩く音が混じっている。


「幹線の補修が半分終わった!だが上層の石橋のあたりが崩れてきてる、接続し直すのにあと一分は必要だ!」


「一分?」外に滲み始めた黒い液体を見ながら、その要求が持つ自殺的な意味を噛み締めた。


真鍋も分かっているらしく、すぐに付け足した。


「追いかけてくるものを食い止められなければ、三十秒も持たない!」


——いい。


状況がようやく、俺の好きなシンプルさになってきた。


爆薬は仕掛けた。


主ファイルは確保した。


幹線は半分繋いだ。


城が崩れている。


井戸が上に向かって溢れている。


残った問題は最後の一つ、最も単純で最も有効な問いだけだ——


全部が俺たちを飲み込む前に、最後のあの線を繋ぎ直して、思い切り一発ぶちかませるかどうか。


ミルチャが俺の手の黒いケースを見て、通路の奥で滲み続ける黒を見て、言った。


「石橋の方向へ撤退。真鍋たちがもう限界だ。ケースを持ったまま、上で接続が終わり次第、下を爆破する」


「間に合わなかったら?」俺は訊く。


イリーナが最後の一発を弾倉に押し込みながら、顔も上げずに答えた。


「走りながら爆破する」


この一言が好きだ。


今日という日に、一番似合っている。


俺たちは石橋の方向へ走り出した。背後には半分怪物化した白衣の死体が壁に貼りついたまま、足元には打ち切れなかった薬剤が散らばっていた。ひどく失敗した投資計画が最後にストップ安をつけたみたいな光景だった。前方の廊下は一区画ずつ裂け始めていて、黒い液体が石の隙間から這い上がり、壁の中で何かが叩いていた。まるで城全体が、自分の下の井戸がついに叩き潰される日が来たと知っているみたいだった。


あの重い黒いケースを抱えて走りながら、頭の中にあったのはひとつだけだった。


頼む。


起爆装置を押す前に、あまりにも間抜けな死に方だけはさせてくれ。


最後の角を曲がって、真鍋たちが半崩れの石橋の手前で切れた導爆幹線を必死に繋ぎ直しているのが遠くに見えた。


その瞬間——橋の向こう側の裂けた石壁が、内側からぐっと膨らんだ。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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