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46.真実 46-1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「走るぞ。もう爆破するかどうかの話じゃない」


起爆装置を外套の内ポケットに押し込み、振り返って上へ膨らみ続ける黒い井戸を一瞥した。


「爆破して、生きて出られるかどうかだ」


その言葉が終わるのを待っていたみたいに、第三層の最下部の予備ポンプが突然、限界を超えて暴走した。


轟——


爆発じゃない。金属が耐久限界を超えて、それでも無理やり動かされているときに出す、硬い悲鳴だ。主ポンプ、回収槽、吊り上げ支柱が同時に震え、井壁から砕石が降り始めた。さっきまで滲んでいただけの管が今度は裂け、黒く光る液体が継ぎ目から噴き出して、鉄の桟橋を叩いた。誰かがアスファルトと屍の臭いを一緒にバケツで浴びせたみたいな音がした。


それから、それらが育ち始めた。


植物みたいな育ち方じゃない。


落ちた黒い塊が、地面に着くなり自分で自分を引き延ばして、かろうじて人の輪郭になろうとする。先に手が出てくるものもあれば、先に顔の半分が出てくるものもあれば、先に牙だけが生えてくるものもある。死に方をでたらめに捏ねて丸めて、無理やり動ける形に詰め込んだみたいな何かだ。


真鍋が鉄梯子の方向へ退きながら悪態をついた。


「もう漏れてるレベルじゃない!これは逆流だ!」


「簡単に言え」俺は一番近くで膝を生やしかけていた黒い塊を一発で吹き飛ばす。


「要するに、もう爆発寸前だ!」


「それは分かる!」


下方で白衣の男がまだ立っていた。逃げていない。手のタブレットはいつの間にか赤い遠隔操作ボックスに替わっていて、その顔は井戸の底の反射光の中で、医学部から死体銀行の支店長に転職したような表情をしていた。


「今なら間に合う!」彼は上に向かって怒鳴った。「主ファイルとコアサンプルを持ち出させてくれれば、ここはまだ制御できる可能性がある!」


「お前みたいな人間が言う『制御』は、たいてい死体袋の上に書いてあるやつだ!」俺は怒鳴り返す。


イリーナは無駄口を叩かずに、男の手元の赤いボックスに向けて一発撃った。


男は学者には見えない速さで後ろに引き、弾が手首をかすって後ろの照明を砕いた。ようやく笑みが消えた。こちらを見上げる目が一気に冷え切る。


「結構だ」と彼は言う。「では一緒に埋まるがいい」


次の瞬間、下層プラットフォームの反対側の警告灯が全部点いた。


赤い光が一圏ずつ上へ駆け上がり、井戸全体が高熱を出しているみたいだった。さらに悪いことに、主操作台横の画面のカウントダウンが加速し始めた。さっきまで十七分以上あった赤い数字が、一気に十二分四十秒に跳んだ。


真鍋がそれを見て、顔色が完全に変わった。


「過負荷シーケンスを前倒しにされた!」


ミルチャが鉄梯子の方向へ射撃で援護しながら怒鳴る。「崩壊を煙幕に使って荷物を逃がすつもりだ!先に上へ撤退、それから上行ルートを断て!」


この一言で、ようやく全部が繋がった。


下のC.U.I.B.の連中は、俺たちと道連れになるつもりなんかなかった。


施設が爆発する前に、最後の一掻きをするつもりだ。データ、サンプル、主ファイル、この死の化学工場を別の場所で再建できるものなら何でも——全部持ち出す気だ。


それを通すわけにはいかない。


鉄梯子の空間に退き込んだ瞬間、状況は一気にサバイバル番組の様相になった。


上は身動きの取れないほど狭い鉄梯子、下からは銃撃と黒い液体が絶え間なく押し寄せ、井戸からは半分しか形になっていない逆流体が手すりに向かって飛びついてくる。ヴォロンツォフは典型的なロシア式の冷静さで最下段に陣取り、下へ向けて銃を押さえながら、まったく抑揚のない声で言った。


「急げ。もう少し遅かったら梯子ごと撃ち落とす」


「それは全然安心できない」カーンが言う。


「安心させようとしていない」


もっともだ。


手すりを掴んで上へ登り、二周目に差し掛かったとき、エリザヴェータが梯子を登っていないことに気づいた。


鉄梯子の外側の支柱を、歩いて上がっていた。


跳んでいるわけでも、飛んでいるわけでもない。


とっくに錆びて、どんな重さも支えられないはずの横桟を、理屈を無視してひとつひとつ踏んで上がっていく。ときどき手を伸ばして、飛びかかってきた黒い何かを空中で掴んで引き剥がし、そのまま井戸に放り返す。その一連の動きが、こういう場面にひどく慣れていて、慣れすぎて少し退屈そうにすら見えた。


思わず上に向かって叫んだ。


「普通に梯子を使えないのか?」


彼女が下を見る。水道管に自分で詰まった人間を見るような目だ。


「汝ら人間の造りは遅すぎる」


「これは造りじゃなくて逃げてるんだ!」


「妾には大差ない」


クソったれ。


言い返せないのが余計に腹立たしい。


上の前室まで登り切ったとき、背後で爆裂音がした。


爆薬じゃない。回収槽が限界を超えて、管節ごと弾け飛んだ音だ。黒い液体が高圧水流みたいに噴き出して、最下段の鉄梯子の半分を丸ごと覆い尽くした。まだ登りきれていなかったC.U.I.B.の武装要員二人は声も出す間もなく黒い流れに巻き込まれ、靴の裏が手すりを二度蹴って、それから人の形が消えた。


代わりに、ますます人に似た何かが、井壁をゆっくりと這い上がり始めた。


前を走っていたヘイズが一瞥して、息を呑んだ。


「If that gets to the castle proper, this becomes exportable」


プラットフォームに上がって息を整えながら、俺は返す。「普通の言葉で」


彼女の顔色が悪い。


「上層の建物に入り込んだら、もう井戸の中だけの話じゃなくなる。部屋、配管、排水、壁——全部を伝って広がっていく」


「つまり城全体がストローになる」真鍋が言う。


「その表現も十分最悪だ」俺は言う。


「でも分かりやすい」


ミルチャはすでに前方の旧処置室に飛び込んで扉を押し開けていた。その光景に、全員の顔色がさらに悪くなった。


降りてきたときにはまだ原形を留めていた処置室が、今は荒らされた後だった。壁の棚は全開、床には砕けた標本容器と書類フォルダが散乱し、奥の貨物用昇降井が動いていた。ワイヤーがまだ揺れている——つい今しがた、何かを引き上げたばかりだ。


イリーナが床の車輪跡と引きずり痕を一瞥した。


「大型ケースが二つ、小型が一つ」と彼女は言う。「それと、人間一人分の重さ」


「人間一人分の重さって何だ」俺は訊く。


「自分では歩いていない」と彼女は冷たく言う。「押されて運ばれた」


その一言で胃が沈んだ。


ヘイズがすぐに荒らされた書類デスクへ走って探し始め、真鍋は貨物用昇降の制御ボックスを確認しに走った。ヴォロンツォフとカーンが入口を守りながら、換気口から絞り出されてきた黒い塊を二つ、ついでに叩き返した。ミルチャが無線を外周チャンネルに切り替えた。


「外周封鎖、聞こえるか。応答せよ」


雑音の中から、聞き慣れた刀の峰で叩くような音が一度して、それから(シキ)の不満そうな声が来た。


「聞こえてる。あんたたち、ようやく自分が泥の中にいるって気づいた?」


「西側サービス廊道、貨物用昇降出口と観光区画の接続部、現在の状況は」


「最悪」と(シキ)は言う。「武装した一団が側道から上に向かってる。誰かを迎えに来てる感じ。葉綺安(イェ・キアン)が上で押さえてる。雨瞳は壁の中でずっと何かが動いてるって言ってる。あんたたち、起こしちゃいけないものを盛大に怒らせたんじゃないの」


林雨瞳(リン・ユートン)の声がすぐに割り込んだ。


「一組じゃない、二組いる。下水管からも何かが上がってきてる。追うか、逃げるか、早く決めて」


ミルチャがまだ微かに揺れているワイヤーを見上げ、目が底まで沈んだ。


「両方やる」と彼は言う。


思わず乾いた笑いが出た。


「官僚の会議の癖、本当に直らないな。何でも両取りしようとする」


「違う」とミルチャは言う。「今夜両方やらなければ、明日には両方なくなる」


真鍋が制御ボックスから顔を上げた。さっきより顔色が悪い。


「貨物用昇降は西側上層サービス階へ向かっている」と彼は言う。「あの先は主展示室裏の保守廊道と旧収蔵庫に繋がっていて、さらに上が外周封鎖線だ」


「主ファイルをそこから外に出すつもりだ」ヘイズが冷たく言う。


「つもり、じゃない」俺は言う。「今まさに出してる」


イリーナが腰の短刀を引き抜き、出口へ向かった。


「追う」


「待て」真鍋が制御ボックスの横の、引き千切られた黒い太いケーブルを指さした。「導爆索の幹線が切れている」


俺は彼を見た。


「どういうことだ」


「つまり」と彼はそのケーブルを指し、さらに上を指した。「さっき仕掛けた爆薬の下側はまだ生きてる。だが上層の起爆点に繋がる幹線が、貨物用昇降の通路付近で切れている。このままだと、起爆装置を押しても半分しか爆発しない」


室内が一瞬、静まり返った。


切れた導爆索を見つめて、俺はただ悪態をつきたかった。


——結構。


論理パズルでも謎解きでもない。


最も現実的で、最も面倒くさい、工事現場の問題だ——


線が切れた。


繋ぎ直さなければ、爆発しない。


イリーナが最初に口を開いた。天気予報を読むみたいな口調で。


「繋ぎ直す」


俺は彼女を見た。


「繋ぎ直す、は分かった。誰が繋ぎ直すんだ」


彼女が振り返る。その目が言っていることは単純だ。


今さら何を訊いてるの?


ミルチャは言い争いをさせなかった。即断した。


「二手に分かれる。一手は西側サービス階を追って主ファイルと撤退班を押さえる。もう一手は導爆幹線を繋ぎ直して、起爆線を上層の安全地点まで通す」


「二手?」俺は言う。「さっき分散するなって言ってたじゃないか」


「分散が問題なんじゃない」と彼は言う。「足りないのが問題だ」


エリザヴェータがそのとき入口から入ってきた。靴の先にまだ黒い液体が少し付いていたが、本人は呼吸ひとつ乱れていない。


「そんなに複雑に考えなくていい」と彼女は言う。「箱を追うのは、全員生きている人間の仕事。線を繋ぐのは、先に汚いものと当たる仕事。どちらが厄介か、見れば分かる」


「その分け方、大雑把すぎないか」


「だが使える」


正しい。


そして今、一番やってはいけないのは、話をこれ以上複雑にすることだ。


ミルチャは最も荒い分け方に切り替えた。


「イリーナ、俺、周士達(ジョウ・シーダー)で貨物用昇降のルートを追う」と彼は言う。「真鍋は導爆幹線の修復、ヴォロンツォフ、カーン、ヘイズが援護につく。殿下は——」


彼は少し間を置いた。一手で人の頭を逆に折れる古い吸血鬼に対して、どう任務を割り振るか、言葉を選んでいるみたいだった。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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