44.ペレシュ城 44-2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
その小部屋は怪物を閉じ込めておく場所じゃなかった。貨物用エレベーターの前室だった。奥には工業用の昇降プラットフォームがあり、扉が半開きのまま、昇降井が真っ直ぐ下へ黒く落ちていた。床には新しいタイヤ痕、引きずり痕、壊れた冷蔵ケースの角部品、そして半分踏みつぶされたラベルが一枚。
俺は拾い上げて読んだ。
ドイツ語で書かれ、下にルーマニア語と英語が補記されていた。
Weissman Continuity Program Specimen Transit – Sublevel Access Authorized below Level III only
顔を上げてミルチャを見た。
「これ、知ってたか?」
ミルチャはそのラベルを見た。彼の顔に初めて、本当の意味で険しいと言える表情が浮かんだ。
「ワイスマンの人間がここを使っていたことは知っていた」と彼は言う。「自分たちの名前を第三層より下に刻み込んでいたことは、知らなかった」
真鍋が昇降井の縁に近づき、センサーを下に向けてスキャンした。
数値が乱れ、最終的に画面が真っ黒になった。
「電磁干渉だけじゃない」と彼は言う。「下に、生きた構造体がある」
「生きた構造体って何だよ」俺は言う。
「踏んでる床が、自分を床だと思ってないかもしれない、ということです」真鍋は言う。
「分かりやすい説明をありがとう」
貨物用エレベーターはすでに使用停止で、電源が落とされていた。唯一の朗報は、隣に螺旋状の鉄梯子が一本、残っていたことだ。
悪い知らせも、それだ。
つまり、下に本当に何かがいた場合、撤退時はこの階段を一段ずつ駆け上がって逃げるしかない。
死人のために設計されたような建物だ。
ミルチャが短く命じた。「隊形を保って降下」
隊形の組み直しは素早かった。先頭がイリーナ、二番手がミルチャ、俺とエリザヴェータが中ほど、その後ろに四カ国のオブザーバーたちが続く。この配置は俺が重要だからじゃない。エリザヴェータが突然協力をやめると決めたとき、俺が十分近くにいれば、最初に取扱説明書代わりに使われるからだ。
鉄梯子はひたすら下へ続く。降りるにつれ、空気がどんどん冷たくなっていく。
山の冷気じゃない。
石の底に何年も埋もれて、陽も当たらず、風も通らない場所の冷たさだ。
三周ほど降りたところで、壁が近代のコンクリートから古い石積みに変わった。五周を過ぎると、石の表面にさらに古い刻み目が現れた。城の時代のものじゃない。もともとこの山には別の何かがあって、後世の人間がその上に建物を重ねただけ——そんな痕跡だった。
カーンが手を伸ばし、その刻み目に触れる。
「もっと古い」と彼は低く言う。
ヴォロンツォフも足を止めた。
「前教会時代。あるいは帝国以前だ」
エリザヴェータが俺の背後から言う。
「さらに古いぞ」
俺は振り返って彼女を見る。
「何でも知ってるんだな?」
「いや」彼女は言う。「ただ、妾が生まれるより前から、掘り起こしてはならぬものが多すぎただけじゃ」
その台詞が気に食わない。
五百九十六歳の吸血鬼が「自分より古い」と言うとき、それが観光ガイドの豆知識だったためしがないからだ。
ついに、鉄梯子が底に着いた。
下にあったのは、俺が想像していたような実験室ではなかった。
二つの要素が混ざり合った、最悪の形のものだった。
前半はワイスマン系統が残した地下実験区画。気密扉、ガラスの観察窓、錆びているが高価な機材、ドイツ語の標識、旧式のポンプ、注液管、圧力計、標本棚。後半はそのまま、さらに古い石蔵と洞窟構造に直接繋がっていた。まるで誰かが戦後の闇実験室を中世の墓穴に無理やりねじ込んで、それを合理的だと思い込んでいるような空間だった。
壁には白いペンキの文字が残っていた。
Phase Binding Necrobiotic Retention Marrow-Line Stabilization Transit Compatible Host
見ているだけで頭皮がじわりと粟立つ。
ヘイズは逆に、黄金でも見つけたみたいに目を輝かせた。
「This is it. This is a full continuity cell. Weissman didn't just borrow the region—he built a bridgehead」
「今から興奮し始めるなら」俺は言う。「上の階に放り返すぞ」
彼女は俺を一瞥して、本当に表情を引っ込めた。
イリーナは機材を見なかった。床を見ていた。
「また引きずった跡がある」と彼女は言う。「さらに奥へ運び込んでいる」
ミルチャが空間全体を見渡し、すぐに役割分担を始めた。真鍋とヘイズが機材の起動リスクを確認、カーンとヴォロンツォフが両側に残っている可能性のある宗教・霊的標記を処理、イリーナが撤退ルートを確保、そして俺は——極めて不幸なことに——エリザヴェータと組んで奥の調査を担当することになった。
「彼女が君にしか同行しないからだ」ミルチャが言う。
「分かってる」俺は言う。「そんな前例を作ったこと、今猛烈に後悔してる」
俺たちは奥へ進み、すでに破裂した培養槽の列を通り抜けた。中はほとんど空で、搬出されなかった数体も完全に死んでいた。接合に失敗した教材みたいに。
人間の骨格。狼種の内分泌腺を強化したサンプル。吸血鬼の血統注入に失敗し、全身の血管が黒化した死体。
ワイスマンが目指していたのは「永遠の命」じゃない。
「使えるだけ使い倒す」ことだ。
純粋な狂気よりも現実的で、だからこそもっと気味が悪い。
一番奥の扉は金属ではなかった。
石の扉だった。
扉の表面には、異なる時代に書き足された印が刻み込まれている。十字、狼頭、錬金術の幾何学図形、医療番号、ドイツ語の文字、そして後から赤いスプレーで吹き付けられた現代の警告矢印まで。
ここを訪れた者が全員、扉に何かを書き残さずにはいられなかったみたいだ。自分がかつて、その下にいるものを理解しようとしたのだと証明するために。
エリザヴェータが扉の前で止まり、隙間に手を当てた。
「開けられておるな」と彼女は言う。
「C.U.I.B.が?」
「それだけではない。ワイスマンの人間も開けた、その前の連中も開けた」彼女は扉を見下ろしながら言う。「だが、誰も本当に持ち去ることはできなかった」
俺は扉の中央、とっくに死んだ錠前を見つめた。
「中には何がある?」
彼女が横目で俺を見る。
「汝らはずっと、第三層を一つの場所だと思っておった」と彼女は言う。「違うのじゃ」
眉をひそめる。
「じゃあ何だ?」
「口じゃ」と彼女は言う。
真鍋たちもこのとき追いついてきた。全員が揃うと、ミルチャは無駄口を叩かず、イリーナと一緒に石扉の横木を外した。横木が落ちた瞬間、空間全体が古い空気を大きく吸い込んだような気がした。
扉が押し開かれたとき、俺が最初に聞いたのは音じゃなかった。
反響だった。
幾重にも重なり、あらゆる方向から、幾つもの時代が折り重なった反響。
それから、第三層の本当の姿を目にした。
地下室じゃない。
墓室でもない。
秘密の研究区画でもない。
巨大な天然の縦穴だった。後世の人間が周囲を一圏一圏、逆さまに育った教会みたいに造り上げた縦穴。上方は俺たちが入ってきた石扉のプラットフォーム、下へは石段、崩れた橋、鉄の桟道、古い支柱が層を重ねて、底の見えない中央の深井へと落ちていく。
井戸に水はなかった。
少なくとも、水には見えなかった。
そこにあったのは一面の、黒く光るもの。液体のようでもあり、あまりに深い鏡のようでもあり、表面が時折かすかに脈打って、映し返すのは俺たちの姿ではなく——この時代には属さない残像だった。
船の帆柱。
炎の光。
修道士の灯り。
手術台。
狼。
鉄格子。
沈んでいく人の顔。
その上には、無数の管と索道が四方から井戸へ向かって垂れ下がっていた。古い鉄鎖、中世の木製滑車、ワイスマン時代の金属ポンプ管、C.U.I.B.が近年増設した輸液の幹管。第三層全体は、研究区画というより——異なる時代の人間が繰り返し汲み取り、餌を与え、祀り、利用し続けてきた巨大な採掘坑に近かった。
ただし、掘られていたのは鉱石じゃない。
死そのものだ。
ヘイズが息を呑んだ。
真鍋が固まった。
カーンが低く経を唱え始める。ヴォロンツォフは十字架を握り締め、指の関節が白くなっていた。ミルチャの顔は、あの黒い井戸の反射の中で、極限まで険しくなっていた。
イリーナがルーマニア語で何かをぽつりと言った。
意味は分からない。だが目つきからして、ろくな言葉じゃない。
エリザヴェータが俺の隣に立ち、静かに言った。
「これが第三層じゃ」
喉が少し乾いた。
「これは何だ?」
彼女は井戸の黒を見つめながら言う。
「死に様を覚えている井戸じゃ」と彼女は言う。「汝らが何を投げ込んでも、それを学ぶ。血、死体、名前、恐怖、命を盗もうとした者ども。長い年月をかけて、ただ覚えるだけでなく、吐き返すようになる」
俺はその黒い井戸を見つめながら、ようやく理解した。なぜ上に結界があり、実験室があり、処置室があり、番犬がいて、昇降井があるのか。なぜワイスマンもC.U.I.B.も、ここに施設を釘付けにしたのか。
城の中で研究していたんじゃない。
井戸の縁で、水を盗んでいたんだ。
死者が残した、人間が使ってはいけない種類の水を。
そして、もっと最悪なことに——
井戸の縁の最下層、新しく増設された作業用足場に、まだ灯りがついているのが見えた。
残り火じゃない。
ついさっきまで点いていた作業灯だ。
その横には完全にはシャットダウンされていないポンプが二台、管の一端を黒い井戸に突っ込み、もう一端を搬送途中の冷蔵ケースと密封槽に繋いでいた。それらの箱には、黒海港湾の古いラベル、ワイスマン連続計画の標識、そしてC.U.I.B.の巣形の烙印が貼られていた。
撤退は完了していなかった。
もっと下へ移動しただけだ。
そして、その作業灯の向こう——黒い井戸に最も近い場所に、金属の操作台がまだ画面を半分だけ光らせていた。
画面に表示されているのはデータじゃなかった。
たった今、点滅しながら現れた一行の文字だった。
Transit sequence armed Awaiting key-bearer
その文字を見た瞬間、心臓が深く沈んだ。
これは誰かを待っているんじゃない。
俺を待っている。
第三層全体が、山が呼吸を止めたみたいに静まり返った。
そして——
井戸の黒が、ゆっくりと極小の波紋を一つ膨らませた。
もっと深いところにいる何かが、俺たちの到着を聞いていた。
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