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32.五月蠅い連中 32-2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

それから二時間、現場は正式に海上国連総会と化した。


国旗が並んでいるわけじゃない。


青いエンブレムもない。


環境に優しそうで実は高いガラスのテーブルもない。


あるのは幽霊空母一隻、睡眠不足の国家代表たち、熱湯とカレーを運び続ける腐敗した炊事兵、それと異なる言語で同じ内容の汚い言葉を包んだ大量の主張だけだった。


ドイツ側は完全な医療接触権を要求した。


韓国側は自国民の精神状態の優先確認を求めた。


サウジアラビアの代表はアドナン本人に身分確認を求め、ついでに他に中東系の乗客が艦上にいないかを確かめようとした。


イギリス人が一番性格が悪かった。"We fully understand the humanitarian urgency" と言いながら、この艦隊の指揮系統が実際にどこに属するのかを探り始めた。


フランス人は非常に優雅なやり方で、この一件がヨーロッパの政治安全保障の勘定に入るかどうかを確認しようとした。


アメリカ人は名目上は最も事態を安定させたがっていたが、実際には「ワイスマン」の線の周りをぐるぐると間接的に叩いて、俺がどこまで知っているかを探り続けていた。


ロシア人はもっと簡潔で、最初から装わなかった。


「この艦隊が本当に黒海に入るとして、誰が抑制する責任を持つんだ」


トルコ側がすぐに冷たく返した。


「まず、彼らはまだ海峡に入っていない」


「それは我々がまだここに座っているからだ」とロシア人は言った。


アメリカ代表が鼻を鳴らした。


"You mean because you are still pretending not to be worried."


「心配はしている」ロシアの副代表が言った。「ただ我々は、あなた方のように心配するたびに他人の玄関先を自分たちの作戦区域に変えたりしない」


そこにイギリス人がゆっくりと割り込んだ。


"Gentlemen, perhaps we can all agree that none of us would like to see a ghost fleet escorted by misunderstandings and tactical ego."


俺はこれを聞いて笑いそうになった。


「全員がお互いに腹を立てている」という状況を「戦術的自尊心」と表現するこの口調は、本当にイギリス的だった。


一番気の毒だったのはトルコ側だ。


全員が最終的に同じ問いに戻ってくるからだ——


船を、通すのか通さないのか。


通さなければ、数百人の多国籍難民が外海に足止めになり、責任はトルコにある。


強引に通させれば、トルコの主権と面目が傷つき、責任はやはりトルコにある。


だからトルコ代表は話が進むほど顔色が悪くなっていき、最後には通訳まで自分の苛立ちを声に乗せ始めた。


「人道的な枠組みの中で、限定的な通行を手配することはできる」と彼はついに言った。「ただし条件として——この艦隊は海峡通過の全行程において、トルコ海軍による全面的な護送と監視を受け入れること」


山口多聞(ヤマグチ・タモン)は眉一つ動かさなかった。


俺はそのトルコ代表を見ながら、後半を代わりに言いそうになった。


護送というのは、つまり押さえつけながら通すということだ。


全員わかっている。ただ誰もそうは言わない。


ルーマニア側はずっと静かだった。


他の連中ほど急いで騒がなかった。なぜなら彼らには、この船と人間が最終的に自分たちの玄関先に来るか、自分たちのニュース面に叩きつけられるか、どちらかしかないことがわかっていたからだ。ルーマニアの駐土大使は一通り聞き終えてから、ゆっくりと口を開いた。


「各方面が艦隊の最終停泊地がルーマニア方向であることを確認するなら、我が国政府は臨時収容と医療受け入れの準備を開始できる。ただし最初に明確にしておきたいのは、我々が受け入れるのは難民であって、艦隊の帰属ではない」


「安心しろ」俺は言った。「この船、あんたらが受け入れたくても、そっちの港湾局にその心理的準備があるとは思えない」


ルーマニア代表が一瞬呆気にとられ、そして笑った。


「今夜初めて、人間らしい慰めの言葉を聞いた」


「どういたしまして。料金は高いぞ」


そのとき、会議テーブルの向こう側から韓国代表が、キム夫妻(the Kims)を連れて戻ってきた。妻の目はまだ赤く、夫の顔色は白かったが、少なくともまだ立っていられた。その後ろにホフマン教授が毛布を肩にかけて続いた。地獄を見学させられて感想文まで書かされた大学教授のような表情だった。さらにその後ろにアドナンがいた。どこかから引っ張り出してきた古い海軍の作業服を着て、袖を肘まで捲り上げ、「俺はただ厨房を立て直したかっただけなのに、なんで急に国際的な証人にされてるんだ」という顔をしていた。


各国代表は自国の人間が本当に艦上にいると目で確認した瞬間、最後の「死んだふり」の余地がなくなった。


名簿は疑えた。


写真は偽造と言えた。


レーダー画像は誤判定と言えた。


でも生きた人間が目の前に立って、なんで今頃来たんだと顔で訴えていたら、もう誤魔化しようがない。


アメリカが最初に認めた。


ドイツがそれに続いた。


韓国とサウジアラビアは固定の連絡窓口の設置を直接要求した。


英仏はここで傍観者に徹することはできないと即座に判断した。


ロシアはアメリカが単独で発言権を独占できないと確認してから、態度を純粋な脅しから「自分も監視員を送る」に切り替えた。


こうして事態は、最も荒唐無稽で、しかし最も合理的な結論へと転がり込んだ。


---


「各国、一名ずつ連絡官を残す」


この言葉を言ったのは山口でも俺でもなかった。


トルコ国防省代表だった。


ここまで来て彼はようやく気づいた。全員が一人ずつ自分の人間を飛竜(ひりゅう)に乗せておくことが、監視・人道・責任転嫁・互いへの不信感を同時に満たせる唯一の妥協案だということに。


お前が信用できない?ならお前が人を出せ。


俺があいつを信用しない?結構、あいつも人を出せ。


全員が信用できない?なら全員まとめて乗り込んで好きなだけ見ればいい。


一瞬、テーブル全体が静まった。


この案は最低だが、最低の中では公平だった。


アメリカが先に頷いた。


ドイツがそれに続いた。


韓国とサウジアラビアは異論なし。


英仏が素早く目を見合わせて、どちらも同意した。


ロシア側代表が二秒考えて、最後に鼻息を一つ吐いた。


「よかろう。ただし我が方の連絡官が艦上で何らかの不明なリスクに遭遇した場合——」


「報告書を書いて俺たちを罵倒すればいい」俺は言った。「どうせ最初から書くつもりだったんだろ」


ロシア人は俺を睨みつけたが、反対はしなかった。


トルコ代表が続いて二つ目の条件を出した。


「艦隊の海峡通過期間中は、トルコ海軍が全程護送する」


今度は山口多聞(ヤマグチ・タモン)が口を開いた。


「護送?」口元がわずかに動いた。「聞こえのいい言い方だ」


「最も人を傷つけない言い方でもある」トルコ人が冷たく返した。


山口は数秒見つめてから、最後に頷いた。


「構わない」


俺は横に立ちながら、妙な感覚を覚えた。


このじじいは最初からわかっていたんだ。今日の会議に勝者はいない。この結果を引き出せたなら、それで十分だと。


主力艦隊は港に入らない。


自分からは仕掛けない。


海峡を通れる。


人を次の目的地へ運べる。


あいつが求めていたものは、ずっとこれだけだった。


他の連中が求めていたものの方が、よほど複雑に絡み合っていた。


ルーマニア代表が続いて正式に回答した。


「我が方は本国政府に通知し、医療・検疫・身元確認・臨時収容の準備を前倒しで進めます。艦上の難民については、既存の人道的枠組みの中で受け入れる用意があります」


「よかった」俺は眉間を揉んだ。「今夜初めて、本当に難民のことを考えている台詞を聞いた」


イギリス代表がゆっくりと最後の一刺しを入れた。


"So, shall we now begin to pretend that this was a successful multilateral coordination, rather than a collective breakdown that nearly became a supernatural maritime diplomatic disaster?"


フランス人が彼を一瞥した。


「あなた方イギリス人は本当に、恥知らずをユーモアに包む専門家ですね」


「そしてあなた方フランス人は、責任転嫁をスタイルに包む専門家です」


二人は目を見合わせた。どちらも譲らなかったが、続けて言い合いもしなかった。


これが文明社会というものだ。


フォークで食事をしながら、心の中では同じ一本の刃を考えている。


---


各国の連絡官名簿が実際に提出されたとき、空はもう明けかけていた。


飛竜(ひりゅう)に七、八人の新しい常駐者が増えた。書類鞄を持ってきた者、暗号機を持ってきた者、小型の医療バッグを背負ってきた者、ペットボトルの水を一箱抱えて乗り込んできた者まで、まるでプロジェクトが終わるまで駐在するつもりで来ていた。


一人一人が異なる休憩区画に案内されていくのを見ながら、俺はつくづく世界というのは笑いを取るのが上手いと思った。


昨夜のこの船の最大の問題は、腐敗した軍医が林雨瞳(リン・ユートン)をもう一度気絶させないか、カレーの中の奇妙な匂いをどうにかできるか、(シキ)が毛布が古い棚みたいな臭いがすると文句を言っていることだった。


今朝、飛竜(ひりゅう)には国際連絡官の一団が丸ごと増えた。


このまで二日もすれば本当に安全保障理事会が開けそうだ。


俺は舷側の手すりに寄りかかって、口の中に三粒目の禁煙ガムを含みながら、海面の霧が朝の光に少しずつ打ち薄められていくのを眺めた。遠くでは、トルコ海軍の艦艇がすでに位置を調整し始めていて、礼儀正しく、しかし意図は明白な護衛隊形を形成していた。


護送。


クソッ、本当に聞こえのいい言い方だ。


そう考えていたとき、後ろから足音がした。葉綺安(イェ・キアン)が俺の隣に来て、手に新しく届いた連絡名簿を持っていた。


「本当に国連になりそうね」


「冗談言うな」と俺は言った。「国連は少なくともインテリアがもっと新しい」


彼女は少し笑って、名簿を渡してきた。


俺は一通り目を通して、思わず舌打ちした。


「アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、全部揃ってる。中国はまだ影も形もない」


「来てほしかったんじゃないの?」


「そうだよ」俺は名簿を折って手すりに軽く叩きつけた。「来てくれれば、まず俺に向かって会議テーブルから追い出してくれる。俺はすぐにこの燃え盛る芋を投げてやって、山口多聞(ヤマグチ・タモン)とトルコ海軍とロシア副司令とアメリカ第六艦隊とゆっくりやり合ってもらう」


葉綺安(イェ・キアン)が俺を見た。


「あなたって本当に、外交災害の才能がありますね」


「ありがとう、もともとそういう人間なので」


彼女がまだ何か言おうとしたとき、ふと止まって、眉をひそめながら港の外の方向を見た。


俺もその視線を追った。最初に見えたのは、岸の上にあるはずのない明るさだった。


それから、また一列、また一列。


もっと遠い防波堤、高層ビルの脇、埠頭の倉庫の屋根、さらに外側の港湾道路まで、新しい光の点が次々と灯り始めた。最初は散らばった反射光みたいだったのに、数秒後には群れをなす輝点の塊に変わっていた。


目を細めて、ようやく正体がわかった。


中継車。


長焦点レンズ。


肩乗せカメラ。


識別証をぶら下げ、ウインドブレーカーを着て、イヤホンマイクをつけた人間の群れが、何波も何波も押し寄せていた。


さらに、蚊みたいに低空で乱飛行するドローンの群れ。


俺は三秒黙った。


それから一言だけ言った。


「クソッ」


葉綺安(イェ・キアン)は俺がその言葉をこんなに希望のない声で言うのを、めったに聞かなかった。


「記者?」と彼女は聞いた。


「他に何がある。渡り鳥か」


岸の灯りはどんどん増えた。車はどんどん密になった。何台もの衛星中継車が腐肉の匂いを嗅ぎつけた野犬みたいに、港で一番いい位置を奪い合っていた。長玉レンズを据え付ける者、カメラに向かって髪を整える者、すでにライブ配信を始めて、生まれて初めて本物の大ネタを見たみたいに口を大きく開けている者。


俺はその光の群れがゆっくりと集まっていくのを眺めながら、さっきテーブルいっぱいの国家代表と向き合っていたときよりも、もっと嫌な感覚に包まれた。


外交官はまだ手順に従う。


軍人はまだ戦線を守る。


情報員はまだ秘密を守る。


記者は違う。


記者はハエだ。


匂いを嗅いだら来る。とりあえず止まる。相手が死人でも生きている人間でも、国家機密でも超常事故でも国際スキャンダルでも、彼らには全部ただ、角度の違う視聴率だ。


俺は手すりにもたれて、朝の光が少しずつ海面に這い上がっていくのを見ながら、レンズが少しずつ飛竜(ひりゅう)に向いていくのも見ていた。


この瞬間になって初めて、俺は本当に確信した。


極光号(オーロラ)の沈没は、この一連の事態の最大の爆発点じゃない。


十一隻の亡艦が海峡の外に停泊していることも、そうじゃない。


本当の爆発点は、今この瞬間から、全世界が知ったということだ。


そして全世界が知った後は、最大の問題はもう誰が船を通すか、誰が難民を受け入れるか、誰がワイスマンを調べるかじゃない。


全員が、この事件を自分に最も有利な物語として語り始めることだ。


海風の中で、山口多聞(ヤマグチ・タモン)が後ろから歩いてきて、俺と並んで立ち、どんどん増えていくレンズと灯りの方を一緒に見た。


しばらく黙ってから、静かに口を開いた。


「本当の護送が、今始まるな」


俺は口の中のガムを噛み砕いた。辛味が鼻腔まで突き抜ける。


「そうだな」ハエみたいに群がってくる記者たちを見ながら、低い声で言った。「これからは、死人だって静かにしていられない」


海面では、トルコの艦艇が転舵を始めた。


飛竜(ひりゅう)の艦腹の深いところから、低く長い震動が響いてきた。


そして港の外のレンズが、同じ瞬間に、一斉に灯った。

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