31.茶番劇 31-2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
### 四、日本:死んだふりについては、我々はプロだ
東京に通報が届いたとき、官邸、外務省、防衛省、そして看板を出していないいくつかの機関の反応は、驚くほど一致していた。
まず、あれが日本のものだとは自分から認めない。
理由は十分にある。
あの十一隻は法律上、現在の海上自衛隊ではない。歴史的には、どう見ても日本帝国海軍の顔だ。国際的な印象としては、旭日旗を掲げてトルコの玄関口に乗り込んでいくのは、どう見ても外交上の自殺だ。国内政治的には、認めても認めなくても詰んでいる。
一番妙なのは——船の中にいる「昭和の亡霊」を代弁できる人間が、今の内閣のどの閣僚よりも本物の海軍らしく見えるかもしれないということだ。
防衛省の会議室で、一人の文官が眼鏡を拭きながら、慎重な口調で言った。
「現時点では、あの艦隊が現代日本政府の指揮下にあるという証拠はありません」
「しかし国際社会はあれを日本の問題と見なすでしょう」外務省の人間が冷たく返した。
「では外務省が否定してください」
「どうやって否定しろと言うんですか。申し訳ありませんが、あれは我が国の八十年前の死者が勝手に出航したものであり、現政府の管轄外です、とでも言えと?」
ずっと角に座って黙っていた老人が、そのとき静かに口を開いた。
「技術的には、その説明は間違っていない」
何人かが同時に振り返った。
その人物は会議の名簿のどの部署にも属していなかった。地味な服装で、髪は白く、喋り方は市場で魚の値段を聞くみたいだった。しかし会議テーブルの周りで、誰も彼に出て行けとは言わなかった。
神楽機関の人間だったから。
本当に厄介なのは、亡艦そのものじゃない。
あの艦隊が今、明らかに周士達と並んで立っているということだ。
そして周士達という人間は、日本の公式筋にとって、昔からずっと扱いに困る存在だった。
日本人じゃないくせに、八十年前に日本が残した幽霊の借金を、ずっと肩代わりして取り立てて回っている。公務員でもないくせに、手元にあるものは多くの公的機関よりも確実に魂を呼び寄せる。友軍でもなく敵軍でもないくせに、事態が本当に爆発するたびに、最後はいつも彼が下りていって、まだ鼓動している地雷を素手で触ることになる。
神楽機関の老人はテーブルの上の簡報を見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「急いで介入する必要はない。今は我々がテーブルに着く局面じゃない。まずトルコ、NATO、ロシア、アメリカに、互いの匂いを嗅がせておけ」
「では我々は」
「引き続き知らないふりをする」
外務省の人間の頬が、ピクリと引きつった。
「それは長続きしません」
「長続きさせるとは言っていない」老人が短く笑った。「だが日本が最も得意とするのは、最初に発言権を取りに行くことじゃない。もともとそうだろう」
部屋の中で誰かが低く何かを吐き捨てた。
誰も拾わなかった。
その言葉があまりにも耳に痛く、そしてあまりにも真実だったから。
最後に、日本側はひっそりと二本の暗線を流した。
一本目は、非公式ルートを通じて、これ以上ぼかしようがないほど曖昧な一言を飛竜へ届けること。
——当分海峡に入るな。もう少し引き延ばせ。
二本目は、ワイスマンの洗い直しを始めること。
良心が疼いたからじゃない。
アメリカが掘り返し始めた以上、日本だけが完全に何もしていない顔をするわけにはいかないからだ。
国と国の間というのは、多くの場合、どちらが正義かを競っているんじゃない。
どちらが「最後まで何も知らなかった間抜け」に見えないかを競っている。
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### 五、我が艦上:煙草が吸いたいのに、吸えない
飛竜の艦橋外を吹く風は容赦なく、顔に当たるたびに古い新聞紙みたいな感触がした。
俺は右舷外側の観測通路に立って、遠くのトルコ側で海面を何度も切っているサーチライトを眺めながら、無性に煙草が吸いたくなった。
問題は、今禁煙中だということだ。
だから禁煙ガムを噛むしかない。
禁煙ガムというのは、一番噛みたくないときに限って、特別に辛く感じるものだ。
山口多聞は前方に立って、冷たい手すりに手をかけたまま、その姿勢は答えを待っているというより、どの生きた人間が先に我慢の限界を超えるかを待っているように見えた。
俺はあいつを横目で見た。
「さっきの理屈、要するにトルコに鍋を丸投げして、自分は火から離れたってことじゃねえか」
「他にどうしろと言う」頭も動かさずに返す。「強行突破すると言えば、今夜中に海峡中の砲口がこちらを向く。停まると言えば、圧力は向こうの岸に戻る」
「そして後ろでアメリカ、ロシア、日本が自分の算盤を弾く」
山口が喉の奥で笑った。
「それでいいじゃないか。生きている人間が一番得意なのは、互いに牽制し合うことだろう」
口の中のガムを噛み砕いたら、辛味が鼻腔まで突き抜けた。
「ったく、あんたって人は本当に一ミリも他人を楽にしてくれないな」
「周士達」ようやく少しこちらを向いた。古い海軍特有の冷たく硬い光が、目の奥から一歩も引いていない。「喜ぶべきだ。まだ会議をしているうちは、まだ撃つ準備ができていないということだ」
考えてみれば、確かにその通りだった。
クソッ。
こういう死に損ないが正論を吐くときが、一番腹が立つ。
艦橋の後方から、腐敗した水兵が音もなく歩いてきて、傍受したばかりの信号の書き写しを山口に差し出した。顔の半分はほとんど崩れ落ちているのに、立ち姿は現代の多くの将校よりも美しかった。
俺がそれを受け取って目を通す。トルコ側からの臨時暗号通知で、現位置を維持し、海峡入口のブイ区域に接近するな、正式書面回答を待て、とあった。
俺は鼻を鳴らした。
「来たな。一枚目の紙切れだ」
山口はその紙を見つめたが、すぐには受け取らなかった。
ただ淡々と言う。
「紙は重要だ。砲もな」
「その台詞を外の外交官連中に聞かれたら、今夜また二部署くらい徹夜になるぞ」
「それは彼らの問題だ」
海風の中で、ふと別のことが頭に浮かんだ。
「ワイスマンの名前、もう出回り始めてるだろ」
山口は今度は笑わなかった。
「必ず出回る」
「そうなると海峡だけの問題じゃ済まない」
「最初から海峡だけの問題じゃない」低い声で言う。「ルーマニア行きは、最初から観光じゃない」
俺はそれ以上何も返さなかった。
その当たり前すぎる言葉が、紛れもない事実だったから。
遠い暗がりから、現代軍艦のシルエットがゆっくりと旋回した。それ以上は近づかず、警戒しているのは明白だが失礼というほどでもない距離を保っている。艦橋の灯りはこちらより遥かに明るく、生きた人間の世界がわざと自分たちを照らし出しているように見えた。
十分明るければ、幽霊なんて怖くないと証明できるとでも言うように。
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### 六、第一の命令
午前二時十七分。
アンカラからの正式回答が、ついに届いた。
口頭じゃない。
探り合いでもない。
番号付き、権限付き、責任の連鎖付き——後に続くどの官僚も責任を一段上に投げられるだけの、正式命令だった。
トルコ海峡通行臨時指令、第零一号。
内容は短く、意味は明快だった。
一、飛竜を旗艦とする未識別歴史艦隊は、
さらなる協議が完了するまで、ボスポラス海峡外の指定海域に停泊すること。
二、いかなる形式であれ、海峡管制区への無断侵入を禁ずる。
三、艦上の多国籍民間人および極光号事故の人道的要因に基づき、
各国合同調査および外交代表団の乗艦接触を許可する。
四、いずれの当事者も、明確な授権なく先制攻撃を行ってはならない。
五、以後の通行可否は、より上位の外交安全保障会議にて別途裁定する。
訳文を読み終えて、俺は長く息を吐いた。
「よし。これで本当にドアが閉まったな」
山口多聞はそこでようやく手を伸ばして文書を受け取り、ゆっくりと目を通した。
顔色は変わらない。
最初の一太刀がどんな形をしているか、最初からわかっていたような顔だ。
しばらくして、紙を折って俺に返した。
「結構だ」
「どこがだよ」
「少なくとも、話し合う気があるとは認めた」
俺はじっとあいつを見た。
「生きてる人間への要求、本当に低すぎないか」
山口は今度こそ声に出して笑った。低く、短く。艦腹の中で古い砲が一発だけくぐもった音を立てたみたいに。
「周士達」海峡の向こうの、より深い暗がりを見ながら、平然とした声で言う。「国と国の間で、まず撃つなという命令を出す気になったなら、それだけで十分顔を立ててくれたということだ」
俺は何も返さなかった。
同じ瞬間、トルコ、ロシア、アメリカ、日本の無数の暗号回線の上で、もっと長く、もっと毒があって、もっと記録に残したくない言葉が、次々に飛び交い始めていることを知っていたから。
そして俺たちは全員わかっていた——
この一枚の命令は、嵐を鎮めたんじゃない。
嵐を、正式に手続きの中に組み込んだだけだ。
海の霧は晴れなかった。
ただ、より白さを増していく。
もっと大きな政治的天気の前触れのように。
「とても面白い」★四つか五つを押してね!
「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




