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24.浸水する箱庭 24-2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

21:58 五階 医療センター前


医療センターは、ひっくり返った熱油の鍋みたいな有様だった。


床一面に血と水と割れたガラスと薬箱が散らばり、泣く者、叫ぶ者、震えている者、頭を抱えてその場に座り込んでいる者が、至るところにいる。二人の医療スタッフが、やけどを負った乗客を引きずり込んだばかりのところへ、牛小琴が太ももに鋼材を突き刺したままの雨瞳を抱えて飛び込んできた。二人の顔が、同時に固まる。


「ベッド!」俺は怒鳴った。


「早く!」もう一人のスタッフも、余計なことは言わない。すぐにストレッチャーを押してきた。


牛小琴が雨瞳を横たえる動作は、意外なほど丁寧だった。


その優しさに、俺でさえ一瞬止まる。できないからじゃない。これは乱暴に扱っていいものじゃない、ということを、彼女はちゃんと分かっている。雨瞳はベッドに触れた瞬間、痛みで息を呑み、それでも目の焦点はまだしっかりしていた。俺の手首を、死に物狂いで掴んでくる。


周士達(ジョウ・シーダー)……」


俺は腰をかがめた。


「ここにいる。」


彼女の唇は白く、声はほとんど息だけだった。それでも、一言絞り出す。


「あの子に……長く続けさせないで……」


俺は、一瞬固まった。


返す言葉を見つける前に、医療スタッフがストレッチャーを奥へ引いていく。葉綺安がそのまま付き添い、傷ついた脚を固定しながら、振り返って俺を見た。その目が、はっきりと告げていた——聞こえた、分かった、と。


希のこの体がどれだけ耐えられても、牛小琴を長時間引き出しっぱなしにしていいわけじゃない。


ちょうどその時、医療センターの反対側から、急ぎ足の音が近づいてきた。


ホフマン教授だ。


シャツに灰と血が染みついていて、顔色は最悪だ。後ろには、あの老修女がついてきていた。ベネデッタ修女(Sister Benedetta)は頭巾が少し傾いていて、両腕に救急箱を抱えているが、その表情だけは異様なほど落ち着いている。「今の状態」の希を一目見て、半秒だけ止まり——それ以上の反応を見せなかった。原理は分からない、でも敵ではない。その判断が、その半秒に全部詰まっていた。


ホフマンは、眉を寄せた。


「やはり、その手を使ったか。」


「使わなかったら、雨瞳は今もシャフトの中だ。」俺は言う。


彼は、引きちぎられたエレベーターの扉枠の方向を一度見て、希の手を一度見て、顔色をさらに暗くした。だが、反論はしない。


床に続く引きずった跡が、答えを全部語っていたからだ。


修女は希の前まで歩いていき、静かな声で言った。


「あなた、まだ中にいる?」


牛小琴は、顔を上げて修女を見た。その目は、冷え切っている。


「関係あらへんやろ。」


修女は退かない。ただ、穏やかに頷く。


「では、彼女を燃やしてしまう前に、返してあげてください。」


その一言が落ちた瞬間、希の指先がびくりと跳ねた。


それは牛小琴の反応じゃない。

希本人が、まだ中で聞いている証拠だ。


だが、まさにその時——船体が再び、大きく揺れた。


今度は、一点の爆発じゃない。


連続だ。


まず低く鈍い爆発音。次にもっと近い一発。そして、フロア全体が巨人に踏みつけられたみたいに、半寸ほど沈む。頭上の蛍光灯が二本、続けてパチンと弾け、医療センターの外から一斉に悲鳴が上がる。廊下の奥で、誰かが絶叫した。


「八階、また爆発した! 八階が、また!」


ホフマンの顔色が変わる。


「レストランのガス爆発が、拡大した。」


次の瞬間、黒煙まみれの乗組員が非常階段から転がり込んできた。叫ぶような声で言う。


「中庭の空中回廊が落ちた! Bifröst(ビフロスト)、全部落ちた! 中央はもう通れない! 全員、左舷か右舷の非常階段に切り替えろ!」


医療センターが、一瞬だけ、完全に静まり返った。


たった一秒。


それから——人の波が、完全に崩壊した。


泣き叫ぶ声、押し合う体、その場で膝から崩れ落ちる者、家族を探して走り出す者、とにかくまだ通れる方向へ目的もなく飛び出す者。辛うじて保たれていた秩序が、「空中回廊が落ちた」という一言で、跡形もなく消えた。


あれは、この船で最も豪華で、最も誇らしげで、最も神話めいた象徴だった。


それが落ちたということは——「局所的な事故」という最後の幻想が、完全に消えたということだ。


---


22:05 希、限界へ


牛小琴は、ずっとその場に立ったままだった。


周りがどれだけ乱れていても、照明がどれだけ最悪でも、火災警報と人の声が一塊になって渦巻いていても——彼女はまるで甲板に打ち込まれた鉄杭みたいに、びくともしない。


だが、俺には分かる。彼女の中の力が、制御を外れる方向に向かい始めている。


弱くなっているんじゃない。

満ちすぎているんだ。


希の肩は、どんどん固くなっていく。手の甲の血管が、見ていて怖いくらい浮き上がっている。呼吸にさえ、人間じゃないような低い唸りが混じり始めた。彼女はうつむいて、何かを必死に押さえ込もうとしているみたいだ。


葉綺安が医療カーテンの向こうから出てきて、その状態を一目見るなり、表情が沈んだ。


「もう無理。」彼女は言った。


俺は頷く。


今ここで無理に牛小琴を押さえ込もうとすれば、希の体ごと崩れる可能性がある。かといって、このまま続ければ——「借りている」状態を超えて、「乗っ取られる」状態になりかねない。


ホフマンも異変に気づいて、声を低くした。


「まだ自分で制御できているか?」


「できてる。でも、ギリギリだ。」


その時、修女が静かに前へ出た。希の正面に立つ。


「戻っておいで。」彼女は言った。


牛小琴がゆっくり顔を上げる。その目は、今にも牙を剥きそうなくらい鋭い。


修女は退かない。


ただ、その顔を真っ直ぐに見て、穏やかに言う。


「もう人は助けた。今は、あなたが暴れる時間じゃない。」


その言葉の、どこかの一点が、何かに触れた。


希の全身が、一度大きく震えた。次の瞬間、重い鎚で後頭部を殴られたみたいに、膝がガクンと折れる。俺はすぐに手を伸ばして支えた。彼女の手の中のボトルが、俺よりも早く動いた。何かが自分で帰る場所を知っているみたいに、瓶口がかすかに震え——彼女に押しつけていた力の全てが、一気に緩んだ。


希が、激しく咳き込んだ。


病気の咳じゃない。深い水の底から引き上げられて、肺の中に他人の空気が詰まっているみたいな咳だ。目が赤くなるまで咳き込みながら、それでもボトルを手から離さない。指の関節が白くなるほど、抱きしめていた。


やがて顔を上げた時、その目は——ようやく、彼女自身のものに戻っていた。


ただ、体は半分抜け殻みたいに、力が入らない。


俺は彼女の肩を支えた。


「戻ったか?」


彼女は二度ほど息をついてから、俺を見上げ、最初の一言を言った。


「顔、ひどい?」


俺は、怒りと笑いが同時に来た。


「それが最初に出てくるなら、大丈夫だ。」


彼女は口の端をわずかに引いた。次の瞬間、体がぐらりと傾いて、また倒れかける。葉綺安がすぐに反対側から支えに入った。その動きは、何度もやり慣れているみたいに、淀みなかった。


キム・ジヌは少し離れた場所から、この一部始終を見ていた。「俺は一体何に巻き込まれたんだ」という表情を、もはや隠す気もない。パク・ソヨンはもっと直接的で、彼の後ろに完全に隠れて、希の方を正視できなくなっていた。


これだけのことが起きた後で、もう多くのことは隠しきれない。


俺にはそれが分かっていた。


だが、今は考える暇がない。


船は、まだ沈み続けている。


---


22:11 章末


医療センターの中では、林雨瞳(リン・ユートン)の処置が続いている。


医療センターの外では、人の波が崩れ始めている。


もっと遠くでは、火がまだ燃えていて、鋼がまだ裂けていて、海水が船腹のどこかの見えない場所からまだ流れ込み続けている。


俺たちはその混乱の真ん中に立ち、ようやく一人だけ、確実に死ぬ場所から引きずり出すことができた。


その代償として——主役陣営の間だけで暗黙のうちに守ってきた境界線が、今日、外の人間の前でほんの少しだけ、めくれ上がった。


希は葉綺安の肩に寄りかかり、顔は透き通るくらい白く、それでもあの古いボトルを胸に抱えたままだ。目を閉じて、しばらく息を整えていたかと思うと、ふいにまた目を開けて、上を見た。


天井を見ているんじゃない。


船板を透かして、もっと高いところを見ているみたいな目だ。


俺は、その視線を追って頭を上げた。


「どうした?」


希は二秒黙ってから、まだ枯れた声で、でも一字一字はっきりと言った。


「牛小琴が言ってる。この船の中に閉じ込められてるの、あの子だけじゃないって。」


背筋が、冷えた。


葉綺安もゆっくり顔を上げ、その目が深く沈んだ。


ホフマンは横に立ったまま、鉄でも飲み込んだみたいな顔をしている。修女は低く祈りの言葉を呟き、手の中の十字架を、より強く握りしめた。


遠くのどこかの階で、突然、長い金属の断裂音が上がった。


高いところから引きずり降ろされてくるみたいに、その音は長く長く続いた。まるで、とても大きくて、とても重くて、長い間閉じられたままだった扉が、内側から何かに押し開けられたような音だった。


希は、その音を聞いた瞬間、目の色が変わった。


怯えじゃない。


——聞き覚えのある音だ、という顔だ。


次の瞬間、彼女はボトルを強く抱き締め、低く言った。


「目、覚めた。」


そして、今度は誰も聞かなかった——


「それ」は誰なのか、と。

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「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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