表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/369

22. 夢の終わり 22-2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

21:21


船の左舷前方で、爆発が起きた。


今度ははっきり分かった。


爆発は俺たちの足元じゃない。左舷前方、船首寄りのエリアだ。だが衝撃波は船体の金属を伝って全方位に広がり、歯の根までしびれるような振動となって届いてくる。続けざまに、もっと低い音域の区画警報が連続して鳴り出す。


単純な火災じゃない。どこかが連鎖的に破れた音だ。


ちょうどそのとき、下から二人の乗組員が駆け上がってきた。一人は顔中に汗をかいていて、もう一人は腕が全部濡れている。走りながら英語で怒鳴り合っていて、俺の耳に断片的に飛び込んできたのは、数語だけだ。


「Forward port——」

「Water coming in——」

「Kitchen side——」


左舷前方。

厨房方向。

大量の海水が流入している。


誰も正式に乗客に向けてそれを告げていない。だがあの二人の顔を見れば分かる。状況は単純な火災より、ずっと悪い。火はまだ制御できる可能性がある。だが、水が入ってはいけない場所から入り始めたとき——その瞬間から、この船全体の血色が変わる。


階段室の人口が増えていた。


イブニングドレスを着たままの客。バスローブ一枚で出てきた客。裸足の客。


こういうとき、その場所が普段どれだけ「包装」されていたかがよく分かる。事が起きると、包装から先にがれていく。ブランドも、宝石も、赤ワインも、笑顔も、体裁も——全部どうでもよくなって、残るのは誰が走れるか、誰がまだ立っているか、次にどこへ向かうべきか知っているか、それだけだ。


教授が、上の混乱した人の流れを一瞥いちべつして、低い声で言った。「左前方なら、八階は危険だ。」


俺はうなずく。「だが、(シキ)がまだ八階にいる可能性がある。」


「なら行くしかない。」


「そうだ。」


その言葉を口にしたとき、俺はもう分かっていた。今夜、自分のフロアで大人しく情報を待てる人間は、この船に一人もいない。船全体が、あちこちから分裂し始めている。俺たちにできるのは、まだ完全に潰れていない隙間を、一つずつ探して進むことだけだ。


---


21:24


船尾側の推進システムが、止まった。


その瞬間の方が、爆発より、ずっと胃に来た。


どれだけ混乱していても、船体の奥深くにはずっと、低くて安定した駆動音が流れていた。鋼鉄の巨獣が傷を負いながらも、歯を食いしばって前進し続けているような音。それが、この瞬間、半分だけ、ぷつりと切れた。


直後に、船全体の姿勢が変わった。


すぐに横転するわけじゃない。

だが、何か巨大で重いものが突然緩んで、船がそれまで保っていたバランスを失った。


階段室の照明が、ぐっと暗くなる。

遠くのいくつかの区画が、完全に暗転した。


予備電源区画にも、浸水が始まっている。


誰かに教えてもらったわけじゃない。照明が一層ずつ抜けていく消え方を見れば分かる。後部フロア、一部の客室区画、接続通路の照明が不安定になり始め、点いたかと思えば消える非常灯が増え、一部の区域はそのまま真っ暗になる。


電力システム全体が、海水に神経をみちぎられている。感覚が、ひと区画ごと、後ろから順番に失われていく。


修女は低く祈りの言葉をつぶやき、教授は逆に、階段の灯りを見上げながら、やけに冷静な声で言った。


「後方推進が止まったのなら、この船はこれからの一度一度の揺れ方が、どんどんみにくくなる。」


「分かってる。」


「分かっていて、その落ち着きか。」


「今、パニクってる暇がねえだけだ。」


タフぶってるんじゃない。単純に、時間が足りない。


別々のフロアに、それぞれ何人か、もしかしたら挟まれているかもしれないやつらの顔を同時にぶら下げて走っていれば、感情なんて自動的に押しつぶされる。残るのは、ただの「機能」だ。


八階にたどり着いたときには、煙はさっきより明らかに濃くなっていた。



---


21:27


八階は、本来ならオーロラ・インペリアで一番賑やかなフロアのひとつだ。


高級レストラン、テーマバー、デザートエリア、オープンキッチン。


フロア全体が、いつだって「狙ってやってます」と言いたげな、腹黒いくらいの良い匂いで満ちている。グラスの触れ合う音、笑い声と音楽が混ざり合い——この船がどれだけ「人生を分かってますよ」と誇示こじするためのフロアか、ひと目で分かる場所だ。


今、その匂いが、ひたすら気持ち悪い。


バター。アルコール。ガス。木材。そして内装用の接着剤やら何やら。


全部一緒に燃えている匂いが、のどの奥をきつく締めつける。遠くの廊下の先で、炎が煙の向こうで、ちらっ、ちらっと跳ねているのが見える。スプリンクラーは、死にかけの老人みたいに、ときどき弱々しく水を吐くだけで、火勢かせいを押さえ込む気配がない。


床一面、ひっくり返ったワイン。砕けたグラス。踏み潰されたケーキ。


さっきまでショーウィンドウの芸術作品みたいに並んでいたメニューが、今はみんな、だらしなく散らばっている。


角を曲がった瞬間、俺は(シキ)を見つけた。


彼女は床に膝をついた姿勢で座り込んでいて、顔じゅう灰だらけ。その膝の上に、ひとり、頭をのせて倒れている。


アドナン。


いつもは「全部俺の計画通りだから」とでも言いたげな、余裕の笑みを浮かべてる男だ。今はこめかみ辺り一帯が血まみれで、額には深い裂傷。意識は飛んでいて、片側の肩口もびしょ濡れだ。水なのか血なのか、遠目には判別がつかない。


(シキ)の両手は震えっぱなしだが、それでもアドナンの頭に当てたタオルを必死に押さえている。少しでも力を緩めたら、彼の中身が全部こぼれ落ちるとでも信じているみたいに。


士達(シーダー)!」俺に気づいた彼女の声は、その場でひび割れた。「さっき、アドナンが私を横に突き飛ばして——あのガラスが、そのまま——」


「今はいい。」俺はしゃがみ込み、素早くアドナンの頸動脈けいどうみゃくに指を当てる。脈はある。生きてはいる。だが出血は多いし、頭のダメージも軽くはない。「教授!」


ホフマン教授はすぐさま横から入り、予想以上に手慣れた動きで処置を引き継いだ。


修女も反対側に膝をついて、(シキ)の手の上から、ずぶ濡れになったタオルをもう一度しっかり押し当てる。その口元は絶えず祈りの言葉をつむいでいるが、その手つきには無駄な震えがない。


「お二人は、まず彼のことを。」俺は言う。「医療センターに運べそうなら運んでくれ。ただし、メイン通路は無理するな。」


教授は顔を上げ、俺の目を一度だけ見た。それだけで、俺の意図いとを理解するには十分だった。「君は、さらに下へ行くつもりかね。」


雨瞳(ユートン)からメッセージがあった。中央エリア付近にいる。」俺は答える。「それに、葉綺安(イェ・キアン)も、まだ見ていない。」


(シキ)はその言葉を聞いた途端、そっとアドナンの頭を慎重に床へ横たえ、自分も立ち上がった。


「私も行く。」


「大丈夫か?」


彼女の目は真っ赤だが、意識ははっきりしている。「大丈夫。アドナンは教授と修女に任せる。ここで何もせず待ってる方が嫌。」


こういう場面では、人手はそのまま「視力」と「手数」になる。俺はうなずき、余計な言葉は挟まない。


俺たちが八階を離れようとした、そのとき——火の手は、ついに本当の「大問題」を引きずり出した。



---


21:29


八階レストランでの火災が、ガス爆発を誘発した。


その一撃は、フロア全体の皮一枚をまとめてぶん殴るみたいな派手さだった。


まず、ぎゅっと短く金属がよじれる耳障りな音。


その刹那せつなのあとに、炎が一気に前線を押し出す。


ガラスウォール全体が、まとめて破裂した。


衝撃波が廊下じゅうを駆け抜けて、まだ荷物を取り戻そうと引き返していた乗客を何人か、まとめて吹き飛ばして壁に叩きつける。天井からお洒落ぶって吊られていたペンダントライトが落下し、食器、ガラス片、火のついたテーブルクロスが入り乱れて空を飛ぶ。


俺は(シキ)の腕を掴んで、咄嗟とっさに柱の陰へ引き込んだが、それでも肩口を一枚、飛んできたガラス片に撫でられた。焼けるような痛みが走る。


後ろでは、教授が修女をかばうように壁際へ押しやり、アドナンは倒れたサービストロリーに守られる形で、どうにか二度目の直撃をまぬかれた。


爆発の直後、煙の量は一気に増える。


メインの通路は、もう使い物にならない。


……そのタイミングで、極光号(オーロラ)が戻ってきた。


いや、「戻ってきた」というほどじゃない。


正確には——この船で一番おしゃべりなシステムが、どこか遠くからやっとのことで放送ラインまで這い戻ってきた。だが、その声帯はすでに半分ちぎられている。


スピーカーからまず、短くノイズが弾ける。


その後に、乗客なら誰もが聞き慣れている、あの女の声が、ようやく押し出されてきた。だが今のオーロラには、もはや完璧さはない。その聲には、細かいひずみが混じっていた。もともと絹のように滑らかだった布を、誰かが乱暴に握りしめて、深いしわをいくつも刻み込んだみたいな音質だ。


『主……主要通路、**閉鎖中へいさちゅう**。

避難階段への、迂回うかいを……。

繰り返します、主要通路、**閉鎖中**。』


遅い。

少なくとも、十分は遅かった。


普段、一番タチの悪いところは、オーロラの「早すぎる」気遣いだ。こっちが思いつく前に、何もかも先回りで段取りしてくる。


だからこそ、今みたいに「ここまで遅れる」と——逆に、はっきり見えてくる。


この船が一番頼り切っていた、いつものやり方が、本当にぶっ壊れているってことが。


俺はフロアマップに一瞥いちべつをくれ、火にふさがれたメイン通路を見やりながら、頭の中でルートを組み替える。


「非常階段で七階中央エリアへ降りる。」俺は(シキ)に言う。


葉綺安(イェ・キアン)?」


「そう。中央区画へ行くには、そこから切り込むしかない。」


俺たちがちょうど動き出そうとしたとき、煙の向こうからパク・ソヨン(Park So-yeon)の声が飛んできた。


(ジョウ)さん!」


振り向くと、キム・ジヌ(Kim Jin-woo)とパク・ソヨンが、別のサブ通路から駆け出してくるところだった。二人とも、まだ「ボロボロで立てない」ほどではないが、直前にかなりの混乱をくぐってきたのが見て取れる。


パク・ソヨンは片方の靴を失くし、手には今にもちぎれそうなショッピングバッグ。キム・ジヌは、途中で引っこ抜いてきたらしい案内サインの支柱を握っていて——どう見てもさっきまで、それで何かと本気で殴り合っていた。


雨瞳(ユートン)は?」俺は前置きなしで聞く。


二人同時に、きょとんと固まる。


先に口を開いたのはキム・ジヌで、その顔はひどく険しい。「ここに来る前までは一緒だった。彼女は先に中央の方へ、預け荷物を受け取りに行くって言ってた。最初の大きな揺れのとき、人波で俺とソヨンがはぐれて……最後に見たとき、彼女は中央エレベーターの方へ向かってた。」


中央エレベーター。


さっき沈んだ重石が、今度は本気で底まで落ちた。


(シキ)の顔からさっと血の気が引く。「エレベーター、乗った?」


「そこまでは分からない。」パク・ソヨンの声は震えている。「でも、最後に見たのは、あっち方向に向かうところだった。」


教授は後ろでアドナンを支えながら、ちらと俺を見上げた。何も言わない。だが、その目つきですべて言っている。


——行くしかない。


「お二人は、まず教授と修女を手伝って、アドナンをもう少し安全な場所へ。」俺は指示を出す。


だがキム・ジヌは、即座に首を振った。「No。俺も一緒に行く。中央エレベーター区画のレイアウトは俺が一番把握してる。さっき七階から回り込んだときも見てきた。」


俺は彼を一度見て、それからパク・ソヨンに目を移す。彼女は全身震えているくせに、それでもうなずいた。


——よし。じゃあ、一緒に行く。



---


21:31


船の東西両側をつなぐスカイブリッジが、圧力に耐えきれず崩れ落ちた。


あの連絡橋には、ちゃんと名前がついている。

Bifröst(ビフロスト)


オーロラ・インペリア自慢のガラススカイブリッジの一つ。昼は展望スポット、夜は写真映え命の撮影ポイント。船側はさんざん「二つの世界をつなぐ虹の橋」みたいなコピーで持ち上げていた。名前からして中二病だが、今の壊れ方は、その名に違わず、やたらドラマチックだった。


最初に響いたのは、一発のはっきりとしたひび割れ音。


一枚のガラスが割れる音じゃない。高所で、長い連続体として組まれている構造全体が、同時に負荷を食らい始めたときの音だ。


次いで二発目、三発目。


分厚いガラスと金属トラスが、力を横へ横へと伝播でんぱさせていく。誰かが橋の一番もろい部分を指でぐいっと押し込んで、全体を不自然なカーブへねじ曲げているみたいな。


そして、下へ落ちた。


一部分じゃない。

連なったブロックごとだ。


ドミノ倒し。


七階と八階の境目にいる俺たちからは、全体像は見えない。中庭方向から伝わってくる音だけで、その光景を頭に描くしかない。


パネルが一枚、また一枚と爆ぜ飛び、支柱が一節一節まとめて引き倒され、空中回廊全体と、その両脇にへばりついていた飾り物の類が、まとめて下層へ叩きつけられていく。


一つの橋が壊れた、なんてレベルじゃない。


オーロラ・インペリアが誇っていた「神話的演出」の皮が、その瞬間、べりっとがれ落ちたのだ。


アトリウム全体の悲鳴が、一気に炸裂さくれつ音みたいに跳ね上がる。


そのすぐあとで、さらに大きな範囲での停電が追い打ちをかけた。


灯りが一列、また一列と、誰かが遠くから一息で吹き消したみたいに消えていく。残ったのは、わずかなバックアップライトと、非常口サインの緑だけ。


さっきまで幻覚みたいに輝いていたこの船が、この瞬間やっと、本当の骨組みをさらけ出した。


鉄。ガラス。煙。水。火。

そして、人間たち。


……そんな中で、俺の手の中のレシーバーが、再び一瞬だけ光った。


今度は「中央」の二文字じゃない。

もっと短くて、もっとみっともない、助けを求める信号。


……早く……


それだけ。


次の瞬間、また暗転する。


俺はその一瞬の残光を、まるで物理的な何かみたいに、手のひらの中で握り締めた。


身体の中には、乾いた怒りだけが残る。


感情が爆発しているんじゃない。火が骨まで落ちてきて、頭の中の雑音を全部焼き払い、一筋の線だけを残す感じ。


中央区画。

急げ。


なら、行く。



---


## 21:34


八階から七階へ降りていく間の数分間が、今夜ここまでで、一番「生きている人間がまだ状況をコントロールできている」と錯覚できる時間帯だった。


安全だからじゃない。

ただ、進むべきルートが、ようやく一本に絞れたからだ。


教授と修女は、八階後方の臨時ケアエリアに残り、まずアドナンの処置に集中する。あそこなら、まだ非常照明も生きているし、簡易医療ポイントも近い。身動きの取れない負傷者を連れて、火と煙と人波の中を無理に突っ切るより、はるかにマシだ。


俺と(シキ)、キム・ジヌ、パク・ソヨンは、非常階段を使って七階の中央ブロックを目指す。


上には煙。

下には水。


メイン通路は死に、中庭側では構造が崩落している。


俺たちに許されているのは、「まだ死にきってない骨組みの隙間」を探すことだけだ。


七階の光景は、予想以上にひどかった。


ここは元々、ショップとラウンジのフロアで、普段は静かで、綺麗で、高すぎる値段設定で、すべての音が一回フィルターにかけられてから耳に届くような場所だ。


今は、ショーウィンドウは割れ、照明は落ち、床には高価なガラクタが散乱している。


ブランドバッグ。ワインボトル。ジュエリーのディスプレイケース。香水瓶。


割れたミラー。


全部、非常灯の下で、情けなく転がっている。


中央通路の脇に、葉綺安(イェ・キアン)が立っていた。


俺たちを見るとき、彼女は別に「助かった」とか「よかった」とか、そういう表情は一切浮かべない。ただ、ごく手短に、こちらの人数を数える。


「生きてたわね。」


「出迎えのセリフ、尖ってんな。」俺は返す。


「今、優しいフリしてる余裕ないから。」


彼女の腕には擦り傷があり、ジャケットはどこかで失くし、髪も乱れている。だが、足元はしっかりしている。この女の一番タチの悪いところは、こういうときほど、「自分が崩壊する選択肢」を最初から持ってない顔をするところだ。


雨瞳(ユートン)は?」彼女は間髪入れずに訊く。


「断続的なメッセージだけ。今のところ分かってるのは『中央区画』まで。」俺は答える。「キムさんの話だと、最後に彼女を見たのは、中央エレベーター方面に向かうところ。」


その瞬間になって初めて、葉綺安の顔色が、本格的に一段落ちた。


キム・ジヌが続ける。「メインのエレベーター六基のうち、一つだけさっきまで赤ランプが点いてた。他は全部死んでた。中央エレベーターシャフトの辺りなら、まだ近づけるポイントがあるかもしれない。」


「なら、行く。」俺は言う。


パク・ソヨンの呼吸は少し乱れているが、反対はしない。(シキ)は明らかにもう怖さの限界を超えていて、いつもの調子で突っ込む余裕もない。だが、それでも歩みを止めない。


それが、致命的に大事だ。


人間は、まだ足を前に出している限り、「まだ全部終わったわけじゃない」ということになる。


---


## 21:38


中央区画へ向かう道すがら、俺たちはとうとう——この船の「群衆パニック」というものを、正面から見ることになった。


それまでの混乱は、まだ局所的だった。人は走り回っていても、とりあえずはクルーを探したり、誘導サインを探したり、出口を探したりしていた。


今は違う。


火災と崩落ほうらく、停電と浸水が同時多発し、そのくせアナウンスが『主要通路、閉鎖中。避難階段への、迂回うかいを……』を途切れ途切れに繰り返すだけになると——真っ先に死ぬのは、「人の我慢」だ。


誰かが、他人を押し退け始める。

誰かが、どうしても部屋に戻って荷物を取り返そうとする。

誰かが、クルーの胸ぐらをつかんで怒鳴り散らし、「この船は一体どうなってるんだ」と詰め寄る。

壁に背中をくっつけたまま、完全に壊れて泣き続けている人間もいる。


さらに悪いことに、クルーの側も、きれいに二種類に割れ始めていた。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ