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07.本領発揮 7-1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

夜が明けた時、俺は首の痛みで目を覚ました。


六人で一部屋に詰め込まれた結果がこれだ。ベッドはルナとロラに半分ずつ占領され、床には上着と薄い布団がでたらめに敷かれている。ノヴァは壁にもたれて眠り、ベガは膝を抱えたまま夜中まで起きていて、いつの間にか目を閉じていた。葉綺安(イェ・キアン)はドアに一番近い場所で丸くなっている。何かあれば真っ先に蹴破って逃げ出せる位置だ。


国民的アイドル。


笑えない。


起き上がると、部屋の中には妙にリアルな「人間」の匂いが漂っていた。ドライヤーで乾ききらなかった髪の匂い、布団に籠もった熱気、寝不足の人間特有の苛立ち。誰一人、朝から柔らかいフィルターがかかっているような奴はいない。ルナの目の下には薄いクマ、ロラの髪は雷に打たれたみたいに跳ねている。ノヴァは素顔で、いつもの精巧な作りが剥がれた分、まだ二十代そこそこの女の子であることがよく分かる。葉綺安は一番正直で、目を開けた瞬間から全世界に借金でもあるみたいな顔をしている。


ベガだけが一番早く起きていた。すでに背筋を伸ばして座り、ドア板をじっと見つめている。ぼうっとしているのか、何かを聞いているのか分からない。


左手を見下ろす。死神の指輪はまだ冷たいが、昨夜より落ち着いている。何かが一時的に壁の向こうへ引いただけで、いなくなったわけじゃない。


「全員、生きてるか?」俺は口を開いた。


ロラが上着に顔を埋めたまま、くぐもった声で返す。「その励まし方、マジで昭和っぽい」


「贅沢言うな。逃げてる時に選り好みするな」


葉綺安が肩を揉みながら起き上がる。顔色の悪さは安定している。「次いびきかいたら、口縫い合わせるから」


「昨夜いびきかいてたのはあいつだ」俺はロラを指した。


「嘘つけ」ロラが即座に顔を上げる。「隊長でしょ。寝入った後の呼吸、メトロノームみたいに一定だったもん」


ルナが髪を整えていた手を一瞬止めて、冷たく一瞥する。「暇なの?」


その一言で、部屋の空気が少し緩んだ。


まだ噛み付ける余裕がある。バラバラにはなっていない。


だが一階に降りて朝食をとる頃には、その緩みはすぐに詰まった。


一階のダイニングは、昼間見ると夜より正直にみすぼらしい。カーテンは半開きで、古いシャンデリアは全部点かない。テーブルも拭き跡が甘く、隅には昨日俺が運び込んだミネラルウォーターとティッシュの箱が積まれている。朝食も代わり映えしない。トースト、卵、ハム、それに山を下りた時にまとめ買いしたインスタントコーヒーと缶のミルクティー。普段なら、この連中がカメラの前でトーストの包装を開けるだけでCMになりそうなものだが、今は違う。今ここにいるのは、寝不足で、神経をすり減らして、それでも「大丈夫」を演じ続けようとしている五人の若者だ。


ルナがテーブルの上座に座って、まだ場を保とうとしている。だが口を開いた時、声が少し乾いていた。


「まず食べる。話はその後」


誰も反対しない。


誰も本当に食欲があるわけでもない。


ロラがトーストを一口かじって、二回噛んで、皿に戻した。


「先に言っとく」俯いたまま、声は小さいが、はっきりと言った。「あたし、もうここにいたくない」


テーブルが一瞬静まった。


顔を上げない。紙コップを握る指が、少し変形するほど力を込めている。


「昨夜のこと、疲れてたとか見間違いとか建物が古いとか、何とでも言えばいい。でもあたしは二度目は嫌だから」彼女は短く笑った。乾いた笑いだった。「あたし、振付師やりに来たんであって、山奥で肝試しやりに来たわけじゃない」


ノヴァは向かいでホットミルクをゆっくりかき混ぜながら、すぐには口を挟まなかった。今日はいつもよりずっと静かだ。あの柔らかさを演じることにも疲れているような静けさ。二秒ほど経ってから、そっと言う。


「正直……途中で切り上げるのも、選択肢としてはアリだと思う」


葉綺安が顔を上げて、鼻で笑った。


「昨日、『こういう機会は貴重』って言ったの誰だっけ」


「機会が貴重かどうかと、命を賭ける価値があるかは別の話」ノヴァは刺し返さない。ただ静かに彼女を見る。「歌いたいって気持ちと、名前を呼んでくる廊下の横で寝るのは別問題でしょ」


声が平坦な分、かえって真実味があった。


ルナがカップを置いた。


隊長として「落ち着いて」と言うわけでも、「もう少し頑張ろう」と言うわけでもなかった。ただしばらく黙ってから、低く口を開いた。


「この合宿をここでやるって決めたの、あたしだ」彼女は言った。「みんなを連れてきたのも、あたし。昨夜のあの状況で、今日も『何もなかった』って言うのは……それはもう、嘘になる」


ロラの目の縁が一瞬赤くなった。泣きはしない。ただ顔を背ける。


俺は横で眺めながら、妙に腹立たしくなった。彼女たちにじゃない。こういう時に、人間ってやつがいかにきれいに剥き出しにされるかにだ。ステージのライトも、メイクも、キャッチコピーも、夢だの希望だのも、全部そこにある。でも、昨夜みたいなものが本気で耳元で歌ってくれば、その全部に勝手に亀裂が入る。残るのは、人そのものだ。


怖い。疲れた。悔しい。


どこまでいっても、普通だ。


葉綺安はフォークを皿の端に叩きつけた。カン、と乾いた音が響く。


「帰りたいなら、帰れば?」冷たく笑う。「別に初めてじゃないでしょ。途中で投げた振付、途中で終わった歌、途中でやめた夢。慣れてるじゃん、あんたたち」


「ステラ」ルナが眉をひそめる。


「何? 事実でしょ」彼女は顔を上げた。その目の中の火は、今日はやけに乾ききって燃えていた。「毎回そうじゃん。ちょっと何かあると『また今度』『次の機会』『あとで取り戻せばいい』。で、取り戻してるうちに、年齢制限線ギリギリまで来て、今みたいな山奥で冷めたトースト食べてる」


ノヴァは彼女を見て、笑いはしない。声だけは、まだ柔らかい。


「誰も、夢をやめようなんて言ってない」


「黙って」葉綺安は即座に噛みついた。


「ただの事実を言ってるだけ」ノヴァは手を引き、目を伏せる。「怖いなら怖いって言えばいいし、もう無理なら無理って言えばいい。それと『夢がない』は別の話」


「あんたはそうやって言えるんだろうね」葉綺安は彼女を睨む。声が冷えていく。「どこへ行っても、自分のポジション見つけられるんだから」


テーブルにいた全員が、その一言の意味を理解した。


ロラは口を閉ざし、ルナの顔はさらに険しくなる。ベガは争いを見ていないかのように、目の前に並んだ紙コップを見ている。


口を挟もうとしたところで、先に声が入った。


「怖いかどうかの話じゃない」


声は小さい。テーブルが静かじゃなければ、聞き逃す程度の大きさだ。


全員がそちらを見る。


ベガは顔を上げた。目の下の黒さは、誰よりも濃い。昨夜、ほとんど眠れていないのが分かる。


「今日は、あいつらの方が近い」彼女は言った。


空気が、一段下がった。


誰も彼女に返さない。


慰めでもないし、妄言でもない。ただ真ん中に置かれた、その一言が、一番居心地の悪い高さで喉に引っかかる。


左手の死神の指輪が、そのタイミングで冷たくなった。


昨夜みたいにじわじわじゃない。骨の隙間に、氷の針をぐさっと突き立てられた感じだ。


顔を上げる。


ダイニングの隅にある古いコンポが、いつの間にか電源を入れられていた。赤いインジケーターが点滅している。誰かが中からゆっくり目を開けているみたいに。次の瞬間、かすかな旋律が、割れたスピーカーから漏れ出した。


数音だけ。


それだけで、首筋の筋肉が全部一度に強張る。


ドイツ語の歌だ。


完全なフレーズじゃない。クリアでもない。だが、昨夜耳のすぐそばで一度聞かされていれば、二度目に聞き間違えることはない。


ノヴァの手が、途中で止まった。


ロラの顔から、血の気がさっと引く。「ちょっと、また?」


ルナはすぐに立ち上がる。「誰がスイッチに触った?」


誰も、触っていない。


なぜなら、その次の瞬間——廊下に面したガラスドアに、水の跡が浮かび始めたからだ。


下からじわっと上がってきたのでもない。誰かが外から手で汚したのでもない。濡れた手が、ガラスの向こう側からべったりと、はっきりと押し当てられた跡だった。


ぴしゃり。


二つ目。


三つ目。


何かが外に立っていて、その顔と半身を、ゆっくりとガラスに押し付けている。


ロラは椅子をひっくり返しながら飛び退く。


周士達(ジョウ・シーダー)!」


俺はすでに立ち上がっていた。黒い武器バッグは足元。ジッパーを開けて、浄塩弾(じょうえんだん)を装填したウィンチェスター1897を引き抜く。本当はただの保険のつもりだった。だが、どうやらこのクソみたいな別荘は、俺に「ただの運転手」の仮面を長く被らせておく気はないらしい。


「全員、下がれ!」声を張る。


ルナが一番先に反応して、ロラを後ろへ引き戻した。ノヴァも引いた。だが引きながら、彼女の目はドアじゃなく、俺の手にある銃を見た。驚きじゃない。何かのピースがカチッとはまった時の静けさ。葉綺安は立ち上がりざまに何か言いかけたが、その瞬間、ガラスの向こうの濡れた影がドンとぶつかり、ドア全体が呻るような音を立てた。葉綺安の顔も、さすがに固まる。


もう、昨夜みたいに「音だけ出す」雑魚じゃない。


今ガラスに体当たりしているやつは、人間なら骨ぐらい普通に折れる力を持っている。


ドイツ語の歌はまだ続いていた。


音量は大きくない。それでも十分に聞き取れる。


一音増えるたびに、ガラスの水の跡が濃くなる。向こう側の「それ」も、どんどん「人間に似て」くる。肩、頭、肘、垂れた顎の輪郭までが、黒い水で線を描かれていく。


心の中で悪態が漏れた。


雪ちゃんの昨夜の言葉が、ばっちり的中している。幽霊の存在なんて、本質じゃない。本質は、あの歌が奴らに「餌」を与えていることだ。壁の隙間をちょろちょろ這い回るしかなかった騒霊たちが、あのクソみたいな旋律で一気に栄養を与えられて、牙を生やした。


「もっと下がれ!」もう一度叫ぶ。


今度は誰も逆らわなかった。


ガラスドアがバンと破裂するように開いた瞬間、左手の指輪が骨まで凍りつき、視界の奥が一段ズレた。誰かが無理やり第三の目をこじ開けたみたいに。中へ突っ込んできた「それ」は、水と影だけじゃなかった。半分どろどろになりかけながらも、人の輪郭を保とうとしている顔が、はっきりと見えた。


クソが。


俺は身体をひねって、一発ぶち込んだ。浄塩弾がラッパ状に広がり、黒く濡れた塊を裂く。手応えは、水風船じゃない。でかい雑巾袋にショットガンをぶち込んだような感触。あいつは甲高い空気の悲鳴を上げて、半身を削がれ、黒い水を撒き散らしたが、それでもすぐには消えなかった。


「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

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