拠点手前最後の難関
浮かぶ島の護衛艦隊か。
軽量級の艦艇がまだまだ押し寄せる。
帝国の底力、まだまだ侮り難しというところか。
しかし軽量級の護衛艦隊など、乙姫型潜水艦にとっては恰好の的でしかない。
自慢の欲望主砲でことごとく泣きを見せてやった。
問題は、沖合に停泊していた大型艦艇である。
本当に「帝国、どれだけ軍事力を備えてるのさ」、というところだ。
「デカい船がいるからってビビんじゃねぇ! あいつらぁ俺たちの姿すら掴めねぇボンクラ揃いだからな! 全艦魚雷装填! 戦艦なんざ怖くねぇぞ!」
威勢のいいジョー司令官だが、潜水艦乙姫は冷静だ。
「乙姫、どこを狙う?」
「真下に位置を取って、竜骨をへし折ってやりましょうか?」
「乙姫、敵はロケット型だけど、竜骨ってどこになるの?」
「ヘイ、艦長。あんたならわかるはずだぜ」
砲雷長が気さくに言う。
「心眼これ衣服を透す。副長のスカート、いつも透けるくらいに見詰めてるんだからさ!」
「そ、そんなことないよ!」
否定はするけど、お願いだから乙姫。
お尻を隠さないでもらえるかな?
実際そんなマネはできないんだから。
でも、ちょっと怒ったような困ったような、赤い顔の乙姫も可愛いものだね。
「あの……艦長? 本当にどこを狙いましょうか?」
「竜骨っていうのは古来より艦橋の正反対。裏側に位置するだろうから、そこを計算できないかな?」
「ホント、つまんねぇヘタレだよ。うちの艦長は」
この際砲雷長の発言は無視。
船を戦艦の船底へ向ける。
「魚雷装填、発射準備ヨシ」
「狙いヨシ、角度ヨシ。一番魚雷発射!」
艦首から放出された魚雷は亜空間を走り、停泊中の大型艦艇の竜骨をめざしていた。
「魚雷、通常空間に出ます……三……ニ……一……出ました!」
通常空間へ出た魚雷は、当然のように敵艦竜骨を目掛けて走り続ける。
そして命中。
一発轟沈である。
その誉れは乙姫だけじゃない。
綾姫、藤姫、桜姫も敵艦をへし折っていた。




