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本隊をかいくぐる

なんの騒ぎだと言いたくなるくらいに押し寄せてきた大型艦艇集団。

その先陣に魚雷が命中する。

艦隊行動が鈍くなったか? と思ったが、すぐに重巡クラスの艦艇が前に出て盾になる。

決定打を打たせないつもりらしいけれど、彼らに魚雷探知の能力はあっても、対潜水艦兵器の持ち合わせは無い。


魚雷をかわすことはできても、潜水艦を攻撃する爆雷は装備していないのだ。

「第二次魚雷攻撃用意」

ジョー司令官の指示が当然のようにくだる。

「目標、手前の重巡。ただし、重巡が魚雷をかわしたら、そのまま向こうの戦艦に命中するように発射しろ」



二者択一を迫るのだ。

重巡が被弾するか、かわして戦艦にとどめを刺されるか?

藤姫綾姫が魚雷を放つ。

潜水艦乙姫も恰好のポジションを選んで魚雷を撃ち出した。



「ねぇ、乙姫。重巡たちはどう出ると思う?」

「戦艦が大切ならば重巡が魚雷を受けるでしょう。重巡を中心に艦隊戦を考えているならば、魚雷をかわす。としか言いようがありません」

ま、そりゃそうだね。


重巡は自らを盾とするかのように、魚雷へと身を投じていった。

「麻実也艦長、もうひとつ思考パターンがありました」

「どんな考え方だい?」

「この程度の損害では戦艦は沈まない、だから戦艦を生き残らせる。という考え方です」


「なるほど、戦艦はまだ戦えるというんだね?」

その思考パターンを考慮してか、ジョー司令官から半身浮上の命令が出た。

主砲でもって、戦艦の艦橋部分を狙い撃ちせよ。というかなり無茶な命令だ。


「副長、戦艦の甲板方向。上四十五度に船を持って行ってくれよ」

砲雷長だ。

ピンポイントの狙い撃ちにチャレンジするつもりらしい。

ライゾウの操艦する桜姫は、すでに十発ほど撃って一隻血祭りに上げていた。

藤姫、綾姫も主砲を撃つが、こちらは艦橋には命中せず。

命令の無茶っぷりを証明していた。


当然のように乙姫の主砲も命中せず。

強靭な装甲に花火のような爆発を見せるだけだった。

桜姫、独壇場である。

二隻目も沈黙した。


「こりゃあ難しい注文だねぇ」

なにしろ生き残りの戦艦、重巡がまともに攻撃してくるのだ。

こちらの的となる部分はごく小さいけれど、それでも一発もらえばおしまいである。

大変にスリリングな展開になってしまった。



しかし、巨大な光の柱が僕たちを追い越していった。

光の柱は敵の生き残り、重巡に命中して爆発四散させる。

ア軍本隊、ようやくの到着である。

「待たせたな、ジョー! 後ろに補給艦がいるぜ、魚雷を積み直してきな!」

「ありがてぇや、ちょっとばかし失礼するぜ!」


野郎ども、おもかじ一五○度だと号令が入る。

「魚雷積んだら潜望鏡深度で、敵陣一番槍を果たすからな!」

いえ、司令官。敵陣一番槍は航空部隊が済ませてますから。

それに第二次攻撃隊も、もうじき帰ってきますし。



とにかく僕たちは後衛へ。

そこで待っていた補給艦から全速力で魚雷を載せてもらい、すぐさま前線へととんぼ返りだ。

補給艦のみなさん、急がせてしまって申し訳ありませんでした。

なにしろウチの司令官が『アレ』なものですから。


全力航行最大戦速。

ボカスカと殴られる重巡も戦艦もくぐり抜けて、僕たちが先陣を切ってすすんでゆく。

通常空間に残して曳航しているカメラに、黒煙を上げる空母たちが写った。


「自慢の機動部隊は全滅みたいだな。ざまぁ見やがれ」

散々に煮え湯を飲まされてきたのだろう。

ジョー司令官の声には晴れ晴れとした響きがあった。


「あとは完全に白旗挙げるまで、あの島を撃ちまくるんだ! 手ぇ抜いたら承知しねぇぞ!」

敵がごめんなさいと言うまでは、徹底的にうちのめす。

情け容赦のない鬼の振る舞いだけれど、ここで甘い手を打ったら逆転されることを、司令官は知っているのだ。


それほどまでに、帝国というのは強大なのだろう。


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