「魔法侍少女ともえ★ストライク!!」
ここではないどこか遠く。何処とも知らぬ異界の地で、あたしは魔法のステッキを上段に構えたまま異形を睨みつけていた。こちらの魔力や体力は既に底を尽きかけていたが、異形の方はまだどちらも余裕があるらしい。
……こんなところでやられるわけにはいかないのに!
あたしの兜はヤツの初撃でどこかに飛ばされたまま。小手や具足はまだ原型を留めてはいるものの、何度も刃を受けた胴当てはもはや防具としての体裁をなしておらず、次に一太刀受ければそれは致命傷となるに違いなかった。
ざっ、と異形が砂利を踏みしめる音が聞こえ、あたしは反射的に牽制の火球を放った。大技はもう使えない。ヤツが飛んでかわしたなら、女郎花からの三連携、横にかわしたなら山茶花から上下二択の四連携に持っていける。
――さあ、どっち?!
しかし身構えたあたしをあざ笑うかのように、異形はそのどちらの行動もとらず、ただ真っ直ぐに火球に向かって突き進んできた。
「まさかっ!?」
あたしの放った火球が目の前の異形の影を素通りする。とっさに振り返りながら魔法のステッキを横なぎにはらうが、飛び散る魔力の星のきらめきはただ虚空を舞った。
「……これで終いだ」
あたしの背後の影から、すっと浮かび上がった異形が無骨な魔法の杖を振り上げ、そして無慈悲に振り下ろした……。
”GAME OVER! にんべんに寺と書いて「侍」、ぎょうにんべんにに寺と書いて「ちょっと待て」! 闇雲に攻撃するだけじゃヤツには勝てないゾ? よ~く相手の攻撃を見てみよう!”
こんてぃにゅーするぅ?と舌足らずな声でささやく魔法侍少女ともえちゃんを尻目に、あたしは無言でコントローラーを投げ捨てた。流石にニ十連敗もするとやる気が無くなる。
無理ゲーだってこんなの!
……ところで魔法侍少女っていったいなんなんだろ? 刀のかわりにステッキもってるだけ?
【侍】【魔法のステッキ】【ここではないどこか遠く】のお題で書かれました。
いろいろ失敗してます……。
異世界ものっぽく見せてじつは格闘ゲーム、と落としたかったのに落ちてないし。




