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「ご先祖様とマンガの不思議な関係」

「今日辺りご先祖様が来そうだから、蔵ん中整理しとけ」と親父に言われて首を傾げた。

「は? ご先祖様ってなによ? ひいじーちゃんでもくんのか?」

 聞き返す俺に、親父はいい加減に手を振って「バカ! ご先祖様って言ったらご先祖様にきまってんだろうがっ!」と逆切れしやがった。

「いいかー。オレが居ない時にご先祖様が来たら、蔵にある赤い重箱渡しといてくれぃ。隅の方においてあるからよ。オレァちっと出かけなきゃなんねぇから、頼んだぜ、息子よ! すっげー大切なことだかんな、絶対に間違えるんじゃねーぞ?」

 と言い残して、ガハハと笑いながら親父は出かけてしまった。

 どうせパチンコか何かだろうが。大事な用事なら人に任せるなよな。

 俺はぶつくさとつぶやきながら、小さくため息をひとつ吐いた。


 我が家には古い蔵がある。昔から俺がマンガや毛布を持ち込んで秘密基地のようにして使っていたのだが、最近は年頃になった妹の目を憚るため俺は”お宝”を蔵に隠すようになっていた。もしかしたら先祖云々はただの言いがかりで、そのことを知ったオヤジが暗にどうにかしろと言っているのだろうかと思い当たった。

「先祖がどーたらとか言わずに、エロマンガかたしとけってはっきりいやぁいいんだよ、クソ親父」

 しょうがないので真夜中までかかって、えろいマンガをダンボール箱に詰め込んで整理していると、突然蔵の明かりがふっ、と消えた。一瞬慌てたもののすぐにまた明かりがついたので、どこか遠くで雷でも落ちたんだろうかと考えながらふと視線を落とすと、今ガムテープで封をしたばかりのダンボール箱の上に小さな女の子が座っていた。赤い着物を着て、長い黒髪をまとめもせずにさらりと肩に流している。なかなかかわいい。

「あんたが子孫かィ。華がねぇなァ」

 少女は乱暴な口調で小さく笑ってダンボール箱の上で胡坐をかいた。和服でそんなことをするものだからやばいものが見えてしまう。

「は、穿いてない!?」

「うっははは、先祖に変な気起こすなよ~ゥ? んで、荷物はこれでいいんだなァ?」

 少女は胡坐をかいたまま尻の下のダンボール箱をバンバンと両手で叩いた。

「未来まで伝わってるモノなら、きっとイイ値でうれるサァね?」

 よくわからないままなんとなくうなずくと、少女は「ちぃと量が多いなァ……」と言いながら「じゃぁ、ナ!」という言葉と同時に、ダンボール箱ともどもパっと消えてしまった。

 何がなんだかよくわからなかった。

 しばらく茫然として、夢でも見たのだろうかを頬をつねってみて。やっぱりよくわからなかった。ただ俺のエロマンガがどこかに消えてしまったのだけは確かだった。


 次の日、学校で日本史の教科書を開いたら、浮世絵が全部萌え絵になっていた。

 慌てて家に帰ると、いつの間にか蔵が三つに増えていた。元々あった蔵を漁ると、見つかった赤い重箱の中から浮世絵などが書かれた美術書が転がり落ちた。

 結果おーらいってやつ、だったのだろうか。

【ご先祖様】【マンガ】【真夜中】のお題で書かれました。

これもわりと意味不明です。

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