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ある冒険者たちの物語

 ここは、レーゼルドーン大陸最南部に位置する町『カシュカーン』

 その町にある冒険者の店〈夢の架け橋亭〉で、依頼を探す冒険者のパーティがあった


人間の戦士

「んーと…

 これとかどうだ?」


ルーンフォークの密偵

「『“霧の街”ミストキャッスル奪還計画の参加』ですか?

 ご主人様、これは私たちには身に余る依頼かと思われます」


人間の魔術師

「我が提案はこれだ!

 『“朽ちたる都”ハーゼに潜む魔動要塞の調査』、我の心を揺さぶる素晴らしい依頼だ」


グラスランナーの吟遊詩人

「流石にこれは難しいと思うよ?

 僕たちまだ駆け出しの冒険者なんだから」


エルフの神官

「ねー

 これとかどうかな?」


人間の戦士

「なになに?

 …『開拓村全滅の原因究明』面白そうだな」


ルーンフォークの密偵

「これは調査系クエストですので、駆け出しの私たちにも丁度良いかと思われます」


人間の魔術師

「謎の究明…我が心に響く言葉だ」


グラスランナーの吟遊詩人

「いいね

 楽しそう」


人間の戦士

「OK!

 早速受注してくるか

 リジェネ、ナイスだ!」


エルフの神官

「なら良かったわー」


 簡潔に依頼内容を説明しよう

 依頼主はカシュカーン守備隊、依頼内容は最北の開拓村『テュール』を滅ぼした謎の襲撃者の正体を掴むこと、報酬は5000Gだ

 テュールにいた村人や守備隊の兵士は全員殺されており、襲撃者の情報は完全に不明

 テュールの近くには別の開拓村『モルセン』がある為、こちらに被害が及ぶ前に方をつけたい

 正体を掴む事が最優先だが、討伐に成功すれば報酬に10000Gが上乗せされる


人間の戦士

「よし

 チャチャっと倒して、報酬15000Gを貰おうか!」


人間の魔術師

「我が力、謎の襲撃者に示してくれよう!」


ルーンフォークの密偵

「ご主人様、この依頼はあくまで襲撃者の正体究明が目的です

 敵との力量差を見極める事をお忘れなく」


グラスランナーの吟遊詩人

「まあ大丈夫でしょ?

 どんな困難だって、僕たちにかかればどうって事ないよ」


エルフの神官

「元いた世界に比べたら、この世界の魔物なんて敵じゃないからねー」


人間の魔術師

「フッ…

 我が力にかかれば、万物は敵ではない!」


人間の戦士

「そうだ!

 俺たちは敵知らずだ!」


ルーンフォークの密偵

「ご主人様、厨二病2人の事は無視して結構です

 そろそろ移動用の馬を借りに行った方がよろしいかと」


 という訳で、開拓村跡地に向かうまでカット



 カシュカーンを出て2日と半日が過ぎた辺り、滅ぼされた開拓村に到着した

 村の状況を一言で表すなら、地獄絵図だ

 辺りには焦げた人型の炭や今でも煙が立ち込める家屋の跡など、燃えた跡が数多く残されている


人間の戦士

「こりゃ酷いな…」


ルーンフォークの密偵

「焼け方からして、高火力の炎で瞬間的に焼かれたと思われます」


人間の魔術師

「この程度、我が最強魔法【フレアメガフラダリコラージュ・クロスサンダースプリット・エターナルブリザード・カオスエンダーガーディアン・メルガルブラスト】の火力で十分」


エルフの神官

「毎回ただの【ブラスト】をそう呼ぶのやめよーな?」


グラスランナーの吟遊詩人

「【レクイエム】でも奏でておこうかな?」


人間の戦士

「にしても…

 手掛かり全くないなー」


ルーンフォークの密偵

「ご主人様、私はある違和感を感じました」


人間の戦士

「お?

 なんだ?」


ルーンフォークの密偵

「この開拓村跡地には、家畜の死体がありません

 ここに炭の柵で囲まれた広いスペースや、燃えカスが残る納屋があるのにです」


人間の魔術師

「…つまり縛られし者たちの革命が起こった、という事か」


グラスランナーの吟遊詩人

「いや分かんないよ」


エルフの神官

「つまり、この村は家畜を飼っているフリをしていたってことかな?」


ルーンフォークの密偵

「いえ違います

 つまり、襲撃者の狙いは家畜だったのではないか…という事です」


人間の戦士

「家畜が目的…

 だったら、囮として家畜を置いておけば何か分かりそうだな!」


人間の魔術師

「フッ…

 ならば我に任せるが良い!

 我が使い魔を召喚し、囮として使ってくれよう!」


ルーンフォークの密偵

「【ファミリア】程度では囮として不十分かと思われます

 ご主人様、ここは移動用に借りた馬が適当かと」


グラスランナーの吟遊詩人

「借り物を囮に使っちゃってもいいの?」


ルーンフォークの密偵

「あくまで囮ですので、襲撃者の正体を掴んだ後に救出すればいいだけの話です」


人間の戦士

「決まりだな

 とりあえず馬1頭をこの柵の中に置いといて、俺たちはその辺の森の中で野宿しておこう」


 そんなこんなで、囮作戦が始まった

 …森の中で待つ事数時間、自分たちのいる方角から大きな影が飛来してくる

 その影は囮の馬に気付くと、馬のそばまで急降下し噛み殺す

 力無く倒れる馬をその足で掴むと、謎の影は森の奥へと飛び去っていった…


人間の戦士

「…これは報酬から引かれるよな…」


エルフの神官

「どうせ生き物の命

 嘆いていても仕方ないってー」


グラスランナーの吟遊詩人

「神官が言うセリフじゃないよね?」


ルーンフォークの密偵

「影は森の奥に向かいました

 ご主人様、見失わないうちに急ぎましょう」


 大急ぎで謎の影を追いかける

 何か見つけるまでカットで



 進んだ道に目印を付けながら、影が向かった方角に進む事4日…

 彼らはある山脈の麓までやってきた


人間の戦士

「この辺りだったよな?」


ルーンフォークの密偵

「その筈でございます」


人間の魔術師

「真紅に染まりし岩山…

 ここは暗月の魔術協会(ダークサイドムーン)の本拠地か?」


エルフの神官

「暗月…

 まーた警察が侵入してきたのかな?」


グラスランナーの吟遊詩人

「多分ってか絶対違うよ2人共?」


ルーンフォークの密偵

「…山の山頂に遺跡を発見しました

 ご主人様、おそらくあの遺跡が襲撃者の根城かと思われます」


人間の戦士

「んーと…あれか

 なら話は早いな、登山をするぞ!」


グラスランナーの吟遊詩人

「そろそろ休もうよ〜」


人間の戦士

「大丈夫だ!

 それに、敵に時間を与えるのは良くないだろ?」


人間の魔術師

「フッ…

 暗月の魔術協会(ダークサイドムーン)の居城…この“爆裂の大魔術師”イオグランデが屠ってくれる!」


エルフの神官

「“見習い魔術師”イオの間違いじゃないのー?」


人間の戦士

「よし

 じゃあ登山開始だ!」


 …と意気込んだものの、彼らは登山初心者だ

 掴んだ場所が崩れて危うく落ちかけたり、登れる場所がなくなり右往左往したり、仲間との間隔が広がったり…

 そんな危なっかしい登り方を繰り返し、なんとか山頂に到着する


人間の戦士

「到着、っとー」


人間の魔術師

「フー…フー…

 …この“爆裂の大魔術師”イオグランデにかかればこの程度の登山…」


グラスランナーの吟遊詩人

「手がプルプルだよ…」


エルフの神官

「あー、疲れた…」


ルーンフォークの密偵

「ご主人様、中は私が偵察してまいります

 ここは休憩した方がよろしいかと思われます」


人間の戦士

「分かった

 偵察は任せるぞ」


ルーンフォークの密偵

「承知しました」


 ルーンフォークの密偵が、崩落した壁から遺跡内部に侵入する

 …遺跡中では、異形の怪物が睡眠をとっているようだ

 その怪物は、様々な動物の頭と翼を持つ獣で、貪り食った馬の食べカスを枕に寝ている

 偵察を終え、仲間の元に戻る


ルーンフォークの密偵

「ご主人様、内部を調べてきました」


人間の戦士

「おう!

 おつかれ」


人間の魔術師

暗月の魔術協会(ダークサイドムーン)の幹部がいたはずだ」


グラスランナーの吟遊詩人

「いやそれはいないでしょ」


エルフの神官

「暗月の名前をこれ以上出さないでもらえるかなー?」


ルーンフォークの密偵

「中では獣が1匹寝ているだけです

 様々な種類の動物の頭を持つのが特徴でしょうか」


人間の戦士

「なるほど、知らない魔物だな…

 寝てるなら奇襲をかけよう!」


グラスランナーの吟遊詩人

「もう少し敵の情報を集めたほうがいいと思うよ?」


人間の戦士

「寝てる今がチャンスだろ?

 それに相手はただの獣だ、獣相手に負けるなんてありえないだろ?」


人間の魔術師

「フッ…

 我が最強魔法【フレアメガフラダリコラージュ・クロスサンダースプリット・エターナルブリザード・カオスエンダーガーディアン・メルガルブラスト】の前では、如何なる敵も無力」


エルフの神官

「まあただの獣なら余裕でしょ?」


ルーンフォークの密偵

「…かしこまりました

 では奇襲をかけましょう」


 謎の襲撃者に奇襲をかけることを決めた冒険者たち

 岩肌をしっかり掴みながら、遺跡の崩落部分に向かう

 …そっと内部を確認すると、確かに怪物が寝ている

 獅子の頭と山羊の頭、それから恐ろしいドラゴンの頭を持つ怪物だ


人間の戦士

「静かに近づくぞ」


ルーンフォークの密偵

「承知しました」


グラスランナーの吟遊詩人

「僕はこの辺でクロスボウ構えとくね」


人間の魔術師

「なら我は詠唱を始めよう!」


エルフの神官

「うるさいよー

 黙ろうかー?」


人間の戦士

「…レキス、俺に合わせろ」


ルーンフォークの密偵

「…承知しました、ご主人様」


 2人がゆっくりと武器を構え、攻撃の態勢に入る…

 ……………

 …だが、彼らは気付かなかった

 蛇の頭を持つ尻尾が、彼らの背後から襲いかかっていることに


怪物:蛇頭

「…背中がお留守だぜぇ?」


ルーンフォークの密偵

「!?

 ご主人様!下がtt…がはっ…」


人間の戦士

「…レキス?

 …レキスーー!!」


ルーンフォークの密偵

「…大丈夫です…

 少々毒を食らいましたが…まだ戦えます…」


怪物:獅子頭

「ギシャシャシャシャ!

 まんまと釣られやがったなぁ!」


怪物:山羊頭

「あんなにバタバタ奇襲の準備をされてちゃ、例え寝てても気付くだろぉ?」


怪物:竜頭

「まあ、俺はこの頭の数だぁ!

 必ず誰か1人は起きてるから、奇襲なんか余裕で気付くんだがなぁ!」


 そう言うと、怪物は崩落部分から空高く飛び上がり、冒険者に向かって炎のブレスや放電を浴びせてくる

 正に一方的な攻撃だ


人間の戦士

「あいつ、ただの獣じゃなかったのか!」


ルーンフォークの密偵

「…恐らく…幻獣の一種かと…思われます…」


人間の魔術師

「…この距離では…我が魔法が届かないではないか!」


エルフの神官

「《魔法拡大/距離》もないからね…」


グラスランナーの吟遊詩人

「…僕のクロスボウも…この距離は届かないね…」


怪物:竜頭

「ほらほらほらぁ!

 どうした?反撃してこいよぉ!」


怪物:山羊頭

「まあ無理だろうけどねぇ!」


怪物:獅子頭

「そろそろ降りてもいい頃合いかなぁ?」


怪物:蛇頭

「もっと奴らを噛ませろぉ!」


 彼らの戦力が半減したのを見計らい、怪物が空から降りてくる

 これは攻撃のチャンスかと思った次の瞬間、獅子の牙がルーンフォークの密偵を襲う!


怪物:獅子頭

「まずは1人目ぇ!」


ルーンフォークの密偵

「…が…は…」


人間の戦士

「レキスーーー!!!」


 獅子の牙はルーンフォークの腹を噛みちぎり、彼を部品に赤い絨毯を形成する


ルーンフォークの密偵

「…お逃げ…くだ…さ…い…

 …死んで…しま…っては…元も子m…」


怪物:蛇頭

「ごちゃごちゃ五月蝿いんだよぉ!」


ルーンフォークの密偵

「……………」


人間の戦士

「レキ…ス?」


 …ルーンフォークの密偵は、蛇により首を引きちぎられ、息絶えた

 彼の頭が主人の元へ虚しく転がっていく…


怪物:獅子頭

「ギシャシャシャシャ!

 絶望の淵に落とされた人の顔は、なんて愉快なんだぁ!」


怪物:蛇頭

「次はどいつをブッ殺そうかなぁ?」


人間の魔術師

「…フ…フフフ…フハハハハ!

 わわわ我が名は“爆裂の大魔術師”イオグランデ!

 れれれレーゼルドーン随一の魔法使いにして、真語魔法を操りし者!

 わわわ我が最強魔法の前に、ききき貴様をほほほ屠ってくれよう!」


人間の戦士

「…イオ

 無理するな…撤退するぞ!」


人間の魔術師

「ここここの“爆裂の大魔術師”に、ててて撤退の二文字はない!

 わわわ我に構うな!おおおお前たちはさささ先に行け!」


怪物:山羊頭

「死亡フラグなんだよなぁ?」


怪物:竜頭

「まあ、レーゼルドーン随一を自称してるんだからぁ、魔法の1つくらいは受けてやろうかぁ?」


人間の魔術師

「そそそそんな事を言っていられるのも、いいい今の内だぞ!

 わわわ我が最強魔法、受けてみよ!」


人間の戦士

「…すまない

 みんな!逃げるぞ!」


グラスランナーの吟遊詩人

「イオ!」


エルフの神官

「…絶対帰ってくるんだよ?」


人間の魔術師

「ももも勿論だ!

 わわわ我、ここここのクエストが終わったら、あああ新しい杖が欲しいのだ!」


人間の戦士

「ああ、俺と一緒に買いに行こう」


人間の魔術師

「…約束だぞ」


 魔術師が仁王立ちし、強張る呼吸を整えながら、一節一節丁寧に呪文を詠唱する…

 その背では、3人の冒険者が全力で坂を降りる…


人間の魔術師

「…我が名はイオ!

 “見習い魔術師”の名の下に、貴様を屠ってくれよう!」



 …岩山を転がるように滑り落ち、暗い森に戻ってきた3人


人間の戦士

「…みんな、無事か?」


グラスランナーの吟遊詩人

「えっと…

 …降りてる時、ちょっと足をやっちゃったみたい」


人間の戦士

「リジェネ!回復だ!」


エルフの神官

「【キュアハート】!」


グラスランナーの吟遊詩人

「…はははっ

 傷が治っても、全然足が動かないや

 やっぱり僕は体力がないからな〜」


人間の戦士

「ギグリット…」


グラスランナーの吟遊詩人

「僕は大丈夫だから、2人は逃げて

 足止めくらいは、できると思うから」


人間の戦士

「…ダメだ!

 背負ってでも連れて行く!」


グラスランナーの吟遊詩人

「リーダー…

 ありがとう、お願いできる?」


人間の戦士

「ああ!

 勿論だ!」


 リーダーがグラスランナーを背負った次の瞬間、上空から謎の物体が落下してくる

 その物体は、ついさっきまで怪物の前で仁王立ちしていた、人間の魔術師だった

 …ただ…首から上が見当たらない…


怪物:獅子頭

「やっぱり絶望と言ったらマミらなきゃなぁ!」


怪物:竜頭

「意外とこいつの頭、美味かったしなぁ?」


怪物:山羊頭

「最強魔法とか言ってたから身構えてみたが、ただの【ブラスト】だったしなぁ?」


人間の戦士

「…イオ?」


グラスランナーの吟遊詩人

「ねぇ、嘘だって言ってよ!イオ!」


エルフの神官

「…“爆裂の大魔術師”が、こんなとこで死ぬ訳ないよね?」


怪物:蛇頭

「感動の再会の中悪いけどさぁ?

 次の犠牲者はそこの2人を同時でいいよねぇ?」


人間の戦士

「…リジェネ!

 全力で逃げろ!」


エルフの神官

「ダン!ギグリット!」


グラスランナーの吟遊詩人

「この魔物の情報を、必ず守備隊に届けるんだ!」


エルフの神官

「…分かった」


 無我夢中で逃げるエルフの神官

 それを守るように、グラスランナーを背負った人間の戦士が、絶望に立ち向かう


人間の戦士

「…ここは行かせない!」


グラスランナーの吟遊詩人

「…援護射撃は任せて」


怪物:獅子頭

「いいねぇ!感動的だねぇ!」


怪物:山羊頭

「君たちはどんな絶望を見せてくれるのかなぁ?」


怪物:竜頭

「どんな死因がいいかなぁ?」


怪物:蛇頭

「毒殺がオススメだよぉ」


人間の戦士

「…うおおおおおお!」

王冠帽の青年

「…なにこの濃密な鬱回?」


隻眼の青年

「まあ、これも本編に絡んでくるからな〜」


老人

「…書いてて鬱になってくるな…

 最初から結末が分かってる鬱回ほど、書きにくいものはないんだなって」


子供

「こんかいはなにをせつめいするの?」


王冠帽の青年

「この子のメンタルはどうなってんだよ…」


隻眼の青年

「あ〜

 作者が軽く鬱ってるから今回はパス」


老人

「次回予告だけやっておくか

 次回は本編の続きだ」


隻眼の青年

「よろしく!」

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