ある狩人と白猫の物語
ここは、ロシレッタ郊外にある森の中…
…森の中から物語が始まるの、流行ってるのか?
…まあいいや!
その森の中に、ある1人の狩人がやってきた
狩人
「旅の資金稼ぎに入ってみたが…
案外危険な魔物が少ないな」
彼はメインメンバーとは絡まないので名称不明
とりあえず旅する狩人として認識してもらいたい
たった今経歴表を振って決めた事だが、彼はある罪を犯した(罪の内容は説明するのメンドイからパス)
その罪の贖罪の為、彼は各地を転々と旅しているのである
彼はこの旅にある掟を付けている、それは同じ場所に5日以上滞在しないというものだ
……………
…さっき振った経歴表、これの前が「両親に愛されて育った」「同性の家族がいない」「異性の家族がいない」のパラドックス状態だったのは言わないでおこう…
流石は大惨事表、本当に大惨事になるな〜
狩人
「宿に泊まる金はないし、ここに小屋でも建てるか
丁度ここは魔物も少ないし、多分安全だろう」
そう言うと、狩人はある大木の根元に立地を決め、小屋の建設に取り掛かった
…半日後、狩人の家が完成した
どんな見た目かって?
マイクラ上級者が資材不足の状況で作った、木製の簡易的な小屋といった感じだ
内装は木製の寝床と作業台、残念ながらかまどはない
……………
…ヤベェ、久々にマイクラしたくなってきた…
狩人
「完成…って、もうこんな時間か
そろそろ寝ないとマズいな」
硬いベッドに横たわり、就寝の準備を取る狩人
…そんな中、狩人の小屋に忍び込む小さな影が1つ…
狩人がこの森に来てから2日目になる
早速狩りの準備に取り掛かる狩人
着替えを済ませ、長年愛用している弓矢を持ち、大切な人の形見である〈サイレントシューズ〉を履く
狩人
「…なんか、右の靴だけ妙に生暖かい?
…気のせいだろう!うん」
そんなこんなで狩りに出かける狩人
…と言っても、この森は獲物が少ない
半日狩りを続けて、ようやく獲れた獲物はウルフが数頭くらいか…
狩人
「そろそろ帰るか…
…って言っても、仮拠点みたいな家だがな」
……………
…小屋に戻ると、寝床に白い毛玉が丸まっていた
いや、これは丸まって寝ている白猫のようだ
狩人
「…俺は犬派なんだがな
ほら、そこどけ、そこは俺の寝床だ」
白猫
「う〜ん…
…あと5時間〜」
狩人
「…ん?
…今…喋った?」
…確かに、声が聞こえた気がした
しかし猫が喋る筈がない、空耳かと思いながら猫を無理矢理退かす
白猫
「う〜ん…
…邪魔!」
そんな空耳が聞こえた瞬間、白猫が急に人型に変身する
その変身した姿は、白髪のセミロングと夜空のように深い色の瞳、白い猫耳と尻尾を持つ、1人の少女だ
…全裸だけど
狩人
「その能力…ミアキスか?
…俺はロリコンじゃないんだが…」
白猫だった少女
「…うるさいな〜
一体何事だよ〜?」
狩人
「ここは俺の家だ
さっさと出て行け」
白猫だった少女
「何言ってんの?
君は全裸のボクを家から追い出そうというのかい?」
狩人
「またさっきみたいに猫になればいいだろうに…」
白猫だった少女
「やだよ!
だってあれ結構MP消費するし」
ミアキス
それは、猫の姿に変身できる幻想的な種族だ
大きな猫の耳と毛の生えた細長い尻尾を持つ人型と、普通の猫よりもやや大きい猫型の2つの姿に変身できる種族特徴[猫変化]を持つのが大きな特徴かな?
手先は器用で足も速いが、力は弱く精神は貧弱
…まあ、猫になれる猫耳の人間って認識でいいな
狩人
「…とりあえずさっさと帰れ
ここはお前を養えるほど裕福じゃないし、すぐにここを離れる予定だし」
白猫だった少女
「え〜
面白そうだし、いいじゃん?」
狩人
「駄目だ
諦めて帰れ」
白猫だった少女
「ちぇ〜
仕方ないな…」
ブツブツ言いながら、小屋を後にする全裸の少女
…事案かな?
狩人は少女を追い出した後、狼の皮を鞣してから就寝したのであった…
…ちなみに、少女は小屋が建てられた大木の上にある自分の塒に戻っていった
…3日目だ
寝起きと共に腹で猫が寝ていることを警戒していたが、そんな事はなかった
早速狩りに出かける
狩人
「昨日は南を狩場にしたから…今日は北に行くか」
今回狩りをするのは森の北側
獲物を探していると、丁度ヴァルチャーが低木に止まっているのに出くわした
狩人
「ヴァルチャーがこんな低い場所に止まっているのは珍しいな
警戒されていない今のうちに…」
隠密行動をとりながら射程距離内に近付き、弓を引き絞る
狙うのは喉、震える手を抑えながら狙いを定めていると、獲物に近付く影があることに気がつく
狩人
「…あれは…昨日のミアキスか?」
狩人の獲物を横取りしようとしていたのは例のミアキス
今回は人の姿のようだ
四つん這いで姿勢を低くしながら、ヴァルチャーに近付く…
上手く見つからずに3m付近まで近付くことに成功した少女
狩人
「…ミアキスお得意の爪で仕留めるのか?」
…と、誰もが思った次の瞬間だった
少女は何を思ったのか、手元に転がっていた石を掴み、ヴァルチャー目掛けて投げたのだ
白猫だった少女
「うりゃ!」
ヴァルチャー
「……………
…ピェーーーーーーーッ!」
石は的確に当たったが全くダメージにはならず、ヴァルチャーを怒らせてしまった
大型の猛禽類の嘴が、少女に襲いかかる
ヴァルチャー
「ピェーーーーッ!」
白猫だった少女
「…あれ?」
狩人
「…あぁもう仕方ないな!」
そう言うと、咄嗟に矢筒から特殊な矢尻を持つ矢を取り出し、ヴァルチャー目掛けて射る
矢はマナの尾を引きながらヴァルチャーの首に深々と刺さり、獲物を絶命させる
…その矢の名前は〈魔力の矢〉
魔力を帯びた石を矢尻に持つ事により、矢の攻撃を魔法ダメージに変換できる特殊な矢だ
おまけに、目標に当たらなかった場合は回収可能と言うおまけ付き
…まあ、消耗品である矢にしては異様に価格が高いが…
狩人
「…あの矢結構奮発したんだよなぁ…
…まぁ、俺には〈竜牙の矢〉を買う程の金は無かったからな…」
白猫だった少女
「あ…ありがとう」
ヴァルチャーの戦利品を漁りながら、会話が始まる
狩人
「全く…
お前のその爪は飾りなのかよ…」
白猫だった少女
「意外と爪の攻撃って難しいんだよ?」
狩人
「…まぁ、石を投げた時のコントロールは良かったな
遠距離から狙いを定めるのは得意なのか?」
白猫だった少女
「あ、分かる?
今までも何かしらを投げて食べ物を獲ってたからね」
狩人
「…とりあえず猫に戻れ、それかなんか服着ろ」
白猫だった少女
「猫に戻るMP無いし、服も持ってないよ〜」
狩人
「…ちょっとこっち来い」
白猫だった少女
「え?なになに?」
全裸の少女を連れて、自分の小屋に向かう狩人
…事案かな?
そんな事はない、なぜなら彼は紳士だからだ
狩人が少女を家に連れ込んだのは、昨日の狩りで手に入れた狼の皮で服を作る為だ
寸法を測るのは面倒なので、上から羽織る系の服を作る
狩人
「…とりあえずコートにしてみたが…まあいいか、うん
ほら、これ着てみろ」
白猫だった少女
「…なんか獣臭い」
狩人
「お前も獣だろうに…」
白猫だった少女
「獣じゃないもん!」
狩人
「なら、名前はあるのか?」
白猫だった少女
「名前?
無いけど」
狩人
「…なら、俺がつけてやるよ」
白猫だった少女
「え?本当に?
やったやった!どんな名前?」
狩人
「そうだなぁ…」
名前を付ける、そんな重大な事をする以上、手を抜く事は許されない
辺りを見渡しながら名前を考える狩人、ふと自分の靴に目が行く…
狩人
「……………
…コメット」
白猫だった少女
「…コメット?」
狩人
「…あぁ…コメットだ
お前、あいつの小さい頃にそっくりだからな…」
白猫だった少女
「コメット…コメット!
いい響きだね!気に入った!」
狩人
「そうか…そりゃ良かったな」
その夜はとりあえずコメットを追い出し、寝床で就寝するのであった…
狩人がこの森に来てからとうとう4日目に入った
狩人が目を覚ますと、体が重い事に気がつく
狩人
「…なんだぁ?」
違和感を覚えるのは体の右側のようだ
ふと右を向いてみると、全裸の少女が狩人の右腕を枕に寝ているのである
狩人
「…言いたいことが多すぎるんだが…
おい、コメッ…お前
起きろ、そして説明しろ」
コメット
「…なにぃ?
もうちょい寝かせてよ…」
狩人
「…お前はなんでここで寝てるんだ?」
コメット
「面白いからだよ〜
おやすみ…」
狩人
「まだ寝かせないぞ
なんで俺の渡した服着てないんだよ」
コメット
「服ならそこに置いてるじゃん〜
おやすみ…」
狩人
「置いてるというより、脱ぎ捨ててあるの方が正しいんだが…
ほら、さっさと起きろ
お前が起きないと俺が動けないんだよ」
コメット
「仕方ないな〜
この対価は高いよ〜?」
狩人
「……………
…分かった、ならお前に弓を教えてやる
弓さえ覚えれば、1人で狩りくらいできるようになるだろ?」
コメット
「本当?
やった〜」
今日はコメットに弓の訓練をするようだ
向かう場所は昨日と同じく森の北側、その辺の木の枝で作った簡易的な弓で練習を行う
狩人
「まずはこう、弓を利き手と逆の手で持つ
矢を弓を持った手の人差し指に乗せて、利き手で弦を引っ張る…
弦を引いた状態を維持しながら、狙いを定める…
狙いが定まったら矢を離す
やってみろ」
コメット
「えっと?
……………
…意外と狙いを定めるのが難しい?」
狩人
「弦を引いた状態を維持するのは結構大変だからな
すぐに狙いを定めると楽になるだろう」
コメット
「なるほどね〜」
コメットに弓を教えていたら、もう夜になっていた
訓練の結果としては、半分くらいの確率で狙い通りに矢を射れるようになった
狩人
「…これは予想以上だな…」
コメット
「おじさん!」
狩人
「俺はまだそんな歳じゃないぞ…」
コメット
「弓って、楽しいね!」
狩人
「……………
…あぁ、そうだな」
…この後、狩人は小屋に戻り、コメットが入ろうとするのを無理矢理追い出し、1日が終わったのであった
ここに滞在するのも最後になった5日目
…何故か狩人の腹の上で寝ている白猫
狩人
「今日はなんで猫なんだよ…
ほら、起きろ、朝だぞ」
コメット
「う〜ん…
…あと1日〜」
狩人
「その時間には俺はここにいないぞ…」
コメット
「…え?」
急に少女に戻り、困惑するコメット
…勿論全裸で
狩人
「ほら、さっさと服を着ろ
今日は旅支度で忙しいんだ」
コメット
「なんでいなくなるの?
もっと遊ぼうよ」
狩人
「…はぁ、分かったよ
今日は遊んでやるよ」
コメット
「やった〜
何して遊ぶ?」
狩人
「…なら、かくれんぼはどうだ?」
コメット
「かくれんぼだね!
ならボクが隠れるよ、おじさんに見つけられるかな?」
狩人
「…あぁ、分かったからとりあえず服を着ろ
…言っておくが、狩人の俺を舐めるなよ?」
コメット
「じゃあ隠れるから、ここで1分数えててね!」
狩人
「はいはい…」
そう言うと、コメットは大急ぎで小屋から出て行く
…当然の権利のように、狩人は旅支度を始める
着替えを背負い袋に詰め込み、〈サイレントシューズ〉を履く
狩人
「…弓と矢筒はここに置いて行くか
…相棒…今度はあいつをよろしく頼むぞ」
小屋を後にし、コメットを探すそぶりを見せながら歩き出す
目指す場所は森の出口、この地を後にする為だ
……………
…狩人の旅の中で、この森での出来事は忘れない思い出になるだろう…
狩人
「…コメット
お前に会うの、もう少し後でいいか?」
王冠帽の青年
「…親子かな?」
隻眼の青年
「親子だな」
老人
「出会ってから1週間も経ってないんだがな…」
子供
「かりうどはどんなひとだったの?」
隻眼の青年
「んじゃ、狩人の経歴表の結果をここで話しておくか〜
1つ目!「罪を犯したことがある」
2つ目!「一所に5日以上滞在したことがない」
3つ目!「恋人の(恋人だった人の)大切なものを持っている」
この3つだな」
老人
「…恋人の大切なものって…」
王冠帽の青年
「…あっ」
子供
「ねえねえ!
どういうこと?」
隻眼の青年
「まあ、ご想像にお任せしようかな?」




