表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/23

【8話】ハイカラなお買い物!?

話が進む内に方向性が変わりましたので、タイトル副題を変更しました。

障子から差し込む柔らかな陽の光で、ミアはゆっくり目を覚ました。

「んー……今日は買い物の日!」

勢いよく布団から起き上がる。

顔を洗い、鏡の前に立つと、用意された洋服を眺めた。

「今日は何を着ようかな。」

制服ではない、普段着を一枚ずつ手に取る。

「せっかくだし、可愛いのがいいよね!」

淡い色の洋服を選び、丁寧にを袖通す。

鏡の前でくるりと一回転。

「うん、いい感じ!」

髪も両側を軽く編み込み、リボンを結ぶ。

「よーし、準備完了!」

ミアは満足そうに笑うと、軽い足取りで部屋を出た。

身支度を終えたミアは食堂へ向かった。

「おはようございます、おばあちゃん。」

「おはようございます、美亜。今日はずいぶん早起きですね。」

「えへへ。今日は琴音ちゃんと買い物に行くから!」

朝食を軽く済ませると、おばあさんは小さな包みを取り出した。

「美亜。」

「なあに?」

「これを持っていきなさい。」

そう言って、ミアの手にそっと包みを乗せる。

「えっ、お小遣い?」

「ええ。自分のためだけではなく、お友達にも何かご馳走して差し上げなさい。」

「友達に?」

「人との縁は大切なものです。感謝の気持ちは、形にして伝えることも大事ですよ。」

ミアは包みを大切そうに握りしめた。

「ありがとう、おばあちゃん!」

「楽しんでいらっしゃい。ただし、暗くなる前には帰るのですよ。」

「はーい!」

元気よく返事をすると、ミアは待ち合わせ場所へ向かって駆け出した。

屋敷を出たミアは、朝の爽やかな空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

「いい天気!」

街には店を開ける準備をする人たちの姿があり、行き交う人々もどこか穏やかだ。

「買い物って何処に行くんだろ。」

胸を弾ませながら歩いていると、やがて琴音の実家である喫茶店が見えてきた。

「あっ、琴音ちゃーん!」

店の前では、琴音が待っていた。

「おはよう、ミアちゃん。」

「おはよう! 」

店の中から琴音の父が顔を出す。

「おはよう、美亜ちゃん。」

「おはようございます!」

「今日はゆっくり楽しんでおいで。」

「はい!」

琴音は小さな手提げ鞄を持ち、にっこり笑う。

「それじゃあ、行こっか。」

「うん!」

二人は肩を並べ、賑わい始めた大正の街へと歩き出した。

二人は街を歩き、停留所へ向かった。

しばらくすると、チンチン――と鐘の音を鳴らしながら路面電車がやって来る。

「わぁ、本当に走ってる!」

ミアは目を輝かせた。

「ふふ。乗るの初めて?」

「うん!」

二人は電車に乗り込み、窓際の席へ腰掛ける。

窓の外には、大正の街並みがゆっくりと流れていく。

着物姿の人々、自転車で走る青年、人力車を引く車夫。

ミアは窓に顔を近づけた。

「なんか映画みたい!」

琴音は不思議そうに笑う。

「映画?」

「あっ、えっと……絵巻物みたいってこと!」

「ふふ、ミアちゃんって本当に面白いね。」

しばらく景色を眺めたあと、ミアは尋ねた。

「そういえば、今日はどこへ買い物に行くの?」

琴音は嬉しそうに答えた。

「デパートだよ。」

「デパート?」

「うん。お洋服や髪飾り、お菓子まで何でもあるの。」

ミアは目を輝かせる。

「えっ! デパートがあるの!?」

「もちろん。」

琴音は笑顔で頷いた。

「今日はきっと、ミアちゃんも気に入るものが見つかるよ。」

「楽しみー!」

路面電車は鐘を鳴らしながら、賑やかな街の中心へと走っていった。

路面電車を降りると、ミアは思わず足を止めた。

「わぁ……。」

目の前には、周囲の建物よりひときわ大きく、堂々とした建物がそびえ立っている。

レンガ造りの重厚な外観。

大きな窓が並び、入口には多くの人が出入りしていた。

「すごい……。」

思わず見上げるミア。

「ここがデパート?」

琴音はにっこりと頷く。

「うん。」

「三越だよ。」

その名前を聞いた瞬間、ミアは目を丸くした。

「えっ……三越!?」

何処かで聞いた事がある名前……。

現代でも何度も耳にしたことのある百貨店だった。

「まさか、もうこの時代からあるなんて……。」

ミアは感動したように建物を見つめる。

「どうしたの?」

琴音が不思議そうに尋ねる。

「あっ、ううん! こんな立派な建物を見るの初めてだから!」

「ふふ。中はもっとすごいよ。」

琴音は笑いながらミアの手を引く。

「さあ、行こっ!」

「うん!」

二人は期待に胸を膨らませながら、三越の大きな入口をくぐった。

入口には制服を着た店員が立ち、訪れる客へ丁寧に頭を下げている。

ミアはその姿を見て驚いた。

「店員さんがお出迎えしてる……ホテルみたい。」

店内を見た瞬間、ミアは足を止めた。

「……あれ?」

思わず周囲を見渡す。

広々とした吹き抜けの空間。 整然と並ぶ商品棚。 店員が丁寧に客へ声をかける姿。

見覚えがある。

現代のデパートと似ている――。

けれど、何かが違った。

照明の柔らかな明かり。 着物姿で買い物を楽しむ女性たち。 洋服や帽子、髪飾りが並ぶ売場。

同じ「デパート」という場所なのに、流れる空気はまるで別世界だった。

「不思議……。知ってる場所なのに、初めて見る感じ……。」

ミアは目を輝かせた。

「すごい……。」

ミアが呟いていると、

「ミアちゃん!」

琴音が声をかける。

「こっち!」

「え?」

琴音はミアの手を取ると、楽しそうに歩き出した。

「髪飾りを見に行こうよ。」

「髪飾り?」

「うん。新しいのが欲しかったの。」

琴音に引かれるまま、ミアは売場へ向かう。

そこには、色とりどりの髪飾りやリボン、かんざしが並んでいた。

「わぁ……!」

ミアの目が輝く。


琴音が髪飾りを一つずつ手に取りながら、鏡の前で合わせている。

「こっちも可愛い……でも、こっちも素敵。」

真剣に悩む琴音の姿を見て、ミアは微笑んだ。

「女の子って、いつの時代もこういうの好きなんだね。」

そう呟きながら、ミアも並んだ商品へ目を向ける。

そこには、色鮮やかなリボン、細工の施されたかんざし、小さな花をあしらった髪飾りが並んでいた。

「へぇ……。」

現代で見るアクセサリーとは違う。

派手なデザインではないけれど、一つ一つに手作りの温かさがある。

「かわいい……。」

ミアは小さな髪飾りを手に取る。

見慣れた「おしゃれ」というものなのに、どこか新鮮だった。

「昔って、全部不便だと思ってたけど……」

ミアは小さく笑う。

「こういうの、いいな。」

琴音は淡い色のリボンが付いた髪飾りを手に取った。

「これにしようかな。」

その横でミアは、小さなガラスケースに並ぶ色とりどりの飾りを見る。

「これ……自分で作れそう。」

小さなビーズや飾り紐を眺めながら、現代のハンドメイドショップとは違う、職人の作った素材の美しさに気づく。

「かわいい……。」

ミアはしばらく眺めたあと、ふと琴音に尋ねた。

「ねえ、琴音ちゃん。」

「なあに?」

「こういうのって……部品だけでも売ってるの?」

琴音は少し首を傾げた。

「部品?」

「えっと……自分で作るための材料みたいなもの。」

「ああ、それなら小物屋さんにあるよ。」

「本当!?」

ミアの目が輝く。

「リボンとか飾り紐とか、細かいものを売ってるお店があるの。」

琴音は買った髪飾りを大事そうに包んでもらいながら笑った。

「帰り道に寄ってみる?」

「いいの!?」

「うん。ここから近いから。」

「やった!」

ミアは嬉しそうに笑った。

琴音が髪飾りを買い終えると、二人はそのまま同じフロアを歩いていた。

「ここって……。」

ミアは周囲を見渡す。

「化粧品とか、アクセサリーのお店が多いね。」

並んだ棚には、白粉おしろいや紅、香水、小さな鏡。 その隣には、髪飾りや装飾品が綺麗に並べられている。

「女の人のおしゃれの場所なんだね。」

ミアは楽しそうに商品を眺めた。

現代のデパートと似た雰囲気がある。

でも、並んでいるものはどこか違う。

着物に合わせる小物。 上品な色合いの髪飾り。 小さな瓶に入った化粧品。

「なんか……不思議。」

「何が?」

琴音が振り返る。

「こういう場所って、昔も今も女の子が楽しい場所なんだなって。」

琴音は意味が分からず首を傾げたが、ミアは笑った。

一階の売場を歩き終えると、琴音はふと思い出したように言った。

「そうだ、ミアちゃん。」

「ん?」

「二階にも見たいものがあるの。」

「二階?」

「うん。洋服や小物があるから、見てみたいなって。」

琴音が指差した先には、上の階へ続く場所があった。

「行ってみる?」

「もちろん!」

ミアが頷くと、琴音は笑顔で歩き出す。

その先にあったのは、大きな扉のついた機械だった。

「……これ。」

ミアの目が止まる。

「エレベーター?」

琴音が振り返る。

「うん。上の階へ行くなら、これに乗るのが楽だよ。」

目の前には、金属の格子で囲まれた昇降機があった。

中の様子が見える。

現代で見慣れたものとは違う、どこか重厚で不思議な雰囲気。

やがて係員が格子の扉を開ける。

「どうぞ。」

二人が中に入ると、ミアは思わず周囲を見回した。

「すごい……。」

中はただの乗り物ではなかった。

木目の美しい壁に、磨かれた真鍮の手すり。 細かな装飾が施され、柔らかな明かりが室内を照らしている。

まるで小さな洋館の一室みたいだった。

「エレベーターって、こんなに綺麗なんだ……。」

ミアは格子越しに外を眺める。

扉が閉まり、ゆっくりと上へ動き出す。

「本当に動いた……。」

ミアは格子越しに遠ざかる一階の景色を眺めた。

ガタン、と小さな揺れ。

エレベーターはゆっくりと動く。

やがて、ゆっくりと音を立てて二階へ到着した。

「着いたよ、ミアちゃん。」

琴音の声に、ミアは笑顔で振り返った。

「うん!」

二階へ足を踏み入れると、一階とはまた違う華やかな空気が広がっていた。

洋服や帽子、手袋、革製の鞄が美しく並び、多くの女性たちが楽しそうに品物を眺めている。

「わぁ……。」

ミアは思わず周囲を見回した。

「洋服がいっぱい!」

琴音は微笑みながら頷く。

「この階は洋服や履き物が多いの。」

「見てるだけでも楽しいね!」

二人はゆっくりと売り場を歩いていく。

その時だった。

「……あっ。」

ミアの足がぴたりと止まる。

ガラスケースの奥に、一足の編み上げブーツが飾られていた。

深い茶色の革に、丁寧な縫い目。

少し高めの踵が、どこか上品で可愛らしい。

「かわいい……。」

思わず見入ってしまう。

現代でも履きたくなるような、おしゃれなブーツだった。

「気になるの?」

琴音が隣で尋ねる。

「うん……すごく可愛い。」

店員が優しく微笑みながら声をかける。

「よろしければ、お手に取ってご覧になりますか?」

「えっ、いいんですか?」

店員はケースからブーツを取り出し、そっとミアへ差し出した。

ミアは両手で大切そうに受け取る。

「軽い……。」

革の香りがほんのり漂う。

「素敵だね。」

琴音も嬉しそうに眺めている。

ミアは名残惜しそうにブーツを戻し、そっと値札へ目を向けた。

「……。」

思わず固まる。

「た、高い……。」

おばあちゃんからもらったお小遣いでは、とても手が届かない金額だった。

「やっぱり、おしゃれってお金がかかるんだ……。」

少しだけ肩を落とすミア。

けれど、すぐに小さく笑った。

「ううん。」

ブーツをもう一度見つめる。

「よし!頑張って働いて、お金を貯めよう!」

琴音はそんなミアを見て、くすっと笑う。

「ミアちゃんらしいね。」

「えへへ。」

「琴音ちゃんは何を見に来たの?」

琴音は洋服売り場で足を止めた。

「実は、この服を見に来たかったの。」

そう言って、淡い色の洋服へ視線を向ける。

ミアは隣に並びながら尋ねた。

「買うの?」

琴音は少し困ったように笑う。

「ううん。今日は見るだけ。」

「見るだけ?」

「いつか買えたらいいなって思ってるの。」

その言葉に、ミアは優しく頷いた。

「そっか。」

洋服売り場をひと通り見て回ると、二人はゆっくりと通路を歩いた。

そのとき――。

ぐぅ〜。

小さな音が響く。

「あっ……。」

ミアは照れくさそうにお腹を押さえた。

琴音がくすりと笑う。

「ふふ、お腹空いちゃった?」

「いっぱい歩いたからかな。」

ミアは頬をかきながら笑った。

琴音は時計に目をやると、小さく微笑んだ。

「もうお昼頃だね。」

ミアも周りを見渡すと、買い物客の姿が少しずつ食堂のある方へ向かい始めていた。

「本当だ。」

「そろそろ食堂に行こうか。」

「うん! お腹ぺこぺこ!」

二人は笑い合いながら、食堂のある階へ向かった。

「デパートの食堂って、どんな料理があるんだろう?」

「きっとミアちゃんも気に入ると思うよ。」

「楽しみ!」

二人は笑顔を交わしながら、賑わう食堂へと足を向けた。


大正時代のデパートは、買い物だけでなく食事や最新の流行を楽しめる、当時の人々にとって憧れの場所でした。作中に登場した三越も、この時代にはすでに営業しており、日本を代表する百貨店として多くの人で賑わっていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ