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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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50/52

【50話】ミア、路上ライブをする!?

今回はミアが歌います。

――放課後。

終業の鐘が鳴り、教室に帰り支度をする生徒たちの声が広がっていた。

ミアは鞄を手にすると、琴音の席へ向かう。

「琴音!」

「ん?」

琴音が振り返る。

ミアはニコッと笑った。

「今日さ、浅草行かない?」

「また浅草?」

「うん!」

ミアは楽しそうに頷く。

「この前行ったとき、まだ見てないところいっぱいあったじゃん!」

「確かに……」

琴音は少し考える。

「何か気になるものでもあるの?」

「それは行ってからのお楽しみ!」

「ミアちゃん、それって考えてないってことだよね?」

「えー、そんなことないって!」

ミアは笑いながら、琴音の腕を取る。

「ほら、早く行こ!」

「ちょ、ちょっと待ってよー!」


二人が浅草に着くと、通りには今日も大勢の人が行き交っていた。

「やっぱ浅草っていいねー!」

ミアは楽しそうに辺りを見回す。

「前に来たときとは、また雰囲気が違いますね」

琴音も周囲を眺めながら歩いていると――

「さあさあ、寄ってらっしゃい! 見ていっておくれ!」

聞き覚えのある威勢のいい声が響いてきた。

「……ん?」

ミアが足を止める。

「この声……」

二人が声のする方へ目を向けると、そこには見覚えのある顔があった。

「あっ!」

ミアが声を上げる。

「この前のバナナのおじさんじゃん!」

台の前では、あの日のバナナ売りのおじさんが、今日も元気よく声を張り上げていた。

「おう! 嬢ちゃんじゃねえか!」

おじさんもミアに気づき、嬉しそうに笑う。

「また来たのか!」

「うん!ちょっとお買い物に」

おじさんはミアたちを見ると、ニッと笑った。

「おう、嬢ちゃんたち!気を付けてなー!」

威勢のいい声が、浅草の通りに響き渡る。

「うん! おじさんも頑張ってねー!」

ミアと琴音は、おじさんに手を振ると、浅草の町を並んで歩き始めた。

「今日はどこ行く?」

「ミアちゃんが誘ったんでしょう?」

琴音が笑う。

「あ、そうだった!」

ミアは楽しそうに辺りを見回す。

すると――

どこからか、音楽が聞こえてきた。

♪~

「……ん?」

ミアが足を止める。

「琴音、なんか聞こえない?」

「ええ。音楽だね」

二人は顔を見合わせる。

三味線の音色が、浅草の通りにゆっくりと響いている。

「なんだろ?」

ミアは音のする方へ歩き出した。

「ちょっと見てみようよ!」

「ミアちゃん、待ってよー!」

琴音も慌てて後を追う。

二人が角を曲がると――

そこには、一人の演歌師のおばさんが立っていた。

三味線を弾きながら、静かに歌っている。

ミアは、その歌声を聞いた瞬間――

「……あれ?」

どこか聞き覚えのあるメロディーに、思わず耳を澄ませた。

琴音が不思議そうにミアを見る。

「どうしたの?」

「この曲……聞いたことある」

「知ってる曲なの?」

ミアは首を傾げる。

「うーん、曲の名前は知らないけど……」

しばらく三味線の音を聞いていると、ミアの記憶の中に、昔見たコマーシャルの映像が浮かんできた。

「あっ! コマーシャルでやってたやつだ!」

「コマーシャル?」

琴音が不思議そうな顔をする。

「何でもない!なんか聞いたことあるんだよね!」

ミアは嬉しそうに笑うと、演奏に合わせて小さく身体を揺らし始めた。

ミアはしばらく黙って、演歌師のおばさんの歌声に耳を傾けていた。

三味線の音色に合わせて響く、その声は――思っていたよりずっと綺麗だった。

「……うまい」

思わずミアが呟く。

琴音も静かに演奏を聞いていた。

「本当に綺麗な声だね」

「うん……」

ミアは演歌師から目を離さない。

どこか懐かしくて、それでいて令和で聞いていた歌とは少し違う。

三味線の音と歌声が重なり、浅草の通りにゆっくりと響いている。

ミアはその歌を聞きながら、ふと笑った。

「なんか……いいね、これ」

するとミアは、何かを思いついたように顔を上げた。

「……よし!」

「ミアちゃん?」

琴音が声をかけるより早く、ミアは演歌師の方へ小走りで向かっていった。

「すみませーん!」

演歌師が三味線を弾く手を止め、ミアを見る。

「ん? お嬢ちゃん、どうしたい?」

ミアは目を輝かせながら、おばさんの前で立ち止まった。

「おばさん、この歌……わたしも歌っていい?」

演歌師は少し不思議そうな顔をしたが、やがて笑った。

「まあ、いいけど」

「やったー!」

ミアは嬉しそうに両手を上げた。

少し離れたところで見ていた琴音は、思わず苦笑する。

「もう……ミアちゃんったら」

ミアは演歌師の隣に立つと、少しだけ息を吸った。

「じゃあ、いくね!」

演歌師が三味線を構える。

♪~

三味線の音が、再び浅草の通りに響き始めた。

ミアは少しだけ目を閉じる。

そして――

「♪ いのち短し 恋せよ乙女~」

ミアが歌い始めた。

演歌師が、ちらりとミアを見る。

ミアの歌い方は、おばさんが知っている歌い方とは少し違っていた。

当時の歌のリズムよりも軽く、伸びやかで、どこか現代的な歌い方。

「♪ 朱き唇 褪せぬ間に~」

三味線のリズムと、ミアの歌声が少しずつずれていく。

演歌師は一瞬戸惑ったものの――

すぐにミアの歌声に合わせるように、三味線の弾き方を変えていった。

♪~

「♪ 熱き血潮の 冷えぬ間に~」

ミアの歌声に、三味線がぴたりと寄り添っていく。

「……!」

琴音が目を丸くする。

演歌師は楽しそうに笑っていた。

「なるほどねぇ……そういう歌い方かい」

ミアは嬉しそうに笑いながら、さらに声を張る。

「♪ 明日の命は ないものを~」

三味線と歌声が、いつの間にか一つの音楽になっていた。

通りを歩いていた人たちも、次々と足を止め始める。

「なんだなんだ?」

「女の子が歌ってるぞ」

琴音は人だかりを見回しながら、小さく呟いた。

「また始まっちゃった……」

ミアはそんなことには気づかず、楽しそうに歌い続けていた。

ミアが歌い続けていると――

♪ いのち短し 恋せよ乙女~

チャリン。

足元に置かれたお椀に、小銭が落ちる。

ミアは歌を止めず、そのまま歌い続ける。

♪ 朱き唇 褪せぬ間に~

チャリン。

また一枚、小銭が入る。

三味線の音色に合わせて、ミアの歌声が浅草の通りに響いていく。

♪ 熱き血潮の 冷えぬ間に~

チャリン。

さらに小銭が落ちる。

演奏を聴いていた人たちも、次々と足を止め、ミアたちを取り囲むように集まり始めていた。

ミアは人だかりにも気づかず、楽しそうに歌い続けていた。

最後の一節を歌い終える。

♪ 明日の命は ないものを~

三味線の音が、最後の一音を残して止まった。

一瞬、浅草の通りが静かになる。

そして――

パチパチパチパチ!

集まっていたお客さんから、大きな拍手が起こった。

「おおー!」

「上手いぞ!」

「いい歌だった!」

ミアは少し驚いたように目を丸くしてから、嬉しそうに笑った。

「えへへ……」

琴音も拍手をしながら、ミアを見つめていた。

拍手が落ち着くと、演歌師は足元のお椀を見た。

そこには、たくさんの小銭が入っていた。

演歌師は少し驚いたように笑う。

「あんた、才能あるよ」

そう言って、演歌師は集まったお金をミアに差し出した。

「これ、あんたが歌った分だ。持っていきな」

「え? いいよ、そんなの」

ミアは首を横に振る。

「私、歌いたかっただけだから!」

おばさんは少し驚いた顔をしたあと、嬉しそうに笑った。

「そうかい……」

ミアはニコッと笑うと、演歌師に尋ねた。

「ねえ、おばさん」

「ん?」

「またここに来たとき、歌わせてくれる?」

演歌師は少し笑って、頷いた。

「ああ、いいよ」

「やったー!」

ミアは嬉しそうに笑った。

「じゃあ、また来るね!」

「ああ、待ってるよ」

ミアは演歌師に手を振ると、琴音のところへ戻った。

「ミアちゃん、歌、上手かったよ」

「ほんと?」

ミアは嬉しそうに笑う。

「うん。久しぶりにカラオケしたなー!」

ミアは満足そうに伸びをした。

「やっぱ歌うのって気持ちいいね!」

琴音はそんなミアを見て、クスッと笑った。

「カラオケ……?」

「何でもない!」

ミアは元気よく答えた、


ミアは浅草の通りを歩きながら、ふと足を止めた。

西の空には、夕日がゆっくりと沈み始めている。

「まさか、大正に知ってる歌があるとは思わなかったなー」

ミアは夕日に目を細めながら、今日歌った歌を思い出す。

「なんか、不思議な感じ……」

琴音も隣に立ち、同じように夕日を眺めた。

浅草の町に、夕暮れの光が静かに広がっていく。

今回は、浅草で出会った「演歌師」と、今回登場した歌について少し。

演歌師は、三味線などを弾きながら歌を披露し、街頭などでお客さんからお金をもらっていた芸人です。

大正時代の浅草では、こうした芸能を楽しむ人々の姿も見られました。

そして今回ミアが歌ったのは、「ゴンドラの唄」。

大正時代に作られた流行歌で、映画『生の輝き』の主題歌として知られるようになった曲です。

この歌は大正時代の歌ですが、令和になってからも映画やCMなどで使われたり、現代のアーティストによって歌われたりしています。

そのため、ミアが令和でこの曲を耳にしていた、という設定にしてみました。

今回は、そんな大正時代の歌を、令和ギャルのミアが現代風の感覚で歌ってみたら……というお話でした。

大正の三味線と令和ギャル。

時代が違っても、音楽は一緒に楽しめる――そんな感じで50話を締めてみました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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