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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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48/52

【48話】ミア、縁談相手に会う!?

さて、伊集院の相手はどんな人でしょうか。

コンコン。

「どうぞ」

扉がゆっくりと開く。

そして――

一人の男が部屋へ入ってきた。

軍服をきちんと着こなし、背筋を伸ばしている。

年齢は二十代後半ほどだろうか。

整った顔立ちに、落ち着いた雰囲気。

「お待たせいたしました。伊集院さんですね」

「は、はい……」

伊集院が立ち上がる。

その隣で、ミアも立ち上がった。

そして西園寺の顔を見た瞬間――

「……え?」

ミアの目が大きくなる。

「イケメンじゃん……」

そしてミアは、ゆっくりと隣を見る。

伊集院の顔は――真っ赤になっていた。

「…………」

完全に硬直している。

「伊集院?」

「…………」

「おーい?」

それでも伊集院は動かない。

ミアは思わず笑ってしまった。

「……もしかして、伊集院ってこういう人がタイプ?」

「――っ!」

伊集院の顔が、さらに赤くなった。

伊集院は慌てて。

「も、申し訳ありません……」

西園寺が少し首をかしげる。

「……どうされました?」

「突然このように伺ってしまって……。急なお話でしたので、ご迷惑ではないかと思いまして……」

伊集院は深々と頭を下げる。

「いえ。こちらは構いません」

西園寺は穏やかに答えた。

「伊集院家からお話をいただいていることは、父から聞いております」

「そう……ですのね」

伊集院が顔を上げる。

すると隣から――

「ねえ、伊集院」

ミアが小声で話しかけた。

「やっぱりイケメンだよね?」

「ミアさんっ!」

伊集院は真っ赤な顔でミアを睨んだ。

「まあまあ」

ミアは慌てて伊集院をなだめる。

そして西園寺に向き直った。

「ごめんなさい。急に来たのは、あたしが言い出したんです」

「ミアさん……」

「だって、伊集院がこれから付き合う人って、どんな人なのかなって気になっちゃって」

ミアは悪びれた様子もなく笑う。

「だから、あたしも一度見てみたいって言ったんです」

伊集院は驚いたようにミアを見る。

西園寺は少し目を丸くしたあと、ふっと笑った。

「なるほど……そういうことでしたか」

「はい!」

ミアは元気よく答える。

「だから、伊集院が急に押しかけたわけじゃないからね」

「ミアさん……」

伊集院は少し困ったような顔をしながらも、どこかほっとしたように微笑んだ。

三人はしばらくの間、他愛のない話をしていた。

西園寺は思っていたよりも気さくな人物だった。

ミアもすっかり緊張が解け、いろいろと質問している。

「西園寺さんって、ずっと軍人なの?」

「ええ。今のところは、そのつもりです」

「じゃあ、毎日忙しいんだ?」

「そうですね。訓練もありますし、仕事もありますから」

西園寺はそう言ってから、少し苦笑した。

「実は、今回の縁談についても、私自身はまだ何も決めていないのです」

伊集院が顔を上げる。

「まあ……」

「親から話をされたので、そういう話があることは知っています。ただ――」

西園寺は少し考えてから続けた。

「まだ軍の仕事もありますから、結婚のことを考えるのはもう少し先でもいいのではないか、と親には言っているのですが」

「そうなんですのね……」

伊集院の表情が、少しだけ和らいだ。

それを見たミアは、二人の顔を交互に見る。

「じゃあ、伊集院だけが悩んでたわけじゃないんだ」

「ええ。私も少々困っていました」

西園寺が苦笑する。

「なんだ、二人とも同じじゃん」

ミアが笑う。

伊集院も、思わず小さく笑った。

「……そうですわね」

部屋の空気が、先ほどまでとは少し違っていた。

しばらく談笑したあと、西園寺は時計に目を向けた。

「……では、私は職務がありますので、そろそろ戻ります」

「あ、はい。お時間を取らせてしまって、申し訳ありませんでした」

伊集院が立ち上がる。

「いえ。こちらこそ、お会いできてよかったです」

西園寺は二人に軽く頭を下げる。

「伊集院さんも、今日はわざわざありがとうございました」

「こちらこそ……」

伊集院も頭を下げた。

ミアも慌てて立ち上がる。

「ありがとうございました!」

「では、失礼します」

西園寺はそう言うと、部屋を出ていった。

扉が閉まる。

「…………」

しばらく、二人とも黙っていた。

ミアが伊集院の顔を見る。

そして――

「ねえ、伊集院」

「……何ですの?」

「顔、まだ赤いよ?」

「……っ!」

伊集院は慌てて両手で頬を押さえた。


二人は駐屯地を後にし、並んで帰り道を歩いていた。

しばらく無言で歩いていたが、ミアが口を開く。

「ねえ、伊集院」

「何ですの?」

「西園寺さん、悪い人じゃなさそうで良かったね」

伊集院は少し驚いたようにミアを見る。

「……ええ。私もそう思いますわ」

「話しやすかったし、ちゃんと仕事もしてるみたいだし」

「そうですわね」

伊集院は少し考えるように前を向く。

「お会いするまでは、どのような方なのか全く分かりませんでしたもの」

「うん。やっぱり、会ってみないと分からないよね」

ミアは笑った。

「だから、来て良かったじゃん」

「……そうですわね」

伊集院も小さく笑う。

夕暮れの道を、二人は並んで歩いていった。

すると、伊集院がふと思い出したように口を開いた。

「そういえば……ミアさん」

「ん?」

「ミアさんも、名家のお生まれですわよね?」

「まあ、一応ね」

ミアが笑う。

「それなら……ミアさんにも、そういう縁談のお話はないのですの?」

「えっ?」

ミアは少し驚いた顔をする。

「あたし?」

「ええ」

伊集院は少し首をかしげる。

「今回の私のように、ご両親からお話があったりは……?」

「うーん……」

ミアは腕を組んで考える。

「まだ興味がないよ。」

「まあ……そうですの?」

ミアは何気なく答える。

「そもそも、あたしまだ学生だし」

伊集院は少し考えてから、微笑んだ。

「ふふ……ミアさんらしいですわね」

「何それ?」

「いえ、何でもありませんわ」

二人は顔を見合わせて笑いながら、再び帰り道を歩き始めた。


ミアが家に帰ると、おばあさんと二人で夕食を囲んでいた。

しばらくすると、ミアが今日のことを思い出したように口を開いた。

「ねえ、おばあちゃん」

「ん?」

「今日ね、伊集院に縁談の話が来てるって聞いたの」

おばあさんの箸が止まる。

「まあ……そうなのかい?」

「うん。それでね、相手の人に会いに行ってきた」

「相手の人に?」

「そう。陸軍の少佐なんだって」

「ほう……」

おばあさんは興味深そうにミアを見る。

「それで、どんな人だったんだい?」

「それがさ――」

ミアは少し身を乗り出す。

「めっちゃイケメンだった!」

「ふふっ」

おばあさんが思わず笑う。

「美亜は、そこを見るのかい?」

「だって本当にカッコよかったんだもん」

ミアは楽しそうに話を続ける。

「でも、悪い人じゃなさそうだったよ。話しやすかったし、軍の仕事も忙しいみたい」

「そうかい」

おばあさんは頷く。

「それなら、伊集院さんも少し安心したかもしれないね」

「うん。帰り道では、ちょっと嬉しそうだったよ」

ミアはそう言ってから、ご飯を一口食べる。

「……あ」

「どうしたんだい?」

「そういえば、伊集院に聞かれた」

「何を?」

「あたしには縁談とかないのかって」

おばあさんは、一瞬だけミアを見る。

「……それで、ミアは何て答えたんだい?」

「まだ興味がないよって」

おばあさんは、しばらく黙ってお茶を飲んでいた。

そして、ふっとミアを見る。

「ミア……」

「ん?」

「これからは、結婚も家で決めるのではなく、自分で相手を決める時代になるのかもしれないね」

ミアは少し考えてから、にっこり笑った。

「うん。やっぱり、自分が好きな人と結婚したいよね」

おばあさんは、そんなミアを見て微笑む。

「そうだねぇ。ミアがそう思うなら、それでいいんじゃないかね」

「うん!」

ミアは嬉しそうに笑って、箸を動かした。

「だって、好きでもない人とずっと一緒にいるなんて、絶対つまんないじゃん」

「ふふ……ミアらしいね」

「でしょ?」

二人は顔を見合わせて笑った。

窓の外では、夜の街に明かりが灯り始めていた。

今回は、伊集院さんの縁談のお相手、西園寺少佐が登場しました。

「名家の息子が軍人?」と思われた方もいるかもしれません。

大正時代には、軍人は社会的な地位のある職業の一つで、特に陸軍の将校には、士官学校などを経て軍務に就く人たちがいました。

そのため、名家の子弟が軍人になることも、当時としては特別珍しいことではありません。

もちろん、名家の子どもがみんな軍人になったわけではなく、官僚や実業家など、さまざまな進路がありました。

今回の西園寺少佐も、家柄だけでなく、本人が軍人として仕事をしている人物として登場させています。

そしてミアは、そんな肩書きより先に――

「イケメンじゃん」

……でした(笑)。

伊集院さんの縁談は、これからどうなるのでしょうか?

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