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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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43/52

【43話】ミアの、喜劇だよ全員集合!?

目指せ50話!

学芸会当日。

学校の講堂には、女学生たちの姿があった。

舞台の前には椅子が並べられ、保護者や来賓も席についている。

「いよいよ始まりますわね」

伊集院が、隣に座る琴音へ声をかけた。

「うん! 楽しみだね」

琴音は舞台を見つめている。

その隣では、ミアが落ち着かない様子で座っていた。

「あー、緊張する……」

「ミアちゃん、まだ自分たちの番じゃないわよ」

「分かってるけどさぁ……」

やがて、司会の女学生が舞台へ上がった。

「それでは、学芸会を始めます」

講堂に拍手が響く。

最初の出し物は、二年生による合唱だった。

女学生たちが舞台へ並び、ピアノの伴奏に合わせて歌い始める。

「きれいな歌声ですわね」

伊集院が感心したように言った。

「うん。みんな一生懸命練習したんだろうね」

琴音も嬉しそうに頷く。

ミアは舞台を見ながら、ふと呟いた。

「あたしたちの劇も、あれくらい拍手もらえるかな?」

「きっと大丈夫ですわ」

伊集院が微笑む。

「ミアさんが考えた喜劇ですもの」

「いや、そこはあたしが主役ってことも考慮してよ!」

ミアが小声で抗議すると、琴音がくすりと笑った。

やがて合唱が終わり、講堂に拍手が起こる。

続いて、三年生による演劇が始まった。

舞台の幕が上がると、女学生たちが真面目な表情で登場する。

「次は演劇かぁ」

ミアは興味深そうに舞台を見つめた。

「どんなお話なんだろう?」

琴音が尋ねる。

「さあ、楽しみだね」

伊集院も舞台へ視線を向けた。

こうして、学芸会は順調に進んでいった。


やがて、ミアたちの出番がやってきた。

司会の女学生が舞台へ上がる。

「続きまして、二年生による喜劇、『学校の日常』です」

講堂に拍手が起こる。

幕が上がると、舞台には教壇と机が並べられていた。

伊集院が教壇に立ち、ミアと琴音は生徒役として席についている。

「それでは、授業を始めますわね」

伊集院が声をかけると、女学生たちが一斉に姿勢を正した。

「はい!」

ミアは勢いよく手を挙げた。

「先生!」

「はい、ミアさん」

「宿題、忘れました!」

女学生たちが一斉に机へ突っ伏した。

「ズコーッ!」

客席から、くすくすと笑い声が起こった。

ミアは、客席から起こった笑い声を聞いて、心の中で小さくガッツポーズをした。

(よし、掴みはOK!)

伊集院は教壇に戻ると、何事もなかったように授業を続けた。

しかし、ミアと琴音のやり取りは、まだ終わらなかった。

先生と生徒の掛け合い、騙しあい、そしてドタバタ。

練習で何度も繰り返した喜劇が、舞台の上で繰り広げられていく。

客席からは、笑い声と拍手が起こった。

ミアは、女学生たちの顔を見ながら、嬉しそうに笑った。

(みんな、ちゃんと笑ってくれてる!)

そして、喜劇はさらに盛り上がっていった。

会場は爆笑の渦の中、いよいよ喜劇も終盤に差しかかっていた。

先生役の伊集院と、生徒役のミアたちの掛け合いは、ますます激しくなっていく。

ミアと琴音は、練習で何度も繰り返した騙しあいを繰り広げていた。

伊集院は、そんな二人を見ながら、次第に眉をひそめていく。

「ミアさん! 琴音さん!」

「はいっ!」

二人が同時に返事をする。

「いい加減にしなさい!」

伊集院が教壇を叩いた。

その瞬間――。

バキッ!

教壇の机の足が折れた。

「えっ?」

伊集院が目を見開く。

そして、舞台上の机が次々と傾き始めた。

「あれ?」

ミアが声を上げる。

バキバキバキッ!

生徒たちの机の足が一斉に折れた。

「うわぁ!」

「きゃあ!」

ミアも琴音も、伊集院も、全員がひっくり返った。

講堂に、大きな笑い声が響き渡る。

しばらくして、舞台の上は静かになった。

伊集院は、倒れた教壇の横で、何とも言えない顔をしている。

ミアは床に転がったまま、隣の琴音を見た。

琴音も床に座りながら、ミアを見つめていた。

客席から、さらに大きな笑いが起こった。

やがて、舞台の幕が下りた。

講堂は拍手と笑い声に包まれた。

こうして、ミアたちの学園喜劇は、大成功のうちに幕を閉じた。


劇が終わり、ミアたちは講堂の控え室に戻っていた。

「あー、終わったぁ!」

ミアは椅子に座ると、大きく伸びをした。

「お疲れさまでした、ミアさん」

伊集院が微笑む。

「いやー、緊張したけど楽しかったね!」

琴音も嬉しそうに笑った。

「うん! お客さん、すごく笑ってくれたね」

「でしょ? あたしの喜劇、最高じゃん!」

ミアが胸を張る。

伊集院は、ふと真面目な顔になった。

「それにしても、最後の机が一斉に倒れるところは見事でしたわね」

「あれは練習どおりだよ!」

ミアが笑う。

「みんな、ちゃんとタイミング合わせてくれたからね」

琴音が頷いた。

「何度も練習したものね」

「うん。最初は大変だったけど、みんなでやると楽しいね!」

ミアは、控え室にいる女学生たちを見渡した。

「また、こういう劇やりたいなぁ」

伊集院も、楽しそうに頷いた。

「そうですわね。わたくしも、なかなか楽しかったですわ」

「伊集院、先生役似合ってたよ!」

「まあ、ありがとうございます」

三人は顔を見合わせて笑った。

すると、控え室に二人の女性と一人の男が入ってきた。

ミアは顔を上げると、目を見開いた。

「あ、この前の宝塚の人!」

天津乙女と小夜福子を見て、ミアが声を上げた。

二人の後ろには、見慣れない男性が立っていた。

「お久しぶりですわね、ミアさん」

天津が微笑む。

「うん! どうしてここに?」

「今日は東京に用事がありまして」

小夜が答えた。

「たまたまこちらで学芸会をやっていると聞きまして、せっかくなので見せていただきましたの」

「そうだったんだ!」

ミアは嬉しそうに二人を見る。

「じゃあ、さっきの劇も見てくれたの?」

「ええ。とても面白かったですわ」

「ほんと!?」

ミアの顔がぱっと明るくなった。

小夜福子も、楽しそうに笑った。

「本当に面白かったですわ。観ているうちに、思わず声が出てしまいました」

「え?」

ミアが首をかしげる。

「ミアさん、後ろ! 後ろ! と、つい言ってしまって……」

「えぇっ!?」

ミアが驚いて目を丸くする。

「観客席から言ってたの!?」

小夜福子は、少し恥ずかしそうに笑った。

「ええ。あまりにも自然に出てしまいましたの」

琴音がくすくすと笑う。

「それだけ夢中になって見てくださったんですね」

「そうなんです!」

小夜福子が頷く。

「まるで自分も舞台の中にいるような気持ちになりましたわ」

ミアは嬉しそうに笑った。

「それ、最高の褒め言葉じゃん!」

すると、後ろにいた男も口を開いた。

「いやあ、なかなか面白かったですよ」

「ありがとうございます!」

ミアが嬉しそうに答える。

男は少し考えるようにしながら続けた。

「特に、あのテンポの早さ。今まで私が見てきた喜劇とは、少し違っていましたね」

ミアは首をかしげた。

「テンポ?」

「ええ。次々と展開が変わっていくでしょう。台詞だけでなく、役者の動きも速い。見ている側を飽きさせません」

ミアは嬉しそうに笑った。

「そこ、けっこう練習したんだよ!」

天津乙女が、その様子を見て、少し意外そうに笑った。

「まあ、小山内さんがこんなに褒めるなんて、珍しいですね」

小山内は少し照れたように笑った。

「そうですか? 私は面白いものは、面白いと言いますよ」

ミアは二人のやり取りを聞きながら、目を輝かせていた。

天津が時計を確認する。

「まあ、そろそろ私たちも用事がありますので」

「あ、そうなんですか」

ミアが少し残念そうに答える。

天津は微笑むと、ミアに声をかけた。

「今度、宝塚を観にいらした時は、ぜひ楽屋にもいらしてくださいな」

「えっ、本当に?」

ミアの顔がぱっと明るくなる。

「はい。お待ちしていますよ」

そう言うと、天津と小夜、そして小山内は控え室を後にした。

ミアは、二人を見送ると、琴音に嬉しそうに話しかけた。

「琴音ちゃん、聞いた? 宝塚の人に面白いって言われたんだよ!」

「うん、聞いてたよ。ミアちゃん、すごかったもん」

「でしょ! なんか、作家になった気分!」

ミアは嬉しそうに胸を張った。

そしてミアが伊集院の方を見ると、伊集院は放心状態になっていた。

「……天津乙女さんと、小夜福子さんが……見てた……」

伊集院は、まだ信じられない様子でボソボソと呟いている。

「伊集院さん、大丈夫?」

ミアが声をかけると、伊集院は我に返った。

「……ええ。大丈夫ですわ」

どう見ても、大丈夫そうには見えなかった。

こうして、学芸会は思いがけないゲストを迎え、幕を閉じた。

今回、ミアたちの学芸会を見に来た小山内薫は、大正時代を代表する劇作家・演出家の一人です。

日本の近代演劇の発展に大きな影響を与えた人物で、自由劇場や築地小劇場にも関わりました。

そんな小山内薫が、ミアたちの喜劇を見て「テンポが早い」と感じたのは、現代のコントと当時の喜劇には、少し違いがあったからです。

大正時代の喜劇では、落語や寄席などにも見られるような、言葉の掛け合いや勘違い、登場人物同士のやり取りから笑いを作るものが多くありました。

一方、現代のコントでは、テンポの速い会話に加えて、動きや間、突然の展開など、視覚的な笑いも重要になっています。

今回のミアたちの劇は、そんな現代のコントを大正時代の女学生たちが演じたら……というイメージで書いてみました。

時代が違えば、笑いの作り方も少し違う。

でも「人を笑わせたい」という気持ちは、きっと昔も今も変わらないのかもしれません。

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