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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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37/52

【37話】ミア、初めての宝塚!?

今回は大正の宝塚の話です。2部で書きたいので。今回は前編です。

ミアは昨日買ったばかりのブーツを履いて、学校へ向かっていた。

黒い革のブーツは、昨日の夜に試したように、筒の部分を半分ほど折り返している。

「やっぱ、この履き方かわいい~!」

ミアは歩きながら、自分の足元をちらりと見る。

昨日までとは違う足元が、なんだか新鮮だった。

しばらく歩いていると――

「あら?」

前方から見慣れた姿が歩いてくる。

「琴音!」

ミアが声をかけると、琴音も気づいた。

「ミアちゃん。おはよう」

「おはよー!」

二人は道の途中で合流する。

琴音はミアの足元を見ると、少し首を傾げた。

「……あら?」

「ん?」

「そのブーツ……」

ミアは嬉しそうに足元を見せる。

「昨日買ったやつ!」

「やっぱりそうなのね」

「どう? かわいくない?」

「ええ。でも……」

琴音は少し考える。

「昨日とは履き方が違うわね」

「そうなの!」

ミアは得意そうに笑った。

「昨日、家で試してみたんだよね。こうやって折り曲げた方がかわいいかなって!」

琴音はもう一度、ミアのブーツを見る。

「なるほど……」

「でしょ?」

「でも、こういう履き方をしている人、見たことないわ」

「そりゃそうだよ!」

ミアは笑った。

「だって、あたしが考えたんだもん!」

「ふふっ」

琴音も思わず笑う。

「本当にミアちゃんらしいわね」

「でしょー!」

二人は並んで歩きながら、学校へ向かっていった。

学校へ着くと、校門の近くに伊集院の姿が見えた。

「あっ、伊集院さん!」

ミアが声をかける。

「おはようございます」

「おはよー!」

伊集院も二人に気づいて挨拶を返す。

「おはようございます、ミアさん、琴音さん」

いつも通りの笑顔。

けれど――

琴音は、伊集院の様子が少し違うことに気づいた。

なんとなく落ち着かない。

話をしていても、どこかソワソワしている。

ミアも不思議そうに伊集院を見る。

「伊集院さん、今日なんか変じゃない?」

「えっ?」

「なんか、ソワソワしてる!」

「そ、そうでしょうか?」

伊集院は少し照れたように笑った。

琴音はそんな伊集院を見て、ふと何かを思い出した。

「あっ……もしかして、今日の観劇?」

「観劇?」

「学校行事で、劇を見に行くでしょう?」

「ああ! そうだった!」

ミアが手を叩く。

「今日、劇の日なんだ!」

琴音は頷く。

「宝塚少女歌劇を観るんでしょう?」

「そうそう、それです!」

伊集院が嬉しそうに答えた。

「今日はずっと楽しみにしていたんです」

「伊集院さん、宝塚好きなの?」

ミアが尋ねる。

「はい。以前から大好きなんです」

伊集院の表情が、ぱっと明るくなる。

琴音はそんな伊集院を見て微笑んだ。

「私は名前を知っているくらいだけど……」

「えっ、琴音もあんまり知らないの?」

「ええ。どんなものなのか、詳しくは知らないわ」

ミアも頷く。

「あたしも全然知らない!」

伊集院は笑顔で二人を見る。

「なら、きっと気に入ると思いますわよ」

ミアは笑った。

「劇なんでしょ? 楽しみ~!」


始業の鐘が鳴ると、教室に先生が入ってきた。

「皆さん、今日は予定通り観劇です」

教室から、ぱっと声が上がる。

「宝塚少女歌劇を見るんですよね?」

「そうですよ。では、準備ができた人から廊下に並んでください」

「はーい!」

ミアも琴音と一緒に席を立つ。

「なんか遠足みたいで楽しいね!」

「観劇ですから、遠足とは少し違うと思うけど……」

琴音が苦笑する。

その横では、伊集院が嬉しそうにしていた。

「ふふ……今日は楽しみですわ」

「伊集院さん、ほんっとに楽しみなんだね~」

「ええ!」

三人はクラスメイトたちと合流し、先生の引率で学校を出た。

そして一行は、今日の観劇場所へ向かって歩き始めた。


しばらくすると、一行は大きな劇場の前に到着した。

正面には大きな看板が掲げられ、入口の周囲には華やかな装飾が施されている。

「わぁ……!」

ミアは思わず足を止めた。

「ここで劇を見るの?」

「ええ。市村座です」

琴音が答える。

ミアは大きな建物を見上げた。

「なんか、めっちゃ雰囲気ある~!」

一行は入口から劇場の中へ入った。

「わぁ……!」

ミアは思わず声を上げる。

高い天井には大きな照明が吊り下げられ、客席には桟敷席が並んでいる。

「なんか、すごい雰囲気ある~!」

ミアが辺りを見回す隣で、伊集院は嬉しそうに舞台を見つめていた。

生徒たちは先生の案内に従い、それぞれの席に着いた。

ミアも琴音の隣に座る。

「どんな劇なんだろ~?」

しばらくすると、舞台の幕が上がる前に演目の紹介が始まった。

ミアは興味津々で舞台を見つめた。

「本日の演目は――

『正ちゃんの冒険』

『ねね姫様』

『采女礼讃』

『毒の花園』

『酒茶問答』の五演目となります」

「えっ、五つもやるの!?」

ミアが驚くと、伊集院が嬉しそうに頷いた。

「ええ。どれも素敵な演目ですわ」

「へぇ~、楽しみ!」

しばらくすると、場内の明かりがゆっくりと落ちていった。

舞台に静寂が訪れる。

やがて幕が上がり――。

『正ちゃんの冒険』が始まった。

ミアは初めて見る、大正時代の演劇に目を輝かせていた。

今回ミアたちが観劇するのは、当時の宝塚少女歌劇です。

現在の「宝塚歌劇団」は、当時は「宝塚少女歌劇」という名前で活動していました。

今回の舞台となる市村座は、東京・下谷二長町にあった歴史ある劇場です。

そして、この時期に市村座で上演された演目は、当時の香盤(上演順)では――

①『正ちゃんの冒険』

②『ねね姫様』

③『采女礼讃』

④『毒の花園』

⑤『酒茶問答』

という五演目でした。

今回は、この実際の演目と順番を物語に取り入れています。

大正時代の宝塚を、ミアと一緒にちょっと覗いてみてください♪

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