【34話】ミア、日傘をレビューする!?
文字数少ないですが、連投なので許して下さい。
学校が終わると、ミアはいつものように喫茶店で働いていた。
「いらっしゃいませー!」
注文を取り終え、料理を運んでいると、店の扉が開いた。
「あっ!」
入ってきた女性を見て、ミアが目を丸くする。
「この前の記者さん!」
「こんにちは、ミアさん」
女性記者は笑顔で店内を見回す。
「今日も忙しそうね」
「うん! 最近、お客さん多いんだよ」
ミアが笑う。
女性記者は席に座ると、鞄から一枚の紙を取り出した。
「実はね、今日はお願いがあって来たの」
「お願い?」
「ええ」
女性記者は、紙をテーブルの上に置いた。
「もう一度、記事を書いてほしいの」
「えっ?」
ミアが目を丸くする。
女性記者は
「前回の記事、とても評判が良かったの」
「ほんと!?」
ミアの顔がぱっと明るくなる。
「うん。それとね……」
女性記者は少し笑った。
「特に評判だったのが、あなたの付けた『星』なのよ」
「星?」
「ええ。★★★★★の評価」
「へぇ……」
ミアは首を傾げる。
「そんなに?」
「ええ。読者から『星がいくつか書いてあるから、美味しさがすぐ分かる』という声が多くてね」
「マジで?」
ミアは驚いた。
「だから、今回も最後に星を付けてほしいの」
「もちろん!」
ミアは即答した。
「じゃあ、今度は何食べるの?」
女性記者は笑った。
「今回は食べ物じゃないの」
「えっ? じゃあ何?」
「傘よ」
「傘?」
「ええ。日傘」
「日傘?」
ミアは首を傾げた。
「日差しを避けるための傘よ」
「ああ、日焼けしないためのやつね!」
ミアは納得したように頷く。
「最近、銀座の女性たちの間で、洋傘の日傘が人気なの」
「へぇ~!」
ミアの目が輝いた。
「どんなの?」
「色や模様もいろいろあるのよ。最近は、おしゃれの一つとして持つ人も増えているの」
「それ、めっちゃ気になる!」
ミアは身を乗り出した。
「じゃあ、今回も実際に見に行くの?」
「もちろん」
女性記者は笑顔で頷いた。
「あなたの感想を聞かせてほしいの」
「任せて!」
ミアは嬉しそうに笑った。
「今度は日傘をレビューするんだね!」
「レビュー?」
「えーっと……商品の感想を書くってこと!」
「なるほどね」
女性記者は笑うと、琴音の父に向き直った。
「それで、お願いがあるのですが……」
「はい?」
「今日、このあとミアさんを少しお借りしてもよろしいでしょうか?」
琴音の父はミアを見る。
「今日ですか?」
「ええ。学校が終わったばかりですし、今から銀座へ向かえば、まだ十分見て回れます」
琴音の父は少し考えると、頷いた。
「ミアがよければ、構いませんよ」
「やった!」
ミアは嬉しそうに声を上げた。
「もちろん行く!」
女性記者も笑顔になる。
「それじゃあ、さっそく行きましょうか」
「うん!」
ミアは急いで鞄を手に取った。
しばらく銀座の街を歩いていると、女性記者が足を止めた。
「あっ、ここよ」
「ここ?」
ミアも立ち止まる。
店の看板には、こう書かれていた。
「タカゲン」
「タカゲン?」
ミアは看板を見上げた。
「ええ。ここで日傘を見てみましょう」
「へぇ~!」
ミアは店先に並ぶ傘へ目を向ける。
「どんなのがあるんだろ?」
「入ってみましょうか」
「うん!」
二人は店の中へ入った。
「いらっしゃいませ」
店員が二人に声を掛ける。
女性記者は軽く頭を下げると、店員に話しかけた。
「突然すみません。私、新聞社の者なのですが」
「新聞社の方ですか?」
「はい。本日は、こちらのお店を記事で紹介させていただきたくて伺いました」
女性記者は身分を示すものを取り出した。
「それと、こちらのミアさんに日傘を実際に見てもらい、感想を聞かせていただきたいのです」
店員はミアを見る。
「こちらのお嬢さんが?」
「ええ」
女性記者は頷いた。
「前回、彼女が書いた記事が好評だったもので」
「そうでしたか」
店員は少し考えると、店の奥へ向かった。
「少々お待ちください。主人に確認してまいります」
「お願いします」
女性記者は頭を下げた。
ミアは店内を見回す。
壁や棚には、さまざまな洋傘が並んでいる。
「わぁ……いっぱいある!」
思わずミアの声が弾む。
「どれもおしゃれだね!」
女性記者が笑う。
「気に入ったものがあったら、遠慮なく見せてもらってね」
「うん!」
しばらくすると、店の奥から主人が姿を現した。
女性記者は主人に改めて説明する。
「新聞社の者です。こちらの日傘を記事で紹介したいのですが、取材させていただいてもよろしいでしょうか?」
主人はミアを見る。
「このお嬢さんが?」
「はい。実際に日傘を見てもらい、感想を書いてもらいます」
主人は頷いた。
「分かりました。どうぞご自由にご覧ください」
「ありがとうございます」
女性記者が頭を下げる。
ミアは並んだ日傘を見て、目を輝かせた。
「わぁ……いっぱいある!」
ミアは並んでいる日傘の中から、一本を手に取った。
華やかな色の日傘もあれば、落ち着いた色の日傘もある。
和風の柄もあれば、洋風のデザインも並んでいる。
「わぁ……いろんなのがある!」
ミアは次々と日傘を手に取っていく。
「どれも可愛いじゃん!」
しばらく店内を見て回ると、ミアは日傘を眺めながら言った。
「これ、めっちゃいいね!」
女性記者が手帳を取り出す。
「どんなところが?」
ミアは少し考える。
「色も柄もいっぱいあって、着物にも洋服にも合わせられそう!」
そして、手にした日傘を広げてみる。
「日傘って、日差しを避けるだけじゃなくて、おしゃれにも使えるんだね!」
女性記者は頷きながら、ミアの言葉を書き留めていく。
女性記者が尋ねた。
「それじゃあ、今回の評価は?」
ミアは少し考えた。
「うーん……」
日傘を見つめる。
「星は……三つかな!」
「三つ?」
女性記者が驚く。
「うん。可愛いし、いろんな服に合わせられるのはいいんだけど……」
ミアは日傘を持ち直した。
女性記者は頷きながら手帳に書き込む。
店主は二人のやり取りを聞いていた。
「……三つ星ですか?」
少し不機嫌そうな表情で尋ねる。
「どうして評価が低いのでしょう?」
ミアは少し驚いて、日傘を見つめた。
「えっ? だって……」
ミアは日傘を持ち上げる。
「少し重いかなって」
「重い?」
主人が日傘を見る。
「うん。暑い日に重たいものを持ったら、余計に汗かいちゃうよ」
ミアは少し考えてから続けた。
「それに、うちにおばあちゃんがいるんだけど……お年寄りには重いかなって」
主人は黙って日傘を見つめた。
ミアは日傘の端についているレースを見ながら言った。
「あと、この端についてるレースを全面にしたら、もっと軽くなるのにな」
主人は少し驚いた顔でミアを見る。
「レースを……全面に?」
「うん。そしたら風も通るし、もっと軽くできそうじゃない?」
ミアは日傘を眺めながら首を傾げた。
主人は日傘を見つめると、
「……なるほどな」
と呟いた。
そして女性記者に向き直る。
「申し訳ないが、今回の取材は無しにしてくれないか」
「え?」
記者が驚く。
主人はミアを見る。
「二週間後に、もう一度取材に来てくれ」
「二週間後?」
「そうだ」
主人は日傘を手に取った。
「その時には、もっと軽い日傘を見せよう」
ミアは目を丸くした。
「えっ?」
女性記者も驚いた様子で主人を見る。
「分かりました。では、二週間後に改めて伺います」
主人は頷いた。
「その時は、ぜひ星五つをもらえるようなものを作っておこう」
ミアは思わず笑った。
「楽しみ!」
「では、今日はこれで取材を終わりにしましょう」
女性記者が手帳を閉じる。
「うん!」
二人は店を出て、銀座の街を歩き始めた。
しばらくすると、女性記者がミアに声を掛けた。
「そうそう、ミアさん」
「ん?」
女性記者は封筒を取り出した。
「これ、前回の記事の原稿料よ」
「えっ、原稿料?」
ミアは驚いて封筒を見る。
「そう。記事を書いてもらった分よ」
「わぁ……!」
ミアは嬉しそうに受け取った。
ミアは封筒の中を覗き込んだ。
「……えっ?」
思わず目を丸くする。
「こんなに!?」
女性記者はクスッと笑った。
「それだけ、あなたの記事が評判だったってことよ」
ミアは封筒を両手で握りしめた。
「すごーい……!」
思わぬ収入に、ミアの顔がほころんだ。
女性記者は歩きながら、少し苦笑した。
「でも、ミアさん」
「ん?」
「さっき、ご主人にあんなことを言うなんて、ちょっと驚いたわ」
「え?」
ミアは首を傾げる。
「だって、思ったことを言っただけだよ?」
女性記者は笑った。
「ふふっ。そういうところが、あなたらしいのかもしれないわね」
「それじゃあ、二週間後ね」
「うん! 楽しみにしてる!」
「私も楽しみだわ」
二人はそこで別れた。
ミアは家への道を歩きながら、もらった封筒を眺めた。
「記事を書いて、お金までもらえるなんて……」
ミアは嬉しそうに笑う。
「これで何買おうかな~」
そして、二週間後にどんな日傘が出来上がっているのかも気になった。
「星五つの日傘、見てみたいな!」
ミアはそんなことを考えながら、夕暮れの銀座を後にした。
今回、ミアが訪れたのは、銀座にある「タカゲン」です。
タカゲンは明治15年(1882年)創業の老舗で、ステッキや洋傘を扱ってきたお店です。
大正時代の銀座では、洋装とともに洋傘も女性のおしゃれの一つとして親しまれていました。
今回は、そんな実在のお店を舞台に、ミアが日傘をレビューしてみました。
果たして二週間後、ミアから「★★★★★」をもらえる日傘は完成するのでしょうか?
次回をお楽しみに(笑)。




