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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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33/52

【33話】ミア、インフルエンサーになる!?

やっぱり、食テロでしょ!!

学校が終わると、ミアはそのまま喫茶店へ向かった。

「こんにちは!」

店の扉を開ける。

「こんにちは、ミアちゃん」

「今日もお手伝いしまーす!」

ミアは鞄を置くと、制服のまま店内を見回した。

琴音の父は

「今日は、お客さんが多くてね。よろしくね」

「わかった、任せて!」

ミアは腕まくりをすると、さっそく注文を取りに向かった。

「ご注文は何にしますか?」

こうして、学校が終わってからのミアのアルバイト……いや、この時代ではお手伝いの時間が始まった。


しばらくすると、喫茶店の扉が開いた。

「いらっしゃいませ!」

ミアが声を掛ける。

入ってきたのは、一人の女性だった。

「あ!」

ミアはその顔を見て、目を丸くした。

「この前の……」

そう。

以前、この喫茶店にやって来た新聞記者の女性だった。

女性もミアに気付くと、柔らかく微笑んだ。

「こんにちは。また会ったわね」

「こんにちは! また来てくれたんだ!」

「ええ。ここ、気に入ってしまって」

女性はそう言うと、いつもの席へ向かった。

ミアは注文を取りながら尋ねる。

「今日は取材ですか?」

「半分は仕事。半分は……ここの珈琲を飲みに来たの」

「なーんだ(笑)」

ミアが笑う。

女性もつられて笑った。


ミアがコーヒーをテーブルに置く。

「お待たせしました」

「ありがとう」

女性記者はコーヒーを一口飲むと、ミアに声をかけた。

「ねえ、ミアさん」

「はい?」

「文章、書けるわよね?」

「ええ、書けますけど……」

「あなたに、食べ物の記事を書いてほしいの」

「食べ物?」

ミアが首を傾げる。

女性記者は鞄から小さな手帳を取り出した。

「最近、銀座の煉瓦亭という店のカツレツが、とても美味しいと評判なの」

「カツレツ……?」

ミアは聞き慣れない言葉に、首を傾げた。

「それについて、記事を書いてほしいのよ」

「へぇ……」

ミアは少し考える。

「でも、私、カツレツって食べたことないんですけど」

女性記者は笑った。

「だからこそ、あなたにお願いしたいの」

「私に?」

「ええ。あなたの素直な感想を書いてほしいの」

「明日、実際に食べに行きましょう」

「明日?」

「学校が終わったら、銀座まで付き合ってくれるかしら?」

ミアは少し驚いた顔をした。

「いいんですか?」

「もちろん。」

ミアは嬉しそうに笑った。


翌日。

学校が終わると、ミアは待ち合わせ場所へ向かった。

「えーっと……ここで待ち合わせだったよね」

辺りを見回す。

すると、少し離れたところから声が聞こえた。

「ミアさん!」

「あっ!」

ミアが振り返る。

昨日の女性記者が、こちらへ歩いてくる。

「待った?」

「ううん、今来たところ!」

女性記者は微笑むと、ミアに声を掛けた。

「それじゃあ、行きましょうか」

「はい!」

二人が銀座を歩いていると、やがて目的の店が見えてきた。

「ここよ」

女性記者が足を止める。

「煉瓦亭?」

ミアは店の看板を見上げた。

店先には洋食店らしい落ち着いた佇まいがあり、銀座の街並みの中でも目を引いている。

「へぇ……なんか雰囲気あるね」

「でしょう?」

女性記者が笑う。

「それじゃあ、入りましょうか」

「うん!」

ミアは期待に胸を膨らませながら、店の扉を開けた。

店内に入ると、ふわっと食欲をそそる香りがミアの鼻をくすぐった。

「わぁ……いい匂い!」

店内では、厨房から料理を作る音も聞こえてくる。

ミアのお腹が、ぐぅっと鳴った。

「……お腹空いてきた」

女性記者がクスッと笑う。

「ちょうどいいわね」

二人は席に着く。

女性記者が店員に声を掛けた。

「カツレツを二つお願いします」

「かしこまりました」

注文を終えると、ミアはテーブルの上に肘をつきながら厨房の方を眺めた。

「ねえ、どんな味なんだろ?」

「それは食べてからのお楽しみよ」

ミアは期待に胸を膨らませながら、料理が運ばれてくるのを待った。

しばらくすると、店員が料理を運んできた。

「お待たせしました。カツレツでございます」

テーブルに皿が置かれる。

ミアは料理を見つめた。

「……あっ!」

思わず声が出る。

衣をまとった肉が皿に盛られている。

「これって……薄いとんかつじゃん!」

言ってから、ミアはハッと口を押さえた。

「あ……」

女性記者が不思議そうにミアを見る。

「とんかつ?」

「え、えーっと……」

ミアは慌てて笑った。

「なんでもない! ちょっと似てるなーって思っただけ!」

女性記者は首を傾げながらも、カツレツに目を戻した。

「さあ、冷めないうちに食べましょう」

「う、うん!」

ミアはフォークとナイフを手に取った。

目の前のカツレツから、香ばしい匂いが漂ってくる。

「いただきまーす!」

ミアはナイフでカツレツを一口大に切ると、口へ運んだ。

「んっ!」

噛んだ瞬間、衣がサクッと音を立てる。

その中から、豚肉の旨味と肉汁がじゅわっと口いっぱいに広がった。

「……美味しい!」

ミアの顔がぱっと明るくなる。

「衣がサクサクで、お肉がジューシー!」

女性記者はそんなミアの様子を見ながら、微笑んだ。

「気に入った?」

「うん! これ、めっちゃ美味しい!」

ミアはもう一口、カツレツを頬張った。

「これなら評判になるのも分かるわ~」

女性記者は手帳を取り出すと、何かを書き始めた。

「じゃあ、その感想を記事にしてみて」

「えっ?」

ミアは口を動かしながら、女性記者を見る。

「今の、そのまま書いていいの?」

「ええ。それがあなたの文章なんだから」

ミアは少し考えると、にっこり笑った。

「じゃあ、いっぱい書いちゃお!」

店を出ると、二人は近くの喫茶店へ入り、ミアはさっそく記事を書くことになった。

ミアはペンを手にすると、さっき食べたカツレツを思い出す。

「えーっと……」

少し考えてから、紙に書き始めた。

『カツレツを食べてみました!』

ナイフを入れると、衣がサクッ!

口に入れると、お肉がジュワッ!

衣は香ばしく、お肉は柔らかくて、とっても美味しいです。

初めて食べましたが、これは人気になるのも納得!

また食べたいと思う美味しさでした!

ミアは書き終えると、満足そうに頷いた。

「うん! こんな感じかな!」

女性記者はミアの書いた文章を覗き込んだ。

「…………」

「どう?」

女性記者はしばらく黙っていた。

「……とても変わった文章ね」

「えっ、ダメ?」

「いいえ」

女性記者は微笑んだ。

「面白いわ」

そして文章の最後で、女性記者の手が止まった。

そこには、文章とは別に大きく書かれたものがあった。

評価 ★★★★★

「……ミアさん」

「ん?」

「この星の印は何?」

女性記者が指を差す。

ミアは「ああ」と頷いた。

「それ? 星だよ」

「それは分かるわ」

女性記者は苦笑する。

「どうして星を五つも?」

ミアは不思議そうな顔をした。

「え? 美味しかったから」

「……?」

「私の中では、星が多いほど『おすすめ』ってことなの」

女性記者はしばらく星を見つめた。

「まあ……面白いわね」

ミアは笑った。

「分かりやすいでしょ?」

女性記者はもう一度、文章と星を見比べた。

「……これは記事に使えるかもしれないわ」

記事を書き終えると、女性記者は紙を丁寧に折りたたんだ。

「ありがとう、ミアさん。とても参考になったわ」

「うん!」

二人は店を出ると、銀座の街を歩いた。

しばらく歩いたところで、女性記者が足を止める。

「それじゃあ、私は新聞社へ戻るわね」

「うん。今日はありがとう!」

「こちらこそ。記事、楽しみにしていてね」

女性記者が歩き出そうとした時、ミアが思い出したように声を掛けた。

「あっ、ちょっと待って!」

「どうしたの?」

ミアは少し慌てた様子で言った。

「記事にする時、私の名前は出さないでね」

女性記者は目を丸くした。

「どうして?」

「なんとなく……恥ずかしいから!」

ミアは照れくさそうに笑った。

「お願いね!」

「ふふっ。分かったわ」

女性記者は笑顔で頷く。

「それじゃあ、また喫茶店で」

「うん、またね!」

二人はそこで別れた。

ミアは女性記者の背中を見送りながら、ふと思った。

「……新聞に載るのかぁ」

少しだけ、胸が弾んだ。


ミアは家に帰ると

「ただいまー!」

「おかえりなさい、ミア」

居間から、おばあさんの声が返ってくる。

ミアは鞄を置くと、さっそく今日の出来事を話し始めた。

「ねえ、おばあちゃん。昨日話した通り新聞記者さんと銀座に行ってきたの!」

「あら、そうなの?」

「うん。それでね、煉瓦亭っていうお店でカツレツを食べたんだよ」

「カツレツ?」

おばあさんが首を傾げる。

「そう! 衣がサクッとして、お肉がジュワッとしてて、めっちゃ美味しかった!」

ミアは身振りを交えながら話す。

「それでね、その感想を新聞の記事にしてほしいって頼まれたの!」

「まあ……」

おばあさんは驚いたようにミアを見る。

「ミアが新聞の記事を書くの?」

「そうなの!」

ミアは嬉しそうに頷いた。

「でも、私の名前は出さないでってお願いしたけどね」

「どうして?」

「だって、ちょっと恥ずかしいじゃん」

ミアは照れくさそうに笑った。

おばあさんも微笑む。

「ふふっ。どんな記事になるのか、楽しみね」

「私も楽しみ!」

ミアは今日食べたカツレツを思い出しながら、笑顔を浮かべた。

ミアが今日の出来事を話し終えると、おばあさんが時計に目を向けた。

「そうそう、ミア。お風呂が沸いているから、先に入っておいで」

「はーい!」

ミアは元気よく返事をすると、鞄を持ち上げた。

「じゃあ、お風呂入ってくるね!」

「ええ。ゆっくり温まっておいで」

「うん!」

ミアは笑顔で浴室へ向かった。

ミアは湯船に浸かりながら、今日の出来事を思い返していた。

銀座の煉瓦亭。

初めて食べたカツレツ。

そして、自分が書いた文章が新聞に載るかもしれない。

「……なんか、すごい一日だったなぁ」

ミアは湯船に肩まで浸かる。

ふと、今日書いた文章を思い出した。

「食べたものの感想を書いて、それをみんなに伝える……」

ミアは少し考える。

そして、突然笑い出した。

「これって……インフルエンサーじゃん!」

湯船の中で、ミアは一人で笑った。

「ふふっ!」

今日もまた、大正時代で新しいことを始めてしまったミアだった。

今回、ミアが訪れた銀座の「煉瓦亭」は、明治28年(1895年)創業の老舗洋食店です。

西洋料理を日本人の口に合うように工夫しながら、カツレツなどの洋食を提供してきたお店として知られています。

特に煉瓦亭のポークカツレツは、現在の「とんかつ」につながる料理の一つとして有名です。

大正時代の銀座では、こうした洋食が「ハイカラな食べ物」として人々の人気を集めていました。

今回は、そんな煉瓦亭のカツレツをミアが食べたら……ということで書いてみました。

そしてミアの感想は、

「サクッ! ジュワッ! めっちゃ美味しい!」

まさに令和ギャルの食レポ(笑)。

※煉瓦亭は現在も銀座で営業しています。

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