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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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31/52

【31話】思い出のハンバーグ!?

今回は短めです。

朝食を終えた頃。

父親が時計に目を向けた。

「そろそろ時間だな」

母親も頷く。

「ええ」

ミアはその言葉を聞いて、少しだけ表情を曇らせた。

今日、両親は外国へ帰る。

それは、ミアも祖母も分かっていることだった。

テーブルの脇には、すでに両親の荷物がまとめられている。

「……もう、出る時間なんだね」

ミアがぽつりと言った。

「そうね」

母親が優しく答える。

祖母も静かに立ち上がった。

「忘れ物がないか、もう一度確認しておきましょう」

「うん」

ミアは頷いた。

そして、両親の荷物へ目を向ける。

昨日までは、まだ一緒にいられるという気持ちがあった。

けれど――

こうして荷物がまとめられているのを見ると、いよいよ本当に別れの時が来たのだと実感する。

母親は荷物を一つずつ確認しながら、ミアに声をかける。

「これで全部かしら……」

「たぶん大丈夫だと思うよ」

ミアも荷物を覗き込む。

母親は確認を続けながら、ふと思い出したようにミアを見る。

「そうそう、ミア」

「ん?」

「もし寂しくなったら、いつでも連絡してね」

「うん」

ミアは素直に頷いた。

「手紙でもいいし、電話でもいいからね」

「分かった」

母親は少し笑う。

「遠慮しなくていいのよ。私たちは外国にいるけど、ミアのお母さんとお父さんなんだから」

「うん」

ミアは笑って答えた。

その様子を、少し離れたところから祖母が静かに見ていた。

母親は再び荷物に目を戻す。

「それから、ちゃんとご飯を食べるのよ」

「食べてるよー」

「本当に?」

「本当だってば」

「ふふっ」

母親が笑う。

いつもと変わらない親子の会話。

けれど――。

ミアの胸の奥に、ふっと別の記憶が浮かんだ。

――前の世界のお母さん。

「……」

ミアは俯いた。

今の母親とは違う顔。

違う声。

けれど、優しく自分を心配してくれたことだけは、なぜか鮮明に思い出せる。

「……お母さん」

思わず、小さな声が漏れた。

「どうしたの?」

目の前の母親が顔を覗き込む。

「ううん……」

ミアは慌てて首を振った。

けれど、目には涙が浮かんでいた。

「……なんでもない」

「ミア?」

母親が心配そうに近づく。

ミアは袖で目元を拭った。

「ごめん……」

「どうして謝るの?」

「なんか……ちょっとだけ、寂しくなっちゃった」

母親は何も聞かず、そっとミアを抱きしめた。

「そう……」

ミアは母親の胸に顔を埋める。

そして、心の中でそっと呟いた。

――前のお母さんも、こんなふうに心配してくれてたな。

その記憶を思い出すと、また少しだけ涙がこぼれた。

――

いよいよ、出発の時間だった。

父親が荷物を持ち上げる。

「それじゃあ、行くか」

「ええ」

母親も頷いた。

ミアは玄関まで二人についていく。

祖母もその後ろから見送るために出てきた。

父親がミアの前に立つ。

「ミア」

「うん」

「元気でな」

「お父さんもね」

ミアは笑顔で答えた。

父親は少し照れたように笑うと、ミアの頭を優しく撫でた。

「ちゃんと勉強するんだぞ」

「分かってるって」

「それから、無理をしすぎないようにな」

「うん」

次に母親がミアの前に立つ。

「ミア」

「お母さん……」

母親はミアをそっと抱きしめた。

「ちゃんと笑って過ごすのよ」

「……うん!」


両親を見送った後、二人は並んで、静かに屋敷へ戻っていった。

隣に立つ祖母も、両親が去っていった道を見つめていた。

「……行っちゃったね」

「そうですね」

少しの間、二人とも黙っていた。

やがてミアは、ふっと顔を上げる。

「そうだ」

「ん?」

「晩ごはん、私が作るね」

祖母が少し驚いた顔をする。

「ミアが?」

「うん」

ミアは笑った。

「おばあちゃん、今日は座ってていいよ」

「ふふっ。急にどうしたんです?」

「何か急に作りたくなっちゃって。」

祖母は優しく微笑んだ。

「そうですか」

「うん!」

ミアは屋敷の中へ駆けていく。

「何作ろうかな~」

その後ろ姿を見ながら、祖母は小さく笑った。

ミアは台所へ向かった。

袖をまくり、玉ねぎを細かく刻む。

挽肉、卵、パン粉、炒めた玉ねぎをボウルに入れ、手早く混ぜ合わせる。

形を整え、フライパンへ。

ジュウッ――。

香ばしい匂いが台所に広がる。

両面を焼き、蓋をして火を通す。

やがて、ふっくらとしたハンバーグが焼き上がった。

ミアは焼き上がったハンバーグを皿に盛り付け、ソースをかけた。

「……できた」

ミアはそれをテーブルへ運んだ。

並べられた料理を見て、少し首を傾げた。

「これは……何ですか?」

「ハンバーグ」

ミアは笑顔で答えた。

祖母は、皿の上の料理をじっと見つめる。

「ハンバーグ……?」

ミアは頷いた。

「うん。」

二人は向かい合って食事を始めた。

祖母はハンバーグを一口食べる。

「まあ……美味しいですね」

「でしょ?」

ミアは嬉しそうに笑った。

二人は温かな夕食を、ゆっくりと味わった。

ミアはハンバーグを食べながら、ぽつりと呟いた。

「前の世界ではね、お母さんがよくハンバーグを作ってくれたの」

祖母は黙ってミアの話を聞いている。

「さっき、お母さんとお別れしたとき……思い出しちゃって」

「……ちょっと、泣いちゃった」

祖母は優しくミアを見つめた。

「でも、ここではたくさんの人と出会えたし、いろんな発見もあって……楽しいよ」

そう言って、ミアはもう一度ハンバーグを口に運んだ。

「ミアがこちらに来てから、私も毎日楽しいですよ」

ミアは少し驚いたように祖母を見る。

そして、嬉しそうに笑った。

祖母は穏やかに微笑んだ。

「元のミアがどうしているのかは分かりませんけれど……きっと、今のミアと同じように、どこかで楽しく過ごしていると思いますよ」

ミアは少し驚いたように祖母を見る。

「……そうだね」

そう言って、ミアは笑った。

祖母は少し間を置いてから言った。

「いつ、ミアが元の世界に戻れるのかは分かりません」

「……うん」

「でも、今はミアの好きなことを、一生懸命やりなさい」

ミアは祖母の言葉を聞いて、笑顔になった。

「うん!」

そして、残りのハンバーグを嬉しそうに頬張った。


その晩。

布団に入ったミアは、天井を見つめながら考えていた。

――こっちの世界に来たときも、突然だった。

「戻るときも……急なのかな」

ミアは小さく呟いた。

いつ戻れるのかも、そもそも本当に戻れるのかも分からない。

そう考えると、少しだけ不安になる。

けれど――。

「まあ、今は今を楽しもう」

ミアはそう呟くと、目を閉じた。

今回の晩ごはんはハンバーグでした。

では、大正時代にハンバーグはあったのでしょうか?

実は、ハンバーグの原型となる料理や、挽肉を使った洋食自体は当時の日本にも知られていました。

ただし、現在のように「家庭料理の定番」として広く食べられていたわけではありません。

今では子供から大人まで大好きなハンバーグですが、ミアが大正時代で作ったハンバーグは、かなり現代的な家庭料理だったのかもしれません。

前の世界のお母さんを思い出しながら作ったミアにとっては、ちょっと懐かしい味だったのでしょうね。

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