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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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29/52

【29話】両親に見せたいもの!?

最近PV が凄く伸びてて驚きました。読者の方達へ感謝です。

翌朝。

ミアはいつもより少し早く目を覚ました。

身支度を整えて居間へ行くと、すでに両親とおばあさんが朝食の席についていた。

「おはよう、ミア」

母親が笑顔で声をかける。

「おはよー」

ミアも席につく。

朝食を食べながら両親はミアの日頃の生活について尋ねていた。

「そういえば、昨日言っていた喫茶店の手伝いというのは、どんなことをしているんだ?」

父親が尋ねる。

「あー、いろいろだよ」

「いろいろ?」

「注文取ったり、お料理運んだり、お皿洗ったり」

ミアは箸を動かしながら答える。

「結構楽しいんだよ。お客さんと話したりもするし」

「そうなの」

母親が興味深そうにミアを見る。

「それなら、今日はその喫茶店に行ってみようかしら」

「えっ?」

ミアの顔がぱっと明るくなる。

「じゃあ、今日一緒に行く?」

「いいのか?」

父親が少し驚いたように聞く。

「もちろん!」

ミアは嬉しそうに頷いた。

「丁度今日はお手伝いの日だから私が働いてるところ、見せてあげる!」

おばあさんがそんなミアを見て、くすりと笑う。

「それなら今日は、お父さんとお母さんにミアの働きぶりを見てもらいましょうか」

「うん!」

ミアは元気よく返事をした。

こうして――。

ミアの両親と祖母は、娘が普段どんな場所で過ごしているのかを見るため、喫茶店へ行くことになった。

ミアは朝食を終えると、さっそく出かける準備を始めた。

「お父さん、お母さん、早く行こう!」

「そんなに急がなくても大丈夫ですよ」

母親が笑う。

「だって、早く見せたいんだもん!」

ミアは玄関で待ちながら、嬉しそうに二人を急かしていた。


ミアたちは、バイト先の喫茶店へやって来た。

カラン、カラン――。

扉のベルが鳴る。

「いらっしゃい……おお、ミアちゃん!」

店の奥から琴音の父親が顔を出した。

「待ってたよ」

「おじさん、おはよう!」

ミアが笑顔で挨拶する。

ところが、ミアの後ろにいる三人の姿を見た瞬間、琴音の父親の表情が変わった。

「……え?」

ミアの両親。

そして、その隣には祖母。

琴音の父親は三人の顔を見比べる。

そして、すぐに気づいた。

「まさか……」

ミアの父親を見つめる。

その名前も、その家のことも知っている。

商売をしている者なら、一度は耳にする名家だった。

「……ミアちゃんのお父様ですか?」

「はい。いつも娘がお世話になっています。」

ミアの父親が穏やかに頭を下げる。

「い、いえ……こちらこそ……」

琴音の父親も慌てて頭を下げる。

だが、視線はミアの両親から離れない。

さらに隣にいる母親を見る。

そして、最後にミアの祖母を見る。

「……まさか、今日は……」

「そうなの」

ミアが嬉しそうに答える。

「私の働いてるところを見たいっていうから、連れてきたの!」

「……そうでしたか」

琴音の父親は、ようやく状況を理解した。

それにしても――。

名家のご夫妻と、その家の当主であるミアの祖母。

それが、今、自分の店に揃っている。

琴音の父親は、思わず背筋を伸ばした。

「どうぞ……こちらへ」

「そんなにかしこまらなくても大丈夫ですよ」

ミアの母親が微笑む。

するとミアが不思議そうに首を傾げた。

「おじさん、なんか変じゃない?」

「いや……」

琴音の父親は苦笑した。

「ミア、お前は自分のご両親がどれだけの方なのか、ちゃんと分かってるのか?」

「え?」

ミアは両親を見る。

「普通に私のお父さんとお母さんだけど?」

「……そうだったね」

琴音の父親は苦笑いした。

どうやら本人だけは、まったく気にしていないらしい。

その様子を見て、ミアの祖母が小さく笑った。

「この子は、そういう子ですからね。」

「なるほど……」

琴音の父親は、納得したように頷いた。

「じゃあ、私、お手伝いしてくるね!」

ミアは両親に笑顔を向けた。

「お父さんたちは、ここでお茶でもしてて」

「そうだな。せっかくだから、ゆっくりさせてもらおう」

父親が頷く。

三人が席につくと、琴音の父親がメニューを持ってきた。

「こちらがメニューです」

「ありがとう」

父親はメニューを開く。

「珈琲に紅茶……」

母親も横から覗き込む。

「まあ、いろいろあるのね」

すると父親の目が、ある品で止まった。

「これは……アイス珈琲?」

「アイス珈琲?」

母親も不思議そうに首を傾げる。

「冷たい珈琲ということかしら?」

「そうみたいだな」

そこへ、着替えを終えたミアが戻ってきた。

「お待たせー!」

「ミア、これは何だ?」

父親がメニューを指差す。

「ああ、アイスコーヒー?」

「冷たい珈琲なのか?」

「うん。おいしいよ!」

ミアはメニューを覗き込む。

そして、別の品を指差した。

「でも、お父さんたちにはこっちがおすすめ!」

「これは?」

母親が見る。

「コーヒー寒天!」

「コーヒー寒天……?」

「そう! 珈琲を寒天にしてあるの。これ、結構おいしいんだよ!」

父親は少し驚いた顔をする。

「珈琲を寒天に……?」

「うん!」

ミアは自信満々に頷いた。

「甘くて、冷たくて、おやつにもぴったり!」

母親が微笑む。

「じゃあ、それをいただこうかしら」

「うん! 絶対おすすめ!」

ミアは嬉しそうに笑った。

「じゃあ、コーヒー寒天を二つですね!」

しばらくすると、ミアが盆を手にして戻ってきた。

「お待たせしましたー!」

テーブルの上に、三つの器が並べられる。

透明な寒天の中に、珈琲の色が透けている。

その上には、白いクリームが添えられていた。

「これが……コーヒー寒天?」

母親が器を覗き込む。

祖母も珍しそうに眺めている。

「まあ……本当に珈琲の色をしているわね」

父親も器を見つめた。

「これは、どうやって食べるんだ?」

「普通にスプーンですくって食べればいいよ」

ミアが笑う。

「じゃあ、いただこうかな」

父親はスプーンを手に取る。

少しだけコーヒー寒天をすくい、クリームと一緒に口へ運んだ。

「……!」

父親の目がわずかに見開かれる。

珈琲のほろ苦さ。

そこへクリームのまろやかな甘さが重なる。

さらに、ひんやりとした寒天の食感。

「……これは……」

父親はもう一口食べる。

「美味しい……」

「でしょう?」

ミアが嬉しそうに笑った。

父親は驚いたように器を見る。

「珈琲は苦いものだと思っていたが……こうすると、こんな味になるのか」

「クリームと一緒に食べると、苦味がちょうどいいんだよ」

「なるほど……」

母親もスプーンを手に取る。

「私もいただいてみようかしら」

一口食べる。

「まあ……!」

母親も驚いた顔をする。

「本当に美味しいわ」

祖母も一口食べて、微笑んだ。

「ミアがおすすめするだけのことはありますね」

「でしょ!」

ミアは得意そうに胸を張った。

その後、三人はコーヒー寒天を味わいながら、店内でゆっくりと過ごしていた。

ミアはというと――。

「いらっしゃいませ!」

「こちらのお席へどうぞ」

「はい、お待たせしました!」

店内を忙しそうに動き回っている。

注文を取ったり、料理を運んだり。

時には客と楽しそうに話したりもしている。

その姿を、両親は静かに眺めていた。

「……あの子、本当に楽しそうね」

母親が微笑む。

「ああ」

父親も頷いた。

「昔のミアとは、ずいぶん違うな」

祖母は二人の言葉を聞きながら、静かにミアを見つめていた。

「昔は身体が弱かったですからね」

「それだけじゃない」

父親は少し考えるように言った。

「人見知りも強かっただろう?」

「ええ……」

母親も頷く。

「知らない人がいると、私たちの後ろに隠れていたものね」

「人前で話すのも苦手だった」

父親は、店内を走り回るミアを見る。

「それが今では……」

ミアが客から注文を受けている。

「はい! かしこまりました!」

明るい声が店内に響く。

「……あんなに楽しそうに人と話している」

母親は嬉しそうに笑った。

「本当に変わったのね」

祖母も微笑む。

「ええ。こちらで暮らすようになってから、ずいぶん変わりました」

「何かあったのか?」

父親が尋ねる。

祖母は少し考えてから答えた。

「お友達ができたことも大きいのでしょうね。女学校へ通うようになって、琴音さんや伊集院さんとも仲良くなって……」

「なるほど」

父親は頷いた。

そして、もう一度ミアを見る。

「病弱だったあの子が、今ではこんなところで働いているとはな」

「ふふっ」

母親が笑う。

「しかも、私たちに自分の働いているところを見せたくて仕方がないみたい」

「そうみたいだな」

三人は顔を見合わせる。

そのとき、ミアがこちらに気づいた。

「お父さん、お母さん! どう? 私ちゃんと働いてるでしょ!」

「ああ」

父親は笑顔で答えた。

「よく頑張っているよ」

「えへへ」

ミアは嬉しそうに笑うと、また仕事へ戻っていった。

その後ろ姿を見ながら、父親はぽつりと呟いた。

「……元気になっただけじゃないな」

母親が隣を見る。

「ええ」

「この子は……強くなったんだな」

三人は、何も言わずにミアの姿を見つめていた。

しばらくの間、三人は店内でミアの仕事ぶりを眺めていた。

ミアは忙しそうに動きながらも、終始楽しそうだった。

「じゃあ、そろそろ私たちは帰ろうか」

父親が時計を見る。

「そうね」

母親も頷いた。

祖母も席を立つ。

「ミアには、もう少しお手伝いをしてもらいましょうか」

三人が席を立つと、ミアが気づいて駆け寄ってきた。

「もう帰るの?」

「ああ。今日はお前が元気に働いているところを見られてよかったよ」

「本当?」

「ああ」

父親は笑顔で頷く。

「また帰る前に会いに来るからな」

「うん!」

母親もミアの頭を優しく撫でる。

「お仕事、頑張ってね」

「任せて!」

ミアは胸を張った。

「じゃあ、おばあちゃんと一緒に帰るわね」

「うん。またあとで!」

三人は店を出ていく。

カラン、カラン――。

扉のベルが鳴った。

ミアは三人の姿が見えなくなるまで、店の入口から見送った。

そして――。

「よし!」

ミアは気持ちを切り替えるように手を叩いた。

「仕事、仕事!」

そう言って、再び店内を元気に駆け回り始めた。


喫茶店を出た三人は、駅へ向かって歩いていた。

しばらく歩いたところで、父親が口を開いた。

「……昨日、ミアを外国へ連れて行こうと言っただろう?」

「ええ」

母親が頷く。

「私は、あの子が一人で日本に残るのが心配だったんだ」

父親は歩きながら、先ほどのミアの姿を思い出していた。

「昔のミアは身体が弱かった。人見知りも強かったし……」

「そうね」

母親も頷く。

「だから、私たちのそばに置いたほうがいいと思ったのよね」

「でも……」

父親は少し笑った。

「今日のあの子を見たら、考えが変わったよ」

母親が父親を見る。

「ええ。私も」

祖母も二人の話を聞きながら、静かに微笑んでいた。

「ミアは、もう大丈夫ですよ」

「そうだな」

父親は頷く。

「自分で友達を作って、自分の居場所を見つけて……」

「それに、働くことまで覚えている」

母親が笑う。

「私たちが思っていたより、ずっとしっかりしていたわ」

父親は空を見上げた。

「外国へ連れて行くことだけが、あの子の幸せじゃないんだな」

「ええ」

母親は優しく答えた。

「ミアには、ミアの生活がもうあるんですもの」

祖母は二人を見て、ほっとしたように笑った。

「それが分かっていただけたなら、私も安心しました」

父親は頷いた。

「しばらくは、ここで暮らせばいい」

そして、少しだけ寂しそうに笑った。

「……あの子があんなに楽しそうなら、私たちも安心して外国へ戻れるよ」

三人は並んで歩きながら、先ほどまで見ていたミアの笑顔を思い出していた。

ミアはもう、昔の病弱で引っ込み思案だった少女ではない。

自分の足で立ち、自分の世界を作り始めていた。

今回は、ミアが両親に自分の働いている喫茶店を見てもらうお話でした。

大正時代になると、女学校へ進学する女性も増え、教師や電話交換手、事務員、店員など、家庭の外で働く「職業婦人」と呼ばれる女性たちも少しずつ増えていきました。

もちろん、現在のように女性が自由に職業を選べる時代ではありません。

それでも、大正デモクラシーや女性の社会進出の影響もあり、女性の生き方が少しずつ変わっていった時代です。

ミアもまた、両親に守られるだけではなく、友達を作り、自分の居場所を見つけ、喫茶店で働いています。

そんなミアの姿を見て、両親も「もう大丈夫」と感じたのでした。

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