【13話】コーヒー寒天、ハイカラ娘の新発明!?
ちょっとChatGPTの調子が悪くて作成に時間がかかりました。
朝、障子の隙間からやわらかな陽射しが差し込み、ミアは布団の上で大きく伸びをした。
「ん〜……朝かぁ」
昨日の喫茶店のことを思い出しながら、体を起こす。
元気よく『いらっしゃいませー!』と声を出した瞬間、お客さんたちが驚いた顔が浮かび、思わず笑ってしまった。
顔を洗い、髪を整えるために鏡台の前へ座る。
櫛で髪をとかしながら、引き出しから小さな布袋を取り出した。
中には腕輪と、色糸を編んで作った細い腕飾りが入っている。
「今日はどっちにしよっかな〜」
ミアは腕輪を左手に通し、もう片方の手首には紺色と白の糸を編み込んだ腕飾りを結んだ。
「うん、重ねると可愛いかも」
さらに机の上に置いてあった淡い桃色のリボンを手に取ると、髪の横で小さく結ぶ。
鏡の中には、どこか大正の少女らしい雰囲気になった自分が映っていた。
「いい感じ!」
「ミアさん、朝餉の支度ができていますよ」
廊下の向こうから、穏やかで落ち着いた声が聞こえた。
「はーい、今いくー!」
ミアが元気よく返事をすると、おばあさんは障子越しに小さく笑った。
「ふふ、今日もお元気ですね。慌てなくても、お料理は逃げませんよ」
「だって、お腹すいたんだもん」
鏡台の前から立ち上がり、ミアは袖を整える。
廊下へ出ると、おばあさんがきちんと背筋を伸ばして立っていた。淡い色の着物を上品に着こなし、その所作には長年身についた品の良さが自然とにじんでいる。
「そのリボン、よくお似合いですよ」
「ほんと? やった!」
ミアがぱっと表情を明るくすると、おばあさんは目を細めてうなずいた。
「ええ。春の花のようで、とても愛らしいです」
そんな言葉をかけられて、ミアは少し照れくさそうに笑った。
朝餉の席には、焼き魚と味噌汁、炊きたてのご飯が並んでいた。
「いただきます」
ミアが元気よく手を合わせると、おばあさんは上品に微笑む。
「たくさん召し上がってくださいね。学校では何かと体力を使いますから」
「うん! ご飯おかわりしたいくらい!」
「ふふ、それは頼もしいことです」
温かな朝食を食べ終えると、ミアは鞄を手に立ち上がった。
「行ってきます!」
「ええ、行ってらっしゃい。お気をつけて」
おばあさんに見送られながら、ミアは朝の光が差し込む玄関を元気よく飛び出し学校へ向かった。
校門に着くと、ちょうど琴音が歩いてくるところだった。
「おはよう、琴音!」
「おはようございます、ミアちゃん。」
二人は笑顔で挨拶を交わすと、並んで校舎へ向かう。
……
授業が終わり、休み時間になると、ミアの机の周りには数人の女学生が集まってきた。
「ねえ、ミアさん」
「この前言っていた腕飾り……作り方を教えてくださらない?」
「私も作ってみたいです」
友達たちは、ミアの手首にある腕輪や色糸の飾りを興味深そうに眺めている。
「えっ、ほんと? いいよ!」
ミアは嬉しそうに笑った。
「簡単だから、今度一緒に作ろうよ」
令和では当たり前だった小さなアクセサリー作りが、この時代では珍しいものとして受け入れられていく。
「あ、そうだ!」
ミアは何かを思いついたように、ぱっと顔を上げた。
「だったらさ、帰りに琴音ちゃんの喫茶店に集まらない?」
「喫茶店……ですか?」
友達たちは顔を見合わせる。
「うん! そこで一緒に作ろうよ。材料も持っていくから!」
ミアが楽しそうに笑うと、女学生たちも次第に笑顔になった。
「楽しそうですね」
「ぜひ、お願いします」
その様子を少し離れた席から見ていた伊集院は、何やら落ち着かない様子だった。
ミアはそれに気づくと、すぐに声をかける。
「あ、伊集院さんも来る?」
「えっ……」
突然声をかけられ、伊集院は少し驚いた顔をする。
「べ、別に興味があるわけではありませんわ」
そう言いながらも、視線はミアの手元のアクセサリーに向いていた。
「でも……そこまで誘うのでしたら、行って差し上げてもよろしくてよ」
「やった! じゃあ決まりね!」
ミアの笑顔に、伊集院は少しだけ顔を背けた。
放課後の鐘が鳴り、学校での一日が終わった。
ミアたちは校門で別れると、それぞれ帰路につく。
家に着いたミアは元気よく。
「ただいまー!」
「おかえりなさい、ミアさん」
出迎えてくれたおばあさんに、ミアは笑顔で話しかける。
「あのね、今日このあと琴音ちゃんのお家に行ってくるね」
おばあさんは少し微笑みながら頷いた。
「まあ、琴音さんのところですか。気をつけて行ってらっしゃい」
「うん! それと……寒天、少し持っていってもいい?」
ミアがそう尋ねると、おばあさんは穏やかに微笑んだ。
「ええ、構いませんよ。何か作るのですか?」
「うん! みんなで食べたり、アクセサリー作ったりするの!」
「まあ、楽しそうですね」
おばあさんは嬉しそうに頷いた。
喫茶店に着くと、すでに琴音と友人たちは店内に集まっていた。
「ミアさん、待っていましたよ」
「本当に作り方を教えてくださるんですよね?」
みんなが楽しそうに声をかけてくる。
「もちろん! 今日は特別講座だからね!」
ミアは笑顔で答えると、持ってきた袋を机の上に置いた。
琴音はその様子を見ながら、くすりと笑う。
「ミアちゃんが来て、お店がずいぶん賑やかになったね。」
「みんな、ちょっと待っててね!」
ミアはそう言うと、店の奥へ向かった。
「琴音ちゃんのお父さん、少しいいですか?」
カウンターで作業をしていた琴音の父が振り向く。
「どうしたんだい、ミアちゃん?」
「あの……少しだけキッチンを使わせてもらってもいいですか?」
「キッチンを?」
「はい。みんなに食べてもらいたいものがあって」
ミアが持ってきた包みを見せると、琴音の父は穏やかに笑った。
「もちろん構わないよ。好きに使いなさい」
「ありがとうございます!」
ミアは人数分の器を並べると、寒天を溶かしたコーヒーを器に注ぐ。」
ミアが準備をしていると、喫茶店の扉が開いた。
「ごきげんよう」
そこには伊集院が立っていた。
「あ、伊集院さん!」
ミアが笑顔で手を振る。
「来てくれたんだね!」
「……別に、あなたがあまりにも誘うものですから」
伊集院はそう言いながら店内へ入る。
しかし、その視線はすぐに机の上に並べられた材料へ向いていた。
コーヒー寒天をミアはそっと冷蔵庫へ入れ。
「これで準備はおしまい!」
ミアは手を洗うと、みんなの待つ席へ戻っていく。
「お待たせー!」
ミアは皆にアクセサリーの作り方を教える。
「まずは好きな色の糸を選んでね」
女学生たちは机に並んだ色とりどりの糸を楽しそうに眺める。
「こんな細工ができるなんて素敵ですね」
「ミアさんは本当に色々なことをご存じなのですね」
みんなが夢中になって作業をする中、琴音も楽しそうに手を動かしていた。
伊集院も最初は興味がないような顔をしていたが、いつの間にか真剣な表情で糸を編んでいる。
「……なかなか難しいですわね」
「でも、伊集院さん上手!」
「そ、そうでしょうか」
そんな会話をしながら、店内には笑い声が広がっていった。
しばらくして、机の上には色とりどりのアクセサリーが並んだ。
「できた……!」
女学生たちは完成した腕飾りを嬉しそうに眺める。
「私のはこの色にしました」
「まあ、素敵ですね」
それぞれが選んだ色や飾りには、少しずつ個性が出ていた。
ミアはみんなの手首に結ばれたアクセサリーを見て、嬉しそうに笑う。
「みんな似合ってる!」
琴音も自分の腕飾りを眺めながら微笑んだ。
伊集院も完成したものをそっと身につける。
「……悪くありませんわね」
「気に入ったんだ?」
ミアが笑うと、伊集院は少し顔を背けた。
「べ、別に。ただ……綺麗ですから」
アクセサリー作りが一段落すると、ミアはみんなの顔を見渡した。
「みんな、疲れたでしょ?」
「実は、おやつ作っておいたんだ!」
そう言うと、ミアは店の奥へ向かった。
しばらくして冷蔵庫から器を取り出すと、透明感のある黒い甘味が姿を現す。
「わぁ……これは?」
ミアは笑顔でテーブルへ並べていく。
「コーヒー寒天だよ!」
器の中で、ぷるんと揺れる黒い甘味を見て、みんなは興味深そうに覗き込んだ。
テーブルに並べられたコーヒー寒天を見て、女学生たちは顔を見合わせた。
「これは……何なのでしょう?」
「色が……黒いですわね」
見たことのない見た目に、みんな少し戸惑っている。
ミアは笑顔で説明する。
「大丈夫だよ! 甘くて美味しいから!」
すると琴音がそっとスプーンを手に取った。
「ミアちゃんが作ったものなら、きっと美味しいです」
そう言って、一口すくって口に運ぶ。
「……!」
琴音の表情がぱっと明るくなった。
「美味しい……です」
その一言に、周りの女学生たちも興味を持ち始める。
琴音の反応を見て、女学生たちも恐る恐るスプーンを手に取った。
「では……いただきます」
一口食べると、次々と表情が変わっていく。
「まあ……美味しいです」
「不思議な味ですけれど、すごく上品ですね」
口に入れた瞬間、ほろ苦いコーヒーの香りが広がり、寒天のつるりとした食感が心地よく喉を通っていく。
甘さの中に少し大人びた苦味があり、今まで食べたことのない新しい甘味だった。
伊集院は少し離れたところで、その様子を眺めていた。
「……そんなに美味しいものなのですか?」
「伊集院さんも食べてみなよ」
ミアに促され、伊集院は少し迷いながらスプーンを手に取る。
「べ、別に期待しているわけではありませんわ」
そう言いながら一口食べる。
「……」
しばらく黙った後、伊集院は小さく呟いた。
「……美味しいですわ」
その言葉に、ミアは嬉しそうに笑った。
その様子をカウンター越しに見ていた琴音の父は、興味深そうに微笑んでいた。
「それは……一体なんだい?」
黒い甘味を眺めながら、珍しそうに首を傾げる。
ミアはそれに気づくと、すぐに笑顔になった。
「あ、おじさんの分もあるよ!」
「私の分もかい?」
「もちろん!」
そう言って、ミアは器をひとつ差し出した。
琴音の父は少し驚きながら受け取る。
「では、いただこうかな」
一口食べると、その表情が少し変わった。
「……これは面白いね」
「でしょ!」
ミアは嬉しそうに笑った。
琴音の父は、もう一口味わうと、器の中のコーヒー寒天をじっと見つめた。
「……なるほど」
しばらく考えたあと、ミアへ顔を向ける。
「ミアちゃん」
「はい?」
「もしよかったら、後でこれの作り方を教えてくれるかい?」
ミアは少し驚いたあと、すぐに笑顔になった。
「もちろん!」
「このお店に合う甘味だと思うんだ。お客さんにも喜んでもらえそうだからね」
琴音も嬉しそうに父を見る。
「お父さん、このお店の新しい名物になるかもしれないね。」
「そうだね」
琴音の父は、もう一度器を見ると穏やかに笑った。
その時、喫茶店の入り口のベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃいませ」
琴音の父が声をかける。
扉の向こうから入ってきたのは、以前デパートでミアと出会った女性記者だった。
「あら……?」
女性記者は店内を見渡し、ミアの姿を見つけると少し驚いた表情を浮かべる。
「あなたは……あの時の女の子じゃない」
ミアもすぐに気づいた。
「あっ! デパートのお姉さん!」
思わぬ再会に、店内の空気が少し明るくなる。
女性記者は店内を見渡した。
そこには、色とりどりの腕飾りを身につけた女学生たちと、見たことのない黒い甘味。
そして、その中心で楽しそうに笑うミアの姿があった。
「……これは、面白い記事になりそうね」
女性記者は小さく微笑む。
大正の街に現れた、ひとりの少女。
その小さなひらめきは、やがて新しい流行の始まりになろうとしていた。
ちなみに、今回登場したコーヒーゼリーについて少し。
日本でコーヒーゼリーが広く知られるようになったのは、昭和に入ってからと言われています。
一方で、大正時代には喫茶店文化が広まり始め、コーヒーや洋風のお菓子が少しずつ日本に浸透していった時代でした。
今回の物語では、ミアが令和の知識を活かして、大正の材料である寒天を使い「コーヒー寒天」として作っています。
もし当時の喫茶店にこんな甘味があったら……という想像を楽しんでもらえたら嬉しいです。




