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婚約破棄されて勘当されたわたしは都会派冒険者になる  作者: 朝山 みどり


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06 都会派冒険者は専属になる

 その日、いつもの時間に戻ってくると、客が待っていた。

 冒険者ギルドの受け付けから紹介されたのは薬師ギルドの人だった。

「初めまして。わたしは薬師ギルドの副ギルド長のフィリップ・ミードです」

「はい。ケイトです」

「ケイトさんにお願いがあります。薬師ギルドの専属になって欲しいのです」

「はぁ」

「専属で、この王都の薬師ギルドのために採取をお願いしたいのです」

「えっと、わたしはこのギルドの冒険者で・す・よ・ね。それがどうやって薬師ギルドの専属に?」

 受け付けさんとフィリップさんは顔を見合わせたが、フィリップさんが

「クーパー、わたしが説明していい?」と言うと話し始めた。

「ケイトさんの取って来る薬草はとても品質がいいのです。薬師たちの間で引っ張りだこです。薬師ギルドとしてそれを優先的に買いたいのです。通常より高く払ってでも欲しいのですが、冒険者ギルドは公平に売るためにそれができません。それでわたしたち薬師ギルドと契約をしてほしいのです。

 冒険者ギルドより高く買います。必ずこれだけ採取しなければならないということはありません。取った薬草は薬師ギルドへ納品をお願いします。こういうことですが、了承していただけないでしょうか?」

 ちょっとかっこいいフィリップさんがこう言うとなんでも言うことを聞いちゃうよって気持ちになった。だから

「高く評価していただいて嬉しいです。高く買っていただけるのも嬉しいです。こちらからもお願いがあるのですが」

 と言った。

 するとフィリップさんは素敵ににっこり笑うと

「なんでしょうか?できるだけのことをしますよ」と言った。

 それでわたしは、遠慮なく

「ポーションの作り方を教えてください。今は本で読んで勉強しています。それを補いたいのです」と言った。

「ケイトさんが、ポーションを!いいですよ。薬師ギルドに通って来て下さい。道具も自由に使っていいですよ」

「それはありがとうございます。助かります」と言うと

「それでは、今から薬師ギルドに来て下さい」とフィリップさんに言われて、受け付けの人に送られて冒険者ギルドを出た。

 ギルドの受け付けの人の名前がクーパーって、今日、初めて知ったわ。

 薬師ギルドで登録手続きが終わると、ポーションの作り方の本を一冊くれたの。それから調合室に案内されて、自由に使っていいって言われたの。

 よかったーーー。

 わたしは新しいことを知るのが好きなの。だから王宮の教育も嫌じゃなかった。執務を覚えるのも好きだった。

 だから、わたしが勉強したり執務している時間に王太子殿下が遊んでいるのも、さほど気にならなかった。あちらを好きってこともなかったし。

 だけど、だんだん仕事に追われて、好きな読書もできない上に、なんか馬鹿にされて、そしたらいろんなことが嫌になったのよ。

 よく我慢したと思うのよ。義母娘が来て家族からはじかれて、母の宝石も、母と一緒に選んだ大好きな壁紙の部屋を取られたのも、我慢したのよ。

 でも、実を言うとね、母の宝石は安物なの。母の実家は母を邪魔者扱いしてたから、安物を持たせていたしね。別に女系ってこともないの。母とわたししかいないから。だけど母のものなのは確かなのよ。

 今、振り返ると馬鹿だなぁって、どこかで「嫌だ」って言えば良かったって、だけどね。ここまで我慢したんだから、後これくらい我慢できて、もう少し我慢できて。だから、婚約破棄はいい機会だったのよね。

 下手すれば、補佐役として第二妃に、なんてことになったら大変だった。文官なら給料が出るけど、第二妃なんてただ働きじゃないの。

 あの父親が勘当しなかったら危なかった。ろくでもない父親だけど、あれだけは評価できるわね。

 まぁちょっと思い出すと、思い出し怒りが……なにか食べましょう。

 でも、ポーション作りって新しい知識を得る機会。最高よね。

 今のわたしの生活はね。三日薬草を取りに行って、二日ポーション作りを習って、二日休養。休みの日は好きなことをやるからポーションを作ったり、本を読んだりって感じ。すごく自由でいいでしょ。

 薬草採取も遠くに行けるようになったのよ。ちょっと魔獣が出たりするけど、結界と身体強化があるし、戦えるのよ。安物だけど剣も買ったのよ。だから平気。

 薬草作りの工程はノートにまとめて、失敗した所や気づいた所を忘れないようにしてるの。メモ用紙に書くとメモを無くしたり、見るのを忘れたりするのよ。だから必ず大きなノートに書くの。

 そういえば、こうしたノートを王城の部屋とローズライン家の部屋に置いたままにして来たわ。勉強のコツとか執務のコツとかね。まぁどうでもいいけどね。家族に向けての恨み、辛みも書いてあるけど、それを読んだからって、あの人たちが気にするとも思えないし。

 それより、わたしのポーション作りの腕前はフィリップさんから合格だって言われたの。まだ先は長いけどね。なんていうか、やり方はわかったのよ。

 それで、わたしは冒険者ギルドにポーションを売ってるのよ。一番作っているのが、紛れ草(まぎれそう)で作る化膿止め。

 魔獣の爪や牙の傷は、ちょっと見、小さな傷でも化膿するらしいの。だから化膿止めは冒険者必携なのよ。安定して売れるから毎月決まった収入になるの。

 それぐらいの傷ならわたしの癒しの能力でも大丈夫そうだけど、ポーションを売る方がいいかな。商売。商売ってね。

 薬草も生えている所をだいたい把握したから、順番にそこに取りに行けばいいのよ。だからお散歩してるのと変わらないのよ。

 だけど、剣術の素振りはかかさないの。自前の剣を買ってやっているのよ。だって、楽な生活をしていると体がたるむかも知れないでしょ。それは嫌なのよ。

 婚約者やってる時より、冒険者の今の方が楽ってねぇ。人に言ったら信じてもらえるかしら?

いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

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― 新着の感想 ―
おもろいわー 是非末永く連載して下さいm(_ _)m
 こう言っちゃなんなんですけど、ここまでスピーディーに話を進める令嬢モノってあんまり読んだ覚えが無いかもしれない(^▽^;)。  っていうか、ざまぁされる側が既に地平の彼方に置き去りにされてるような感…
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