05 都会派冒険者は、らしいことをする
あの商店の依頼は、その日のうちに解決したらしく、わたしはすぐに依頼料となにやら、慰謝料をもらった。
たったあれだけの仕事がこの金額。やったね。
それに比べたら、王宮の仕様はくそだったわね。単なる婚約者のわたしに王太子の仕事や王妃の仕事。どさくさに紛れて文官も自分の仕事を混ぜてきてたものね。
婚約破棄に感謝。婚約破棄バンザイ!
さて、雨も上がった。わたしは薬草採取に出かけた。一人だ。
身体強化で足を速めるとたったか歩いた。お城でヒールを履いていた頃に比べると楽だ。
そしてこの間、目星をつけていた命草を二本採取した。これは毛髪の成長を促す。つまり毛生え薬だ。それも育毛ではなく発毛効果がある。つまりお金になるのだ。
あとは冷まし草と紛れ草を適当に取って今日は終わりだ。
冒険者にしては、お早いお帰りのわたしは、受付の職員に相談した。
「薬師になるにはどうすれば良いのですか?」とわたしは聞いた。
受付の職員は丁寧に答えてくれた。
「薬師になるには、薬師の勉強をして試験に合格すればなれます。勉強は独学でも大丈夫です。薬の作り方も本が出てますから独学で行けます。ただ、道具を揃えるのにお金がかかります。それなりに大変で、三年ほどかかりますね」
「なるほど、わかりました。冒険者って国の図書館が使えますか?」とわたしは続けた。
職員はうなずいた。
「使えますよ」
「わかりました。それと冒険者ってどんな所に住んでいますか?ここを出たあとで住む所を探してるんです」とわたしは尋ねた。
「それはここで紹介しています。ホテルに長期滞在。部屋を借りる。家を借りる。いろいろな方法がありますよ。薬師希望だったら家を借りるのがいいですけど……問題はお金ですね。とりあえずはホテルに滞在してお金を貯めるといいですね」
そう親切に教えてくれた。
わたしはお礼を言うと部屋に戻った。
夜会の時のドレスと靴を売ったお金と髪を売ったお金で、簡単なワンピースとブーツ、フード、肩掛けカバンを買っていた。
お金は余っていたがこれからの出費が不安で使えなかったので、服は一枚切り。だけど、今回の依頼でお金は楽になった。
だから、少し着るものを買い足した。
それとわたしは、洗濯ができるようになったのだ。
洗うと言うか、水玉を出してそのなかに入れておくと汚れが取れる。
これをさらに進めて、水を使わずに浄化が出来るよう練習中だ。
収納から装身具を出してみる。髪飾り、ピアス、ネックレス、腕輪。どれも大したものではないし、揃いではなく寄せ集めのちぐはぐな物だ。婚約破棄された夜会で身に着けていたもの。
ほんとわたしって冷遇されていたわね。
まぁ貸して貰ったものだが、これくらいは貰ってもいいだろう。厳密に言うと泥棒だが、我が家のお家芸ということで。
だって、死んだ母が持っていた物がアビゲイルの物になったのよ。母の物は娘の物だという理屈らしい。
婚約者への贈り物として王太子がくれた物もアビゲイルが持っていった。
だから、これぐらいはね。
わたしは、母の宝石を思い出すと胸が煮えくり返る。その煮えくり返った胸を冷ますように深呼吸をした。
わたしは、三日薬草採取をして、二日を図書館通いと休養と決めて毎日を過ごした。
やがて、わたしはギルドの宿舎を出て、ホテルの一室を借りた。お掃除は断って部屋と夕飯ということで契約した。
図書館では、ポーションの作り方をせっせとノートに写した。
本は高いので買えないのだ。だから写す。お金がないと大変よね。
部屋を出たら声をかけられた。
「おはようケイト」
マイクが手を挙げた。
「おはようございます。マイクさん」とわたしは返した。
そう、ここはマイクさんに紹介されたのだ。
そしてわたしが洗濯をしているのを見たホテルのオーナーに頼まれてシーツの洗濯を引き受けた。
大きな水玉を作ってそのなかにシーツをたくさん入れて、汚れが取れた頃、水を捨てる。そこまでで良い。干したり取り込んだりはオーナーがやる。楽なお仕事だ。
これで部屋代が半額に、夕飯もタダになった。魔法って素晴らしい。
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